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~ 参ノ刻   接吻 ~

「で……結局お前、紺野と一緒に上履き洗ってて遅刻したわけ?」


 その日の昼休み、晶にそう言いながら話しかけてきたのは清である。その横には直己や秀人の姿もあり、ここに晶が加わることで、≪火乃澤小変態四天王≫揃い踏みとなる。


「別にいいだろ。どっちにしろ、昨日はゲームのやり過ぎで寝坊しちまったからな。藤宮達と一緒に学校に行けなかったのは、悪かったと思ってるし」


「そんなこと、俺だって気にしてねえよ。それよりお前、あれから紺野と何かあったわけ?」


「何かって……なんだよ、それ?」


「とぼけんなって。お前、最近紺野と仲いいみたいじゃん。なんだかんだ言って、晶もその辺は抜け目ないよな」


「う、うるせえ! そんなこと、お前達に関係ないだろ!!」


 本当はそんなこと思っていないはずなのに、口からは常に反対の言葉が出てしまう。素直になれない自分のことをもどかしく思う晶だったが、ここは清達が悪いということにして頭を切り替える。


 そもそも晶と香帆は、清が言っているほど仲がいいわけではない。最近は色々とあって一緒に何かをすることもあったが、それでも清や直己達が考えているほどの仲というわけではない。


 ところが、そんな晶の考えなどお構いなしに、清達はそれぞれが勝手に晶と香帆の関係を想像していた。いや、この場合はむしろ、妄想と言った方が正しいか。晶が香帆に、えっちな悪戯をしている光景。そんなものを頭に浮かべながら、三人は締まりの無い表情で笑っていた。


「おい、晶。お前、香帆とどこまで行ったわけ? やっぱ、キスとかさせてもらったのか?」


 半ば昂奮しながら聞いてくるのは、メンバーの中でも最も下品な直己。考えたことが直ぐ顔に出るため、何を思っているのかもわかりやすい。


「いや、別に何もしてないぜ。そもそも、なんで俺が、香帆なんかとキスしなきゃならないんだよ」


「へえ……。どうやらこの調子だと、晶はまだ紺野の生チチも揉んでないみたいだな。今のところは我慢してやるけど……あまり待たせるようだったら、俺が最初にもらっちゃうからな」


「だから、俺と香帆はそんなんじゃないって言ってるだろ、藤宮! ってか、お前らいいかげんに、香帆でエロいこと考えるの止めろよ!!」


 目の前に両手を突き出して、何かを揉むようにしている清に向かい、晶はとうとう語気を荒げて怒鳴った。変態四天王の自分が言うのもなんだが、香帆だけは他の連中の毒牙にかけたくない。例え空想の中であっても、香帆が穢されるのは我慢できない。


「まあ、そう怒らないでよ、晶君。清君だって、半分は冗談で言ってるんだし。紺野さんのことが好きなんだったら、僕は最後まで応援するよ」


 怒りに我を忘れそうになる晶に、秀人が諭すような口調で言った。普段であれば、ここで晶も怒りを鎮めるところである。が、今回ばかりは秀人の言葉も、晶の怒りの炎に油を注ぐことにしかならなかった。


「応援なんていらねえよ! とにかく、俺と香帆の間には何にもないからな! 俺達は変態四天王だ。女子なんて、スカートめくって乳揉んで、それから浣腸かましてなんぼだろ!?」


「なんか、さっきと言ってることが違ってないか、晶? それだったら、俺達が紺野であれこれ妄想したって構わないだろ」


「う、うるせえ! 香帆は他の女子とは違うんだよ! あいつは……その……なんだ……。と、とにかく、香帆は俺達の獲物じゃねえ! それ以外の女子は、俺達の獲物! どうしても女子の胸触りたいんなら、藤宮も他のやつにやってくれよな!!」


 この場に親や先生がいたら、まず間違いなく殴られてしかるべきような言葉。半ばヤケクソになりながら、晶はそんなことを口走って教室を出た。


 いつもなら、昼休みは清や直己達と一緒に女子のスカートをめくりに行くところだが、今はそんな気も起きてこない。ただ、香帆との関係を仲間に勘ぐられたことで、自分でも意味がわからないままに頭に血が昇っていた。


