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~ 四ノ刻   誘惑 ~

 小学校の屋上という場所は、一種の特殊な空間である。普段は生徒の立ち入りが禁じられ、屋上に続く階段も埃だらけ。特別な避難訓練でも行わない限り、生徒はおろか教師でさえも近づかないような場所だ。


 屋上そのものも、実に殺風景な場所だった。生徒の中には興味を示す者もいたが、それでも一度見たならば、次からは幻滅して来たいとは思わないかもしれない。


 剥き出しになった水道のパイプ。ところどころひび割れたコンクリート。割れ目からは草も生え、緑色の落下防止用フェンスが周囲を覆っている。それ以外には何もなく、実に面白味のない場所である。


 これが高校の屋上などであれば、場合によってはベンチなどの設備があっただろう。生徒達が弁当を食べるために使えるよう作られており、当然のことながら、出入りも禁止されていない。


 しかし、ここは高校ではなく小学校の屋上である。元より生徒が使うことを考えていないため、当然のことながらベンチもなにもない。灰色のコンクリートに覆われた殺風景な場所で、フェンスがガタガタと音を立てて風に揺れているだけだ。


 行ったところで面白いことなどない、誰も近づかない忘れられた場所。そんな言葉が似合いそうな屋上であったが、その日は珍しく人の姿があった。


「はぁ……。僕、どうしたらいいんだろう……」


 夕暮れ時の屋上で、小さな溜息と共に呟きが聞こえた。まだ声変わりさえもしていない、少々甲高くも聞こえる子どもの声。その口から出る言葉は日本語ではなく、同年代の子ども達には理解できない英語である。


 声の主はレオだった。どんよりと曇った空の下、遠くの方で微かにぼやけて見える山々を背に、レオはフェンスに指を絡めて下を見た。


 屋上の上から見下ろすと、そこには校庭が大きな口を開けて待っていた。いつもは何気なく通り過ぎている校庭が、今日に限ってとてつもなく不気味な存在に感じられる。まるで、地獄の底で口を開けて待ち構えている、巨大な怪物のようにさえ思えて来る。


「もう……こんなの嫌だ……。このまま五年生になりたくない……」


 誰に告げるともなく、レオは英語でそう言った。


 昨日の昼休みに、自分の前で起きたこと。それを思い出すだけで、なんともいたたまれない気持ちになった。


 レオが虐められているのを知って、姉の香帆は虐めっ子から守ろうとしてくれた。しかし、相手が一人ならまだしも、あれだけの数で来られてはなにもできない。案の定、止めに入ったはずが捕まって、レオが虐められている現場を見せつけられただけだった。


 途中で乱入しきた少年にしても、それは同じことだった。名前は確か、晶とか言ったか。以前、レオにコンパスと定規を貸してくれて、その日は汚された上履きまで一緒に洗ってくれた彼もまた、数の暴力の前に成す術もなくやられるだけだった。


 そして、レオにとってなによりも決定的だったのが、卓也や佳樹が香帆に命令した最後の言葉だ。


 レオを虐めるのを止めて欲しければ、そこにいる変態とキスをしろ。そう言って、彼らは無理やりに香帆と晶にキスをさせた。あまつさえ、その光景を携帯電話で写真に撮り、皆の前で笑い者にした。


 自分を守るために他の人が傷つく。そんな物を見るのはもうたくさんだった。自分だけが虐められていれば、まだ問題はなかったのだが、このままでは香帆も晶も虐めの標的にされてしまう。


 それに、香帆も晶も四月からは、小学校を卒業して中学生になってしまう。卓也や佳樹、それに理緒などがいなくなるのも同じことだったが、彼ら以外にも自分を虐める人間は残っている。


 このままでは、学校には自分を守ってくれる人間は誰もいなくなる。しかし、香帆や晶に甘えたところで、それもまた今度は二人を傷つけることになってしまう。


 卓也は香帆に言っていた。虫けらや鈍臭いやつは、虐められるために生まれて来たと。ならば、ここで自分がいなくなってしまえば、全ては解決するのではないか。香帆も晶も苦しむことはなく、自分もまた苦しむことがない。


(お姉ちゃん……ごめんなさい……)


 ここから飛び下りれば楽になれる。そう考えると、後はなんとも楽だった。


 細い指を緑色のフェンスに絡ませて、それをゆっくりと登ろうとするレオ。フェンスは上の方で内側を向いて斜めに曲がっていたが、無理すれば越えられないことはない。


 靴を脱ぎ、脚の指をフェンスにかける準備が整ったところで、レオは再び下を見た。校庭は相変わらず大きな口を開けてレオを飲み込もうと待ち構えており、それは先ほどよりも強くなっているように感じられた。


