第一話 異世界召喚は誰得なんだ?
新作です!こちらを不定期にするか、もう一つの方が不定期にするか、悩んでおります。
まぁ気長に見ていってください。
ーーーキーンコーンカーンコーン
聞きなれたチャイムが流れ、生徒達は帰宅し始めた。
ただ一組みのカップルと思われる生徒だけ、体育倉庫で、交わっていた。
「で?君は俺に何を望んでるの?」
「…はぁ…はぁ…」
女子生徒は男子生徒に組み伏せられ、頬を朱に染め、息切れしていた。
「貴田……君……私と…付き合って……」
「付き合ってください。だろ?わざとか?まだ体に教えこまなきゃわからないか?」
貴田君、そう呼ばれていた、男子生徒の名前は貴田雄太。見ての通りドのつくSだ。今も、女子生徒の制服をはだけさせ、愛撫をしていた。
「はぁっ……だめ…これ以上されたら……」
「されたら?」
「壊れちゃう……っ」
女子生徒は弾かれたように体を起こし、体育倉庫を後にした。
「まったく、めんどくせ…掃除するの俺かよ……」
そして、貴田雄太は体育倉庫の片付けを始めた。なんでこうなったかというと、担任の先生に体育倉庫の整理を頼まれたのだ。あの女子生徒と一緒に。そして、その状況を好機と思ったのか、女子生徒は告白してきた。そして、ああなった。
「あーあ…せっかくもう少しで俺好みの従順な女にしてやったのに…」
「まーたお前は……」
そう言って倉庫のドアに寄りかかっているのが、クラスメイトの土屋茂だ。
「なんか用か?」
「お前さ、いつもそんな感じだろ?もうちょっと相手の考えとかさーー」
「相手の意志なんか聞くと思うか?まぁいいや、とりあえず手伝え」
「はぁ!?なんで!?まぁいいや、あれこれ言ってもやらせるんだろ?」
「当たり前だ」
そしてほぼほぼ、土屋に任せ自分は帰宅の準備をしていた。帰宅の準備をしていると壁に変な模様があった
「なんだこれ?」
貴田は、壁に書いてある模様に触れたーー
気づくと、白い部屋にいた。貴田だけでなく、同じ制服を着た生徒が9人ほどいた。
「なんだよ、これ」
そうつぶやいたのは、高木史朗一年だ。他には、北条玲、宮澤美帆いずれも1年だ。二人とも驚いてはいるが、声には出していなかった。
「おーい!誰かいるかー!返事してくれー!」
そう叫んだのは、3年生の鹿沼大輝だ。他には、城ヶ崎陸哉、岡嶋志龍だ。
そして、二年は貴田雄太と、冴島透子と、敷島和也の3人だ
それぞれの顔を見た後。貴田はある一点だけを見つめていた。
ーーそう、そこにはなにかがいた。
(人、か?いや、人にしては呼吸をしてないように見える。じゃあなんだ)
そう思ってると、頭の中に声が響いた。
(君、僕が見えるの?)
確かにそう聞こえた。だからこう返した。
(あぁ、見える)
(へぇ!珍しいね。今まで誰も僕のこと見えてなかったのに)
(へぇ、そうなのか、で?今どういう状況だ?お前は何者だ?)
(ふふ、君には教えてあげる。久しぶりに僕の事が見える人間だからねー。ここはね異世界との狭間、僕はね、神様だよ)
まったく、信じられない。
(その顔、信じてないなー?でもいいや、時期にわかるしー、ところで君のこと教えて?)
(誰が教えると思う?)
嘲笑うかのように神様を見下し。
(むっ、なんだいなんだい、いいよーだ…)
(冗談だ。それと教えて欲しいなら教えてください、だろ?)
(君にはドSって言葉が似合うよ……わかったよぉぅ…教えてください……)
屈辱なのか、涙目になってこちらを睨みながら頭を下げた神様。
(ん?あ、どうやら時間みたいだな。悪いまた今度な)
白い部屋が崩れ始めた。どうやら異世界についたらしい。
(へ!?ね、ねぇ!僕、恥ずかしい思いして頼んだんだよ!?)
(タイムアップだ。諦めろ。まぁどうせまた会えるんだろ?その時に話してやるよ。忘れてなければな)
(うぅ……絶対だぞ!)
