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1.5mの世界  作者: 粗井 河川
2章
88/144

おまけ2  アリサの日記(一部抜粋)

振り返り回です。

読まなくても本編に影響はありません。

“○月□△日”


 光の大精霊にレストイアへ遊びに来なさいと誘われた。

 目的は分かっている。スイレン様の契約者である私と巫女を引き合わせて刺激を与えたいのだろう。あと私とレストイアが友好的だよーという政治的アピールも含まれているかな。……まあ本命はジル様と巫女を合わせたい、だろうけどね。しょせん私はジル様を釣る為のエサですよー。

 まあ、気に入らない気持ちはあるものの巫女とは1度会ってみたかったから誘いには乗ろうと思う。そこで大事なのが同行するメンバー。ジル様はもちろんだけど、あの王子も放って置くわけにはいかないから連れて行かなくちゃいけない。でも3人だけだと王子と私が会話する機会が増えてしまうから、もう1人くらい連れて行く必要がある。

 そうなるとククルしか考えられない。王子はククルが苦手だから口数も少なくだろうし、ジル様もククルがいれば私と彼女を仲よくさせようとアレコレ構ってくれるだろうから一石二鳥。ついでにもう少しククルと仲良くなってもいいかもしれない。

 ジル様は……なるべく意識しないようにしよう。まだ時期じゃない。普通に楽しむことを1番にね!!


“1日目”


 私の“1番”はサンフレアへ入る前に打ち砕かれた。

 街が見えた途端、トラブルに巻き込まれる予感がしたのだ。『このメンバーなら楽勝』の様な気はしたけど、どんな事態にも対応する為に準備しなくちゃいけない。すぐに私は意識を戦闘準備モードへ切り替えた。


 巫女と初めて会ったけど感想は特にない。強いて挙げるならジル様とやや気が合いそうだなーくらいかな。大した脅威にはならなさそう。でもとりあえずジル様に『同類ですね』と言って印象操作しておいた。おかげで対抗意識(?)を燃やして第一印象を悪い方向へ持っていけたと思う。

 私より胸の大きい巫女が悪い。


 ククルの提案により別行動をすることに。なのでククルと2人になるよう調節。案の定、5分も経たぬ内にククルから『互いに1人で行動しましょう』と提案があった。彼女は分かりやすくてとても助かる。

 1人になった私は早速サンフレアの地理を頭に叩き込みながら、もしもに備えて武器屋を探した。そして運がいいことに最初の武器屋で目当ての物を発見。ガキには売れないと意固地な店主を“平和的に説得”し、手榴弾2つにナイフ36本、毒薬各種を購入。今までこつこつ貯めていたお小遣いが吹き飛ぶほどの大きな買い物だったけど、後悔はしていない。お金なんて使うためにあるんだから。

 それでも手榴弾の数が心許ないから土の偽物も用意しておこう。ハッタリくらいには使えるでしょ。


 夜、ククルとレキアの3人でお風呂に入った。

 印象に残っているのは私が『ジル様は来年の夏までには誰かと付き合う』と予言したのに、ククルは『自分のペースでいきましょう』と考えていたこと。どうも彼女は肝心な所で慎重みたい。何だかんだでジル様と似ているんだなーと思い、ちょっとだけ微笑ましかった。

 そしてククルじゃ絶対に私に勝てないと分かった瞬間でもある。



“2日目”


 気になる。気になる、気になる気になる気になる。

 ジル様が誰かに会いに行ったらしい。女、らしいけど一体どんな奴なのかは教えてくれなかった。普段はウザいくらいに冴えている勘も、こういう本当に知りたい情報に対して全く働かない。肝心な時に役に立たないなんて使えない勘だ。

 どうにかして足取りを追えないか考えてみたけど無理そう。サンフレアにいるのかすら分からない。

 とても気になる。


 そうこう考えていたら少女を探すことになった。最も安全な選択を取るならシャイニング様を呼ぶべきなんだけど、王子の経験値アップの為に私達だけで解決することに。時間をかけると応援を呼ばれてしまうので、昔“ジルロット”様が理論だけ説明してくれた『風の瞳』を使用。使用者次第でどんな遠くのものも見れる便利な魔法だ。私の『フォートレス』よりも遥かに利用価値がある。この魔法が広まれば戦闘の幅はきっと大きく広がるだろう。……使いこなせる人がいればね。


 私の尋常じゃない頭痛と引き換えに少女の救出は成功。予想以上に嫌なものを見てしまったけど、王子に成長が見られたので我慢する。

 ああ、それとレキアとの間にフラグを確認した。でもすぐに折れそうなので放置。あと1年……いや半年会うのが遅ければ2人をくっつけられたかもしれないのに。かなり残念だ。



“3日目”


 何か起こる。

 目覚めた時にそう確信し、急いでメイド服に武器を仕込む。シャイニング様にも注意を呼びかけたけど「私がいる限り大丈夫よー」と笑っていた。これは典型的なダメパターンじゃ……。


 やっぱりシャイニング様はやられてしまった。

 あの時、私は咄嗟に土の壁を出したけど攻撃が強すぎて意味なんてなかった。どこから飛んできたのかもよく分からなかったし、敵の強大さに不安になったことは否めない。

 

 それから随分と悩まされた。

 すなわち宮殿に行くか、行かないか。

 正直な所、もし私が1人だけだったら宮殿に行くなんて考えもしなかったと思う。それだけ危険があると分かっていた。

 でも王子がいる以上、そう簡単に諦めるわけにはいかない。ここで何もしなければ、いざという時にヘタれる王子に戻ってしまう可能性があるからだ。私の目的の為にも王子には成長してもらわなくちゃ困る。……だからと言って私のわがままに命をかけさせるのはさすがに気が引けた。だけど私が何もしなくてもレキアが宮殿に行きそうな雰囲気に変わったから結果は同じかと思い、結局私から提案することにした。


 道中の出来事はほとんど覚えていない。

 初めて魔物を殺したり襲われたり、如何に皆に負担をかけないかに神経を擦り減らしたり、人の死体を見たり心の中で悪態を吐いたりと大変だったからだ。

 なるべく余裕を装ったつもりだけど皆にはどう映っていたのかな? 変なこと言ってないよね……?


