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二周目だけどディストピアはやっぱり予測不能…って怪物ルート!?マジですか…。  作者: ヤマタカコク
第三層 餓鬼ダンジョンソロ攻略 編
28/116

28 嫌な予感。★


 第三章開始!


 本格的ダンジョン攻略。楽しんでくれたら嬉しいです。



 その部屋は数百もの餓鬼で埋め尽くされていた。


 つまり、ここは…



「モンスターハウスっ?いきなりかよっ!」



 モンスターハウスとはダンジョンに設置される罠の一種で入ったが最後、大量に配置されたモンスターを全滅させなければ出られない密室の事だ。

 そんな、上級者でも恐れる悪辣な罠へといきなり転移させられた。しかもダンジョンに入場した自覚すらないままに。

 

「いや…急に暗くなったあの時…鳥居をくぐった瞬間には侵入した事になってた?…だからって…」


 さっきのダンジョンコアと言い…ここは普通じゃないにも程がある。


「ダンジョンってもんはもっと…侵入者を気遣うもんだろうが…それがこんな…」


 ダンジョンとはなるべく多くの愚か者達を勘違いさせ、懐深くへ導きこうとするもの。『やりがいの領域』から逸脱せず、侵入者が『やれる』と思える環境を何段階にも渡って用意し、その褒賞に宝箱まで用意する。 

 それは、ダンジョンを維持するにしろ成長させるにしろ、膨大な魔力と魂を必要とするからだ。


「でも、そうか…なるほどな。」


 そうだった。ここは維持や成長なんて目的としていない。別の目的があって、その目的のためなら後先など考えないという捨て身のダンジョンなのだった…。


 だがおあいにくさまだったな。

 俺は、回帰者だ。


 その目的が何であるのか既に知ってる。我ながら反則的な能力だ。もっとも、『もう一度生き直す』ってのが能力と呼んでいいかは分からないが。


 ともかく。


 いきなり転移させられようが、その転移先がモンスターハウスだろうが、



「いいぜ、付き合ってやる。」


 

 慌てない。起き上がると同時に右手に太刀型、左手に脇差し型の木刀を握り込む。人体の限界を越えて捻った足で踏み込み、飛び出すっ!強化された肉体がそれに応える!初っぱなから大回転!しながら大胆に衝突!餓鬼で成る群塊を大きく削るっ!


 今や肉体が大強化され、器礎魔力も大強化されている。

 その影響だろう。斬らば【斬擊魔攻】と【打撃魔攻】と【衝撃魔攻】が。刺せば【刺突魔攻】と【打撃魔攻】と【衝撃魔攻】が発動する。

 午前中に見せた失敗はもはやない。乗せられるだけの魔攻を全ての攻撃に乗せきった。その結果多くの餓鬼がスムーズに潰され斬られ貫かれ、その果てに爆ぜ散ってはダンジョンの糧へと還っていく。


 でもそのスムーズさゆえに負荷はない。よってスキルが育つ感じもしない。それは寂しいことだが、まずは敵の殲滅を優先する。

 ここからどうやってスキルの育成に繋げていくか、それを考えるのはこのモンスターハウスを攻略してから。そう思ってたんだけど。


「く、なんで数が減らないんだ?」


 倒せども倒せども俺を囲む餓鬼の数が変わらない。よって殲滅も出来てない。スローで見えてるとはいえ、目まぐるしく回る視界がこうも続くと流石にな…目が回ってくる。お陰で、


