第1話〜聖剣折って許されると思った?〜
前置きがてら僕とアーサーが出会った時の話をしよう。僕がまだちっちゃかった頃、僕はいわゆるいじめられっ子だった。ちっちゃい頃から僕は未来が見えたり魔術が使えたりしたから周りからは気味悪がられたのだろう。親でさえ僕のことはあまり好いていなかったようだし。ただ人間とは慣れるものでね、どんな環境でも長くいるとそれが当たり前になってしまう。だから僕の中ではいじめられるのは当たり前になっていた。そんな時出会ったのがアーサーさ。
〜11年前ヘルス公園にて〜
やーいやーい嘘つきマーリン嘘つきマーリン
お前らいい加減にしろよ!
なんだアーサーそいつ庇うのかよ。もしかして好きなのか?
ラーブ ラーブなのか? あっつ熱ー!
ドカッ バキッ
ウェーーーーンシクシク
こら、アーサー何してるの!謝りなさい!
俺は何もわることしてねーもん!
〜しばらくして〜
あ、あの、ありがとう。
おう!お前も嫌なことは嫌って言えよ!イテテ
殴られたの?
大丈夫だよこんぐらい
ちょっと見せて スッ どう?いたくなくなったでしょ?
ホントだ!お前すげーな!名前なんて言うんだよ?
マーリン。君の名前は?
俺はアーサー。これから宜しくなマーリン!
宜しくアーサー。
というふうにとても簡単に説明したが、僕はこんなありふれた感じでアーサーと
出会ったのだった。さあ、昔話はここらへんにして本編へ戻るとしよう。
バキンッ
アーサー「え、バキンて……」
一同「「「「「折れたーー!!!!!!!!!!!!!!」」」」」
正直もうだめかと思ったね。世界広しといえど選定の剣を折ったのはあとにも先にもアーサー1人(すっとぼけ)だろう。
司会「どうすんだこれ!?てか選定の剣って折れんのかよ!!」
ケイ「」プルプルッ
アーサー(義兄さんがきれている!……短い……人生だったな……)
一同が叫び各々好き好きに騒いでいるところにひと気は大きい怒声がひびいた。
ウーサー「なんてことだー!!!!!!!!!!!」
現国王であるウーサーの叫び声だった。
ウーサー「ペンドラ王国……いや世界の終わりだ……!!」
言い過ぎだ。
ウーサー「貴様なんてことを……せ、選定の剣を折るなんて……!」
ウーサー(そもそも選定の剣はあんな簡単に折れるものなのか?)
ずばり、僕のせいだ。だが、僕は謝らない。
ウーサー「きさま、名はなんという?」
アーサー「ア、アーサーです。」
ウーサー「アーサー……。この者をこの国から追放せよ。」
アーサー「つ・追放!?」
マーリン「ちょっとまったーーー!」
ここでかっこよく僕の登場だ。
マーリン「ウーサー王!どうか早まった決断はやめてください!」
ウーサー「早まるなだと?妥当な判断だと思うがな。もはや選定の義は取り行えない。次代の王を選定出来なければやがてこの国は滅びてしまう。」
マーリン「ならば!選定の剣の代わりを見つけるというのはどうでしょう?」
ウーサー「選定の剣の代わりを?そんな物があるのならな。」
マーリン「探さないとわからないでしょ!」
ウーサー「フゥ……では代わりのものがあるという根拠を見せろ。」
マーリン「証拠はありません。でも信じてください!」
ウーサー「…………私は形のないものは信じられないたちでな……明日までに荷物を
まとめて二人共出て行け。」
アーサー&マーリン「えええぇーーーー!!!」
とまぁめでたく僕も巻き込まれて国から追放されることになったのだった。
アーサー「すまん!俺のせいでお前まで……」
マーリン「いいよ気にするな。(おかしいなー。僕の知っている話だとあそこで
なんやかんや許されて聖剣探しの旅に出たりするはずなのに。 )」
あの王は思っていた以上に頭が固かったのだ。
アーサー「なにもお前まで追放されることもなかったのに……」
マーリン「だから気にするなって!それに自分から巻き込まれたんだし。
ちっちゃい頃よくやった冒険ごっこだと思えばむしろ楽しみだ!」