(ちっくしょう……。香帆のことなんて、何とも思ってないはずなのに……どうして俺が、こんな目に遭わなきゃならないんだよ……)


 心の中で呟きつつ、晶はそのまま靴を履き変えて外に出る。無論、今しがた頭の中で言ったことは、全てが本音ではない。香帆のことが気になっていることは事実であり、それを認めたくない自分がいるだけだ。


 どちらにせよ、外の空気でも吸って気分を変えなければやっていられない。そう思った晶は靴を履き変えるなり、足早に校舎の裏へと走って行った。


 ザクザクと霜柱を踏み砕く音がして、晶は校舎裏にあるお気に入りの場所へとやってきた。季節を問わず、この場所には日が当らない。暗く湿った場所ではあったが、悪戯をしてクラスの女子や担任の先生から逃げるには好都合な場所でもあった。


 冷たい冬の空気が肌を刺激し、晶は徐々に自分の頭が冷静になってゆくのを感じていた。先ほど、清や直己に言ったことを思い出すと、それだけで恥ずかしくて背中が痒くなってくる。いったいなぜ、自分はあんなことを言ってしまったのか。後悔しても遅いということはわかっていたが、それでもなんだかやりきれない。


 自分は香帆のことが好きなのか。たぶん、それは間違いないのだろうと晶は思う。他の女子が清や直己に悪戯をされても平気だが、香帆が悪戯されるのは我慢できない。そういう風に思ってしまうのが、何よりの証拠だろう。


 ただ、そうは言っても晶には、それから先をどうしてよいのかわからなかった。自分の兄、長瀬浩二ながせこうじはその辺が上手く、現に高校に入ってから半年ほどして彼女もできた。もとよりモテる部類の人間だったため、放っておいても彼女ができたのは自然なのだろう。


 それに比べ、自分の方はどうだろうか。変態四天王の異名を持ち、日夜悪戯に励むどうしようもない悪ガキ。そんなやつ、好きになれと言われても無理だろう。


「はぁ……。藤宮達には悪いけど、そろそろ変態四天王も解散なのかもしれねえな……」


 小六にもなってスカートめくりなど続けていれば、女子から嫌われるというのはわかっている。しかし、ここで自分が変態四天王から抜けることは、この学校に入学したときから一緒に遊んで来た清や直己を裏切るような気がして嫌だった。


一番後から加わった秀人に対しても同様で、気のいい彼を残して自分だけ蚊帳の外に出るのは間違っているような気がした。宿題やゲームの攻略法など、秀人に助けられたことは晶もたくさんある。


 もっとも、今のような悪戯を繰り返していれば、香帆に嫌われることは間違いない。その上、中学に上がってまでスカートめくりをしようとは、さすがに晶も思わない。今は半分冗談で済んでいるが、中学では今のような悪戯をすることもできないだろう。


 友達のこと、気になる女の子のこと、それに卒業した後のこと。次から次へと悩みが浮かんできて、どうにも頭の整理がつかない。


 こんなとき、兄だったらどうするだろう。友達も多く、彼女もいて、おまけに高校の部活でも常にレギュラーに入っている浩二。不良っぽい格好をしているが、それでも根っからの悪ではない。そんな兄だったらば、もしかすると良い案を出してくれるかもしれない。


 今日、家に帰ったら、兄に相談してみよう。喧嘩をすることもあるが、それでも最後に頼りになるのは、やはり身内ということになる。


 頭の中の靄を振り払うようにして、晶はゆっくりと立ち上がった。冷えた石の上に座っていたので、少しばかり尻が冷たくなっている。


 もうじき昼休みも終わるころだ。そろそろ教室に戻らないと、また担任に怒られる。そう思って、晶がその場を離れようとしたときだった。


「ちょっと、止めなさいよ!!」


 突然、晶の耳に、聞き覚えのある声が飛び込んできた。自分に向けられて言われたのかと思い、晶は思わず後ろを振り向く。が、振り向いた先には誰もおらず、晶は顔をしかめながら声のした方へと歩を進めた。


 あの声は、間違いなく香帆のものだ。だが、そもそもなぜ、こんな場所で香帆の声がしたのだろう。


 別に隠れる必要などなかったが、それでも晶は足音を忍ばせながら進んで行った。校舎の裏手にある倉庫の影に隠れながら、そろそろと体育館の方へと歩いて行く。


(あれは……)


