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50 リザルト回。同居人も添えて。★



 目覚めると朝だった。なので起きようとしたら


「いつつ…」


 胸のあたりが痛んだ。


(魂ってのは…胸の中にあるのかな…)


 これは…無垢朗太の過去を垣間見たから痛むのか。


 実際、その負荷に俺の魂は耐えられなかった。耐えられなかった理由は多分、俺の魂は修復されたばかりでまだ脆い状態だったからだろう。


 何せ阿修羅丸と戦って死にかけたし、無垢朗太と戦って死にかけたし、【虚無双】を使った時は魂を傷つけたらしいし、そんな瀕死の状態でヌエに襲われて──実際に、死んだし。


「あの野郎…」


 あの時、俺は確かに聞いた──魂が壊れる音ってやつを… …そうだ。俺は死んだ。確実に。


 なのに今も生きているのは、無垢朗太が俺の魂を修復してくれたから。


「…そうなんだろ。無垢朗太」


『う、む…しかし完全に…ではない。すまぬな、あの時の我にはそれで精一杯だった』


「謝るなって。つか、有り難うな」


 言葉通り身を削って助けてくれた相手に謝られちゃ、こちらとしても居心地悪いってもんだ。


 ──ダンジョンコアを食らったあの時。


 コアもろともに滅びゆく無垢朗太だったが、消滅する直前に俺の魂が致命傷を負った事を察知したらしい。


 そこで咄嗟に自身の魂で俺の魂を埋め合わせる事で修復してくれたらしいのだけど。


「…なぁ、お前の魂以外にも何かこう…混ざってるように感じるんだが……これってもしかして………『アレ』なのか?」


『うむ…もはや『アレ』を使うしかなかった。既に死が決まったオヌシの魂はもう、現世にとどまる事が許されておらんかったゆえ。何にせよすまぬ!これしか言えん事も重ねてすまぬっ』


「…そ…っか、いやだから謝らなくていいってば。でもそっかー、あの()()()()()()()がなぁ……俺の中に…うーん!マジかーそれは…うーん!そうきたかぁーーー!マジかぁーー!」



『いや何気に許しておらんよね?』



 俺の魂を現世に繋ぎ止めるため、無垢朗太が使った『アレ』とは、彼もろともに俺が食らったあのダンジョンコアだったらしい。


 こうして組み込まれて何となく感じるのは、ダンジョンという生き物は前世で噂されていた通り『異界からきた侵略者で間違いない』という事だ。


 まず感じるのがそんな事なのは何故かと言えば、ダンジョンというものが『現世に存在してはならないもの』だからだろう。

 

 無垢朗太によると『ダンジョンが結界の類いや魂を好んで食らうのはそれが故』らしい。


 この世に存在するだけの存在力を超常的に高めるために結界を侵食し、魂を食らう。ダンジョンとはそうする事でこの現世で存在する力を得ると同時に、世界の理さえ歪める力まで得るらしい。


(そんなダンジョンの、しかもコアを魂に埋め込んだっていうんだから…これって結構な無茶だよな)


 おそらく、こんな事を出来る存在はそうそういない。


 霊魂として長く生きた事で魂というものをよく知っていた。さらには魂の半分をダンジョンと同化する事でダンジョンマスターとなった。


 そんな人生…いや霊生?を生きた無垢朗太だからこそ、出来た事なんだろう。つまり、俺は運が良かったのだ…多分な。


 ともかく。


 俺は、無垢朗太と魂をシェアした…だけでは現世と繋がれず、その繋がりを補強するためにダンジョンコアまで取り込んだ初の人類となってしまった。


「…いやこれ、人類で合ってんのかコレ?」


『いやいや、そうやって不安がるところなど凄く!人間らしくあるっ!…という事にしておくれ?』


「そ、そうだな!俺はまだ人間のはず、だ!」


『うむ!まだ!今はな!』


「だからどっち!?やめてくんない?そうやって内側から揺さぶってくんの!」


『ぬ。すまぬー』


「…だから謝んなって」


 という訳で魂の方はこんなんなったけど。


「ステータスの方はどうなった?でも…うーん見るの怖ええな…ああ~もう!ステ…はぁ…オープンッ!!」




=========ステータス=========



名前 平均次(たいらきんじ)



MP 11660/7760→11660



《基礎魔力》


攻(M)470→490 

防(F)91→101 

知(S)171→191 

精(G)23→28 

速(神)566→586 

技(神)422→442 

運   10→-0.3

《スキル》


【MPシールドLV7→11】【MP変換LVー】【暗算LV2→9】【機械操作LV3】【語学力LV2→7】【大解析LV5→7】


【剛斬魔攻LV1→4】【貫通魔攻LV1→4】【重撃魔攻LV2→5】【双滅魔攻LV2】new!