そう言って神の姿が消えた。
次に目にしたのは、だだっ広い部屋だった。貴田以外の人達は、戸惑いを隠せず、歩き回ったり叫んだりと落ち着かなかった。なので…
「目障りなんだよ……」
貴田は、不快感を示すように言った。もちろんその言葉に先輩方が突っかかってくる。
「君、それが先輩に対していうセリフか?」
「目障りを目障りって言って何が悪い」
部屋の雰囲気がガラッと変わり。3年の鹿沼大輝は苛立ちからか、貴田の胸ぐらを掴んだ。
「てめーには、先輩に対しての礼儀ってもんを教えなきゃならねぇようだな」
「……一度だけいう、離せ」
態度を変えない貴田に鹿沼は殴りかかろうとした。その次の瞬間には体は床に叩きつけられていた。
「かはっ……て、てめぇ…」
「だから言ったんだ。離せって」
貴田は幼少の頃から合気道、空手、柔道を習い、全国で一位をとったこともあり、投げ飛ばすのは容易だった。
そんな事をしていると。なにやら話し声が聞こえてきた。そして、扉が開かれ。いかにも王様みたいなやつと、騎士みたいな奴が現れた。
「ようこそ、勇者諸君。我がエデンへ…」
そう言われ、俺以外の人達は異世界に来たんだと実感していた。
それから、俺達はいろいろ話を聞いていた。
まず、召喚した理由…それはこの国を立て直すために魔王を倒して欲しいという、いかにもテンプレな理由だった。
そして、次に今後の事…今後は勇者だとしてもまだまだ未熟なので、軍に入れ自分たちを鍛えてくれるという。
そして、帰還方法の事…魔王を倒せば、帰れるらしい。
「これで大まか話したか、わからぬ事はあるか?」
はい、そう手を挙げたのは1年の高木史朗だ。
「申してみよ…」
「俺達、自分の力がどれほどのものなのかがわからないんですけど…」
「む?お主ら、ステータスの呼び出し方を知らぬのか?」
「ステータス?」
「うむ、ステータスと念じてみよ」
そう言われ、全員ステータスを確認しだした。
[高木史朗]
Lv.1
HP 2500
MP 2000
ATK 1050
DEF 970
INT 650
《スキル》
王者の印 光の加護
《魔法》
ウォーターLv.1 サンダーLv.1
高木は自分のステータスを読み上げていた。
「な、なんと……そのステータスは真か……?」
国王と騎士たちはどよめいていた。
「そんなに強いんですか?」
「あ、あぁ、この騎士たちと同等からと言っても過言ではない」
貴田は自分のステータスを見て、薄い笑みがこぼれた。
[貴田雄太]
Lv.1
HP 3000
MP 3200
ATK 1250
DEF 1000
INT 2400
《スキル》
他世界言語Lv.1 偽装Lv.1 鑑定Lv.1
《ユニークスキル》
絶対者
貴田は早速鑑定を使い、ユニークスキルの説明を出した。
『絶対者』
言葉や文字、行動などでどんな種族でも服従させることができる。服従を誓った従者は、ステータスを1.5倍させる。«進化可能»進化後ーーー
その後は文字化けしていて読めなかった。なので、ほかの奴らのステータスを見ようと思ったが、めんどくさかったのでやめた。
「ステータスの確認は済んだか?それでは一度謁見の間まで来てもらう。詳しい話はそこでしよう」
国王は、そう言って足早に歩き始めた。それに続いて、俺達は歩いていった。
「改めて、ようこそ、勇者諸君。ここはキュレム王国だ。そして、ワシは国王のオーバル・キュレムだ。この国で
それぞれの自己紹介が終わった後、本題に入った。
「一応、把握のためにお主らのステータスを見せてもらっても良いかの?」
まず初めにそう国王は言った。鹿沼達は一人ひとりステータスを読み上げていった。そして、次は雄太の番になった。
「貴田雄太、すべてのステータスはコイツらとほぼ同じ、スキルは無い。魔法もだ」
謁見の間に居る、周りの人達がざわめき出した。
「ほ、本当に何も無いのかね?」
「あぁ、疑うなら見てみろ」
そう言って雄太はステータスを見せた。
「た、確かに何も無い…ま、まぁ、訓練していけば何かしらのスキルはあるじゃろう。それまで気楽に行こうではないか」
「あぁ、それもそうだな」
「うむ、それでは今日のところは急な転移などで疲れておろう。各々にメイドと部屋を与えておく。用がある時はメイドに頼んでくれ」
国王がそう言って、玉座から降りようとした時、甲高い声が響いた。
