表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二周目だけどディストピアはやっぱり予測不能…って怪物ルート!?マジですか…。  作者: ヤマタカコク
第一層 二周目知識は本当にチートなのか 編
7/116

7 ぶっ壊れ解析スキル。



 残す『攻』魔力の試練は一旦据え置きとし、チュートリアルダンジョンから出た俺は、大家さんと話をした。


「えっと、まだ途中ですけど…こうなりました。良かったら参考にしてみて下さい」


 そう言って大家さんに渡した紙には、今の俺のステータスと、



=========ステータス=========



名前 平均次



防(F)15

知(神)70

精(D)25

速(神)70

技(神)70

運(-)10


《スキル》


【暗算】【機械操作】【語学力】【韋駄天】【大解析】【斬撃魔攻】【刺突魔攻】【打撃魔攻】【衝撃魔攻】


《称号》


『英断者』『最速者』『武芸者』『神知者』new!


=========================



 こうなるまでの過程が事細かに書かれてある。


 これを渡したのは試練同士の相互関係については彼女自身が書き留めたものがあるが、それと合わせて参照すればステータスビルドの考察がより捗る、そう思ったからなんだが。


「ん、ん~?(神)って書いてるけど。これってなに?あ。成長補正が神ランクってことか…え。均次くん成長したら神様になっちゃう?」


 素朴でアホな質問かわええ…じゃないぞ俺氏。


「いえ。比喩だと思います。そんなことより──」


「う…ノリ悪い」


 う…すみませ…コミュ障なので…


「いや、大家さん器礎魔力の取得、ホント急いで下さいね?モンスターは魔力取得に遅れてる人に群がる傾向にあるので…」


 傾向と言ったが、おそらくこれは間違いなく起こる。


 実際に前世ではそうだった。


 モンスターが弱者を狙ってるように見えたが多分…あれは、急かしていた。


「試練の相互関係はそれなりに複雑なので…ステータスビルドをどうするか迷ってしまうのは分かります。それでも一応、チュートリアルダンジョンには入っておいて下さい。モンスターは家に押し入る事が出来ますが、あの中には入れないようなので」


「うん…それは分かったけど」


 世界をこうしてしまったのが何なのかは分からないが、その何者かにとっての都合があるのだろう。


 モンスターのこの習性からは『魔力覚醒者を出来るだけ早く増やしたい』そんな意図を感じる。


「ともかく、急いでください。あと数日の猶予はあったと思いますけど、チュートリアルダンジョンはいずれ消えてしまうものなので」


 そうなってるのは多分、例の裏技に気付く者が現れ、その情報を拡散するのを防ぐためだろう。


(そうなればチーターが大量発生するもんな)


 かくいう俺も拡散させるつもりはない。いや、これは秘匿による無双を狙うためではなく…


 いや、嘘だな。そんな願望も確かにある。でもそれ以上に、この情報があまりにも危険なものだからだ。


 だって、この情報を手にする者が必ずしも善良であるとは限らない。というか、悪党であればあるほどこういった情報に鼻が利く。


 それに、俺は前世であまりに多く見てしまった。普通の社会なら善良だったはずが、大きすぎる力を得てタガを外してしまうといった…哀しい人の性ってやつを。


 ちなみにチュートリアルダンジョンが早々に消えてしまう仕様である以上、入る機会を逃した人も当然いた。


 でもそういった人々には本人の資質に合ったステータスが与えられていたようで、『むしろそれで良かった』と言う人も極少数だがいた訳で。


(前世では思い知らされたもんだ。世の中には天才がいるもんだってな)