 体育館の裏まで来たとき、晶の目に香帆の姿が映った。しかし、そこにいたのは香帆だけではない。弟のレオを真ん中に、数人の生徒が彼を取り囲むようにして立っている。その中には、晶の知っている六年生の生徒達も混ざっていた。


(あいつら……確か、熊田に伊沢。それに、飯沼か……)


 四年や五年の生徒に混ざり、明らかにその場を取り仕切っているであろう三人の生徒。その三人は、晶と同級生でもある六年生だった。


 一番中央で腕を組み、仁王立ちのようにしてレオを睨みつけている眼鏡の少年。晶の隣のクラスにいる、頭が良いと評判の生徒、伊沢卓也いざわたくや。中学受験を考えているらしく、その頭の良さは晶などとは比べ物にならない。が、小学生にしては妙に慇懃な態度が鼻につき、晶にとっては苦手な相手の一人だった。


 そんな卓也の隣で、香帆を押さえつけているのは熊田佳樹くまだよしき。彼は晶と同じクラスの生徒だが、晶は佳樹のことも好きではなかった。


 自分の家が金持ちだからなのか、佳樹は極めて我侭で自己中心的な態度が目立つ生徒だった。些細なことですぐに頭に血を昇らせて暴力をふるうようなことも日常茶飯事で、晶達とは別の意味で先生から目をつけられている。しかも、ただキレやすいだけでなく、喧嘩そのものも強い。結果、気に入らないことがあれば暴力で相手を従わせる、典型的なガキ大将となっていた。


 もっとも、人望からクラスのリーダーになっているわけではないので、佳樹の行っているのは単なる恐怖政治に過ぎなかった。晶のクラスでは変態四天王の悪戯以上に佳樹の暴力が問題視され、担任の教師も頭を抱えているようだった。


 そして、最後に佳樹の後ろで冷ややかな目線をレオに送っているのが飯沼理緒いいぬまりお。彼女も晶と同じクラスの女子だったが、香帆とは違った意味で気が強かった。


 同じ気の強い女子でも、理緒と香帆ではまったく違う。香帆が変態四天王の悪戯に動じないような真っ直ぐさを持っているのだとすれば、理緒の気の強さは実に歪んだものだといえた。


 人から何かを注意されれば、決まって≪ウザイ≫か≪キモイ≫でしか返事をしない。どこか他人を見下しているような態度を常に取っており、特に自分よりも能力の劣っている者に対して小馬鹿にするようなことも平気でする。


 卓也に佳樹、それに理緒。晶の苦手な人間が、レオを取り囲むようにして集まっている。佳樹に押さえつけられている香帆が泣きそうな顔をしているところからして、どうやら香帆の言っていた虐めの現場に遭遇してしまったらしかった。


「おい、外国人。姉ちゃんを離してほしかったら、今から持ってくるものを残さず飲みな」


 普段、教師達に見せている品行方正そうな態度とはうって変わり、卓也がレオを睨みつけながら言った。そのまま下級生達に首で合図をすると、持ち込まれた洗面器のようなものをレオの前に突き出した。


「ほら、こいつを飲めよ。そうすれば、お前も姉ちゃんも、直ぐに教室に返してやるからさ」


 自分の前に差し出された物を見て、レオは何も言わなかった。無理もない。そこにあったのは、洗面器に入った青く濁った水。どこかの池から汲んで来たのか、それとも泥を混ぜてわざわざ作ったのか。どちらにせよ、そのまま飲んで腹を壊さないという保証はどこにもないような代物だ。


 自分の顔がぼんやりと映った水を眺めながら、レオは小声で何かを呟いた。日本語ではない。彼が家族と一緒のときに使う、アメリカで過ごしていた際に覚えた英語だった。


「おい、なに言ってんだよ、外国人。日本語で言わなきゃ、俺達にはわかんないぜ」


 洗面器を持ったまま動かないレオに、卓也が少し苛立った口調で凄んだ。


「無駄よ、伊沢君。そいつ、どうせまともな日本語なんて喋れないんだから。外国人の分際で、日本に来るなら日本語話せるようになってから来いっつーの!!」


 女子とは思えない乱暴な言葉を吐いているのは理緒だ。彼女もまた、一向に水を飲まないレオを見て苛立っている。そして、そんな二人の姿を見た佳樹は、片手で香帆を押さえつけたままポケットから工作用の鋏を取り出した。


