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ぼくのいない世界  作者: 松永晋也
分かる世界2(2011年10月~11月)
23/33

 xxが心の扉を閉ざせるようになって、学校に来るようになった。そしてぼくたちは、前々から考えていた計画を実行することにした。


 それは、この世界で再び新聞部を作ることだ。


 勿論、新しい部活を作るっていうのは簡単じゃない。滅多なことじゃ申請しても許可がおりない。


 けれど、xxは少しの間不登校だったということもあって、先生たちは彼のことを腫れ物のように考えているから、あまり厳しい態度に出られない。だからxxが先生に相談を持ちかけたら、結構かんたんに新しい新聞部を作ることに成功した。


 これで少しはこの世界も面白くなりそうだ。と、そう思いながら、ぼくとxxは放課後の自由教室で、どんな新聞を書くかの第一回会議を開催していた。


「でもさ、今度はどんな新聞にする?」


「この世界じゃ、前みたいなオカルトはウケないしな」


 と、xxが言う。


 確かに、この『分かる世界』では都市伝説とか、幽霊みたいなオカルトが全然流行らない。「それは、この世界でウソを突き通すのが難しいからだ」とxxが推測していたけど、ぼくは単純に、この世界には幽霊もおばけもいないからだと思ってる。


 ともかく、もとの世界で書いていたような新聞は、この世界では通用しない。ぼくたちは、新しい可能性に挑戦する必要があった。


「学校のゴシップニュースを書くのは?」


「この世界じゃ、隠し事はあっというまに思念伝達で広がる。わざわざ紙でそれを読もうなんて奴いないよ」


「生活に役立つ情報をまとめるとか。ライフハックってやつだよ」


「昼のつまんない番組みたいな新聞を書けっていうのか? それは絶対にやだよ」


「……うーん」


 会議は難航した。どんな新聞を書けば人気が出るのか、全然想像もつかないからだ。ぼくたちはこの世界の住人じゃないから、価値観がちょっとズレてるし……と、そこでぼくは一つのアイデアが頭に浮かび上がった。


「いっそのこと、わかりきったウソを書いたら?」


「どういう意味だ?」


「小説を書くんだよ。この世界ってさ、ファンタジー小説が無いから、それを書いたら物珍しくて受けるかもしれないよね」


「ファンタジーって……俺、書いたこと無いぞ」


「大丈夫だって、xx、才能あるしさ。やってみようよ」


「ならお前は何するんだよ」


「アイデアを一緒に考えるよ」


「けどそれって新聞って言えるか?」


「普通の新聞だって、4コママンガとかあるし、別に良いでしょ。ね」


 xxは渋い顔をしていたけど、ぼくは知っている。

 彼、本当は新聞よりも物語を書くことのほうが好きなんだ。元々の世界に暮らしていた頃、彼の家で遊んでいた時、ぼくは偶然彼が自分で書いた小説を見つけてしまったことがあったから。


「ま……やってみるなら、タダだしな」


 そしてやっぱり、彼はぼくの提案を了承してくれた。

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