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56 アンド…どっキング!?


  


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  ・


 ──あの後、料理が出来上がったのは夜の午前を三時間も過ぎた頃だった。


「あとは…もう…知らないから…っ」


「おう!ご苦労だったな!」


「くぅ…っ!もう!臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃ臭兄ぃホント臭兄ぃっ!」


 と言い残して才子は去っていった。俺は結構傷ついた…いや、ここは感謝しかないな。散々にブーたれながらだったけど、大変な手間をかけてくれた訳だし。



 とまあ、こんな感じで。

 無理矢理に作らせた料理がこちら。



『雷鳥の鳥冠スープ』

『雷鳥紅葉の甘辛煮』

『彩り毒マムシの毒前酒』

『クラゲ茸の触手と青菜のミミガー風野菜炒め』

『バリネズミの電針素揚げポッキー風』

『電気蛇の雷腺で包むピリ辛風ビックリ揚げ餃子~毒芋虫の毒糸で巻いて~』

『毒香花の花弁と酩酊草の変わり浅漬け』


 あんな…ジビエの枠を遥かに越えた魔の食材を色良く調理し薬味も添え綺麗な感じに皿へと盛り付けらた品々を盆に乗せ──念のため口直し用の普通の料理も忘れずに──つまりは盆を二つ持って──さあ、再びの風呂場へ。そこでまた裸になって、



「いざ!実っっ食っっ!」



 さぁまずは『彩り毒マムシの毒前酒』で舌を慣らしていきましよう。


 【大解析】で見たところこの酒には一時的ではあるが毒耐性を付与する効果があるみたいだからな。


 次に雷鳥の鳥足を甘辛く煮た『雷鳥紅葉の甘辛煮』をいただく。うむ。結構イケる。甘辛が効いてエグ味が押さえられ…いやむしろアクセントとなってご飯が進むなこれっ!


 うーむ、気を良くしたぞ。箸はもう止まらない。更にと『クラゲ茸の触手と青菜のミミガー風野菜炒め』を口に運ぶ。触手のコリコリ感と、しんなりかつみずみずしい青菜の意外なしゃきしゃき感が合わさって、何とも言えない食感を実現している。甘辛くどくなった口の中、新鮮なしょっぱさが広がった。


 次に食したのは『電気蛇の雷腺で包むピリ辛風ビックリ揚げ餃子~毒芋虫の毒糸で巻いて~』だ。これは餃子なのに一つしかなく、その代わりとして結構デカイ。中身は予め軽く火を入れた肉と野菜で、それが溢れないように毒糸で巻いて見た目は大きめのロールキャベツを無理矢理揚げたって感じだなんだそれ!まあいいか!揚げた影響でその糸もパリパリと一緒に食えるようになったそれにかぶり付くと、パラパリと小気味良い音が鳴り、その後は野菜の旨味が溶け込んだ肉汁がぶしゃっと舌上へシャワーの如く降り注ぐ。しかも炭酸飲料のようにシュワーと口内で不思議な音立て弾けるようなのに、ホロっと解けやがった……?


「~~んなんだこれ!オモロうまっ!」


 と思わず声を上げるほどびっくりしてしまう俺。素っ裸で結構寒い思いをしていたのに一気に暖まった感じだ。実際に体温も上がってたと思う。


 これら三品をメインに毒前酒をクイッとやりながら、たまに『毒香花の花弁と酩酊草の変わり浅漬け』の爽やかな酸っぱさを挟みながら、『バリネズミの電針素揚げポッキー風』のお菓子のような食感を楽しみつつ、『雷鳥の鶏冠スープ』で混ざりあった味を調和させている内に…って、あれ?


「…いつの間にか完食してるし」


 正直、想像してたよりも遥かに旨かった。


「流石は才子。良い腕前なり──」


 つか例の苦悶が発生しない…だと?


