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東京に着いた時、ぼくたちはまた一つがっかりした。この世界には確かに人が居ないけど、日本で一番人の多い東京なら、きっと少しくらいは生きている人が居るだろうと思っていたからだ。
けれど実際は、東京も他の街と変わらなかった。
東京はタヌキや犬、猫に鳩や雀で溢れている。
ねずみも、カラスも、それ以外にも多くの野鳥が空を飛んでいた。
つまり、動物達の楽園だった。
コンクリは割れて道路は半分くらい草原になってるし、建物は完全にツタに侵食されていて、まるで四角い山みたいになっていた。
「誰も居ないな」
その光景を見ても、xxはさほど気落ちした様子もなかった。
さも当然って感じで、まるで最初から全部知っていたみたいだった。
「東京タワーに行く前にさ、新しい靴がほしいよな」
そしてかかとをトントンとしながらそう言った。
「そうだね」
長旅のせいで、ぼくたちの靴は底がすり減ってしまっていた。
万が一、歩いている途中に靴底に穴が空いたりしたら大変だし、ぼくも彼の意見に賛成した。
靴屋を見つけるのは簡単だった。
そこは、ショッピングモールの一角にあるスポーツ用具店だった。
「この靴、2万だって」
xxは真っ黄色の派手なスポーツシューズを手にとった。
なんでこれが2万円もするんだろう。ただの靴なのに。
「飛鳥もこれにしろよ。絶対すごいぞ」
「ぼくは3千円くらいのでいいよ」
「どうせタダなんだし、一番欲しい奴にしろよ」
「うーん……じゃあ、これにしようかな」
ぼくは少しだけ贅沢に、5千円の靴を手にとった。
さわり心地が良かったからだ。メッシュ生地で、見た目よりずっと軽い。
かかとの部分が分厚くて、靴を履いてみると、自然に足が前に出てしまうような、そんな靴だった。
「おおー、これすごいぞ!」
xxも、二万円の靴に感動している様子だった。
その場で何度も足踏みして、屈伸をして、最後には店内を走り始めた。
そして突然、
「なあ、東京タワーまでマラソン勝負しよう」
xxが変な提案をしてきた。
「え~? 無理だよ。キャリーバッグとリュックがあるんだよ」
「荷物なんて、置いてけば良いだろ」
「ダメだよ。着替えとか、食料とか入ってるし」
「ここ、東京だぞ? そんなのいくらでも手に入るよ」
「……うーん、でも」
「なんだよ、自信ないのか? 俺にマラソンで負けるの怖いんだろ」
「そんなこと無いけど」
「じゃあやろう」
「……分かった」
なんで急マランソ? と、不思議に思った。
けど、xxは気まぐれだから、そういうこともあると納得するしかない。
それに、マラソンなら多分ぼくの方が有利だ。体力と運動神経ならぼくに分があるし、不戦敗みたいなことになるのは我慢できない。
「じゃあ、今からスタート!」
そして、xxはいきなり走り出した。
「あっ! ずるい!」
ぼくは一歩遅れて走り出した。