【韋駄天LV8】【魔力分身LV4】


【螺旋LV1→4】【震脚LV1→4】【チャージLV1→3】【超剛筋LV2→4】


【痛覚大耐性LV1→8】【負荷大耐性LV4】new!【疲労大耐性LV3】new!【精神超耐性LV1】


【魔食耐性LV7→9】【強免疫LV7→9】【強排泄LV7→9】【強臓LV7→9】【強血LV7→9】【強骨LV5→9】


【平行感覚LV2→8】【視野拡張LV2→9】


【虚無双LVー】【内界LVー】


《称号》


『魔神の器』『英断者』『最速者』『武芸者』『神知者』『強敵』『グルメモンスター』『ソウルイーター』new!


《装備》


『鬼怒守家の木刀・太刀型』

『鬼怒守家の木刀・脇差型』


《重要アイテム》


『ムカデの脚』


=========================



「うーん、取り敢えず良かった…。変な種族名が付いてなくて…つかっ、MPが10000越えしてんですが?…おいおいマジか」


 おそらくこれはダンジョンコアを食らった影響だな。【MPシールド】もそれに合わせてレベル10を越えていた。


「…器礎魔力値もスゲー上がってるし」


 強化された肉体に追い付くべく器礎魔力も大幅に上がっていた。


 これは『狂い餓鬼大頭の肝』と『餓鬼大将の大肝』…そして、『阿修羅丸の心臓』という高級魔食材を食らったからだろう。だから、


「有り難う…阿修羅丸」


 この一言に尽きる。


『ぅむ…あれにも…悪い事をした……』


「うん…もう忘れろ…とは言えねぇ…つか、俺だって人の事言えねぇし」


 なんせ殺しあった仲だし。ガチンコで。


『うむ、それが良い、それで良い。我も忘れぬ。あれは良いモノノフであった…むしろこれから先も覚えていたい』


「そっか…そうだな…そうしてくれ。俺もそうする」


 その後は思考を切り替えて器礎魔力値をもう一度確認した。


 ここまでの感覚だと、それぞれの上がり幅は成長補正のランクだけで決まってないようだった。


 同じランクであるはずの『速』魔力と『技』魔力で差が生じているのがその証拠。


 こうなったのは多分、餓鬼から採れる魔食材は食らうと『攻』魔力『防』魔力『速』魔力が重点的に上がるという特徴があるからだろう。次点で『技』魔力か。


 それに比べて『知』魔力と『精』魔力は…いや、食った分は上がっているけど、餓鬼の魔食材ではあまりたくさんは上がらないみたいだな。


 結論として、各器礎魔力の成長補正ランク。そして魔食材のランクと特徴。この二つが影響し合って器礎魔力は上がっているみたいだ。

 

「他のモンスターを食らえばもっと分かるのかな…」


 俺はレベルアップが出来ず、魔食なしでは肉体も器礎魔力も強化されない身だ。なので今後もなるべく多くの種類を魔食しなければならない。


 ……正直言うと憂鬱だ。


 今のところ阿修羅丸の心臓以外、食えたもんじゃなかったからな。それでも食ったけどな。不味いもんは不味いんだよな。まぁ『劇物口に悪し』ってやつだな。嘘だな。そんな諺は、ないな。

 

「次にスキル…、ええ?殆んどが進化してたはず。それなのに…」


 つまり殆んどがスキルレベルが上がりにくくなってたはずだ。なのにまた上がっていた。


 多分これは…【虚無双】を使って魂までも酷使して発生した特大の負荷。あれが原因だろう。


 つまりは無理矢理に成長させられた感じだ。素の状態で使いこなせるのかこれ?と不安にさせる上がりようとなっていた。

 

 それに…それだけでは【魔食耐性】【強免疫】【強排泄】【強臓】【強血】【強骨】などの『魔食関連のスキル』までは上がらないはずだ。


「こうなったのは、ダンジョンコアを食ったからか?それとも死んで復活したから?そのどっちか──いや、むしろその両方か。とにかく、これは有難いな」


 だって魔食によるショック症状が緩和される訳だから。


「つか、【暗算】と【語学力】まで上がってるのはなんでだ?」


 【暗算】が急成長した理由なら何となく分かる。【虚無双】を使ってる時の演算能力は『知』魔力と『速』魔力の相乗効果だけでは説明がつかない領域にあったし、それにともなって味わった負荷もとんでもなかったからな。これはその影響だろう。


