表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

その7 ベルーガ編

長編恋愛ファンタジー DESTINYに出てくるけれど第4章からしか姿を現さないベルーガ(26)による口説き文句です。


■キーワード1 『雪』

「寒い? 当たり前だろう、雪が降っているのだから。早く薪を取りに行け、遅い。

 …………。

 寒いか、アサギ。何か……暖かな布でも買い与えるとするか。純白の毛皮のケープなど、どうだろうか。似合うだろう。

 …………。

 何度言ったら解る、薪が少ないだろう。真面目に働け」



■キーワード2 『月』

「月が綺麗? 毎日同じ月だろう、形は変わるがそれだけだ。空に浮かび、発光するというだけだ。そんなしかめっ面していないで、紅茶を淹れろ。

 …………。

 そうだな、月光を浴びているアサギの裸体は嫌いではない、寧ろ美しいと思っている。月の利用価値など、それだけだ。

 …………。

 アサギ、手際が悪い。いい加減私の指示通り動けないのか」



■キーワード3 『花』

「全く、女は花が好きだとほざくが……お前もか、アサギ。花は見ても何の足しにもならない、だからここには花など植わっていない。雪が解け、春が訪れてもお前の望む世界などここにはない。

 …………。

 だが、アサギという花は私の傍で咲いている。毎日、咲き続けてくれるのであれば、この上ない至福だと私は思い始めてしまった。愚かな。

 …………。

 何も言っていない、気にするな。アサギの気のせいだろう」



■キーワード4 『鳥』

「何をやっているのかと思えば、野鳥に餌を与えているのか? お前の食事ではないのかそれは、馬鹿なのか? 何? 構わない? ふん、全く小娘の考え方は解らないものだ。腹が減っても、それ以上与えられない。不平を言うなよ。

 …………。

 誰かに、頼んで。明日からアサギの食事を増やすように伝えようか、パンが欲しいのなら、言えば与えるのに。そうだな、鳥達と戯れているお前を見ることは、私にとっても癒しの時間なのだ。

 …………。

 一刻も早く仕事に戻れアサギ、遊び時間は終わりだ。唇を尖らせるな、所有者の言いつけは守るのが筋だろう」



■キーワード5 『風』

「…………。

 綺麗だ。文句の1つ言わず、寒空の下洗濯をしているお前は常に懸命で、手を温めながら健気に毎朝与えられた仕事に精を出している。私はそのような真面目さが、気に入っている。シーツが風に揺れて、お前を隠してしまうと、思わず手を伸ばしてしまうのだ。

 …………。

 アサギ、仕事が遅い。何度言えば解る、効率が悪いだろう。早急に仕事を終わらせろ、今日は別の仕事が入っているのだから」



■キーワード6 『無』

「……眠っているのか、アサギ。また、泣いているのか? お前はいつも、何を見ている? 誰を見ている? 誰を待ち、何を望んでいるのだ?

 愛している、いつかお前を迎えに誰かが来てしまうと知っていても」



■キーワード7 『光』

「輝かしい栄光だ、その頂点に立つのは私の尊敬する兄上。時期に平穏な時が来るだろう、無事に王位継承が事を運べば。

 私? 私は次男だ、国王の器を持ち合わせていない。何が言いたい、アサギ。小娘の分際で口を出すとは、よい度胸だ。

 ……光? 私の後方に、光が見える? 何を言っている、支度をしろ、時間がないだろう愚図が。

 …………。

 お前のその不安そうな表情を照らす光なら、欲しいと思った。私の背に光が見えたのなら、アサギ。私の傍に居れば良い、包まれれば良いだけだ」



■キーワード8 『水』

「…………。

 泣きながら、水を汲んでいるのか。凍て付く寒さは、娘には気の毒だろう。指示を出したのは、私だが後悔している。痛々しいな、アサギ。

 優しくしてやれなくて、すまない。どう接すれば良いのか、解らないのだ」



■キーワード9 『火』

「暖炉の前に張り付いていないで、少しは私の相手もしろ。笑って誤魔化すな。しかし、お前はどうして火を見ないのだ? 怖いのか? 言わないのか、つまらない奴。

 …………。

 寒くて震えているのに、火が怖いとは。アサギ、お前が名を呼んだあの男に関係があるのか? お前が男の名をうわ言で呼ぶ度に、私の心は嫉妬の炎で焼け焦げる。そのような事、知る筈もないだろうな」



■キーワード10 『時』

「私は、お前を幸せにしたいと思う。そして私もアサギがいてくれさえすれば幸せだ。愛している、このまま同じ時を、この場所で過ごして行きたいと願わずにはいられない。

 ……と、伝えたかった。例えアサギが、別の男を見ているとしても」

口説いているのか、いないのか(’’)

まだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