 眼下に広がる校庭と、その奥にあるであろう深い闇の底。それらのものに呼ばれたような気がして、レオは気を取り直し、指をフェンスに絡ませる。が、彼がフェンスを上ろうとしたそのとき、後ろから唐突に男の声がした。


「おやおや……。こんな時間に、こんなところでなにをしているんですか?」


 突然、後ろから声をかけられて、レオはぎょっとした顔になり振り返る。見ると、そこには何時の間に現れたのか、一人の青年が立っていた。


 青年はにこやかに笑いながら、少しずつレオに近づいてくる。その表情こそ笑っているものの、全身から発する気のようなものは、一部の隙もないほどに緊迫している。なんだかよくわからないが、頭と体が別々に存在している。そんな雰囲気さえ湛えている青年である。


だが、レオにとってそれ以上に不思議だったのは、青年が英語で話しかけて来たことだ。見たところ、この学校の教師ではないようだが、だとすれば彼はいったい何者なのだろう。


「お、おじさん……誰?」


 怯えた様子で、レオは少しだけ後ろに下がりながら尋ねた。自分の後ろにはフェンスがあり、その向こう側は奈落の底。そうわかっていても、本能的に下がらずにはいられなかった。


「やれやれ、おじさんとは酷いですねぇ。こう見えても、僕はまだ二十代なんですけど……」


 屋上を吹き抜ける風に揺れる髪を押さえながら、青年はそう答えて足を止めた。あくまで穏やかな口調ではあったが、笑顔の奥になにを考えているのかわからない不気味さも併せ持っている。別に、怒っているわけではないにも関わらず、レオにはなぜか、青年の笑顔が酷く薄気味の悪いものに思えて仕方がなかった。


「どうやら、随分と警戒しているようですね。まあ、無理もないでしょう。僕は別に、この学校の教師というわけでもありませんからね」


 聞かれてもいないのに、青年はレオに向かって自分のことを話し出した。相変わらずレオの方は緊張した面持ちだったが、青年はそんな彼の顔を見て、何か思い立ったかのようにして腰を落とした。


「紺野レオ君、でしたよね? 君、もしかして、そこから飛び降りようなんて考えていませんでしたか?」


「えっ……。ど、どうして僕の名前を知っているの?」


「これは失礼。実は、数日前から君のことを見張っていましてね。なんでも酷い虐めに遭っている子がいるとのことで、少しばかり様子を見させてもらったのですよ」


「様子って……そんなの、どうやって!?」


「簡単なことです。僕には僕の目の代わりとなる、優秀なパートナーがいますからね。今から君にも、彼女のことを紹介しましょう」


 青年の頭が再び持ち上がり、レオを見降ろすような形になった。そのまま後ろを向くと、青年は自分の向こう側にいる何かに手招きをして、その相手を呼んでいるようだった。



――――チリン、チリン……。



 屋上に鈴の音が響き、レオの前に何やら黒いものが現れる。よくよく見ると、それは金色の目をした一匹の黒猫だった。


「この子はマオと言いましてね。僕が、中国に行ったときに出会った子です。こう見えて、なかなか優秀な子なんですよ」


「で、でも……それ、猫だよね。おじさん……じゃなくて、お兄さん、猫とお話できるの?」


「そうですね。全ての猫と話すのは無理ですが、少なくともこの子とは話せますよ。なんだったら、君もマオとお話してみますか?」


 足元にいた黒猫を抱き上げながら、青年はレオに向かってそう言った。猫と話ができるなど半信半疑だったが、それでもレオは、なぜかこの青年の言うことが、もしかしたら本当なのかもしれないと思い始めていた。それだけ青年の声色は魅力的で、全身からはなんとも言えない不思議な空気が漂っていた。


「君のことは、マオが僕に教えてくれました。この学校で、酷い虐めに遭っている子がいる。だから、助けてあげて欲しいとね」


 腰を屈め、目の高さをレオに合わせて、青年が微笑みながら言った。その言葉にレオはなにも答えなかったが、青年は構うことなくレオに向かって話を続けた。


「僕は、君のように困っている人を助けてあげたいんですよ。なにもしていないのに、ただ周りと少し違うというだけで虐められる。そんなことが、許されてよいはずがありませんからね」


「で、でも……。やっぱり、僕が虐められるのはしょうがないんだと思う。だって……六年生の人達も、僕みたいに鈍臭いやつは、虐められるために生まれて来たんだって言ってたし……」


「それは、虐める側の理屈でしょう。虐められるために生まれて来た人なんて、この世には存在していませんよ」


 青年の手が、レオの頭にそっと置かれた。色白で細い指先だったが、思ったほど骨ばってはいなかった。どちらかといえば、優しい女の先生に撫でられているような、そんな感じさえしてしまう。


