がーるずとーく?
「…でね?今日の実技の時間に先生に指されたんだけどね、皆『田舎者だ』『地方民だ』って馬鹿にしてくんの。それで、先生が叱って、ぶつぶつ言い出して、そんで終わっちゃたの。」
あはは、そりゃ大変だ。この国じゃ、差別は犯罪、厳重な処罰が下されるのに。流石に極刑はないけど。
なんやかんだで、シュメルちゃんとは毎日、その日学校であったことなど、色々話している。いわゆる、ガールズトーク、というものか。
「シャロンちゃんはどうだったの?やたら銃声が聴こえてきたけど。」
「銃を使うのは僕だけだからさ。別に誰かに茶化される、なんて事もなく、ひたすら火縄銃を装填してはぶっ放していたよ。」
「火縄銃?いつも使ってるの、ライフル銃だよね。しかも、前から詰め込むようなのじゃなくて。」
「うん。だから、まずは先生の説明を見て聞いて。それから、真似してひたすら。装填は大変だけど、火縄銃も中々だったよ?」
装填、飛距離はビミョー。しかし、当たればライフルを上回る威力。玉自体重いからね。
「次は何を使うの?」
「秘密って言ってたけど、マスケット銃の中の、どれか?そんぐらいしか、ないよね。」
そういえば、今日使ったのは鉄砲の方。大筒持ってきたり?
マスケット銃とひとまとまりに言ったって、色々あるもんな。
「ふーん、楽しみだね。
ねえ、シャロンちゃん…。シャロンちゃんはさ、どうしていつも、私の話を聞いてくれるの?お隣さんだから?」
「シュメルちゃん、急にどうしたの?」
なんだろうな、本能が危険信号をだしている。この感覚を、既に僕は知っている。こいつ、**と似ているな。だから、僕自身ここまで惹かれるのかな。
「ねえ、シャロンちゃん…。シャロンちゃんはさ、私のこと、どう思ってんの?」
こういう人を惹き付けちゃう体質なのかね、僕は。
「毎日、クラスの皆には、地方民、田舎者って馬鹿にされて、仲間外れにされて。家族とも離れてて…。」
「死にたいってんなら、やめてよ。隣の子が死んだとか、僕にも被害が及ぶから。」
また、こんな言い方を…。どうして素直に言えないんだろうか。
「そうだよね、ごめんね。」
こういう話をしてきたの、これで三人目なのに…。トータルで考えると、十回はされた。なのに、どうして、素直に『死んでほしくない』って言えないんだろう。だから、手遅れに…。
手遅れに?何を言ってるんだろうか。二人とも、思い止まってくれたじゃないか。
「それに、話し相手がいないと、つまらない。」
これが、今の僕の精一杯。これでも頑張っている。
「じゃあさ、私のこと、どう思ってんの?さっきも聞いたけど。」
逃げられない。答えによってはあのときのように…。あのとき?どのときだ?
「好きだよ、友達として。」
「好き?シャロンちゃんは、私のことが好きなの?私も、シャロンちゃんのことが好きなの。だから…」
わ、え、ちょ!んん!?柔らかくて、温かくて、それで、心地よくて…。
シュメルちゃんを慌てて引き剥がす。びっくりしたー。あの二人はここまで積極的ではなかった。じゃなくて。
「きゅ、急にどうしたの?シュメルちゃん…。」
どうしよう。体が熱い。火照ってる。息が荒い。
「シャロンちゃんは、私のことが好きなんでしょ?だから、私のものにしたくて。いけないの?」
「いけないってその…。だって、僕の好きは、仲がいいという意味で…。」
「そんなの駄目だよ。愛してるの好きじゃないと。」
あ、これヤバイやつだ。こういうときは逃げるべき。あ、あれ?体が動かない。やべ、腰抜かした。
「シャロンちゃん…」
また、唇と唇が、舌と舌が、触れあう。もう、どうすればいいのかわからないし、キスとかしたことなかったよな、とか、そんなことを考えていた。この状況、どうやって打開するんだよ。思い付くの、シュメルちゃんを殺して逃げる、くらいだよ。できないよ、そんなの。
そうこうしているうちに、服を脱がされる。
「ねえ、せめて室内にして。」
既に抵抗する事を諦めた。ある意味では、シュメルちゃんを受け入れるという意味になってしまうのだろうか。もう、いいじゃないか。好きな人を傷つけ、最後は…、なんだっけ。
これは、僕への罰、なのかな。自分勝手にしてきたんだ。他人を振り回し、傷つけて。僕がシュメルちゃんの自分勝手に付き合うことは、そのことの意味返しなのかな。
僕は全くの無抵抗でいた。つくづく思うよ、自分が『クズ』だって。**への思いは、既に離れていたんだ。あんなことをしたのに。
抵抗する事を諦めた。いいや、違った。自分から言い出さないで済んだと、ホッとしたんだ。相手の方から来てくれるなら、都合がいいと。
なあんだ、初めからシュメルちゃんのことが大好きだったんだ。言い訳並べて、馬鹿だな、本当。
どうせ僕は眠れない。この気持ちを認めた以上、朝までシュメルちゃんの温もりを感じていても問題ないよね。同性愛でも(僕の場合は特殊だけど)、好きな気持ちに変わりはないから。僕は最低な人間だから。
時計を見る。時間だ。
「シュメルちゃん。起きて、起きて。」
「う、うーん。シャロンちゃん?あれ?ああ、そうか。
でも、目覚ましついてるよ?」
「ごめん、切っちゃった。どうせなら、僕の声で起きてほしい、なんてね。」
自分でいっておいてなんだけど、すっごい恥ずかしい。だって、それが正直な気持ちだし、もう隠すのをやめたから。もう、後悔したくないから。
「私、朝食の準備してくるね。シャロンちゃんはここで待ってて。ちゃんと作ってくるから。」
シュメルちゃんの手料理かぁ。僕の為の、手料理。
「行こ?」
「うん。」
いつも、一緒に登校してるけど、今日はなんだか違う感じがする。心理的な影響は、ここまで強いものなのか。
「ねえ、どうして…。あんな、無理矢理したのに。私のこと、嫌いじゃないの?無理してない?」
「大好き…。昨日は、びっくりしちゃっただけ。僕もシュメルちゃんのことが大好きだから。だから、ほら。」
シュメルちゃんの手を握る。シュメルちゃんも握り返してくる。温もりが伝わってくる。今は、この温もりを感じていたい。絶対に、離したくない。絶対に…、離さない、二度と…。
どんどん作者が暴走していく。だって、作者の経験を混ぜると、書きやすいんだもん。
シャロンちゃん可愛い。