「おい、お前。あんまりグズグズしていると、俺がお前の姉ちゃんの髪の毛切っちまうぞ」


 鋏の刃をちらつかせながら、佳樹もレオを挑発する。その言葉に、とうとう観念したのだろうか。レオは何かを呟くことをやめると、手にした洗面器に口をつけ、その中にある泥水を一気に飲み始めた。


「ちょっ……駄目よ、レオ! そんなもの飲むなんて、絶対に駄目!!」


 佳樹に押さえつけられたまま、香帆が暴れて叫んだ。しかし、なにしろ相手は自分よりも体格の良い少年だ。鋏を放り出して両手で抑えつけられれば、香帆はその腕から逃げることができない。


 青臭く、泥の匂いも混じった汚れた水を、レオは何も言わずに飲み続けた。その瞳からは涙が溢れていたが、それでもレオは水を飲むことを止めようとはしない。が、やはり洗面器いっぱいに注がれた水は量が多かったのか、途中でむせ返って水を口から吐き出した。


「うわっ! きったねえな、こいつ!!」


 洗面器を放り出して水を吐いたレオに、卓也が露骨に嫌悪の視線を向けて言った。自分から泥水を飲ませておきながら、なんということだろう。


 一度吐き出してしまうと、今まで我慢していた吐き気が物凄い勢いで込み上げてきた。レオはその場に膝をつき、嗚咽しながら腹の中に溜まった水を吐く。茶色い泥水に胃液が混ざってできた吐瀉物としゃぶつが、レオの足元に撒き散らされた。


 肩で息をしながら、自分の吐きだしたものを黙って見つめているレオ。そんな弟の姿に、香帆はもう我慢ができなかった。


「もう、いい加減にしてよ! どうして……どうして、こんな酷いことが平気でできるの!? レオが……私の弟が、あなた達に何かした!?」


 気がつくと、香帆の目にも涙が浮かんでいた。弟を守ると言っておきながら、数の暴力の前に何もできない自分。あまつさえ、弟を虐めるための材料に使われて、泥水を飲まされる弟の姿を見ていることしかできなかった事実。そのことが、香帆の心に大きな絶望感を抱かせていた。


「へっ……。何かした、だって? 別に、こいつは俺達に何もしてないさ」


「そ、それじゃあ、どうして……」


「決まってるじゃないか、そんなのは」


 感情のままに叫ぶ香帆に対し、卓也があくまで冷静な口調で答える。ずれた眼鏡の位置を直しながら言っているその姿は、どこか強者の余裕のようなものまで感じさせる。


「その辺を飛んでる虫けら。それから、こいつみたいな鈍臭いやつ……。そういう、生きていても何の役にも立たなそうな奴ってのはさ……」


 目の前で泥水を吐いているレオに向かい、卓也はつかつかと歩み寄った。そして、顔を上げたレオと目が合ったその一瞬、口元に残酷な笑みを浮かべながら、決定的な一言を放ったのだった。


「虐められるために生まれて来たって決まってんだよ!!」


 レオの頭に脚を乗せ、卓也がその頭を容赦なく踏みつける。自分の吐いた水の中に顔を叩きつけられるようにして、レオはその場にぐったりと倒れ込んだ。


 泥と胃液の匂いにまみれ、ぐしゃぐしゃになった顔のままレオは泣いた。泣きながら、またも英語で何やら口にしたが、その言葉は卓也達には届かなかった。


「まったく、本当に気持ち悪いやつだな。日本に来たら日本語を喋れって、何度言ったらわかるんだよ」


 一度は降ろした脚を振り上げて、卓也が再びレオの頭に狙いをつける。このままもう一度踏みつけて、更に痛い目に合わせるつもりなのだろう。


 覚悟を決めたのか、今度はレオも歯を食いしばり、卓也の暴力に耐えようと拳を握った。だが、そんなレオの予想に反し、卓也の脚がレオの頭を再び踏み抜くことはなかった。


 それは、時間にすればほんの一瞬のことだったのかもしれない。一瞬、風のようにして現れた何かが、卓也のことを殴り飛ばしていた。不意をつかれるような形で殴られ、卓也は受け身も取れないまま尻もちをつく。眼鏡こそ割れなかったものの、その頬は少しだけ赤く腫れ上がっていた。


