指相撲
13話
「え?あ、うん。お前もって事はマッスルさんも日本人だったんだ。」
直人はあまり驚いていない様だった。
話しを聞くと日本人なのではないかと不思議に思っていたらしい。俺たちはそれぞれ、どの様にして、この世界に来たのか、今まで何をしていたのか話し合った。ついでに俺の話しをした時、腹を抱えて笑っていた。失礼な(ムキッ)‼︎
「なあ、桝木さん」
「マッスルでいいよ。」
「じゃあ、マッスル、俺とパーティを組んでくれ「断る(ムキッ‼︎)」早っ‼︎断るの早っ‼︎ 何で断る?」
「俺には夢がある。俺は世界中の男をマッチョにする。そして、マッチョの国を作る夢がな。」
「なかなか、恐ろしい夢だな。だが、その夢ならパーティを断る理由にはならないだろう。どうしたらパーティを組んでくれるんだ?」
「マッチョになろうぜ‼︎」
「グッ・・」
「ムキッ」
「ふん‼︎ (ポコッ?)」
「ふっ、鍛える必要があるな。」
「笑うな〜〜‼︎」
顔を赤くした鈴木直人の叫びがこだました。
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《ギルド酒場》
その後、俺たちはギルドでパーティ登録しに行ったが、そこで大きな壁に阻まれた。その壁とはパーティ名である。
パーティ名とは自分が有名になればなるほど、パーティ名も名前と一緒に広がって行く。つまり、パーティを組むという事は○○パーティの**と呼ばれる様になる。パーティ名とは第二の名前の様な物であるため、変な名前にする事は一生付きまとう黒歴になってしまう。
「直人、パーティ名はライザッ「ダメだよ‼︎」じゃあ、マッチョ「嫌だよ‼︎」。
じゃあ、上腕二頭筋?「筋肉?しかも疑問系?」なら、何がいいんだ?」
直人は顔を赤くして、頬を掻いた。
「ジャ、ジャスティスブレード?」
「ぶっ、クハハハ。なかなか笑かしてくれる。名前はボディービルダーにしよう。」
「ボディービルダーは止めてくれないか?」
「やだね。リーダーは俺だからな‼︎(ムキッ‼︎)」
「俺がリーダーじゃないのか?」
ふむ、いろいろ意見の違いがある様だ。こういう時の決定方法は決まっている。
「腕相撲で決めよう‼︎」
「負ける気しかしね〜よ‼︎」
「じゃあ、指相撲?」
「同じじゃあ?指相撲なら違うのか?試しにやってみるか。」
「やってみるか。」
俺たちはギルド酒場の机を挟んで、指相撲の体勢に入る。レフリーはギルド前に倒れていたギルド長っポイ人。
「レディ〜〜ファイト‼︎」
そして、戦いの火蓋が切って落とされた。
まず、先制攻撃を仕掛けたのは直人、直人は異世界に来てから修練した魔力強化を利用しスウェーを行う。スウェーとは親指の第一関節をカクカクさせて敵の攻撃を避ける技でありフォールされる率が大幅に減らす事はが出来る。そして、直人の魔力強化は命懸けの修練と直人の持つ莫大な魔力量により1日中魔力強化を行っても問題がない。そのおかげで直人のスピードは人の枠を外れ、常人からは既に指が見えなくなっていた。常人ならばではあるが、マッスルの鍛え尽くした目には、まるで止まっている様に見えていた。また、マッスルは魔力強化を行う事が出来ないが、鍛えられた指の筋肉は直人以上のスピードを出す事が出来る。しかし、見える事と捕まえる事が出来るかは別である。直人の指はマッスルの指よりかなり細く、小回りが効くため、直線の動きで勝るマッスルの指を避け続けている。しかし、マッスルの指を抑える事が出来ないでいた。直人の額に汗が浮かぶ。マッスルの指の上から魔力強化を行った指で抑えようとしてもマッスルの指筋が強すぎるため、跳ね返されてしまう。このまま避け続けてもジリ貧である事は目に見えていた。
「くっお前、魔力強化もして無いのにどんなスピードしてるんだよ。」
「フフ、降参か?」
「まだまだ」
しかし、今のままでは直人が圧倒的に不利であり、仕掛ける必要があった。
直人はわざと親指を伏せ、相手の攻撃を誘う。それを見たマッスルは罠を力でねじ伏せようと真っ直ぐ指を下ろす。直人は今まで以上の魔力を指に流しスピードを1段階上げカウンターを狙う。
直人は間一髪、マッスルの指の回避に成功しマッスルの親指の第二関節を掴む事に成功する。しかし、ここで力を一瞬でも抜けばすぐに状況が逆転する事が分かっている直人は右手にありったけの魔力強化を行った。ギルド長を含めギルド内にいる冒険者達は息を飲んだ。なぜなら、今行った直人の魔力強化に使用した魔力量は普通の魔術師の約10倍に当たる量であり、そんな魔力量を体の魔力強化に行う事は恐らくSランク相当の実力者で無ければ出来ない芸当である事が分かってしまったからである。
しかし、直人に捕まえられているマッスルは楽しそうな顔をしているだけで全く焦っている様子はなかった。
レフリーのギルド長は急いでカウントダウンを開始する。
「10・・9・・8・・7・「ムン」⁈」
マッスルは掛け声と同時に指を上に持ち上げ拘束を解除し、直人の指を上にかち上げた。
「なに⁈」
直人は驚嘆した。自分の全力で強化した指が完璧に抑えたマッスルの指に負けるとは予想していなかった。そして、同時にマッスルには指相撲で100%敵わないことに直人は気づいてしまった。
確かに避け続ける事は可能であり抑える事も出来る。しかし、完全に抑えた状態にあったにも関わらず抑え続ける事が出来ない。つまり、この戦いはマッスルが自分を捕まえるしか決着が付かない事が分かる。それからも激しい指の攻防が続いた。戦い始めてから1時間が経過した時、マッスルが口を開いた。
「引き分けにして別の方法にしないか?飽きたて来た。」
「そうだな。」
『・・・』
ギルド全体が見守る中、この激しい戦いは終わりを告げたのだった。
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作者の焼き肉食べ放題です。
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