「レオ君。僕は君に力を貸してあげたいのです。君が望むのであれば……金輪際、君が虐めに苦しむことのないように、僕が協力してあげますよ」


「きょ、協力?」


「ええ、そうです。それこそ、君が望むのであれば、あの憎い虐めっ子達に復讐することだって可能です。君のお父さんやお母さん、それに学校の先生にはできなかったことでしょうが、僕にはそれをするだけの力があります」


 最後の方は、誘うような言い方になっていた。


 虐めた相手に復讐する。虐めを苦に自殺を考えていた者にとっては、これとなく魅力的な言葉だろう。自分が死なずとも、相手に自分と同じ苦痛を味わわせ、更には虐めそのものをなくすことができるとなれば、これほど旨い話もない。


 ところが、そんな悪魔のような囁きにも、レオは進んで耳を貸そうとはしなかった。先ほどに比べて幾分か緊張の色は薄れていたものの、復讐という言葉が青年の口から出た途端、再び訝しげな顔をして青年を見た。


 復讐する気があるのであれば、こちらはいつでも力を貸す。そう言ってレオの頭を撫でる青年だったが、レオは決して首を縦には振ろうとしない。そして、その代わりにレオの口から出たのは、復讐とは無縁の意外な言葉だった。


「お兄さん……。僕……やっぱり、復讐なんてしたくないよ」


 少しだけ首を斜めに傾け、自分の足元を見つめるようにしてレオは言った。自分の誘いに乗って来なかったことに、青年は少々驚いた様子だった。


「復讐をしたくない、ですか……。しかし、ここで君が死んでもなにも変わりませんよ。彼らは君のことなどすぐに忘れ、いずれは別の相手を虐めるようになるでしょう。それでは、君は死に損ではありませんか?」


「そうじゃないんだ。そういうことじゃなくて……僕はただ、笑っていられる場所が欲しんだ……。僕と……それから、お姉ちゃんと……アメリカにいた頃みたいに、楽しく笑っていたい……」


「ほう……。復讐ではなく楽しく笑っていたい、ですか。それが、今の君が僕に望むことなのですか? 君は自分を虐めた相手が憎くはないのですか?」


「そんなことないよ。僕を虐めたやつらは憎いし……お姉ちゃんに酷いことさせたあいつらは、やっぱり許せない」


 レオの口が、きゅっとしまって言葉を切った。レオにとって、虐めの事実は確かに辛いことだったが、それ以上に辛かったのは、自分のせいで身内が傷つくことだ。


自分を守ろうとした姉が、虐めっ子達に命令されて無理やりキスをさせられた。そのことが、レオに自らの命を断つという選択をさせたと言っても過言ではない。


「アメリカでは、僕もお姉ちゃんも楽しく笑って遊んでた。学校だって楽しかったし、みんな仲良しだった……」


 まだ、レオの家族がアメリカにいた頃の記憶。それがレオの頭の中に思い起こされ、走馬灯のように駆け抜ける。平凡だったが決して今ほど辛くもなかった日々。それを思い出すうちに、レオの瞳に涙が浮かんできた。


「日本に来たとき、ダディは言ってたんだ。どんな人と話すときも、スマイルを忘れたら駄目だって。でも、ここでは僕のこと、気持ち悪いって言う人しかいない。僕が笑っても、みんな悪口言って逃げるだけ……」


「そうですか……。それは、さぞかし辛かったのでしょうね……」


「こんなことなら、日本になんて来なければよかった。僕もお姉ちゃんもダディのお母さんと……グランマと一緒に、アメリカに残ってればよかったんだ……!!」


 最後は泣きながら、レオは青年に向かって力いっぱい叫んだ。普段は感情を爆発させることさえもないレオだったが、今日は違う。本心をさらけ出してゆくうちに、自分でも気持ちが抑えきれなくなっているようだった。


「なるほど、わかりました。君は虐めっ子が憎い。でも、それ以上にお姉さんと一緒にいたい……。ならば、その願いを叶えるために、僕が力をあげましょう」


 青年がポケットからハンカチを取り出し、レオの涙をそっと拭った。


「今から僕の言う通りにすれば、君は大好きなお姉さんと、ずっと一緒にいられますよ。それこそ、誰も君を傷つけることない場所で、ずっとずっと永遠にね……」


「ほ、本当に!! 本当に、そんなことできるの!?」


「ええ、本当ですよ。それに、もしも君を虐めた人や、君が虐められているのを見て見ぬふりをして眺めていた人が、再び君やお姉さんを傷つけようとしたら……その時は、彼らからお姉さんを守るための力も与えましょう」


