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特定の思想に傾倒することを避けるという話。

作者: 神無桂花

 特定の思想に傾倒するのはよくないなと思ったのは大学にフェミニズムについても学ぶゼミがあって、そこに所属している女の子と話す機会があった時だった。

 男女比率が1:9のゼミだったのだけど。そのゼミに所属する男子に友人が「女子だらけで良いじゃん」と言ったのがムカついたらしい。なんで? と聞いたら「女子を飾りとして見ているってことでしょ?」と。

 僕は理解できなかった。僕はその場にいなかったから何とも言えないが、そんな意図は無かったのではないかと、一般的な感覚としてもそうだろう。多分この場で議論を始めたら潜在的な差別意識とかの話になりそうで、その場は退くことにした。

 ちなみに僕の潜在的な差別意識についての考え方は。間違いなく誰しもあるだろうし無くせないだろうというものだ。いや、正確には、無くすとしたらそれは自身の犯した覚えのない罪を認め反省するという、かなり地獄のような過程が必要になる。故にこの時、その話に持って行かれた時点で僕は反論できずに負けていただろう。いや、負けはしないか。潜在的な差別意識は存在するが、それをいちいち一般人は意識しているだろうか? と持って行けば良いからな。


 先に言っておくと、僕は別にフェミニズムを否定するわけではない。よく見かける、SNS上で暴れている人たちに眉を顰めることはあっても、思想自体は否定する気はない。というか僕はあらゆる思想はその時代に必要だと考えられたから生まれ、今も残っているのはそれが必要だと本気で考えている人がいるから存在する。なら、その存在自体は否定することは不可能ではないかと考えている。


 しかしながら、注意しなければならないのは、特定の思想に傾倒するということはその思想が常の思考の中心に置かれる。つまりは考えが極端な方向に寄りやすい状態になる。

 しかも厄介なのは、その思考の柱は歴史と権威、偉大なる先人たちに確立された確固たるものであり。つまりはそれについて勉強している人ほど、自分の中に浮かんだ考えに自分で反論や反証ができない。さらに言うと。その人と議論する際も厄介な部分がある。

 

 例えば先の女の子に対して僕が「それは違うくない?」と言ったとしよう。その時、僕が相手しなければならないのは先に言った通り、歴史と偉大なる先人たちによって育てられてきた思想、あるいは歴史そのものが敵となるということだ。それはたとえ曲解されたものであっても当人にとっては時代の流れの中で磨き上げられた正しさという名の御旗なのである。

 要は思想に傾倒するということは、同志以外の外様の意見も偉大なる思想にケチを付ける愚者の言葉にしか聞こえず、自身は素晴らしい考え方を持っている高尚な存在だと位置づけてしまいやすい状態になる。

 何かの議論で決定的な論証を突き付けられ、反論ができない状態になってもそれは自身が負けたのであって、思想が負けたわけではない。つまりは、自分は決定的に間違えたわけではなく、たまたま状況が悪かっただけなのである。思考の中心や思考の仕方を改めることは起こりづらい。反省がしにくい状態になる。


 思想との付き合い方は学び、しかし染まらない。それが僕の意識していること。

 知ることは重要だ。存在するのだから、それを大事にしている人もいる。無知から生じる無理解な言葉は軋轢への直行便だ。

 はまり過ぎると視野が狭まりやすい。かつて僕はカントの批判哲学にドはまりして、親からはお前と話していると疲れるとかめんどくさいと言われまくり親との関係が悪くなり、それから超人思想にドはまりして、友達をかなり失くした。多分他の人からすれば、おかしな考え方を強要されたように見えたのだろう。

 これは僕が思想と他の人とのバランス感覚に失敗した結果である。それにある日気づいてから、それらのバランス感覚を考えるようになった。要は、その思想を知らない人、染まって無い人との付き合い方を考えるようになったのである。絶対に正しいとは考えず、常に自分の中でなるべくフラットに検証するようにしたのである。こういう立場の人ならどう思うのだろうかと。

 最後に、改めて述べるが、僕は思想自体を批判する気も否定する気も無い。ただ、付き合い方は考えた方が良いだろうと述べているだけである。


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