『【平行感覚】を取得しました。』

『【視野拡張】を取得しました。』


 また余分なスキルを、しかも二つも取得してしまった。


 これではまた負荷が分散される。狙った育成が成る前に限界が来てしまう。目は回らずに済んだが、ここに来てこれは正直辛い展開だ。



 何故ならこのダンジョンを攻略するにあたり、成長させなければいけないスキルがあるからだ。しかも進化させる必要まであった。



 当然、それはまだの状態。そもそもとして思ったスキル育成が外ではもう無理だと分かったから、こうしてぶっつけ本番で育成するべく、ここに来たのだ。


「『英断者』もイケイケムードだったのに…くそ!」


 それがこれ。まさか攻略開始早々に行き詰まるとは…このままだと…


「『鬼』に勝てない…いや。焦っちゃダメだ俺。」


 こういう時はまず冷静かつ正確に状況を把握するのが肝要だ。

 なので俺は『これ以上育つなよ』と念じながら、取得したばかりの【視野拡張】を使ってみる事にした。

 それで分かった事は、この部屋は正方形で、二つの壁に裂け目があり、それが出入口となっている…という事だった。つまり。


「中々減らないと思ったら…あの裂け目から餓鬼の増援が送り込まれていたのか。てことはここって、モンスターハウスじゃ、ない?」


 モンスターハウスは密室が前提の罠だからな。


「いや、この状況が何であろうがじり貧なのは変わらないか…」


 何でもいいので状況の変化を求めた俺は、二つある裂け目の内、一つを目指す事にした。その方針に沿って路線も変更。殲滅より無力化を優先。


「といっても狙いもくそも木刀を振り回すだけなんだけど、なっ!」


 それでもだ。餓鬼というモンスターは数の多さとその凶暴性が脅威なのであって、個体で見れば軽いし弱い。


 実際、蹴散らすだけでいいなら今の俺には簡単な作業だった。


 適当に打撃魔攻を纏って、当たり所も関係なしにブン回す。それだけで吹き飛んでくれるし、結構なダメージを食らってくれる。

 吹き飛んだ先ではもたついてくれるし、そうなればこの包囲網もより楽に抜けられる。

 致命に近い重傷を負わせた時など儲けものだ。種族特性である異常食欲が災いして『仲間でも弱れば餌』とばかり、他の餓鬼どもが食らいついてくれるからな。

 自分が通ったあとを回転しながら見てみれば、共食いの狂宴が繰り広げられていた。中々にエグい光景だが助かってる。だってその共食いに流れた分だけ、俺を追う餓鬼が減る訳だからな。


 こうして裂け目内部に突入した俺は、その裂け目の左右の壁を交互にキック!それを繰り返して餓鬼が届かない高さへ。

 

「よし、この高さをキープすれば…」


 これなら狭い空間で前後から挟み撃たれる事もない。無事に通過出来そうだ。


 かくして裂け目を通過し、飛び降りた先。


 そこにはさっきと同じような四角い部屋があった。


 天井が無駄に高くそれに負けない広さがあるのも同じ。


 裂け目も俺が今通過してきたのを含めて二つある。そして、


「「「「がぎゃっ!?」」」」


「「「「げがっ!?」」」」


「「「「ぎゃひひ!」」」」



「…まじかよ…」



 餓鬼がいた。それもさっきと同じくらいウジャウジャと。


「く…嫌な予感がする…っ、猛烈にっ」


 前世の俺だったら、こうなると判断に迷って動けなくなるのが常だった。


 でも今世では『英断者』があって、『それでも頑張れ』って背中を押す。


 それはいかにも他人事という感じがして…少々じゃなく腹も立ったが、でも、


「頑張るしか道はない…か」


 俺は仕方なく次の裂け目を目指す事にした。餓鬼を蹴散らす作業に再び取り掛かる。


 嫌な予感が止む気配はさっぱりだったが……今はしょうがないと自分を無理やり納得させて。



=========ステータス=========



名前 平均次(たいらきんじ)



MP 7250/7250



《基礎魔力》


攻(M)110 

防(F)25 

知(S)66 

精(G)13 

速(神)130 

技(神)106 

運   10


《スキル》


【MPシールドLV7】【MP変換LVー】【暗算LV2】【機械操作LV3】【語学力LV2】【大解析LV2】


【斬撃魔攻LV7】【刺突魔攻LV8】【打撃魔攻LV9】【衝撃魔攻LV9】


【韋駄天LV7】【魔力分身LV3】


【回転LV5】【ステップLV5】【溜めLV4】【呼吸LV6】【血流LV6】【健脚LV5】【強腕LV5】【健体LV4】【強幹LV6】【柔軟LV5】


【痛覚耐性LV7】【負荷耐性LV6】【疲労耐性LV6】【精神耐性LV8→9】


【魔食耐性LV3】【強免疫LV3】【強排泄LV3】【強臓LV3】【強血LV3】【強骨LV1】


【平行感覚LV1】new!【視野拡張LV1】new!


《称号》


『魔神の器』『英断者』『最速者』『突破者』『武芸者』『神知者』『強敵』『破壊神』『グルメモンスター』


《装備》


『鬼怒守家の木刀・太刀型』

『鬼怒守家の木刀・脇差型』


《重要アイテム》


『ムカデの脚』


=========================



 

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