表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライフル銃とTS少女  作者: くりいか
西方軍にて
5/10

卒業、入隊

さっさと入隊させたかった。

 月日はあっという間に過ぎていった。気づけば、入学して一年。一部の、成績優秀者は卒業し、士官候補生として徴用される。そして、その中には、僕とシュメルも含まれていた。

「これで、会えなくなっちゃうね。」

「そうだね。」

 僕の配属先は、西方軍第320小隊。シュメルは、西方軍第108小隊。同じ西方軍に属しているとはいえ、地理的に遠い。

「でも、二度とじゃない。3ヶ月すれば異動だ。そのあとも、異動、異動の繰り返し。またどこかで会えるよ。」

「そうだね。シャロンが私の指揮下に異動してきたりして。」

「その逆もあり得るかな。」

 別に、上に立ちたいとかいう欲はないけど。でも、3ヶ月後には強制的に士官だしな。

「そろそろ迎えの馬車が来る時間だよ。それじゃ、またどこかで。」

「うん、またね。」

 また、絶対に会える。会えるよね。



 銃を使うのは僕だけ。卒業生の中に、僕以外の銃使いはいない。一緒に乗っているのは、先生と、馬を操ってる人だけ。

 持っていくのは、いつものライフル銃と銃剣、先生が卒業祝いにくれたリボルバーだけ。本は何回も読んだし、要らないから学校の図書室に寄付した。

「どうだ、リボルバーは。」

「扱い易いし、マグナム弾もいい感じ。とても気に入りました。」

「奮発した甲斐があったな。」

「でも、どうしてこんなに高いものを?」

 こちらも、ライフル同様、相当な値がするはずだ。奮発、なんてもんじゃ足りないくらいに。

「まあ、愛弟子の喜ぶ顔を見れたら、嬉しいしな。それに、お前はこれをもつべきだ。いや、持つ義務がある。良銃も、上手い奴が使わないと腐るからな。」

「そうですか。」

 上手い奴ねえ。上手いからこそ、か。変な義務が生じるもんだな。一理あるとも思うけど。




 風景が変わる。それまで生い茂っていた木々が、急になくなり、開けた土地に。

 下士官が指示をだし、兵が指示に従い、行動する。どうやら、物資を運び、種類ごとに分別しているようだ。その中には、銃もある。

「ついたぞ。」

 今日からここで暮らすんだ。いよいよ、って感じだな。

「降りるぞ。忘れ物はないよな。」

 ライフルも、リボルバーもある。大丈夫だ。

「うん、問題ない。」



 馬車を降り、先生に案内され、自室に。贅沢はいえないが、やはり狭かった。寝れるだけありがたいな。眠れないけど。

 その後、歓迎会をやるとかで、部屋での待機を命じられた。

「おーい、もういいぞー。」

 部屋を出て、食堂へと向かう。歓迎会といいつつ、実態は飲み会なんだろうな。


 僕やシュメルは国に徴用され、軍人となったが、それはごく一部。各学校から選ばれた、成績優秀者のみ。そのため、女性は少ない。別に、男女差別があると言うわけではない。差別は犯罪だからな。単に、多くの女性が就きたくないだけ。

