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1.5mの世界  作者: 粗井 河川
3章
126/144

第21話  再戦

「よく来てくれましたね。どうぞおかけになって下さい」


 翌日。

 結局私はあの子供じみた脅しに屈し、放課後の部室へと足を運んでしまった。

 もちろん私は何度も無視しようと思った。嬢ちゃんの記憶はジルによって念入りに操作されているのだから私の正体に気付くはずがないし、ここへ来てしまったら自ら「私は人に知られたくない秘密があります」と公言するようなもの。だから普通は無視が正解。

 それを分かっていながらノコノコとやって来たのは、嬢ちゃんなら【直感】なしでも私の正体を見破っているかもという危惧があったから。私が最も避けなくちゃならないのは周囲にジルではないとバレることなのだ。そんでまあ、手紙を無視した場合と従った場合のリスクを天秤にかけ、従った方がまだ被害は少ないかと判断して今に至る。


「では“ジルさん”もいらっしゃったことですし、部活を始めましょうか」


「リーネルカがいないけどいいのかな?」


 へっぽこ王子が目を瞑ったまま嬢ちゃんに質問した。

 その隣では……えーっと……名前は忘れたが王子の精霊がうんうんと頷いている。いつもはいないことが多いのに今日は一緒なんだな。


「彼女はとある宿屋にてククルと待機中です」


「ドウシテー? トラブルー?」


 お、精霊が喋った。

 きちんと嬢ちゃんの言葉を噛み締めて発言出来ているから、知能はそれなりに発達してんな。見たところ生まれてから数年程度しか経ってないだろうに大したもんだ。普通の下位精霊なら十数年かかるのにな。確か、土のジジイが、契約した相手の成長具合によって精霊も進化するとか言ってたからその影響かね? だとしたら王子はへっぽこ卒業かもな。


「その件については、この方に説明をお願いしたいと思います」


「っ」


「クー!!」


 部室に入って来た存在を見て、王子の精霊が敬礼の真似事をし出した。私も思わず悪態をつきそうになったのを必死に抑える。

 何で土のジジイがこんな場所にいるんだよ!?


「まずは謝罪しよう。……あのおさげの少女に逃げられてしまった」


 あー、何かと思えばあのおさげちゃんね。

 ふーん。診療所でお寝んねしているって話だったのに脱走たぁー、根性があるじゃねえか。


「まだ逃げられる容態ではなかったはずのに、夜中に突然脱走を企ててな、怪我人とは思えないような動きで見張りを倒して逃亡した」


 ん? まるでジジイもその場にいたみたいな言い方だな。


「もしや学長も……?」


 王子も半信半疑って感じで尋ねた。

 さすがにジジイがいて取り逃がすってことはないと思うが……。


「そうだ。たまたま俺が居たのにも関わらず、あの娘に逃げられたのだ。油断していたとはいえ、一介の生徒にやられるとは大精霊の名折れだ」


 しかめっ面で右腕を上げると、右手首から先が綺麗さっぱりなくなっていた。……マジで?


「あの娘を掴もうとしたらこの様だ。鉈で右手を一刀両断されてしまった」


 信じらんねえ。

 土の大精霊っていったら“最硬”って呼ばれるほど頑丈なんだぜ? それを一刀で切り伏せるとかどんだけだよ。あのクソジジイ――闇の大精霊ですら多分無理だってのに……。


「目下捜索中だが、未だに行方は分からない。例え見つけたとしても俺の眷属では保護は難しいかもしれん」


 大精霊にそこまで言わせるか。……でもあのおさげちゃんってそこまで強かったか? ティリカ嬢と戦っている時はそこまでの脅威は感じなかったけどな。


「おそらくあのおさげ――名はノーラと言うそうですが――は私達が知っている彼女よりもさらに強くなっていると考えていいでしょう」


「特に鉈には気を付けろ。あれは危険だ。防ごうなどとは思わず、避けることのみに専念しろ。俺ですら切られた右手がなかなか再生しないのだ、お前らが受ければ悲惨なことになるぞ」


「……もしかしてこれから僕達は彼女を保護しに行くのですか?」


 まるで捕獲時の注意事項みたいな説明だったもんな。きっとそうなんだろう。


「俺は危険だから許可したくはないのだがな」


「何を言っているんですか。ノーラは再びリーネルカを襲う可能性があります。部員の安全を守る為に私達が協力するのは当然です」


「というわけだ」


 部員を守りたいってのも嘘じゃないんだろうけど、どちらかと言えば妹の復讐って感じだろう。もっと言えば私と2人切りになるのが目的とか……?