 だって…元々人並み外れた才能に合わせた能力値を得るんだぞ?そんなやつの性質がもし、邪悪なものだったらどうなる?出会ったが運の尽き。そうなる。


 これからはそんな世界になる。そうだ、これも、ちゃんと言って聞かせなきゃ…


「…世界がこうなった以上、人間だって危険なんですからね?…いやむしろモンスターより危険かもしれません」


 なんせ恐怖でタガが外れたところに人外の力を得る訳だから。前世では狂った行動に走るやつは当然にいた。


「なるほど…人は入れるもんね。チュートリアルダンジョンに」


 そう、その証拠に俺の部屋のチュートリアルダンジョンに大家さんも入れるはずだ。


「…っていうかやっぱり均次くん、どっか行っちゃう?」


「…あ」


 そっか、まだ明言してなかったな。


「はい…すみません」


「そう…」


 途端に心細そうな顔をする大家さん。捨てられた仔犬感かわええな…じゃないぞ俺。


「あ、いや、すぐ戻って来ますから!ちょっと…あの、取り急ぎ必要なものが発生したっていうか──」


 俺は大家さんにその必要なものが何であるか、何故それが必要であるのか、事情を説明した。


「ん……事情は分かった。けど…それってどうしても必要?だって、どう考えても危険」


「心配させてしてしまうのは…はい、無理はないですよね…すみません。でもやっぱり()()は必要です──今の世界は甘くないので」


「…そ…わかった。じゃあ、これ──」




 そう言った大家さんに渡されたものを手に、俺は部屋を後にしたのであった。




(ハァ…大家さん…大丈夫かな独りにして…いやいや!()()は絶対に必要だ。そうだ…彼女を守るためにも──)



 だから早く行って、早く帰ってこなければ。



「よし…」



 いざ往かん。()()()()()()()()()へ。



「…っと、その前に。」



   ・


   ・


   ・


   ・


 という訳で…ってどういう訳だ。ともかく。俺は今、大家さん宅に戻ってきている。



 ──ガチャガチャ…


 

 そして彼女に渡されたキーケース、その中にあった小さな鍵を使って、裏庭の物置を開けているところだ。


 物置に入った俺は早速、試練の特典として得られた希少スキル、【大解析】を発動した。その感想は、


「うお、これは……流石……すげーな」


 何が凄いかと言うと…ここでウンチク。


 スキルには『解析系』と呼ばれるものがある。


 その基本スキルとして【識別】というのがある。


 この段階で既に有用だ。何故なら魔力を宿し、ステータスを持った生物のレベルが分かるようになり、その文字は青から赤の間で表示されていて、その色でどれだけ自分に殺意を持っているかが識別出来るのだ。赤ければ赤いほど危険なヤツ…って感じだな。物騒になってしまったこの世界では特にオススメだろう。


 その上位スキルに【鑑定】がある。


 これは相手のレベルと秘める殺意だけにとどまらず、名前も表示してくれる。そして対象に生物だけでなく『アイテム』も含まれるようになる。


 ここで言う『アイテム』とは、魔力を宿した道具のことだ。


 そして『アイテム』鑑定の場合はレベルの代わりに品質を表すランクと正式な名称が合わせて分かる仕様となっている。


 そしてこの場合の色判定はそのアイテムが秘める危険度となっている。毒とか呪いとかな。詳細な用途までは表示されない。でもそれは表示される内容からある程度推測出来たりする。なのでやはり便利だ。


 そしてそのさらなる上位にあるのが、【解析】だ。


 これも魔力を宿しているなら、生物アイテム両方に通用する。


 そしてそれらの詳細なステータスが遂に、閲覧可能となる。


 ラノベで大活躍していたこのスキルだが、この世界でもその有用性はトップクラスと言っていい。


 …ただ、


 このスキルを取得するには生産系の…しかもかなり上位のジョブにつかないと取得出来ないというキツい縛りがあった。前世、有名なスキルでありながら使える者が殆んどいなかったのはそのためだ。


 そしてそうなって当然だった。モンスターが闊歩する世界になったんだから、殆んどの人が我が身もしくは大事な人を守るために、適正もよく考えず戦闘系ジョブを選んでしまっていたからな。


 前世で生産系ジョブを選んでいたのは、それしか選択肢がなかった人だけだった。


 だから俺は、『知』魔力の試練で全力を出したのだ。好成績を修めた特典として【解析】スキルを授かった人の話を聞いていたからな。


 まあそのせいで『攻』魔力が下がるのは困ることだが、安全を考えるなら解析系スキルは必須だったし、どうせなら最上級の【解析】が良かった。


 だって考えてみてくれ。


 『二周目知識チート』にこのスキルが加われば?情報において俺より先を行けるヤツはいなくなる。


(やっぱ長所はな。とことん伸ばしていかないと…)


