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ぼくのいない世界  作者: 松永晋也
ちょっと不思議な世界(2011年6月)
14/33

 家に帰って台所に駆け込むと、母さんがそこに居た。


(おかえり、飛鳥)


 母さんはもう夕食を作り終えていて、テーブルの上には夕食が並んでいる。


「た、ただいま」


 ぼくが挨拶を返すと、母さんは目を丸くした。


(どうしたの? 声なんかだして)


(ううん、なんでもない。あの……ぼくは……)


 ぼくは、頭が混乱していた。


 すっかり、完璧に混乱していた。どこまで説明するべきなのかわからない。


 というか、『このこと』を説明しても良いのかな? 頭がおかしいって思われるかも……


(『このこと』って)


(あっ、いやあの……)


 そうだ。この世界は分かる世界なんだ。考えを読まれてしまう。


 ……となると、誤魔化せないな。ほんとうのことを話すしかなさそうだ。


(何なの? 飛鳥)


(あの……パラレルワールドって、知ってる?)


(パラレルワールド? 聞いたことはあるけど、それがどうしたの?)


(……じつはぼくは、別の世界から来たんだよ)


(別の世界?)


 母さんは眉をひそめた。驚いた、というよりは、心配そうな顔をしている。


(……もしかして、どこかで頭でも打った? 事故にあったんじゃない?)


(違うよ。ぼくは別の世界から来たんだ。だから、じきにこの世界のぼくが家に帰ってくるはずなんだ。そうなれば、母さんにもわかるよ)


 そうだ。ぼくの家があるということは、この世界のぼくも居るはずなんだ。彼が現れれば、ぼくは別の世界のぼくだと証明できる。


 ……はずだった。


(それで、ほんとうのアスカはいつになったら帰ってくるの?)


 夜の10時になっても、この世界のぼくは家に帰ってこなかった。おかしい。いくらなんでもこんなに遅くまで……


 と、そう思った時、玄関の扉が開く音がした。


(ほら! 帰ってきた!)


 ぼくはテーブルから立ち上がって、急いで玄関に向かった。


(ただいま、アスカ)


(……父さん)


(どうした、変な顔をして)


(聞いてよあなた。アスカが変なことを言い出したの。別の世界から来たとか……)

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