表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライフル銃とTS少女  作者: くりいか
西方軍にて
8/10

進軍

攻めるのは次話で。そう思ったら、短くなった。

 なんだろう。なんか、嫌な予感がする。右、右?なんだろう。何か、来る。

「全員伏せろ!」

 矢?大隊長の頭に…。銃撃も。士官が殺られてく。まあ、服違うし、目立つしな。しかも、殺られるとかなり痛い。

「離脱する!全員ついてこい!」

 僕が面倒をみるのは、部下とシュメルだけ。他は邪魔だからついてこんでいい。

 茂みの中に隠れる。混乱の中だ。敵からは見えていまい。立て直す。



 まとめる。敵の遊撃を受けた。本隊とはぐれた。小隊内に行方不明者が出た。ゲリラ嫌い。

 とりあえず、居る奴だけでも集まってる訳だが。

 でも、どれくらい損害が出たんだろう。うーん、頭が殺られたのは痛かったな。それ以外の奴も、はぐれて安否不明だし。

 現在、ここに居る士官は、僕、シュメル、あと中隊長補佐。上を優先してたね、奴ら。半数は死んでるだろう。後は、一般兵が各個撃破されるかな。下士官が少しは頑張るか?だが、混乱の中で、どれ程の兵が命令を聞くか…。

 指揮は中隊長補佐に。一応、階級は一番上だし。で、その補佐は自動的に僕に。実質的にシュメルだけど。

 集まったのは20人ほど。こっちがゲリラになったみたい。

「大尉、どうするのですか。撤退ですか、続行ですか。」

 無理に突撃するべきではないし、撤退は有りだ。でも、このまま攻めることも可能。その場合、戦術が大事になるね。数がいれば、多少は誤魔化せるが、少数であればあるほど、実力差があればあるほど、戦術は大事になっていく。ゲームをやって学んだ。だが、現実でも同じだろう。

「…このまま帰れば恥さらしだ。作戦続行。」

「わかりました。作戦続行。友軍はどうします?」

「無視だ。合流しようとして、再び奇襲を受けてはな。」

 まあ、あんまり動き回るのは危険だな。うん、いいと思う。

「わかりました。では、どこから攻めます?」

「道はゲリラが塞いでいるだろう。このまま森を進む。詳しい戦術は、敵を確認してからだ。」

「訓練を受けているとはいえ、慣れないものには酷な道です。それでも行きますか?」

「ああ、行くしかないだろう。」

 うん、安心した。わかっていてやるなら別にいい。

「では、出発ですか。」

「ああ。準備しろ。これから暫く、休みなしだぞ。」

「それはいいですね。ええ、それはいい。」

 休みなし、ね。まあ、そうは言いつつあるのだろう。





 え、ああ、着いたんだ…。ほんとに休みなしだった。うん、流石に皆、疲弊している。休みあり、だよね?

「軽度ではありますが、数人、けが人も出ましたし、このままではろくに動けないでしょう。いい加減休ませては?」

「今日はここまでか。よし、休むぞ。」

 皆一斉に倒れこんだが、大丈夫か?またも出遅れた…、いや、なんでもない。士官は立派にしてないと。

「気を抜くな。周囲に敵がいる可能性は極めて大。今奇襲を受けたらどうする。」

「しかし小隊長、流石に疲れました。」

「情けない。まあいい。攻め時までしっかり休め。警戒は僕がしよう。シュメル、大丈夫?」

「シャロン、私も?」

「今は僕が上官。上官の命令に背くの?」

 職権濫用なんて言葉、この国には、少なくとも西方軍にはない。

「えー…。」

「行くよ。」

 無理矢理引っ張る。ひとまず、二人きりになりたい。疲れたもん。


 シュメルちゃん…。ああ、安心感。

「これなら、初めから言ってくれれば良かったのに。」

「皆がいる前じゃ、恥ずかしいよ。でも、警戒しなきゃだから、キスだけ。」

 唇が重なり合う。暖かい。あったかい。

 シュメルの舌が、入ってくる。口の中を舐め回される。うん、シュメルはちゃんとここにいる。シュメルは無事。

 シュメルに押し倒される。

「ねえ、本当にダメ?」

「そりゃ、士官があんまりなまけちゃ、いけないでしょ。また今度、ね。」

 音が聴こえる。左から。多分、人。

「左から人。」

「わかった。」

 じっと、息を潜め、隠れる。声が聴こえてくる。

「以外と、簡単に落ちたよな。ゲリラも成功したって言ってたし。敵も暫く動けないだろ。」

「まあ、その間に準備を整えないとな。たった一人で小隊を狩るような奴が敵にはいるって噂だしな。」

 小隊を狩るような奴?こないだ、まさか…。

「ああ、物陰に隠れてた衛生兵が見てたらしいな。馬車から少女が出てきたと思ったら、ライフル銃で友軍を次々と撃ち殺し、皆殺しにしたとか。」

 あ、僕のことだ。

「ねえ、どうする?取っ捕まえて拷問する?」

 シュメルが小さな声で聞いてくる。

「やめておこう。敵戦力は集まりきってないみたいだし、変に警戒されたくはない。」

 階級が低かろうが、いつまでも戻って来なければ、敵も不審に思うだろう。そんなことで勘付かれたくない。

「シャロンって、そういうところは慎重だよね。」

「まあ、命に関わるし、責任もあるし。十二分の警戒でね。

 敵は去った。情報も、僅かだが得れた。シュメル、一応報告しといて。僕が残るから。」

「苦手分野、だもんね。いいよ、対価なしで。」

「そうそう。互いのいいところを活かし合っての僕達だからね。」

 それと、今回の場合、シュメルを出来るだけ安全な所に居させたい、というのもある。恥ずかしいから言えないけど。

 危険であっても、シュメルの為なら…。



 その後、敵に目立った動きはなかった。

 作戦決行は午前4時。まだ日の出前、薄暗い頃だ。敵も、起きているのは最低限、警戒に出てる奴だけだろう。

 警戒に出てる敵兵は、僕が狩る。こないだみたいに、ナイフで首をサクッと、声をあげさせずに、一撃で。

「シャロン、任せたぞ。お前がヘマすれば、全員の命に関わる。お前に全員の命を預けてある。失敗は許されないぞ。」

「わかってます。本来ならば、僕がしゃしゃりでるべきでは有りませぬが、任された以上、完璧にこなしてみせましょう。」

「うむ、よい。全員の命、預けた。行ってこい。」

「では、これで。あ、指揮官、ヘマしないでくださいよ?」

「任せておけ!」

 安心安心。自分のすべきことに集中できる。本来ならば、シュメルは僕が、直接守りたいのだが、作戦が成功せねば守れない。成功させるには、ひとまずシュメルから離れねばならないのだ。結果、指揮官に任せることとなる。

「シュメル、行ってくるね。」

「うん、私も頑張るね。」

 行くか。シュメルを傷つけようとしてる奴は、一人残らず殺すから、待っててね。

いよいよ銃剣(≒ナイフ)無双か?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