「痛ってぇ……。お前……なんのつもりだよ!!」


 殴られた頬を抑え、ずれた眼鏡を直しながら、卓也が憎々しげな口調で言って立ち上がった。彼とレオの間に割って入った者。それは他でもない、卓也と同じ六年生の生徒だったのだから。


「なんのつもりだって!? そいつはこっちが聞きたいくらいだぜ、この眼鏡野郎!!」


 大勢を前にしてもまったく怯まず、卓也を殴った拳を握り締めたまま少年が叫んだ。レオの頭を再び踏みつけようとした卓也を止めたのは、先ほどから物陰で様子を窺っていた晶だった。


「あ、あんた……」


 佳樹に押さえつけられたまま、香帆も驚いた表情で晶を見た。レオが虐められていることは晶にも話したが、まさか助けに来てくれるとは思っていなかった。


「ごめん、香帆……。もっと早く、止めに来れればよかったんだけどさ」


 香帆の方は見ずに、殴った卓也の方を睨みつけたまま晶は答えた。


 本当は、自分一人で飛び込まないで、教師の一人や二人でも呼びに行けばよかったのかもしれない。しかし、その間に卓也や佳樹達がいなくなってしまわないとも限らず、気がつけばこうして飛び出していた。


 自分でも、どうしてこんなに熱くなっているのかが不思議だった。晶は悪ガキだが、暴力は決して好まない。喧嘩も強い方ではなく、逃げ脚の速さだけが自慢である。


 そんな晶だったが、それでも火がつくと止まらなかった。相手が何人であろうと関係ない。目の前で人が虐められているのを見て、黙っていられるほどお人好しではない。


 それから先は、晶にもなにがなんだかわからなかった。気がつけば、晶は何人もの生徒を相手に、たった一人で滅茶苦茶に喧嘩をしていた。同級生も下級生も、男も女も関係ない。香帆とレオを除き、その場にいる者全てを叩き潰す勢いで、最後はでたらめに噛みついたり引っ掻いたりもした。


 一人、二人と、晶に殴られたり蹴られたりした下級生が泣きだして、体育館の裏はにわかに大騒ぎとなった。しかし、それでも所詮はたった一人で暴れているに過ぎない。下級生が相手ならいざ知らず、同じ学年の生徒を相手に喧嘩をするには、晶はあまりにも弱過ぎた。


 香帆を離した佳樹が喧嘩に加わったことで、晶は一気に不利な状況に立たされた。両手、両足を押さえつけられ、四方からお返しとばかりに殴られた。それでも飽き足らなかったのか、佳樹は晶に脚をひっかけて転ばすと、動けない晶の腹を容赦なく蹴りつけた。


「おら、どうしたよ! さっきの威勢は見せかけか、この変態が!!」


 腹を抑えて動けなくなっている晶のことを、佳樹は何度も踏みつけた。見ると、他にも卓也を始めとした数人の男子が、晶のことを蹴っている。先ほど、晶に泣かされた下級生達も加わって、一方的に晶のことを痛めつけていた。


「やめてよ! もうやめて!!」


 目の前で繰り広げられる光景に、たまらず香帆が叫んだ。いくらなんでも、これ以上はやり過ぎだ。こんなものは喧嘩ではない。たった一人を大勢で叩きのめす、不当な暴力に他ならない。


「あ……香帆……」


 程なくして、佳樹達のリンチから解放され、晶はぼろ雑巾のようになった顔で香帆を見た。寝癖の残る髪はいつにも増してぼさぼさになり、顔にはそこら中に泥がついている。鼻からは豪快に鼻血を噴き出し、口の中も少しだけ切っているようだった。


「あーあ、情っけねえの。ま、所詮は小六にもなってスカートめくりしてる変態だしな。俺に勝とうなんて十年早いんだよ、この雑魚が!!」


 ぼろぼろになった頭を香帆に抱えられている晶を見て、佳樹が得意気に中指を立てて言った。あれだけ多数で、それも一方的に殴ったり蹴ったりしていながらなにを言うか。そう思って睨みつける香帆だったが、佳樹と卓也はまったく気にしていないようだった。