 ハンカチをポケットにしまい、青年がすっと立ち上がる。その闇よりも深い黒さを持った瞳に、いつしかレオは魂まで吸い込まれてしまったような感じになっていた。


 この青年の言っていることが、果たして本当かどうかはわからない。しかし、どうせ一度は死のうと思ったくらいなのだ。ここで騙されたとしても、別にこれ以上失うものがあるわけでもない。


 もう、レオの目に青年に対する疑いの色は存在していなかった。信用できる、できないの問題ではない。青年の全身から発せられている怪しい魅力。その力に、レオは今や完全に呑まれていた。


「ねえ、お兄さん……。お兄さんの名前、なんていうの?」


「名前、ですか……。これは失礼。どうやら名乗るのが遅れてしまったようですね」


 青年の影がぬっと伸びて、レオの脚元に絡みつく。普段であれば恐ろしくて逃げ出してしまうところだが、今のレオにはそんな気さえ起こらなかった。


「僕の名前は紫苑。真雁紫苑まかりしおんです……」


 青年が名乗るのと、その影がレオを包むのが同時だった。いつしか太陽は姿を消し、空は夜の帳に包まれている。そして、そんな宵の暗闇の下、レオの瞳には仄暗い光だけが宿っていた。


「……ニャオ」


 紫苑の脚元にいた黒猫が鳴き、風がゴウッと吹いた。緑色のフェンスがガタガタと揺れ、レオは何かに導かれるかのようにして、フェンスについている南京錠の前に立った。


 錠前にレオが手を伸ばすと、示し合わせたようにして鍵が外れた。南京錠はレオの脚元に転がり、フェンスの一部を切り出すようにして取り付けられた戸が開け放たれる。落下防止用フェンスの裏側、校舎に備え付けられたひさしの上に出るためのものだ。


 風が再び吹き、封印を解かれた戸にぶつかって揺らした。戸を抜けてひさしの上に立つと、レオは下さえも見ず、両手を大きく広げて前に出る。


 瞬間、ふわりとした滑落感がレオの全身を遅い、その身体は大地に吸い込まれるようにして落下した。その顔に、恐怖や躊躇いの色はない。今しがた泣いていたばかりだというのに、その瞳は人形のように生気を失っている。


 ドサッという乾いた音がして、レオの身体は固い校庭の大地に叩きつけられた。その身体は既に動くことはなく、絶命しているのは明らかだった。


 校庭に投げ出されたレオの身体に、青白い月の光が降り注ぐ。彼のいた屋上には、既に人の影もない。まるで最初からなにもいなかったかの如く、紫苑もマオも、その姿を完全に消していた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 紺野レオが亡くなったという事実が学校中に知れ渡ったのは、その翌日のことだった。昨晩、いつになっても帰って来ないレオのことを心配した両親が警察に届け出て、その流れで遺体が発見されたのである。


 その日は朝から学校中が大騒ぎで、授業もろくに行われないまま全員が午前中で家に帰された。まあ、学校の屋上から生徒が転落死したのであれば、悠長に授業などやっている場合ではないことは確かである。いかに勉強が遅れるからといって、人が一人亡くなった事実を無視してまで授業をするわけにはいかない。


 だが、それでも学校側の対応は、様々な人間から槍玉に挙げられることになった。屋上に生徒が簡単に侵入できたということも問題だったが、それ以上に、生徒が落下防止用フェンスの南京錠を外して転落したことが問題とされた。大方、鍵をしっかりかけていなかったのだろうとされ、学校側の管理体制を厳しく追及する声が上がった。


 その一方で、レオの死を自殺ではないかと指摘する者たちも現れた。主に地元のマスコミが中心だったが、学校側は≪生徒を自殺に追い込むような虐めの事実はない≫として譲らなかった。現に、遺書などが残されていなかったことからして、マスコミもそれ以上の追及はできないようだった。


 夕食時、自宅のテレビでぼんやりとニュースを眺めながら、晶は香帆とレオのことを考えた。


 レオが虐めを苦に自殺したこと。これは紛れもない事実のはずだ。一昨日の昼休み、レオが虐められていた現場は晶も目撃している。それに、香帆の話では、両親も虐めの事実を知っているはずだ。


 ところが、いざテレビのニュースを聞いて見るとどうだろう。学校はレオの死に対して何の説明もしていなかったし、テレビも必要以上に追及しているようには思えなかった。


 香帆の父や母も、レオが虐められているのは知っていたはずだ。それなのに、なぜ学校もテレビも虐めがあったことを言わないのだろうか。


 大人の都合など晶にはわからなかったが、少なくとも学校側が虐めの事実を握りつぶしたことくらいは晶にもわかった。晶は決して頭の良い方ではないが、その程度のことならなんとなくわかる。いつもは晶の悪戯を頭ごなしに叱る大人達の中にも、都合が悪くなると卑怯な手を使って逃げ出す者がいることくらいは知っている。