「もちろん協力はする。だけど僕はノーラの顔を知らないんだけど?」


「ワタシモー」


「王子とクーちゃんには学長と一緒にリーネルカとククルがいる宿に向かってもらいます。そこで彼女が現れるか見張っていて下さい。私とジルさんは――お姉ちゃんの警護です」


 うげえ。

 やっぱこうなるのか。まあ戦力的に考えればこの組み合わせがベストだけどよー。


「言いたいことはあるけど……僕は黙っていよう」


「チンモクハビトクー」


「ならば俺も余計なことは言うまい。精々仲良くやるんだな。……行くぞ。付いて来れなければ置いていくからな」


「はい」「ラジャー!!」


 ジジイが窓から飛び降り、すぐに王子とチビ助も続く。

 あーあ。これで嬢ちゃんと2人だけかよ。


「では私達も行きましょうか」


「そうだな」


 あー、ヤダヤダ。絶対おさげちゃんとエンカウントする前に何か聞いてくるぜ。どんな質問が来るか考えて予め対策を取っておかないとな――


「こんにちは!!」


「「!?」」


 2人で仲良く部室から出たら、女子生徒に笑顔で挨拶された。……その少女の手にはどす黒く凶悪な形状をした鉈が握られている。

 髪は解いてあるが、もしかしてこいつが例のおさげちゃんか……?


「アリサちゃんとククルちゃんのお兄さんだよね?」


 体の至る所に包帯が巻かれており、頭の包帯からは薄っすらと血が滲んでいるのにそんなことは気にも留めず、笑顔で顔を固めている。


「そういう君はノーラだな? 丁度君を探していたんだよ」


「まさか貴女の方からやって来るなんて……。正直予定外です」


 へえ、嬢ちゃんも戸惑っているのか。

 おそらくそれは本当だろうな。嬢ちゃんは【直感】を使えない状況なんだから、おさげちゃんの行動を予知出来るはずがない。問題なのはその状況に本人がどの程度まで気付いているかだが……。


「えへへ。私みたいな生ゴミの名前を知ってるなんて2人とも博識だね」


 ……ま、今は嬢ちゃんのことは脇に置いて、目の前の存在に全意識を向けた方がいいな。ジジイが忠告するだけあってあの鉈はヤバい。何だよアレ。本人は精霊とか言っていたが、どの属性の精霊なのか私にも分かんねえぞ。微かに同属の匂いはするが……闇属性ではないはずだ。よく分からんが、とにかく注意はしておこう。


「私達に何の用ですか?」


「うんとね、2人にはククルちゃんに群がるゴミ共の掃除を手伝ってもらおうかなと思ったの。2人なら分かるでしょ? あの虫けらにも劣る汚らしいゴミ共が害悪でしかないことを。ゴミはゴミらしく道端にでも転がっていればいいのに何を勘違いしたのか美しい宝石に群がってその輝きを損なおうとするの。そんなの許せるわけないよね? うん、万死に値するよ。あのゴミ屑共はククルちゃんと同じ空気を吸うだけでも自害すべきなのに反省するどころかその罪にすら気付く様子もなく徒党を組んでククルちゃんを侵食しているんだよ!? 早く、早く早く早く早く一刻も早くあのゴミ共を片付けなくちゃククルちゃんが腐っちゃう!!」


 うわーお……こいつはクレイジーだぜ。ぶっ飛んでやがる。

 ここまで頭のおかしな奴は滅多にお目にかかれるもんじゃない。

 ……経験上こういう奴に関わって得をしたことなど皆無だから、早くいなくなってくれねえかな。真正面からはあまり戦いたくない。


「私達が協力するとでも?」


 あ、ダメだこりゃ。

 完全に戦闘になる流れだわ。


「良かった……。2人に会うまでは協力してくれればいいなー、くらいの気持ちだったんだけどね、今は断ってもらって安心したよ」


「どうしてですか?」


「だって2人には以前程の魅力がないんだもん。精一杯評価しても、旬の過ぎた野菜と腐乱死体程度の華しかないよ」


 ……どっちが腐乱死体なんだ?


「もはや2人もククルちゃんに迷惑をかける異物でしかない。……残念だけどここで死んでもらうよ!!」


 うおっ、いきなり襲い掛かって来た!?

 ……クク、上等だよ。軽くお仕置きしてやるぜ。


「魔槍ヨルガロ――」


「雷推掌!!」


 私とおさげちゃんの間に高速で嬢ちゃんが割り込み、バリバリと雷を纏った掌底を腹に打ち込んだ。

 その衝撃でおさげちゃんは壁まで追いやられたが、ここで手を引く嬢ちゃんではなかった。


「螺旋炎勁!!」


「ごぱっ」


 今度は炎を纏った掌底で腹に強烈な一撃をお見舞い。壁に追いやられた状態では衝撃を満足に逃がすことも出来ず、モロに受けてしまったおさげちゃんの口からは大きな血反吐が飛び出す。……おいおい壁に大きなヒビが入ってんじゃねえか。そんな威力の技を人に叩き込むとか、随分とえげつねえな。

 もしかしてもう終わりか?