「おい、紺野。お前……弟や、この変態野郎のこと、助けて欲しいんだよな?」


 佳樹に続き、今度は卓也も前に出る。先ほど晶に不意打ちで殴られたこともあってか、復讐と言わんばかりに意地の悪い笑みを浮かべていた。


「もし、弟を虐めるのをやめて欲しいんだったらさ。お前が今から俺達の言う通りにすれば、手出ししないって約束してやるよ」


「言う通りって……な、なにさせるつもりよ、あんた達!!」


「心配すんなって。アメリカ帰りのお前には、別に難しいことじゃないさ」


 にやにやと、眼鏡の奥でいやらしい笑みを浮かべながら、卓也は香帆と晶を見比べながら言ってのけた。そして、近くにいた佳樹や理緒に目配せすると、再び香帆の方を向いて口を開いた。


「紺野……。お前……今からその変態にキスしな。そうしたら、お前の弟には手を出さないって約束してやるよ」


「なっ……ふざけないでよ! どうして私がそんなこと!!」


「へえ……。口では生意気なこと言ってながら、いざとなったら弟やクラスメイトを見捨てるってか? お前、とんだ偽善者だな」


「う、うるさいわね! そりゃ、レオを助けたいのは本当だけど……こんなこと、急に言われてできるわけないでしょ!!」


 晶の頭を膝に乗せたまま、それでも香帆は卓也に向かって怒鳴った。


 弟を助けたければ、目の前にいる男とキスをしろ。恐らく、これまでに香帆が知っている中でも、最も性質の悪い嫌がらせだ。アメリカにいたときにも陰湿ないじめを行う者はいたが、それでもここまで酷い虐めをする人間には会ったことがない。


 だが、それでも香帆は、今の状況から考えて、他に晶やレオを助ける方法が見つからなかった。ここで自分が卓也の言っていることを拒めば、彼らは再び晶を殴るかもしれない。それに、レオもこれから先、自分達が卒業するまではずっと虐められることになるだろう。


「本当に……」


 息を深く吸い込み、それを吐きだしながら、香帆は何かを決意したようにしてゆっくりと呟く。


「本当に……こいつにキスしたら、レオを虐めないのね」


「ああ、本当だ。わかったら、さっさとキスしろよ。アメリカ人ってやつは、挨拶代わりにキスすることだって普通なんだろ?」


 あくまで挑発するような態度で卓也が香帆を急かした。香帆はそれには取り合わず、膝の上に乗っている晶の頭にそっと手を伸ばす。


「や……やめろよ……香帆……。俺なんかとキスしたら……お前だって……」


「静かにしてよ。私だって……べ、別に好きでするわけじゃないんだから!!」


「でもさ……」


 そこまで言ったとき、側で見ていた佳樹が唐突に晶の股間を蹴り飛ばした。いきなり急所を蹴られたことで、晶が股の間を抑えて呻いた。


「おい、黙ってろよ変態。お前みたいな一生女にモテそうにないやつに、ちょっとはいい思いさせてやろうってんだからよ」


 やるなら早くしろ。そう言わんばかりの勢いで、佳樹は晶を横目に香帆に迫る。このまま何もしないでいれば、女子相手にも平気で手を上げそうだった。


「あっ、言っておくけどさ。額やほっぺたにキスしてお終いってのはなしだからな。やるならやるで、ちゃんと口にするんだぜ」


 佳樹につられ、卓也も香帆を煽りたてた。恐らくは、まだ本気で口と口をつけるキスなどもしたことのない年齢。そんな少女相手に言う言葉としては、この上なく残酷なものだった。


「動かないでよ、晶……。別に……こんなの、なんでもないんだから! いつも、パパとママがしてるのだって、私も見てるんだから!!」


 震える手で晶の頭を抑えながら、香帆は精一杯の強がりを言って晶の口元を見た。当然のことながら、口と口をつけるキスなど香帆もしたことがない。父と母が出掛けに軽くするのは見ていたが、香帆自身には経験がなかった。