 今、その理由を嫌と言うほどに感じている。

 だって、すっごい男臭いし。暑苦しいし。シュメルいないし。オマケに、こっち見てるし。

「本日付で、西方軍第320小隊に配属となります、士官候補生のシャロンです。これからよろしくお願いします。」

 言えたー!ちゃんと言えたー!暑苦しい男共にじろじろ見られてたけど、ちゃんと言えたー!もう帰りたい。

「シャロンの教育は私が監督する。引き続きよろしくな。

 おいお前ら!シャロンが可愛いからって、変な気起こすなよ?」

「まさか、大隊長どのの…。」

「馬鹿言え、ただの愛弟子だ。こいつの恋人は…」

「先生、それ以上言う必要がありますか?」

 プライバシー、プライバシーの侵害だ。…あれ?先生って僕とシュメルの関係知ってたっけ?ヤバ。

「ほう…、その様子じゃ、誰かいるのかな?」

「アッハハー、誰でしょうかねー。」

 くそ、やられた、油断したー!うわーん、先生意地悪なんだもん。愛弟子が可愛いからとかいって、しょっちゅういじってくるんだもん。

「教えろよ。なあ、誰なんだ?」

「ここで教える必要がありますか?」

 なんで教えなきゃいけないんだ。

「あるな」

「ありますね」

「ああ、ある」

 みんな酷かった。

「よし、シャロンが言わない限り、歓迎会続行!」

 ちょ、それはずるいって。

「…わかったよ、いえばいいんでしょ。…、シュメル。」

「ん?なんだって?」

「西方軍第108小隊所属、シュメル士官候補生!」

 自棄だ。大声で言ってやった。泣きたい、というか泣いてる。

「わー、大隊長が泣かしたー。」

「煽ったのはお前らもだろ!?

 シャロン、悪かった。済まなかった。無理に言わせるようなことして。だから、な?その…」

「いいよ。どうせ、愛弟子とかいいつつ、からかいたいだけなんでしょ、レズだって。」

 こうなったら、徹底的に優しくしてもらう。

「いや、だから、済まなかったって…。この通りだ。」

 何を…。

「大隊長!?」

「せ、先生!わかりました、わかりましたから、顔をあげて下さい!」

 やり過ぎた。自分よりも階級が低い相手に…、それも、多くの人が見てるなかで、土下座をするなんて…。

「これで、許してくれるか?」

「十分です、十二分です!!なにも頭を下げなくとも…。」

「そうか、良かった。」

 驚かせて、まったく。

「では、仕切り直して、乾杯。」

「「「「乾杯!」」」」

 この国では、飲酒の年齢制限はない。一応、僕のところにも酒が回ってきている。飲むべき、なのか?

「どうした?飲まないのか?」

「うーん、お酒よりも、お茶が飲みたいかな。」

「そうか。確かあった筈だな。用意させよう。」

 とりあえず逃げる。やっぱ、未成年での飲酒は、ちょっと…。

「おーい、こいつのために紅茶を淹れておいてくれ。」

「もちろん、砂糖無しだよ?」

 砂糖の入った紅茶なんて、あんなの…、紅茶じゃない。

「さて、シャロン士官候補生。これからの話だ。明日から、第320小隊小隊長として、任務に就いて貰う。まあ、下士官が何とかしてくれるだろう。」

「わかりました、大隊長殿。明日からよろしくお願いします。」

「こちらからも、よろしくな。

 さて、つまらない挨拶はこれくらいにして、飯でも食うか。」

 ご飯は…。山菜と、豚肉。それと白米。全部、この駐屯地の中と、近くの山で用意したらしい。これなら、後方の支援が滞っても、何とかなりそう。

「任務って、具体的には?」

「小隊とともに、裏山の探索をしてもらう。まあ、食糧集めだ。野生の動物を狩ってきてもいいぞ。程々にだがな。」

 狩りか。久しぶりだな。どんなのがいるかな。

「危険な場所は?」

「お前の行くところは、比較的安全だ。気を付けるとすれば、段差とか岩。あと、野生動物だな。」

「段差とか岩って、どんな感じ?」

 ちゃんと聞いておかないと。滑って転んで、なんてしたくないし。

「まあ、大したことはない。お前、確か山にいたって言ってたよな。なら大丈夫だろ。」

「てことは、特に注意をする必要があるポイントはなし。念のため、野生動物と段差、岩といった、自然に気を付ければいいのかな。」

「ああ。それと、小隊にな。一応、お前は小隊長なんだからな。」

「うん。小隊を連れているということが、どんなことなのかか、ちゃんとわかってるよ。…多分。」

 小隊長は、ただ居ればいいというものではない。まあ、そこらへん学ばせるためのものなんだろうけど。

 だから人の上に立つのはそんなに好きじゃないんだ。でも、楽しみだな。

シャロンちゃん可愛い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