 ニュースの内容が別のものに変わったところで、晶はテレビのチャンネルを変えた。とくに見たい番組があるわけでもなかったが、レオの死を何の感情も込めずに淡々と放送しているアナウンサーの態度が、なぜだか無性に腹立たしく思えて仕方がなかった。


「ったく……。相変わらず、ろくな番組やってねえでやんの!!」


 適当にチャンネルを変えながら、晶は声に出して悪態をついた。もっとも、初めから見たい番組があったわけでもない。早々に諦めてテレビを消すと、二階にある自分の部屋へと戻って行く。


 二回の部屋は、兄の浩二とは別になっていた。小学生にして自分の部屋がもらえるというのは贅沢なことだが、今の晶にとってはどうでもよいことだった。


 明日は、学校の皆でレオの通夜に行くことになっている。自分とレオでは学年が違うため、晶達は香帆を見舞うような形で通夜に顔を出す意味合いが強い。


(どうせ、レオを虐めたやつらも通夜に行くんだろ……)


 心の中で呟いて、晶は机の上にあった消しゴムを投げた。消しゴムは窓に当たり、そのまま床に転がった。


 レオが虐められていたこと。それを知っている者は、実は意外に多いのではないか。レオを虐めていた連中はもとより、それを傍観していた者、クラスの担任、そして学校の校長。香帆の両親が学校に虐めの事実を告げたのであれば、かなりの人間が虐めについて知っていたはずだ。


 それにも関わらず、レオの死は事故と説明されていた。今日の学校でもそうだったし、テレビのニュースもそうだ。


 大人はずるくて汚い。そう思っても、今の晶にはどうすることもできなかった。変態四天王として悪名の名高い自分が騒いだところで、大人達はまともに取り合ってくれないだろう。それに、下手に騒げば香帆にも迷惑をかけてしまう。学校の先生から白い目で見られるのは、自分だけで十分だ。


「あーあ、情っけねえ。結局、俺にできることって、女子のスカートめくるくらいかよ……」


 椅子から立ち上がり、晶はそのまま自分のベッドに大の字になって倒れ込んだ。腕を頭の後ろに組み、なにをするとでもなく天井を見る。


 他人のために何かしたい。そんな気持ちになったのは、晶にとっては殆ど初めてのことだった。しかし、そんな自分の気持ちに反し、今の晶には他人のために、香帆のためにすべきことが見つからない。


 なんともやるせない気持ちのまま、晶は少しばかり汚れた自分の部屋の天井をじっと睨みつけていた。初めは苛立ちを隠せない様子でしかめ面をしていたが、徐々にその瞼が下へと落ちてゆく。学校がいつもより早く終わったにも関わらず、晶は自分でも気づかないうちに眠ってしまったのだ。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 それから数日は、晶にとって実に面白くない日が続いた。教室で大喧嘩をしてからというものの、佳樹達もそれ以上は晶に絡んで来ることはなかった。が、代わりに何か面白いことがあるわけでもなく、沈んだ気分も晴れないままだった。


 レオが亡くなってから、香帆は学校を休み続けていた。恐らく、ショックで勉強する気が起きないとのことなのだろうが、詳しい話は晶も知らない。様子を見に香帆の家まで行きたい気持ちもあったが、そこまでの勇気は晶にない。


「よう、晶。なにぼーっとしてんだよ」


「えっ……。ああ、なんだ、藤宮か」


「なんだってのはないだろ。折角こっちが遊びに誘ってんのにさ」


 昼休み、いつものように清や直己達が話しかけて来ても、晶は上の空だった。今は、仲間と一緒に馬鹿騒ぎをしたい気分ではない。自分でも気持ち悪いくらいにシリアスになっているのはわかったが、愛想笑いをして悪戯に出掛けるほどの元気もなかった。


「悪いな、藤宮。今日は、なんだかぼんやりしてたいんだよ」


「なんだ、それ? お前、卒業までに≪スカートめくり千回切り≫やるって言ってたじゃないか。あれ、忘れたのか?」


「そんなんじゃない。ただ、なんか最近、そういうことすんのが馬鹿らしくなっちゃってさ。正直、もう≪スカートめくり千回切り≫も、どうでもいいや……」


「なんだよ、晶。お前、そんなんじゃ≪パンチラハンター長瀬≫の名が泣くぞ。俺達変態四天王の筆頭が、自分から一抜けなんてするなよな」


 つれない態度の晶に、清は見るからに不服そうだった。それは直己も同じで、晶が一人で勝手に仲間を抜けようとしているのではないかと思ったのだろう。変態四天王と呼ばれ、同じ運命を共にしてきた者としては、今の晶の態度はどうにも納得がいかなかった。