 ごくりと唾を飲み込む音が、香帆の耳の奥で響いた。手は震え、気がつくと目頭には涙が溜まっている。それでも、ここで卓也達の言う通りにしなければ、レオや晶がもっと酷い目に遭わされる。


 目をつぶり、深く息を吸い込んでから、香帆は一気に晶の口に自分の唇を重ね合わせた。柔らかい、それでいて暖かいものが自分の口に触れたことで、一瞬だけ身体が震えるのがわかった。


 こんなときでなければ、香帆も相手のことを思ってキスができただろう。しかし、今はレオや晶を助けたい一心で、そんな余裕はどこにもなかった。


 唇を通して、晶の口元から血の味が伝わった。恐らく、佳樹にやられたときに切ったのだろう。自分の顔を抑えてキスをする香帆に晶は驚いた様子だったが、それでも香帆は晶を離さず、泣きながら口づけを続けていた。


「おうおう、よくやるよ。いくら弟を助けたいからって、あんな変態相手によくキスなんてできるよなあ」


 自分から煽っておきながら、卓也が周りに同意を求めるようにして口にした。それを聞いた他の生徒達も、互いに頷いて香帆と晶を嘲笑う。そして、その様子を脇から見ているだけだった理緒もまた、徐に携帯電話を取り出して香帆の前に立った。


「言っとくけど、まさか途中でやめたりはしないわよね。私達がいいって言うまで、あんたはその変態とキスしてなきゃだめだからね」


 そう言いながら、理緒は片手に持った携帯電話で晶とキスをしている香帆の写真を撮った。何枚も、何枚も、まるで舐めまわすようにして、様々な角度から写真を撮ってゆく。


 やがて、撮影にも満足したのか、理緒は携帯電話を折り畳んでポケットにしまった。そして、晶とキスを続ける香帆に軽蔑したような視線を送ると、一言だけ「もういいわよ」と言って目を逸らした。


 日の当らない体育館裏に、昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り響く。それを聞いた卓也や佳樹達は、げらげらと笑いながら晶や香帆の前から去って行った。


「香帆……。あのさ……」


 血と、それから香帆の唾液で濡れた唇を拭いて、晶は気まずそうに香帆を見た。成り行きとはいえ、香帆に自分とキスをさせてしまった事実。変態四天王の一員であるにも関わらず、晶はなぜか、とてつもなく申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「馬鹿! どうして一人で、あいつらに飛び込んだりしたのよ!! ちょっと考えれば勝てないってわかるのに、どうして!?」


「ご、ごめん。俺、なんか夢中でさ……。でも、そのせいで、香帆にあんなことさせちゃって……。ほんと、ごめん……」


「そうじゃないわよ! どうして負けるってわかってて、わざわざ喧嘩なんてしたのよ! あれだけカッコつけて負けちゃったら、ただの殴られ損じゃない!!」


 最後の方は、香帆は泣きながら口にしていた。そんな香帆の姿を見て、晶はますます自分の胸が締め付けられるような思いがしていた。


 殴られるくらいならいい。度が過ぎた悪戯をして親や先生に殴られることなど、晶にとっては日常茶飯事だ。兄の部屋にあったエロ本を黙って拝借したり、彼女との関係を茶化したりして殴られたこともあった。


 それに比べ、香帆がさせられたことは、ある意味では殴られる以上に残酷なことだった。女の子の、それも恐らくは初めてであろうキスを、こともあろうか他人に命令される形で失わせられたのだから。


 自分の軽率な行動が恨めしかった。自分の弱さが憎たらしかった。香帆のことが好きだと気づいたのに、その矢先にこの体たらくだ。スポーツもできて彼女もいる、兄の浩二とは大違い。格好いいところなんて一つもない。


 既に始業の鐘は鳴っていたが、晶は教室に戻ろうとは思わなかった。身体が汚れた上に怪我をしているというのもそうだったが、泣いている香帆と、どうしてよいのかわからずにうろたえているレオを、この場に置いておくことはどうしてもできなかった。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 晶と香帆の日常が一変したのは、晶がレオの虐めの現場に乱入した翌日のことだった。


