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ちょっと狭い俺の身体  作者: たまかり
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心は共に

思いついた時面白そうだなと思いました。

続くかな、続けたいな。

俺は、偶然の奇跡ってのは、人生に数回は誰しもあるものだと思っている。

テストで良い点が取れたとか、模擬試験で4分の1で正解を連続で引き当てるとか、

学生の俺には具体的な想像はつかないが、ビジネスだって偶然の産物による成功もあるだろう。


それに対して、俺の偶然は、

交通事故、道路で横からトラックに激突・・正確には激突直前で意識を飛ばす。結果、無傷。

小学校の運動会で普段の平均タイムを優に超えて学年1位。走順直前に意識を飛ばす。後日、全身筋肉痛。

下校中の帰り道、学校を少し歩いたあたりで意識を失う。気がついたら家のベッドに寝ていて、下校時刻から帰宅まで本来なら15分だった所3分で帰宅。

中学の模試で選択式の国語全問正解。休憩時間で寝て起きたら終わってる。めちゃくちゃ疑われた。

中学の卒業式帰り、後ろから突然羽交い締め、からの誘拐。運ばれた後、犯人の得物を奪い取り犯人3人に重症を負わせる。結果、正当防衛成立。めちゃくちゃ親に心配された。


これが、俺の偶然。いや・・【彼女】の功績だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

初めて自覚を持ったのは運動会トップの件だ。

俺の知る限りでは意識不明の状態で走れる奴なんて聞いたことがない。

他の件もそうだ。俺が意識を持ってないのに何が行動できるというのだろうか、ありえない。

ただ一つ、可能性があったのは、短期間の記憶喪失をということ。

これは一応全てに説明が理論上はつくし、正直俺もこれを信じていたところがある。

何か訳の分からない力が俺にあって、たまたま記憶がない、そんな感じなのではと思った。

親に頼み込んで、中学の半ばだろうか、精神科に行かせてもらったこともある。

結果は遠回しに思い込みだと言われただけだったが。


ただ、そんな考えも誘拐の一件があるまでだった。

卒業式の帰り道、帰路で友達と別れた俺はいつも通りの帰り道を歩んでいた。

今思えば人通りの少ない小道だったとは思うが、そんなことは普通、気にするはずもない。

一瞬だった。視界が真っ暗になって意識が途切れる直前、襲われたのだと気がついたくらいだ。

それから気がついたら・・・の流れが今までの意識不明の俺だったが、その件についてはいつもと違った。

ふとすると、ふわふわ浮いていた。他の表現をするなら霊体、みたいな感じだろうか。

位置は監視カメラで部屋の上の端から見ているような感じで、自由は効かなかった。

見えたのはどうやらマンションらしい個室と、俺を縛って奥の窓側に置き、座って談笑している男3人。

自分で自分を達観するという、なんとも不思議な状況に、俺は生きていたら、こいつらの顔を覚えておいて証言してやろう、とか考えていただろうか。

ふと、俺がかすかに動いた。けど、俺じゃない。

男3人は談笑に熱中しているようで気がつかない。誘拐で入る金の話で盛り上がっているところだった。

次の瞬間。俺を縛っていた縄がちぎれて、男の一人が倒れる。

男が倒れたと思えば、次には向かい側に座っていた男を何かでまた刺す。

一瞬すぎて何が起きたのかわからない光景に、数秒の静寂が訪れた。

正面に立つ俺。残るは男一人のみ。俺だけど俺じゃない・・俺の手には片手サイズのナイフが握られていた。

突然の光景に怯えて後ずさる犯人だが、直後、ナイフが腹部につきつけられた。

わけがわからない。

俺の身体で、俺ではない誰かが、犯人を一掃した。

唖然とするための口もない状態でとにかく放心する。

最後の男にナイフを刺した・・【彼女】は刺したナイフを握ったまま動きを止めた。【彼女】が後ろを振り返る。向かう視線の先に居るのは・・俺だ。


「すき」


何を言われたのか自覚する前に、俺の意識はそこで途絶えた。

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