「ねえ、晶君。もし、悪戯するのが駄目なんだったら、体育館でバスケでもしようよ。たまには僕達も、女子から逃げる以外に体を動かした方がいいと思うし……」


 最後まで晶に気を使ってくれたのは秀人だ。その体型からしてわかるように、秀人はお世辞にも運動が得意な方ではない。それでも彼は、晶をなんとかして誘おうと精一杯に言葉を選んだつもりだった。


 ところが、そんな秀人の気持ちさえ、今の晶には届かなかった。晶は面倒臭そうに手を振ると、「寒いから動きたくない」とだけ言って机の上に顔を埋めてしまった。


 清と直己、それに秀人は、互いに顔を見合せながら怪訝そうな目で晶を見る。今までは率先して女子のスカートをめくり、それ以外にも下らない、しかし彼らにとってはこの上なく面白い悪戯を考え、実行して来た晶。そんな晶がこうまで大人しくなってしまったことが、三人には信じられなかった。


「なあ、どうする……」


「仕方ねえよ……。今日は俺達だけで、なんか考えて遊ぼうぜ……」


 三人とも怒っているというよりは、むしろがっかりしている様子だった。だが、それ以上は晶にかける言葉も見つからず、三人はそのまま教室を去って行く。やがて、その足音が聞こえなくなったところで、晶は机に顔を伏せたまま考えた。 


(あいつらに、悪いことしちまったかな……。でも、どうしようもないよな、こうなったら……)


 自分でも、誰に何のために言い訳をしているのかわからない。それは、今まで一緒に悪戯を繰り返して来た仲間に対するものなのか。それとも、晶自身の中にある、良心のようなものに対してか。


 仲間を裏切るようなことはしたくない。今まではそう思っていたし、今もそれは同じだ。しかし、現に清や直己達と一緒に悪戯をするだけの元気はなく、秀人の気遣いも無駄にしてしまった。


(もう、≪火乃澤小変態四天王≫も解散なのかもしれねえな……)


 そんな考えが、ふと晶の頭をよぎる。確かに、これから中学生になるであろう自分達は、いつまでもスカートめくりで悪ふざけをしている場合ではないということくらい知っている。だからこそ、卒業前に一花咲かせてやろうと考えていたが、今はそれさえも馬鹿らしい。


 周りの空気に流されるままに、なんだか不完全燃焼のような形で変態四天王が解散する。どうにも煮え切らない部分はあったが、これが大人になるということなのだろうか。だとすれば、大人になるということは、案外とつまらないものなのかもしれない。そう、晶が考えたときだった。


「ねえ……」


 突然、晶の目の前で声がした。声の高さからして、清や直己達ではない。


 気だるそうに頭を起こしながら、晶は自分の目の前にいる相手を見た。瞬間、晶の顔から眠気が吹き飛び、その表情が驚いたときのそれに変わって行く。


「か、香帆……」


 そこにいたのは香帆だった。先日の通夜の際に見たときと同じで、どうにも元気はない。が、それでも晶にとって、香帆が学校に来たということだけでも嬉しかった。


「久しぶりだね、晶」


「あ、ああ……。それより、こんな時間にどうしたんだよ。もう、朝の授業は全部終わっちまったぜ」


「うん、わかってる。でも、お母さんが、どうしても学校に行かなきゃ駄目だって……。いつまでも悲しんでないで、ちゃんと勉強しなさいって言ったから」


「そっか……。まあ、無理はすんなよな」


 そう言ってやるのが、晶には精一杯だった。こんなとき、兄ならば気の利いた言葉の一つでもかけて、それから意中の女の子と急接近という展開になるのだろう。しかし、残念ながら晶はそこまで器用ではない。こと異性に関しては、その辺にいる同級生の男子よりもはるかに不器用だった。


 互いになにも言えないまま、時間だけが過ぎてゆく。いつもは短く感じられる休み時間が、今日に限って長く感じられてならない。周りには他の生徒も残っていたが、晶は一瞬、教室の中に自分と香帆しかいないのではないかと思ってしまったほどだった。


 時計の針が、刻一刻と時間を刻む。このままなにも言えないで、休み時間が終わるのを待つばかりなのか。そう思った晶だったが、意外にも沈黙を破ったのは香帆の方だった。


「ねえ、晶。ちょっと、聞いて欲しい話があるんだけどさ……」


「聞いて欲しい話? なんだよ、それ」


「こんな場所で話すのも、ちょっと気が引けるの。悪いけど、今から一緒に屋上に続く階段まで来てくれない?」


「屋上に続く階段って……どういうことだよ、香帆?」


 香帆のいきなりの申し出に、晶は自分の耳を疑った。


 屋上は、香帆の弟であるレオが飛び下りた場所だ。レオの死は香帆にとっても辛いことであり、香帆自身、未だそのショックから立ち直っていないはずである。


 そんな香帆が、晶をあえて屋上に誘う。その言葉が意味するものが、晶にはわからなかった。


「それじゃ、私について来て。早くしないと、休み時間が終わっちゃうからね」


 そう言うが早いか、香帆は晶の手を引いて教室を出る。途中、何人かの生徒がこちらを変な目で見ているのが気になったが、それでも晶は香帆の手を振り払おうとは思わなかった。