「お父様!!なぜ私だけじゃダメなのですか!なんでこんなよくわからない輩をこの神聖なる城に上がらせなきゃならないのですか!!」
「じゃから、言ったであろう。お主にも戦場には行ってもらうが、戦力があまりにも足らん。だから、勇者を呼んだのじゃと」
そして、国王と姫の言い争いが始まった。周りの騎士たちは止めようともせず、また始まったとばかりに静観していた。勇者達は呆然とその喧嘩を見ていた。その中で一人、薄く笑う者がいた。貴田だ。
「なぁ、お姫様よ…」
「なによ!この野蛮人!!」
「『黙れ』」
確かにそう言った。姫に向かって、そして騎士たちが剣を抜いて、怒りを表す。
「貴様!姫様になんてことを!」
「………」
見事に姫は黙っていた。
「なんだ、ちゃんということを聞けるいいお姫様じゃないか。いいか?『部屋に戻れ』」
そう言うとまた騎士たちが殺気立った。
「………」
姫は部屋に戻っていった。
「な、なんだったんだ……?」
「姫様、あいつに弱みを握られてるんじゃないか!?」
「なに!?それは捨て置けん!」
騎士たちが、こちらを睨みながら歩みを進めた。それを止めたのは国王だった。
「お主らやめておけ…」
「し、しかし!」
「もう一度だけ言う、やめておけ」
「っ!はっ!」
オーベルはそう言うと騎士たちに睨みを聞かせ、騎士たちは配置に戻った。
「すまなかった。では部屋を案内させる。頼んだぞ、グレイシア」
「かしこまりました。では勇者様方、こちらです」
グレイシアと呼ばれたメイドは俺達を各々の部屋へと案内してくれた。
その日の夜、意外な人物が貴田の部屋を訪ねてきた。
「起きとるか?」
「あぁ、起きてる。入っていいぞ」
貴田がそう言うと、オーベルが部屋に入ってきた。
「これはまた、意外だったな」
「お主とは話がしたくての…昼間はすまなかった」
そういい、オーベルは頭を下げた。
「別に構わん。俺もすまなかった。娘をあんなふうに言ってしまって」
「いや、あれくらいがいいんじゃよ……ところでお主、昼間はスキルがないと言っておったの?」
貴田は焦った。あんな公の場で使えば疑う人物も出てくるとは思っていたが、まさかオーベル自身が来るとは思っていなかった。
「そんな顔をせずとも、誰にも言わんわい」
「信じられるとでも?」
「ふむ、確かにそうじゃな。じゃあこれをやろう」
そう言ってオーベルは首飾りを貴田に渡した。
「これは……?」
「それは、王が認めた1人にだけ渡す覇者の証じゃ、ワシはお前さんを信じてる。じゃから、渡したんじゃ」
どこに信用できる場所があったのか教えて欲しかったが、オーベルの用はそれだけじゃなかった。
「単刀直入に言うとな、ワシはもう長くない…」
「ほう?」
「一週間以内にワシは何者かに殺されるじゃろう。じゃから今のうちに、覇者の証を渡しておきたかったんじゃ」
「そこまでわかってるなら、対策をとったらどうだ?」
「それもそうじゃな。うむ、考えておく」
あ、こいつ死ぬ気だ。貴田はそう思った。だからこそ、それ以上何も言わなかった。
しばらく無言が続いた。先に口を開いたのは貴田だった。
「わかった。あんたにだけ教えてやるよ。俺はユニークスキルを持ってる」
「じゃろうな…」
「ほう?あまり驚かないんだな?」
「これでも驚いてる方じゃ…でも、いつもうるさい愛娘が素直におとなしくなったのを見て、普通のスキルじゃないと思ったわい」
「それもそうか…」
「それだけ聞ければ十分じゃ、明日からは訓練が始まる。早く寝た方がいい…それでは失礼するよ」
そう言って、オーベルは部屋を後にした。その後ろ姿を貴田は黙って見つめていた。オーベルが帰っていった後、貴田はメイド呼んだ。
「なにかご用でしょうか?勇者様」
「まずその勇者って呼び方やめろ。俺は貴田雄太だ。ユウタでいい」
「かしこまりました。ではユウタ様、何かご用でしょうか?」
「あぁ、風呂に行きたいんだ。どこにあるか教えてくれ」
「かしこまりました。ではこちらにどうぞ」
そういいメイドは俺を風呂に案内してくれた。そして、貴田は今、湯に浸かっていた。
「あー、気持ちいい…最高だな。やっぱ風呂は……」
三十分ほど湯に浸かった後、部屋に戻りベッドに寝転がっていた。
「絶対者…これは、使えるな…今回は危なかったが、今はまだ隠しておかないとな…」
そう言い、貴田は眠りについた。
というわけで、1話です!すみません!下手くそで!