 そしてやっとの思いでボスの元に辿り着いたら何故か急に勘が働かなくなり、疑問を浮かべたその一瞬の隙を突かれて攻撃を食らってしまった。「あ、ヤバイかも」と死を覚悟したけど、派手に吹っ飛んだ割に無傷。やっぱり私達は守られているんだなーと嬉しいような悔しいような、そんな複雑な気分――。


 キャーーーーーーーーーーッ!! ジル様に抱きしめられちゃったーーーッ!! もうすっごくドキドキだよ!! 初めは髪の長さが変わっていて誰なのか分からなかったけど、抱きしめられた瞬間ジル様だって気づいた!! ぜんっぜん力強くも逞しくもない抱擁であれだけ安心できる人なんてジル様かスイレン様くらいしかいない。そして私がドキドキするんだからもうジル様以外有り得ないでしょ!?

 ……はあ~……本当にいい匂いだったなぁ……。男臭さとはかけ離れたあま~~~い香りがして、ちょっと嗅いだだけで頭がクラクラして何も考えられなくなっちゃうの。普段は意識をしっかり保っているから平気だけど、あの時は完全な不意打ちだったから耐えられるわけないじゃん。その上さらに抱きしめられたんだからこれはもう意識を保っている方がおかしいレベル。気絶しないだけ私は凄い。

 

 登場のタイミングも完璧だった。私達のピンチに颯爽と――って、あれ? ジル様はレキアがアイツを倒した後に合流したはずじゃ……。

 ……。

 記憶を操られているね。やったのはジル様かな。たぶん私を警戒してだろうね。方法は魔法……ではない気がする。私の勘が違うと否定している。

 じゃあどうやってか?

 もちろんレキアや私と同じ種類の【能力】だ。今まではそれがどんな力なのか分からなかったけど今回の件でだいたいの目星はついた、かな。

 うん、やっぱり私の勘は外れていなかった。『このメンバーなら楽勝』とは『ジル様がいれば楽勝』って事だったんだ。


 でも今はそんな事どうでもいい。あの抱きしめられた余韻にずっと浸ろう――とはいかず、シャイニング様の説教を永遠と聞かされ続けた……。



“4日目”


 とんでもない奴が現れた。

 あろうことか私達の目の前でジル様にキスをしていきやがった……!! しかもジル様は気付いていないだろうけど、アイツは私達にドヤ顔までして……!!

 ジル様に説明を求めても『精霊のクロノスさんで、彼女とは友人です』とだけしか説明してくれず、最後の最後でモヤモヤを引き摺ることになってしまった。

 ……とにかくランキングは更新だ。


 1位クロノス

 2位スイレン様

 3位ククル 

 4位リーネルカ

 5位レキア

 6位お姉ちゃん

 7位以下、警戒不要


 うん、上位2人はヤバい。

 何がヤバいって、ジル様が本気で頼めばエッチさせてくれそうな所だ。最悪クロノスさんとはしちゃっているかも……。いや、考えるのはよそう。

 はぁ……。

 冬まではまだ時間がある。

 でもクロノスさんの登場は私にとって想定外だったし、この先も何があるかわからない。準備と時間がまだ不足しているけど、そろそろ勝負に出る時なのかもしれない。


 ――よし、覚悟を決めた。

 クロスセブンに戻ったら3~4手で決着をつけてやる!!




“考察”


 サンフレアでの騒動を簡潔にまとめてみた。

 

 まずヨクニ司教にあの霊体が憑りついた所から全てが始まる。おそらく四年前の襲来戦争の時からだろう。

 霊体はヨクニ司教の体を使って好き放題し、司教の部下にも悪事を勧める。あっさりと悪に染まった部下共は少女達を監禁して楽しんだり……まぁ他にもいろいろとやっていたんでしょう(後に私達がボコボコにすることになるけど)。

 そんなある日、霊体は依頼を受ける。『サンフレアを滅してくれ』と。依頼を引き受けた霊体は手段は分からないけど(バックにいる強大な組織の力を借りて?)魔物の雨を降らせ、大精霊を倒した後に宮殿へと向かう。理由はヨクニ司教を黒幕として葬り、自身は他の体に乗り移って黒幕を倒した英雄として崇められる為。たぶん上位精霊のホレス司教の体を狙っていたはず。

 そして目論見通り、ホレス司教をもう少しの所まで追い詰めるも……。


 間違っている箇所もあるだろうけど、大ざっぱな概要としてはこんなもんでしょ。これ以上は情報が少な過ぎて考えようがない。だからこのくらいにして筆を置くとしよう。

 ――さぁ、もうすぐクロスセブンだ。

 いろいろと覚悟して下さいね、ジル様?

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