アーサー「お前ほんとにポジティブだな。わかった!じゃあ俺の冒険に付き合ってくれマーリン!」
マーリン「おう!これからもよろしくなアーサー。」
こうして僕らは世界一の大国ペンドラ王国を追い出され放浪の身となることになった。
守護兵「さあ、もう朝だ。とっととこの国から出ていけ!」
ヒョイ ヒョイ
アーサー「別れの挨拶ぐらいさせろってんだよ全く。」
マーリン「僕は大丈夫だけどアーサーは?」
アーサー「家族には挨拶できたよ。」
マーリン「悲しんでなかったの?」
アーサー「悲しめばいいのやら怒ればいいのやらわからないって感じだったな…義理とはいえ前まで家族だったからそうゆう反応してくれるのは嬉しいんだけどちょっと寂しくなっちゃったな。」
マーリン「ケイさんは?」
アーサー「あの後話してないから分からないけど、すごい怒ってるんじゃないかな。義兄さんまで順番が回らなかったし。」
ケイ「別にそんなことは無いぞ。まあ多少は怒っているがな。」
アーサー「義兄さん!何でここに?」
ケイ「見送りだ。それに伝言も預かってきた。」
アーサー「誰から?」
ケイ「父さんと母さんからだ…………「体に気をつけて長生きしろ」だそうだ」
アーサー「こんな俺でも心配してくれるなんて……やっぱり義父さん義母さんも
すっごい優しいな!」
ケイ「当たり前だ……家族だからな。」
アーサー「!!止めろよそういうの。行きたくなくなっちまうじゃん。」
ケイ「これからは俺らはお前を支えることは出来ない。だからしっかりと自分の足でたって自分の道を見つけろ、アーサー。」
アーサー「うん!行ってきます!!」
ケイ「あぁ、行ってこい。」
こうして僕達は右も左もわからぬまま安息の地を離れまだ見ぬ世界へと歩を進めたのだった。
〜5時間前マーリンの部屋にて〜
ウーサー「マーリンよ。」
マーリン「なんだよウーサー。部屋には入ってくるなよ。」
ウーサー「息子を頼むぞ。」
マーリン「勝手だな。大体何であそこで騒いだんだよ。自然な流れでアーサーを冒険に出す完璧な作戦だったのに。それとも何か考えがあったのか?」
ウーサー「あそこでお前が手伝わなければちゃんと抜いていたはずなんだがな。」
バレていたのか。
ウーサー「…………代々受け継がれし選定の剣を壊したものを国に残せば少なからず国民の反感を買うだろう。ならばいっそ追放した方が楽だと思ったまでだ。」
マーリン「それでアーサーが危険な目にあったらどうするんだよ?」
ウーサー「お前がいるなら安心だと思ったのだがな。」
マーリン「……本当に勝手なやつだな。そこはそっくりだよ、アーサーと。」
現国王ウーサー・ペンドラゴン。彼こそがアーサーの実の父親である。産まれたばかりのアーサーをブラム家へ預けることで暗殺者などから守っていたそうだ。
そのことを知ったのはアーサーと知り合ってからだいたい一年ぐらいあとのことだった。ウーサーから直接聞いた時はとても驚いたが後々考えるとあの強引さは父親譲りなのだとよく分かった。そしてそれ以来半ば強制的にアーサーを王にする計画に協力させられていたのだった。まあ今では王となったアーサーの姿を
見てみたいと内心思っているのだが。
ウーサー「とにかく一度追い出した以上なにか特別な働きでもしない限りこの国に戻すことは出来ない。そうだな、ドラゴン討伐でもしたのならこの国に戻れるだろう。」
マーリン「何が言いたいんだよ。」
ウーサー「ペネポリオ火山に巣食う竜を討伐したらこの国に戻してやろう。竜の討伐はアーサーとお前の成長にも繋がるぞ。」
こんな話聞く前から答えは決まっているようなものだ。
マーリン「断る。大体まともに鍛えてもいないのに竜なんてたおせないよ。」
ウーサー「そうか、ではこれからどうするのだ?」
マーリン「分からない。分からないけどなんとかなると思うよ。」
ウーサー「それは感か?」
マーリン「いいや、予知だ。」
ウーサー「そうか、ならばせいぜい良い体験となるように祈るとしよう。」