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時間が経った。
夜が深くなると、どんどん気温が下がっていった。寒くて、眠れそうにない。けど図書館の中で焚き火をするわけにもいかない。
xxはランタンの灯りで手塚治虫の漫画を読んでいた。もう夜遅いけど、ここじゃあそれを怒る人も居ない。
「ねえ、寒くない?」
ぼくはxxに聞いた。
「寒いの好きだし、平気」
「そう」
ぼくは寒いのが苦手だ。
xxとは真反対だ。
xxは真冬にTシャツ一枚でも平気なくらいに暑がりで、ぼくは夏場でも半袖を着ないくらいに寒がりだ。
よくよく考えてみると、それ以外のこともxxとぼくは真反対なことばかりな気がする。ぼくは甘いものが好きだけど、彼はそうでもないし……ぼくは猫のほうが好きだけど、彼は犬の方が好きだ。
「明日になったら、冬服探しに行こうよ」
ぼくは寝転がったまま言った。
「……えー、まだ良いだろ」
「これからもっと寒くなるし、早めに温かい服を探しておこうよ」
「……ああ」
気のない返事。『はい』とも『いいえ』ともとれる曖昧な答えだった。
「ねぇ、聞いてる? どっちなの?」
「分かったって。それは明日決めよう」
そう言って、xxはランタンの灯りを切ってしまった。
なんだか、嫌な気分だった。ぼくが悪いのかな。




