何処か似ている二人
3話書こうと思っていました。けど、違う恋愛ものを書いていたら内容を忘れたので完結とさせていただきます。
曇り続ける目の奥から僕は世界を見ている。
今日は入学式だ。
また、意味の無いモノに時間をかける日々がやってくる。
「ああ、退屈だ」
気がつけば口から漏れた…。
まるで僕は空虚さで覆われた抜け殻だ。
父は言う。
「フィル、今日は入学式みたいだな。しっかりやれ」
父は僕をどんなフィルターを通して見ているのか分からないが、どうせ…ろくなモノでは無い。
僕は人と関わるのがストレスだ。
1人で研究だけをして一生を終えたいとすら思っている。
「皆んな、死んじまえ」
予め言っておくが僕はナルシストではない。
だけど僕は自分でも天才だと思っている。
よくいるただ勉強が出来るだけの人とは違う、異質な何かだ。だから気がつけば神童なんて呼ばれてしまった。
誰かの嫉妬が辛い。
期待する視線が重い。
見守る目から見える光は眩しい。
ひたすら辛い。
入学式に遅れたしまう前にさっさと行かないとな…。
「行ってきます」
♢
僕は魔法学校へ着くまでの道のりでずっと空を見ていた。
別に意味なんて無い。
「誰もいない場所に行きたいな…」
僕は一人呟いていた。
エスタ家は貴族では無い。その為、家に使用人なんて者はいない。そもそも、この国では貴族なんて制度は150年ほど前に無くなった。民衆を魔法実験の生贄に捧げる貴族に怒った王が貴族制度廃止の為に頑張って消した。
ただ、今は貴族制度が無くなって貴族とは呼ばれなくなったけれど、実質貴族のような家が少し残っている。五家なんて呼ばれている。エスタ家も五家である。
かつての王でも排除できなかった貴族達だが、150年前に比べて五家の影響力は薄れているので現在では格式がちょっと高いだけの家になっている。
フィルは思い出し一人喋る。
「今年は確か僕の他にも五家がいるって聞いたな。まあ、いいか。五家なんて呼ばれている家は今はもうただの廃れた家でしかないのだから」
フィルが自分の家の文句ばかり言っている内に学校に徐々に近づいて行った。
ちょうど校門をフィルが通った瞬間に風が吹く。
下ばかり向いていたフィルも思わず前を向いた。
フィルの目に映ったのは綺麗な黒髪だった。そして、目の前の人物と目が合った。吸い込まれるような赤い目だった。キリっとしていて何処かカッコイイとも感じた。フィルは見惚れていた。フィルにとって生まれて初めて見た黒髪は嫌悪感を感じず、ただ、ただ綺麗だった。
フィルは見惚れるあまり惚けたける目の奥から僕は世界を見ている。
今日は入学式だ。
また、意味の無いモノに時間をかける日々がやってくる。
「ああ、退屈だ」
気がつけば口から漏れた…。
まるで僕は空虚さで覆われた抜け殻だ。
父は言う。
「フィル、今日は入学式みたいだな。しっかりやれ」
父は僕をどんなフィルターを通して見ているのか分からないが、どうせ…ろくなモノでは無い。
僕は人と関わるのがストレスだ。
1人で研究だけをして一生を終えたいとすら思っている。
「皆んな、死んじまえ」
予め言っておくが僕はナルシストではない。
だけど僕は自分でも天才だと思っている。
よくいるただ勉強が出来るだけの人とは違う、異質な何かだ。だから気がつけば神童なんて呼ばれてしまった。
誰かの嫉妬が辛い。
期待する視線が重い。
見守る目から見える光は眩しい。
ひたすら辛い。
入学式に遅れたしまう前にさっさと行かないとな…。
「行ってきます」
♢
僕は魔法学校へ着くまでの道のりでずっと空を見ていた。
別に意味なんて無い。
「誰もいない場所に行きたいな…」
僕は一人呟いていた。
エスタ家は貴族では無い。その為、家に使用人なんて者はいない。そもそも、この国では貴族なんて制度は150年ほど前に無くなった。民衆を魔法実験の生贄に捧げる貴族に怒った王が貴族制度廃止の為に頑張って消した。
ただ、今は貴族制度が無くなって貴族とは呼ばれなくなったけれど、実質貴族のような家が少し残っている。五家なんて呼ばれている。エスタ家も五家である。
かつての王でも排除できなかった貴族達だが、150年前に比べて五家の影響力は薄れているので現在では格式がちょっと高いだけの家になっている。
フィルは思い出し一人喋る。
「今年は確か僕の他にも五家がいるって聞いたな。まあ、いいか。五家なんて呼ばれている家は今はもうただの廃れた家でしかないのだから」
フィルが自分の家の文句ばかり言っている内に学校に徐々に近づいて行った。
ちょうど校門をフィルが通った瞬間に風が吹く。
下ばかり向いていたフィルも思わず前を向いた。
フィルの目に映ったのは綺麗な黒髪だった。そして、目の前の人物と目が合った。吸い込まれるような赤い目だった。キリっとしていて何処かカッコイイとも感じた。フィルは見惚れていた。フィルにとって生まれて初めて見た黒髪は嫌悪感を感じず、ただ、ただ綺麗だった。
フィルは見惚れるあまり呆けた顔をしていた。
「神童と呼ばれているのにあなた頭悪そうな顔をしているわね」
初対面でこの一言は酷いものだ。
フィルは思わず言い返した。
「君は冷めた顔をしているね」
本当に思わず漏れただけだった。
「初対面の人に向かって失礼なことを言うわね」
お互い様だと思う。
「君もね」
何故だかそんな言葉の応酬を繰り返す内にフィルは段々とこみ上げてきた。
そして、不思議と同時にだった…。
「ふふふ!」「あはは」
校門前で何故だか奇妙な男女が笑っていた。
片方は嫌悪の対象である黒髪の少女。もう片方は、神童と呼ばれる異質な少年。
ある意味運命的な出会いとも言えたのだった。
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