「……あは、あはははは!! さすがアリサちゃんだ!! 旬は過ぎても姉より遥かに強い!!」


「ちっ」


 おさげちゃんが笑いながら鉈を振り回したので、嬢ちゃんがさっと距離を取った。

 どうやらまだ元気そうだな。

 あばらが何本か折れているだろうにそんな気配はまるで感じさせない気迫だ。


「うん……うん、大丈夫だよククルちゃん。前回のようにはいかない。……エクスキューター!!」


「む」


 お、鉈が2本に増えた……増えた!?

 何で精霊が増えるんだよ!?


「さあ、私達の愛の深さを思い知らせてやろう。――『転心』」


 おさげちゃんの目がぐるんと回って白目になる。

 そして口からは黒い煙が漏れ出し、体も不自然に震え出した。


「おいおい、なんなんだよあのビックリ人間は……」


「私が文句言いたいです。化け物じゃないですかアレ」


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


「うるせえっ!!」


 震えが止まった途端に大声を上げ出したので槍を飛ばして威嚇してみるが、ちょいとおさげが鉈を振るっただけで槍は搔き消えてしまった。


「さあ。さあさあさあさあさあさあ縦横無尽に跳ね回れ私の愛よ!!」


 鉈の1本が信じられない速度で廊下を跳ね回る。

 不規則に暴れる鉈は壁や天井に当たっても止まることはなく、ぶつかった障害物を削りながらどんどん加速していく。ホンの数秒足らずで廊下はもうボロボロだ。もしアレが人に当たったらどうなるかなんて想像するまでもない。嬢ちゃんの加護ですら貫きかねない。


「っ、来ます!!」


「くたばれククルちゃんに群がる異物共め!!」


「ええい、アリサは俺の影に隠れてろ!!」


「え、ジルさ――」


 嬢ちゃんを無理矢理私の影の中に押し込む。

 これで私が死ぬまでは安全だ。


「なら最初はお前だ!!」


「はっ、やれるもんならやってみな!! 重力10倍!!」


 周辺の重力を一気に加重してやる。

 普通の生物なら身動きすら困難になるのだが――


「私の愛の前ではこんな重さ無いに等しい!!」


 ――どういうわけか平然としていた。


「くそ」


 鉈攻撃を避けながら次はどうするか考える。

 悠長に構えている暇はない。おさげのスピードが以前に見た吸血鬼ちゃんと同じくらいの速度まで上がっている。もしこれ以上速くなるのなら避けるのも難しくなる。……だがそれよりも厄介なのが、さっきから暴れまくっている鉈だ。もう目では追えない。ガンガンと激しく壁にぶつかる音や、次々に壊れていく廊下の様子から大体の軌道は分かるが、だからって避けられるかどうかは話が違う。

 私は首を切断されたくらいじゃ死なないが……あの鉈の場合だと果たしてどうだろうか……。


「どうしたの!? また得意の様子見!? さすがククルちゃんのお兄さん!! 私のククルちゃんへの愛を試しているんだね!?」


「……」


 よし殺そう。

 重力10倍状態ではしゃぎ回る奴の動きなんて止められないし、気絶させても数秒で起き上がってきそうな雰囲気があるもんな。自身の安全の為にも殺ってしまおう。そう、これは正当防衛だ。


「もっとククルちゃんへの愛を――」


「死ね」


「うっ……――」


 大きく振りかぶった隙をつき、貫手でおさげの胸を貫く。やるからには確実にってことで、しっかり心臓も潰させてもらった。

 おさげの体は複数回ビクンビクンと痙攣するとやがて動かくなり、それに連動して暴れていた鉈も動きを止める。

 ふー。

 これでようやく終わりだ。意外と手強かったな。

 ……殺すのはやり過ぎだったかもしれないが、どうせ洗脳も説得も効かなそうだし後悔なんてするだけ無駄だろう。んなことより、ジジイ達への殺してしまった言い訳を考えておかないと。


『ピク』


「ん……?」


 今一瞬、おさげの体が動いたような……。


「――…………あ……愛は……死なない……!!」


「んなアホな!?」


 復活しやがった!?