 かといって最強を目指すなら生産系を、しかも上位ジョブになるまで育てるなんて無理だった。


 つまり俺にはあのタイミングでしか【解析】スキルを取得するチャンスはなかった訳だ。



 ともかく、俺が手に入れたこの、【大解析】という希少スキルに話を戻すが…その性能は【解析】とほぼ同じ。なんだが…



 それを『範囲でやってしまう』という、とんでもないぶっ壊れ性能だった。だから驚いたのだ。



(まだスキルレベルは1だからな…半径にして4m…くらいか?直径にして8m…)


 つまりは、自分を中心にしたドーム状…その範囲内にあるものなら、生物アイテム問わず、魔力を宿した全てを見つけ出して解析してしまうという…。


(これは…有用なんてもんじゃないぞ?)


 一つ一つを手にとったり指定して解析するという面倒が省ける…なんてことじゃ、勿論なく。


 

(これは…このまま育てれば探知にだって使える)

  


 そう、モンスターや魔力に覚醒した人間を探知することにも流用出来る。


 といってもまあ、今はスキルレベルが低いからな。範囲も狭く、探知機能としてはあまり使えない。だが、将来的には半端なく有用となるだろう。


 それに、『アイテム』というものはラノベやゲームでもお馴染みであるったように、この世界でもモンスターを倒して剥ぎ取る素材までも含んでいる。


 そしてダンジョン内限定だが、倒したモンスターが消えた後にドロップしたり、さらには宝箱でゲット出来たりもする。


 それだけじゃない。実は、普通の民家にもあったりする。


 誰かの想いが常軌を逸して込められていた物だったり、世代を越えた永い間使われていた物だったり、もしくは何かの物騒な曰く付きであったりする物には、何故か魔力が宿りやすく、それがそのまま『アイテム』へ変貌する事があるのだ。


 前世、この情報が出回った後、一部の人間が暴走した。


 『勇者ムーブ』


 そう、ゲームの主人公よろしく、人が住んでいようがいまいが、お構いなしに押し入って力ずくで家捜しする、という物騒な事件が頻発した。


 いや、それで得られるアイテムなんてランク的には低級…良くて中級程度のものが殆んどだったのだが。


 なのにゲーマー気質を拗らせ過ぎて周りを出し抜く事に夢中になってしまったそいつらは、ただでさえ最悪になってた治安をさらに悪化させてしまっていた。


(ちなみに…ゲーム好きを公言していた俺もとばっちりを受けたっけ…おかげでひどく肩身が狭い想いをしたよな)


 また話が逸れてると思うかもしれないが…この【大解析】を使えばどうだろう?そう、無理やりに押し入ることなんてしなくとも、外から家捜し出来てしまう。


 使い方によっては罪深い能力だと思うし、今は範囲だって狭いので家の中全てとまではいかないだろう。


 …だが、それでもある程度の探知が出来る、というのはすごい…


 という話をしたら大家さんが、


『なら、私の家に行くといい。古い家だし、役立つものが、きっとある──』


 …と、提案してくれたのだった。こうして寄り道してるのは、そんな経緯があっての事。


「それにしても、キーケースをポンと渡してくるとか…」


「無用心…またはお人好し……ってのはてちょっと違うか大家さんの場合。こうして信頼してくれるのは嬉しいし、有難いよな。でも……うーん」


 どうやらこの物置には何もないようだ。庭にある物置には、使わないけど捨てられないものが置かれる。


 つまりは『思い入れのある物』の宝庫である。この物置も実際にそういうものが保管されてあったようだったが、残念なるかな。魔力が宿って『アイテム化』したものまではなかった。


「となると…次は貴重品類か」


 庭の物置に保管するには貴重過ぎるもの…つまり盗難されては困るもの。それらを保管するならやはり、家の中だろう。


「金庫の中だったらお手上げだけど…」


 なんて思いながら数時間前に戸を蹴破った玄関をくぐる、すると…


 俺が展開していた【大解析】に早速、反応があった。


 感知したこれは…間違いない。魔力を宿したアイテムだ。それも…


「おいおいおいこれ…低級とか中級どころの話じゃないぞ?」


 なんだこれは。閲覧したこのアイテムは確かに凄い内容だけど。


「あり得ないほどの魔力を感じる……てゆーかこれって、もしかして…」



 おいおいおい…アレが始まってんのか?



「………ヤバくね?」


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