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ぼくのいない世界  作者: 松永晋也
さいしょのせかい(2007年5月)
21/33

 ぼくの名前は夢乃飛鳥(ゆめのあすか)


 今日から新しい学校だ。てん校するのはこわくて不安だったけれど、すぐに友達ができてよかった。


 友達の名前はxx。優しくて、頭が良くて、面白くて、すごく良い人だってすぐにわかった。それに、ふつうの人とはちがう、なんだか不思議な感じもした。


 会って5分もしないで、ぼくたちはすぐに親友になった。ただの友達じゃなくて、親友だ。こんなに誰かと仲良しになったのは初めてだった。


 xxは、ぼくと同い年なのに、家族が一人も居ないらしい。


 それがぼくにとって一番のおどろきだった。


「なんにも問題ないよ。家族なんて、居てもじゃまだし」


 お昼休みに、ふたりで窓際によっかかって家族について話していたら、xxは笑いながら言っていた。


「さみしくないの?」って聞いたら、

「全然」と彼はすぐに答えた。


 ほんとうにさみしくないみたいだった。


 けど、それってなんだかちょっと悲しい気持ちだった。さみしさを全然感じないなんて、かわいそうだし、ぼくとぜんぜん考え方がちがうのもいやだった。


「ぼくは家族がいないと、なんにもできないよ。朝も起きれないし、ご飯もつくれないし

、勉強も時々教えてもらうんだ」


「それは、家族が居るからそうなんだよ。家族が居なければ、なんだって自分でできるようになるんだ」


「へー、本当に?」


「そうだよ。家族なんて、本当はいらないんだ」


「そうかなぁ……?」


 家族のことについてだけは、どうしてもxxと意見が合わなかった。ぼくは、やっぱり家族は大事だと思うし、居ないとだめだと思う。


「でもー……xxはどうして家族が居ないの? 最初から居なかったわけじゃないんでしょ?」


「必要ないから、消えたんだ。きっと向こうもせーせーしてるよ」


「うーん、よくわかんないな」


「……そんな話よりさ、この街ははじめてだろ? 放課後に案内してやるよ」


「えー! ありがとう」


「いいさ、おれたち友達だしな」


「うん!」

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