 人って心臓を潰されて生きてられるもんなのか……って、早く手を抜いて離れないと――。


「愛を甘く見たな!!」


「っ~~~~~~」


 離れるのに間に合わず、左肩から右脇腹にかけて袈裟切にされてしまった。


「まだまだ!!」


「ぐえ」


 さらに追撃して来たので躱そうとするが、床に落ちていた鉈がいきなり私目掛けて飛翔し、左膝から下を切り落としやがった。しかもその衝撃でバランスを崩してしまい、クソおさげの攻撃も貰ってしまう。おかげでジジイと右手がお揃いだぞ。


「痛い? でもね、ククルちゃんの方がもっともっと痛い思いをしているんだよ?」


 あー……クッソ。こんな怪我ならパッと治せるはずなのに全然治んねえ。これじゃあ歩きにくいし食事もし辛いじゃねえか。


「ほら。ククルちゃんへの懺悔代わりに泣き叫びなよ」


「はっ、お生憎様。俺は痛みに慣れているから別に喚いたりしないぞ」


 私の痛みと快楽は連結している。

 だからこの状況もぶっちゃけ悪くはない。

 しかし痛ければ何でもいいかって言うとそうでもない。

 例えば同じ胸を揉まれるにしても、好きな相手と嫌いな相手とでは反応が変わるだろう。それと似たようなもんで、私も痛みを与えてくれる相手は選ぶのだ。

 こんなサイコパスみたいな小娘じゃあ、やられてもあまり興奮できないな。


「格好いいね。でもすぐに――え? うんうん。……えへへ、大丈夫だよククルちゃん。お兄さんが死んでもククルちゃんならきっと乗り越えられるよ。むしろ最愛の人の死によってククルちゃんはより強い輝きを手に入れるんだよ」


 クソおさげの胸の穴が徐々に塞がっていく。

 一方、私の傷口からは血が止めどなく溢れている。

 立場は逆転か。殺しても死なないとか反則だろ。

 マジでどうすっかな……。


「……あれ。そういや、何でそんなにククルのことが好きなんだ?」


 ふと思いついたので口にする。

 仲が良かったんだったか……?


「お兄さんなのに分からないの? 節穴なんだね。ククルちゃんはあんなにも強くて美しくて綺麗で可愛い輝きを放っているのに」


 聞いた私が馬鹿だった。

 こいつとまともな会話が出来る訳ないじゃないか。


「さあ、今度こそその首を刎ねてククルちゃんにプレゼントしてあげる!!」


 お、丁度私も閃いたぞ。


「死ぬまで殺してやる。『重力砲』」


「――」


 ジルのパクリ技でクソおさげの胸にデカい穴をあけてやる。


「まだま――」


「もういっちょ」


 すぐに穴が塞がったので次は上半身を吹き飛ばす。


「……この――」


 それすらも瞬く間に再生したが、焦らずまた吹き飛ばす。

 しかしまた再生したので、こっちもまた吹き飛ばす。


 ――しばらく、回復しては吹き飛ばすの繰り返しが続いた。


 そして数えるのも止め、淡々と重力砲を撃つ作業に没頭していると、遂にクソおさげが膝をついた。


「もう終わりか?」


「はー……はー……ごほっ……かひゅ……ど、どうして……」


 胸を押さえ、苦しそうに口から黒い液体を吐き出している。


「さあな。俺の方が強いからじゃね?」


 余裕ぶってみたものの、実際は魔力も残り少ないし血を流し過ぎて体を維持するのもキツイんだけどな。


「私の愛と……この力があれば……誰にも負けないって……あの人が言っていた……のに……――」


 クソおさげが倒れて動かなくなった。

 どうやら気絶したみたいだな。鉈も動きは止めている。

 ……だが死んではいない。死なない限りまた襲ってくるかもしれない。止めは刺さないとな。


「大丈夫ですか!?」


「あ?」


「ジル!?」


 遠くから新米教師とメルフィの声が聞こえてきた。

 ちっ、今頃になって到着かよ。

 しょうがねえ……後はあいつらに任せるとしよう。


「ほらよ」


「あう」


 影から嬢ちゃんを引っ張り出し、私は床に腰を下ろす。

 さすがに……ちょっと疲れた。


「その……ありがとうございました。私ではあの跳ね回る鉈は防げなかったと思います」


「気にすんな。元カレとして当然のことをしたまでだよ」


「本当に感謝しています。ですが――私の知っている“ジル様”ならもっとスマートに解決できていたとも思っています」


 クク、こいつは手厳しいな。

 あのクソおさげを真正面から止められる奴なんて世界でどれだけいると思ってんだか。


「何ですかこの状況は!? 戦争でもしてたんですか!?」


「ジルとこの子、酷い怪我」


「ごめんアリサ。2人に状況の説明をお願い」


「……分かりました」


 と言いながらも、嬢ちゃんは私の耳に顔を近付けて来た。


「ノーラに謎の力を与えた存在がいます。私と協力してそいつを捕まえて下さい。それまではあなたの正体について目を瞑りましょう」


「……」


 やれやれ。

 まだまだ私の受難は続くみたいだな。

 

 ――私がこんだけ苦労してんだから、ジルも同じくらい苦労してんだろうな……? もし遊んでいたらぶっ殺してやる。

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