「あいつ…今回のこれで何らかのスキルを身に付けたかもな…」






 ──なんて余韻に浸っていたかったが、





  …甘かった。「──いがッッ!」





「ぃぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎギギギ」


『【雷耐性LV1】を取得…【雷耐性LV4】に上昇しました。』


「ぎぎぎぎぎがががががががががががが」


『【毒耐性LV1】を取得…【毒耐性LV4】に上昇しました。』


「がががががががががごごごごごごごご」


『【麻痺耐性LV1】を取得…【麻痺耐性LV2】に上昇しました。』


「あびびびびびびびひえゲゲゲゲゲゲげ」


『【痛覚大耐性LV9】に状況しました。』


『【負荷大耐性LV5】に上昇しました。』


『【疲労大耐性LV4】に上昇しました。』


『【精神超耐性LV3】に上昇しました。』


「ゲゲゲゲゲゲぐごごごごごごごご──」


『【魔食耐性LV10】に上昇します。上限到達。【魔吸食LV1】に進化します。』


『【強免疫LV10】に上昇します。上限到達。【剛免疫LV1】に進化します。』


『【強排泄LV10】に上昇します。上限到達。【剛排泄LV1】に進化します。』


『【強臓LV10】に上昇します。上限到達。【剛臓LV1】に進化します。』


『【強血LV10】に上昇します。上限到達。【剛血LV1】に進化します。』


『【強骨LV10】に上昇します。上限到達。【剛骨LV1】に進化します。』




『【魔吸食】【剛免疫】【剛排泄】【剛臓】【剛血】【剛骨】が呼応。スキル合成が可能です。合成しますか?』



「ふー、うぐ、ハァ…きっつ…ちょっと休憩させてくれ『謎の声』さん」


 なんというか、魔食恒例の苦悶が纏めて襲ってきた感じだった。


「う、うーん、げぽっ、うぃー」


 こうなったのはやはり、一気に複数をしかも全部平らげたのが原因…なのだろうな。多分だが魔食は酒と同じでチャンポンしたらまずい事になる…のだろう。


「というか、スゲーな魔食料理」


 魔食関連以外のスキルまで取得しまくり上昇しまくりで、しかもまた合成出来ることになろうとは…っていうか、美味かったし。うーん今後才子の調理なしでは魔食出来ない身体にされたかも。


「うぷ…いやそれよりも、合成…か」


 『運』魔力がマイナスになってしまった俺に、良いスキルの巡り合わせなどあるのだろうか。


「いや、でもここはな。賭けてみよう」


 『英断者』がイケイケムード出してるしな。なんせ魔食は俺の強化の鍵を握っている訳だし。なので、



「頼む。合成してくれ」



『オリジナルスキル【超練体】を取得──』



 おお!オリジナルスキルキターー!それもなんか強そうな名前の──



『!!!スキル【内界】から干渉あり──エラー!』


 え。


「おいおいどうした?」



『その干渉は受け付けません。エラー。その干渉はシステムの許容外。エラー。これ以上の強制干渉は──く、やめなさ──やめ────エラーーー!』



「おい!おいおいおいおいおいおい!」



『だからエラーだってば!エラーだからエラーっ!エラー!エラー!エラー!エラーったらエラー!くっ、エーーラーあ!エラエラエラエラエラエラえら──ええぇぇええええーー!?ら、らめぇーーーー!!』



「ええええ?…っだからオイ何してんだコラ【内界】!」



 つか、スキル合成システムがバグってんだがっ!?



「『らめー!』とか言って─えええ?」



 これって俺の責任になる?つか、



「一体どうなるんだこれっ!?」



『ハァ、ハァ、超変異スキル──』



 変異した!?しかも『超』付いた!?つか息が荒いぞスキル合成システムさん!



「一体何されたんだ!?」



 大丈夫か?主に貞操方面でっ!



『あ…ぇっと?コホン…【界胎進初(かいたいしんしょ)】?…が?産まれちゃぃました…』



「産んだの!?ンだから何されたの!?」



 あとこんな…色んな意味で大事な場面でそんなたくさんのクエスチョンは付けないで欲しい。だって、



「そう!産まれたスキルに罪はないのだからっ!」



『均次よ…オヌシ大丈夫か?』



「何がっ!?って無垢朗太マジうるせえ今はお前とかけ合いしてる場合じゃ──つか、」




 ホント、大丈夫なのか?…これ。



 とか思いながら。



 俺はと言えば例の如く。



 そう、失神したのである。チーン。



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