このままここで、香帆に冷たくしてしまえば、きっと香帆のことを傷つける。ただ、それが怖かった。


 晶達の教室からは、屋上へ続く階段まではすぐだった。もともと校舎の三階に教室があるため、六年生の教室は一番屋上に近い。


 屋上へ続く階段は、やはりというべきかうっすらと埃で汚れていた。毎日掃除をしているはずなのに、どうしてここまで埃がたまってしまうのか。歩く度に舞い上がる小さな埃が、晶にはどうにも気になって仕方がない。


「もう、この辺なら大丈夫ね」


 晶の手を離し、香帆が言った。心なしか緊張していたようで、その手はどこか暖かかった。香帆が手を離した今ならば、その温もりが残っているのがはっきりとわかる。


「なあ、香帆。いったい、どうしてこんな場所に来たんだよ。教室で話すんじゃ駄目だったのか?」


「うん、ちょっとね。あまり、人に聞かれたくない話だから……」


 どこか気まずそうにしながら、香帆は晶から一瞬だけ目を逸らした。


 レオの一件さえなければ、晶も香帆を茶化していたところだろう。それこそ、「これから愛の告白でもするつもりか?」などと言って、香帆の逆鱗に触れていたはずだ。


 しかし、そんな晶であっても、今の香帆を茶化したいとは思わなかった。体育館裏でした、香帆とのキス。周りに煽られて強引にさせられてしまったあれを思い出すと、余計なことを言って香帆を傷つけるのではないかという不安の方が大きかった。


「ところで、晶。あんた、この学校の七不思議みたいな話、詳しい?」


「な、なんだよ、急に。どうしてまた、こんな場所でそんなこと……」


「いいから答えて! 晶、そういう話に詳しくないの?」


「そうだなぁ……。まあ、詳しくないって言えば、嘘になるんだろうけどさ……」


 学校の七不思議。晶達の通う火乃澤第二小学校にも、そういった類の話はある。特に、この小学校には未だ取り壊されないで残されている旧校舎があるためか、小学生が喜びそうな怖い話には事欠かない。


 誰もいない音楽室で鳴り続けるピアノの音。深夜、学校の廊下を徘徊する人体模型。図工室に飾られたモナリザの模写が、夜になると抜け出して人を襲う話。他にもトイレの花子さんのような有名な話から、体育館に出るバスケットボール好きな少年の霊の話まで、有名な話は一通り揃っている。


 火乃澤第二小に伝わる七不思議。そんなものは聞いたこともなかったが、別に晶は気にも止めていなかった。そもそも、どこの誰が言い出したのかもわからない胡散臭い噂話。そんなものが、この小学校には十個以上も存在している。それこそ、仮に全部が本当の話だった場合、七不思議どころでは済まなくなってしまうのだ。


 屋上に続く階段で、学校に伝わる怪談話について語る。下らない洒落が頭を掠めたが、晶はそれ以上に、香帆がいきなりそんな話を始めたことが不思議だった。


「香帆……。お前、いったいなんで、そんな話を始めたんだ?」


「ちょっとね……。あんただったらそういった話、信じてくれる人かと思ってさ」


 そう言いながら、香帆は晶の前に二枚の鏡を取り出して見せた。青と赤。錦模様に彩られた外枠が印象的な、古びた小さな鏡である。


「晶は≪鏡さまの儀式≫って話、知ってるかな? この学校に伝わる、不思議な話みたいなんだけど……」


「≪鏡さまの儀式≫だって? そんなもの、聞いたこともないけどな」


「そっか……。まあ、別に構わないけどね。あんたが知らないって言うなら、私から話すだけだから」


「そ、そうか? でも、あんまりヤバい話だったら勘弁だぜ。後、≪この話を聞いた人は、誰かに話さないと呪われます≫っていうような話もごめんだからな」


「大丈夫よ、そんなこと。それに、鏡さまはお化けや幽霊っていうよりは、神様に近いものらしいから」


 必要以上に構えている晶に対し、香帆が軽く笑って言った。それを見て、晶も少しだけ緊張がほぐれたような気がしてきた。怪談話は好きな方ではなかったが、こちらが呪われるような話でなければ聞いてもよいだろう。


