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東京を目指して、ぼくとxxは国道を東に歩き続けていた。
ぼくたち以外に生き残っている人間が居るのなら、会いたかったから。
そして、この世界に一体何が起きたのかを教えてほしかったから。
それか、元の世界に帰る方法を見つけ出す方法をみつけることでも良いけど、元の世界に戻る方法を見つけるのはきっともっと難しいだろうな。とにかく、ぼくたち以外の人間と会って、話をしたかった。
朝から晩まで、ひたすら歩き続けた。夜になったら、適当な建物の中に入って、一晩を過ごした。そして朝日が出るとまた歩き始める。
旅の途中で、一度足が痛くて歩けなくなったりもしたから、予想していたよりも進む速度は遅かった。途中で1日中休んだ日もあった。
最初は果てしない旅のように感じていたけれど、確実にぼくたちは東京に近づいていった。
そして、旅を始めて10日が経った。
「東京まで、あとどれくらいかな」
「もう少しだよ。今日中には着くんじゃないかな」
「日記の人、生きてるかな?」
「多分な」
「けど、なんでたった一人だけ生きてるんだろう?」
「さあな」
「……この世界ってさ、ぼくたちが居た世界なのかな? ぼくたちの世界が壊れた後の世界なのかな、それか、ぼくたちの知らない世界なのかな」
「お前が知らないことは俺も知らないよ」
「……そうだよね」
ぼくたちはまた、黙って道を歩き続けた。
なぜだろう、東京が近くなるにつれて、ぼくは段々不安が強くなっていた。いっそ、もう東京になんて行きたくないと思うくらいに。
なんでそんなことを考えるのか、ぼく自身全然意味が分からなかった。けど、ともかく嫌だった。答えを知るのが、怖いのかもしれない。
「なあ、やっぱりやめないか?」
そしてxxもぼくと同じ意見のようだった。
人の居ない道路の真ん中で、彼は突然立ち止まってしまった。
「やめて、どうするの?」
「この世界にはさ、いっぱい食べるものもあるだろ? 水もあるし、俺たち二人で生きていけるしさ、この世界に何が起きたのか、知る必要なんて無いだろ。どうせ、もう世界は壊れてるんだ。ほんとうのことを知っても、どうしようもない」
「……」
ぼくは一瞬、彼の提案を受け入れるべきかもしれないという気持ちになった。けれど同時に、その提案を絶対に受け入れてはいけないことも分かっていた。
「……ダメだよ」
「なんでだよ」
「ここまで来たんだから行ってみようよ。それに、この世界が本当に壊れてしまっているか、まだ分からないよ」
「……でも」
xxは何かを言いかけて、やめた。
「xxは、何がそんなに不安なの?」
「別に不安じゃない」
「なら行こうよ」
「……ああ」
そしてぼくたちは、また歩き始めた。




