ステータス
5話
side《受け付け嬢》
冒険者ギルドの中は奥にカウンターがあり、何個かの丸テーブルが置かれている。丸テーブルにはいかにも歴戦の冒険者といった風情の男たちが何人おり昼間から酒を煽っている。
そんな、いつも通りのギルド。
今はほとんどの冒険者が依頼に出ており、一番暇な時間帯。
私は欠伸を噛み殺しながらカウンターに座っている。
「バン」
唐突にドアが開かれ何事かとドアの方を見る。酒を煽っていた冒険者達も気になっ様でドアの方に体を向けた。そして、次の瞬間、一瞬で全員が青ざめる。
なぜなら、
そこには魔物が仁王立ちしていたからだ。
魔物には、DからSという4段階のランクがある。Dランクは冒険者1人で十分討伐可。Cランクは冒険者がパーティーを組んで討伐できる魔物。Bランクは優秀な冒険者パーティーなら可能。Aランクは大規模な魔物討伐部隊を組んでも倒せるかどうかという強さの魔物。そしてSランクは、そもそも人が倒せるレベルではない。
今、目の前にいるのはAランク
名前はヘルアドスベアー
鉄の剣で切りつけても傷一つ付かない硬さ、そして腕の一振りで鉄の盾など一瞬で破壊できるパワーを持っている。今、ギルドにいる冒険者が束になっても敵わないだろう。
そう思った瞬間、魔物が腕を振り上げた。(注:実際はフロント ダブルバイ セップス)
「ひっ」私は恐怖でその場から動くことが出来なかった。冒険者達も同じ様にその場で固まってしまっている。
こちらにゆっくりと向かって来た。
脚は震え、目からは涙が溢れ、歯がカチカチと音を鳴らしている。
魔物は目の前まで近ずくと私に向かって腕を下ろす。死ぬ直前、時間が長く感じ、全てがゆっくり感じる時があると言う。私には魔物が攻撃しているのかわからないほど腕がゆっくり落ちてくる様に感じた。(注:実際、普通に下ろしてます。決して悪気があった訳では有りません。カウンターに手を置こうとしただけです。)
私は次の瞬間、訪れるであろう死を覚悟し目を閉じた。
「冒険者登録をしたいんだが」
「へっ⁈」私は今の状況ではあり得ない掛け声に気の抜けた声が出てしまった。
そして、私がゆっくり目を開けると、そこにはほぼ全裸の変態がいた。
ーー私は意識を手放した。
ギルドAランク魔物襲撃?事件?
被害者
ギルド受け付け嬢
冒険者10名(B〜Eランク)
被害状況
受け付け嬢≫失神
冒険者5名≫思考停止
3名≫失神
2名≫失神+失禁
「ん?まさかこんな事に成ろうとは誰が予想出来ただろうか?私の筋肉は遂に魅せるだけで人を失神させる事ができる様になったか。」(注:違います)
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side
ヤッパリ、毛皮のマントを羽織って中に入ったのがダメだったのかな?ドアを開けてこっちを見た人達みんな青ざめてたしクマさんがギルドに攻めて来たと思ったのかな?今は肌触り抜群の毛皮だけどこのクマさんもなかなか鍛えてたからなぁ〜。マルクスさんも顔引きつってたしな、クマさんと相撲してる時。肉はなかなか美味しかった。焼いてマルクスさんに貰った塩をかけただけだったのに噛んだ場所から肉汁が溢れて来たもんな。また、食べたいな♪
しかし、どうするかなこの状況。取り敢えず、受け付け嬢らしき美女を起こすか?
《数分後》
「すいません‼︎起きて下さい‼︎冒険者登録をしたいんですけど?」
「ハッ、、、さっきの魔物は?
あれ?・・・・す、すいません。ご用件は?」
受け付け嬢は目を覚ましたようだ。
テーブルいた冒険者達も皆、正常な状態に戻っており、こちらを好奇心やら恐怖やらが入れ混じった視線を向けてくる。
「冒険者登録をしたいんだが」
「ぼっ冒険者登録ですね。銀貨1枚になります。後、身分証の提示お願いします。」
銀貨を払い、俺は身分証のカードを受け付け嬢に手渡した。
《身分証》
名前:桝木徹
年齢:18
犯罪歴:なし
≪装備≫
伝説のパンツ
≪所持金≫
銀貨1枚
受け付け嬢は身分証を見て固まった。
なんな変な事書いてたかな?
「18歳⁈」
受け付け嬢は驚きの声を上げた。
冒険者達は吹き出している。
何がおかしいのか?ピチピチの18歳の筋肉じゃないか(ムキッ)
「ひっ、すっすいません」
「いいよ」(めっちゃ怖がられとる。)
そう言えば、城門の衛兵達も目を丸くしてたな、年齢確認の時。
「ギルド冒険者にはランクがあります。上から順に、S、A、B、C、D、Eの6段階です。最初はEからとなります。依頼にもランクがありまして、ギルドカードのランクの一つ上と一つ下まで受注できます。ギルドランクEなら、DとEの依頼を受注できます。依頼書はあちらの掲示板に張り紙で提示されます。依頼を受注する際は、掲示板の張り紙を受付までお持ちください。なお、依頼に失敗した際は、違約金をお支払いいただきます。また、ギルド規約に反する行動を起こされた場合、除名もありえますのでご注意下さい。以上ですが質問はありますか?」
「大丈夫だ。問題ない。(ムキッ)」
「では、この玉に手を置いて下さい。身分証にステータスを入力します。これに寄り身分証はステータスカードとなり、身分証の代わりになります。ステータスカードに書かれる情報は他人には基本、見えません。ですので、見せていい情報を入力後に選択する事が出来ます。こちらは何時でも変更可能です。」
俺は手を玉に置いた。数分後、ステータスカードを貰い、ステータスを確認する。
《ステータス》
名前:桝木徹
種族:人間
性別:男
職業:冒険者
年齢:18
Lv10
HP:200000/200000
MP:0
MS:48000/50000
ATK:120000
DEF:90000
MAT:0
MDF:80000
SPD:100000
スキル :
筋肉の鎧、熱い抱擁、ポージング
≪装備≫
伝説のパンツ
≪所持金≫
銀貨1枚
「・・・・MS?」
「MSですか?初めて聞きました。詳細についてはステータスカードの表示されている部分を長押しするとわかります。
申し訳ございませんが、確認していただけませんか?」
「わかった。」
MSの文字を長押しすると文字の下に何かが表示された。
《MS:マッスルポイント。マッスル度を表したもの。只々、筋肉を鍛えた者に表示される。》
序でに、スキルはと言うと。
《筋肉の鎧:あらゆる状態異常を筋肉で弾き飛ばす。》
《熱い抱擁:MSポイント10000以上になった者のみが手に入れることが出来る。抱きしめた相手のあらゆる状態異常を回復する。》
《ポージング:MSポイント1000以上の者が特殊なポーズをする事で発動する。
それぞれのポージングにより異なる能力が発動する。また、それぞれのポージングにより必要MSポイントは異なる。》
「「は?」」