その8 ミノル編
長編恋愛ファンタジー DESTINYに出てくる、主人公アサギの最初の彼氏・ミノルによる口説き文句です。
■キーワード1 『雪』
「はぁ? 雪? さみーだけだろ、だから何?
……雪か。前、校庭で雪合戦したんだよな。あの時さ、アサギを助けに入ったんだ。覚えてないだろうな、そうだよな、トモハルもダイキもいたし。
アサギの笑う顔、一番好きだった筈なのに俺は何をしたんだろ」
■キーワード2 『月』
「合宿があったよな。同じ班だったからアサギの作ったカレー食った、美味かった。
夜さ、肝試し大会でさ、アサギと一緒だったんだ。覚えてる、覚えてる。『怖いね』って言ってたけど1人で突き進んだ、ごめんな。軽く振り返ったら月の光がアサギを照らしてて綺麗だったの、覚えてる。余計に恥ずかしくて、置き去りにしてゴールへ向かったんだ。ごめんな」
■キーワード3 『花』
「アサギ以外に花が似合う女を俺は知らない。……って言うとトモハルが殴りかかってくるけど、マビルよりアサギだろ!?
そ、そうだな、組み合わせ的には……チューリップとアサギが一番好きかもな。いや、花の名前あんまり知らないけど。待てよ? ひまわりとアサギとか、朝顔とアサギとか、鈴蘭とアサギとか。
桜とアサギも、綺麗だな……って何言わせんだっ」
■キーワード4 『鳥』
「ひよこ好きだ、ぴーぴー鳴いてるやつ。花火大会でアサギが一羽買ってた、青色っぽい浴衣と黄色いひよこ、可愛かった。花火も綺麗だった、覚えてる。
俺、見てたから……覚えてる」
■キーワード5 『風』
「校庭の遊具のさぁ、勢い良く回すアレ。あれさ、スカートめくれるんだよ。いっつも願ってたなー、風、吹き荒れろって。……なんだよリョウ、そんな蔑んだ瞳で見るなよ。
アサギさ、結構スカートだろ? 見えそうになるんだよ……ってどうしてお前ら俺をそんな目で見るんだ!?」
■キーワード6 『無』
「何も無くなった。あんなに焦がれて、愛しくて、嬉しかったのに。壊して無くしたのは、俺。
なぁ、アサギ。もし、もう一度告白していたら。いや、今度は俺から告白していたら。
受け入れてくれたか?」
■キーワード7 『光』
「勇者ってさ、輝かしいよなぁ。トモハルは光って感じがするけど、俺ってさ……どうなのよ。
光が嫌いなわけじゃない、ただ、眩し過ぎる。アサギなんてさ、見ていられない眩さだろ。恐れ多いんだよ、俺ごとき」
■キーワード8 『水』
「水飲み場で、アサギが使った後の蛇口を使うの。
……どきどきした、無意味に」
■キーワード9 『火』
「火が、怖いって。ごめんな、俺も得意な魔法火だった。すげぇ腹立たしいけど、アイツと俺、似てたのかな。似てるよな、嬉しくて愛しくて幸せで可愛いアサギを裏切ったんだから。
そっくりだよな、俺とアイツ。……言い訳がましいけど、弱いんだよ、俺ら」
■キーワード10 『時』
「時間を戻すことが出来る、なんて。……皮肉だよな、アサギ。アサギだけがそれを実行出来る。
だから戻すことはない、戻らない。俺とアサギは……時の流れで離れたまま」