 こうなったら、香帆の話を最後まで聞いてやる。それで香帆の気が少しでも紛れるなら、晶としても本望だ。


 階段の踊り場で、香帆はゆっくりと話し出した。話の中身は当然のことならがら、先ほど香帆が言っていた≪鏡さまの儀式≫についてだ。大方、下らない怪談話の類だとは思っていたが、そんな晶の予想に反し、香帆の話は奇妙なリアリティを持っていた。


 深夜、丑三つ時と呼ばれる時刻に、旧校舎の東階段にある大鏡の前に立つ。その鏡の前で、古くから大切にされていた鏡を使って合わせ鏡をし、その間に自分が立つ。そうすると、大鏡に鏡さまの力が宿り、自分の会いたいと思う相手に一度だけ合わせてくれるのだという。


 傍から聞けば、なんと馬鹿馬鹿しい話だと思うことだろう。それこそ、学校の階段などによくある下らない噂話の類に過ぎない。使う道具こそ違っているが、大人の目からすれば、こっくりさんの仲間ということで大差はないだろう。


 全てを話し終えたとき、香帆は鏡のうちの一枚を晶に手渡した。青い錦模様に彩られた方の鏡を晶に押し付けるようにして渡し、香帆はその手の中に鏡をそっと握らせる。


「おい、香帆。なんだよ、この鏡……」


「なにって……鏡さまを呼び出すために使う鏡に決まってるでしょ。さっきの話、聞いてなかったの?」


「いや、確かに聞いてはいたけどさ……。でも、そんなのただの噂だろ? それとも香帆は、マジで信じてるのか?」


「うん、まあね。けど、一人で試すのは怖くってさ……。だから……その……あんたにも、手伝ってもらおうかと思ったんだけどね」


「手伝うって……まさか、夜中の旧校舎に忍び込もうってのか!?」


 自分でも、必要以上に声が大きくなっていると晶は思った。辺りに人がいないのが幸いだったが、ここが教室なら間違いなく人目をひいていた。


 だが、そんな晶の様子に反し、香帆はあくまで冷静だった。別に、最初から信じてくれなくても構わない。そういわんばかりの表情だった。


「別に、信じないなら信じないでいいけどね。ただ……私はあんたのこと、勇気がないやつだとは思ってないから。あの時だって……喧嘩には負けちゃったけど、一人でレオを助けようとしてくれたんだもの」


「そんなの関係ねえよ。俺はただ、自分のやりたいようにやっただけでさ……」


「でも、弱虫だったらそんなこともできないでしょ。とにかく、私は今日の夜、旧校舎の前で待ってるから。もし、私の話を信じる気になったら……その時は、ちゃんと時間通りに旧校舎に来なさいよね」


 そう言って、香帆は一人先に階段を駆け下りた。後に残された晶の手には、青い小さな鏡が静かに光を反射している。


 ふと窓の方を見ると、そこには厳重に封印が成されていた。きっと、レオの一件があってから、誰も屋上に入れないように封印を施したのだろう。


(香帆のやつ……いったい、なに考えてんだよ……)


 強引に押し付けられた鏡を片手に、踊り場に残された晶は心の中で呟いた。


 この数日で、香帆は変わってしまった。まだ小学生の晶には細かい変化などわからなかったが、少なくとも香帆の空気が変わったことだけは確かだった。


 気丈で負けん気が強く、自分の意見を躊躇うことなく口にする香帆。時に相手が男子であっても引かずに渡り合い、晶達が悪戯を仕掛けようものなら全力で反撃する。そんな香帆の姿は、少なくとも今日の様子からは感じられなかった。


 やはり、香帆にとって弟を失ったことが大きかったのだろう。そう思った晶は、香帆から渡された鏡を無造作にポケットの中にねじ込んだ。


 昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴り、晶も香帆の後を追うような形で階段を降りる。今しがた、香帆から聞いた話は頭に残っていたが、それでも晶は自分から旧校舎に向かおうとは思っていなかった。


 香帆は、きっと悲しくて混乱しているのだ。なんでもいいから気休めが欲しくて、それでこんな無茶苦茶な話をしたのだ。あの香帆が、自分の弟が死んだにも関わらず怪談のような話をするなど、晶には到底理解できない。


 本当なら、香帆を信じて夜の旧校舎に向かうべきなのだろう。しかし、妙なオカルト話を本気で信じ、自分を見失っているような香帆を見るのは嫌だった。


 別に、自分は行かなくてもいい。自分が行かなければ、香帆も旧校舎に忍び込むようなことはしないだろう。そうすれば、香帆が怒られることも、香帆を危険な目に遭わせることもない。


 悪ガキにしては珍しく、晶は実に真っ当なことを考えていた。だが、そんな自分の選択に後悔することになろうとは、このときの晶は夢にも思っていなかった。

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