「でも【語学力】の方はなんで上がったんだ?戦ってただけなのに……謎だ」


『もしかしたら…我との意思疎通が影響しておるのでは?」


「というと?」


『本来なら我らに言葉などは不要。魂の中でこれ以上ない直接的なやり取りが出来るはずだからな。なのにわざわざこうして言葉に起こしておる。なれば言の葉に関するる理解が向上しておかしくはない…という事よ』


 こんな会話形式でやり取りしてるのは、お互いの自我が混ざりあってどちらの意思でそう感じて思っているのか、曖昧になってしまうから。…としたのは、どちらかといえば俺の方なんだろう…ってほらっ。無意識で感じ合うから『どちらが決めた事か』すら曖昧になってる。でも、なるほどな、


「そういや前世で『異世界人』と無理矢理意志疎通しようと頑張った時も上がってたわ【語学力】。あれと同じ感じなのかもな…て違うか」 


『む…それはあの珍妙な種族の事か?我ってあれと同じ扱い?』


 どうやら俺の魂を通じて異世界人の姿を既に知ってるみたいだが、俺達みたくファンタジーに慣れた世代じゃない無垢朗太にとっては珍妙に見えたようだ。


「というか。死んだ後まで封印されて怨霊化してダンジョンマスターにまでなったお前がそれを言う?普通に化物だろ」


 あまりに距離が近い存在になったし、一度は殺しあった仲だからか、俺は不用意にこんな事を言ってしまった。それに対して無垢朗太は、


『ぬぅー言いおった…っ!お、お主こそ、一度死んでダンジョンの力でやっと現世にしがみついておる分際でっ!』


 てな感じで負けずに言い返してきた。結構な地雷だった?でも知るかと言い返す。


「だから言うなよそれをっ!ただでさえ変なスキルと称号が増えて恐々としてんのにっ!」


『何を言う!便利ではないか!』


 こうして大人げなく言い合えるのは、いがみあってもあまりストレスに感じないからだ。多分、魂を共有してるからだろう。


「でもなー、これはなー…」


【内界…魂に出来た隙間を門として生まれた異次元世界。まだ生まれたばかりで狭く、その概念に追い付いていない状態。】


『ソウルイーター…魂を吸収する事で自身を補強した者が得られる称号。これからも魂を吸収する事で自身を補強する事が可能となった。』


 ……すごくっ、ストレスだ…っ!


 異次元『世界』を生んだとか魂を吸収して補強されるとか凄く不穏だ。もはや人間が宿していい力じゃない気がする。なのに無垢朗太ときたら、


『実際にまだ狭いからの。早く適当な魂を吸収しておくれ。そうすればここも多分広くなるような気配が…そこはかとなく…うむ。間違いなく広くなるな』


「えええ?そうなの?」


 俺の中の世界広がっちゃうの?つか、なに勝手に棲み家にしちゃってんの?じゃ、なくて!


「適当に魂を吸収しろだと?なに普通に怖いこと言ってんだそういうとこが化物だっつってんだ!」


『ぬう!化物言うのやめぃっ!………普通に傷付く』


 こうして話してみて分かった事がある。


「…やっぱ耐性低いよな、お前」


 無垢朗太は結構面倒なやつだ。


『なんの耐性?』


 まぁ、でも、いっか。


 お互いストレス感じてないし。


 そうだそんな事より、


「面倒といえば…これがあったな…」


『む』


 既に最低値だと思っていた『運』魔力。


 それが、さらに下がっていた。というか下がりすぎてマイナスになっ──えええ~?


「うーん……ゼロコンマの数値まで表記してるとこに無駄な足掻きを感じる。こっちはマイナスになった時点でかなりのショックだってのに…ブツブツ…」


『『運』にまつわる魔力…か。本来なら現世からつま弾かれていた。それはこの世の均衡を保つためにある運気という運気から見放されて当然、という身分でもある。なのでそれを引き寄せる魔力が下がるのは当然と言えば…まぁ、当然なのであろうな』


「──て遠慮ねぇなっ!つか、なに他人事みたく言ってんの?言っとくけどもう一蓮托生ってやつなんだからな!俺の悪運はお前にもついて回るんだ!ハ!ザマ見ろっ!」


『ぬううう!だから手頃な魂でも食ってみよと…!さすれば存在力も上がって…!そう、運気だって戻ってくる可能性もなきにしもあらずっ!それをお前がっ』


「うう、うっさい!なんかヤなんだからしょうがないだろっ!その話は保留だ保留!」


『く、ぬう、…面倒なヤツめっ!』




 …結構似た者同士かもしれない。



 





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