コント「医者」
医者 「次の方どうぞ」
クレヨン「失礼します! スミマセン、お忙しいのに」
医者 「いえいえ仕事ですから。気になさらんでください」
クレヨン「あの……先生?」
医者 「なんですか? 患者さん」
クレヨン「先生が、パソコンしか見てなくて……なんでキーボードをパコパコ叩いているんですか?」
医者 「気にしないでください。これが名医の条件なんで」
クレヨン「はあ? 確かに今のお医者さまは、患者の顔見ないで、パソコンと会話していますが……こんなあからさまとは」
医者 「できる先生の、これがステータスですから!」
クレヨン「胸はりながら、言わんでください! とにかく、顔見ないんですね」
医者 「そうですよ、あなた、見苦しいですんで」
クレヨン「ドクハラですよ」
医者 「素直過ぎるんで堪忍してください、私は素直だけが取り柄なんです」
クレヨン「末期の患者さんにも素直なんですか」
医者 「私はそんな患者見ませんから、病院で決まったらしいて!」
クレヨン「確かに、働き方改革の法の基では首切れませんから……とにかく、先進みましょう」
医者 「はいはい、今日は健康のご相談らしいですね」
クレヨン「はい、看護士さんから聞いてましたか?」
医者 「ダメですよ、私が目を付けてるんですから! 彼女は美人で器量よくて、いつも患者さんにはニッコリしてて」
クレヨン「患者さんには?」
医者 「私が食事に誘うと、すぐにセクハラ扱いされまして……」
クレヨン「ドクハラにセクハラ……お医者さまは苦労しないでしょう? お金持ちだし、理想の結婚相手ですし」
医者 「今はどこも厳しいですから」
クレヨン「それは先生が、そんなんだからって……あのとにかくですが、悩みを聞いてください」
医者 「はい! 但しこの歳で、かぶってる! は管轄外ですから」
クレヨン「かぶる? かぶる? かぶる!……先生、飢えてます?」
医者 「失礼な! この頭は高いんだ!」
クレヨン「はい? なんですかそぉ……あっ! かぶる、うえる、近頃は技術が凄いですね」
医者 「ほっといてしないでください」
クレヨン「先生が変な方向にレールを置いたんですよ!」
医者 「はいはい……ところでご相談は?」
クレヨン「ようやく辿り着いた! やれやれ……って、先生! 実は私ですが、不治の病にかかってまして……」
医者 「不治の病に! それにしては元気そうですがぁ?」
クレヨン「こう見えても、生まれついての大病なんです」
医者 「本当ですか! どんな大病なんですか?」
クレヨン「頭が悪いんです」
医者 「私、ノーベル賞には縁がないですから」
おしまい