 その日、晶はいつものように、清や直己、それに秀人と一緒に学校に向かった。昨日は寝坊をしてしまったが、今日はその心配もない。いつもの如く変態四天王揃い踏みで、下らない冗談を交わしながら登校した。


 昨日、卓也や佳樹と喧嘩をしたことは、他の三人には黙っていた。喧嘩に負けたことを話すのも恥ずかしかったし、香帆とのことも言いたくはなかった。教師に対してもそれは同じで、晶は両親にも担任にも、昨日のことを告げ口することはしなかった。


 香帆は、レオの虐めについて、きっと両親と先生がなんとかしてくれると思っていたはずだ。そうでなければ、レオが虐められていることに気づいた時点で、誰かに話したりはしないはずである。


 しかし、実際には親や教師の力などまったく及ばずに、レオは虐められ続けてしまった。香帆の両親が担任の教師に相談した矢先に、あそこまで酷い虐めを受けたのだから話にならない。


 虐めの事実を密告したことがバレて、余計に虐められるようになったのか。それとも、教師達が単に香帆の両親からの報告を握りつぶしただけなのか。どちらにしても、晶には納得のいかない話だった。


 確かにレオは不器用で、常識に欠ける部分もある。変態四天王の自分が言うのもなんだが、香帆から話を聞くまでは、晶もレオのことをあまり良く思っていなかった。


 もっとも、それだからといって、レオを虐めてよいという理由になりはしない。晶も悪戯はするが、あそこまで悪意のこもった虐めはしたためしがない。


 なんとなく苛々とした様子で、晶は教室のドアを開けた。昨日のことがあるだけに、佳樹とはなるべく関わり合いたくない。香帆に対しても同様で、どうにも合わせる顔がないような気がしていた。


 教室の扉を開け、晶達はぞろぞろと中へ入る。瞬間、周りの空気が凍りついたように静まり返り、その場にいた全員が晶を見た。


「おっ! 変態夫婦の旦那の方が御到着だぜ!!」


 教室の中央で、茶化すようにして叫んだのは佳樹だ。何事かと思い佳樹の方を見ると、佳樹は前を見ろと言わんばかりに、晶に目配せして首を動かした。


「げっ! な、なんだよ、これは!?」


 そこにあったものを見て、晶は思わず声を上げた。教室の黒板にチョークで大きく描かれたのは、自分と香帆の名前が入った相合傘。ご丁寧に、赤のチョークで無数のハートマークまで描かれている。


 これだけならば、ほんの他愛もない悪戯で済んだ話だろう。だが、晶にとって最悪だったのは、その相合傘に合わせて貼ってある一枚の写真だった。


 安物の紙に、パソコンのプリンターで印刷したと思しき大きな写真。そこに映っていたのは、他でもない晶と香帆だ。昨日、理緒が撮っていた二人のキスシーン。それを拡大したものが、こともあろうか教室の黒板に貼られていた。


「てめえ……なんのつもりだ、熊田!!」


 昨日のことが頭に蘇り、晶が顔を真っ赤にして叫んだ。


 自分が馬鹿にされるのは慣れている。変態四天王などと呼ばれて女子から目の敵にされているため、この程度のことでは動じない。


 だが、その馬鹿にされる対象に、香帆が入ったとなれば話は別だった。ましてや、香帆は無理やりに晶とキスをさせられたようなもの。それをまとめて変態扱いされるのは、いくら晶でも許せなかった。


「おうおう、朝から熱いじゃねえか。ここは早速、昨日みたいに俺達の前で、ラブラブなキスシーンを披露してくれないとな!!」


 晶が怒っているにも関わらず、佳樹は更に挑発するような台詞を口にする。ふと、晶が横を見ると、教室の隅では香帆が小さくなったまま俯いていた。周りから送られる、好奇と偏見の眼差し。何も知らないクラスメイトから向けられるそれに、必死に耐えているようだった。


「この野郎……。変態扱いしたいんなら、俺を馬鹿にすればいいじゃねえか! 香帆は関係ないだろう!!」


 自分だけでなく、それ以上に香帆が貶められている。その事実を知ったとき、晶の中で何かがはじけた。


 自分も清も、それに直己も秀人も、どうしようもない馬鹿だと思う。その上、小学生にしてはかなりスケベな方だ。が、所詮はそこまでである。


 今、目の前にいる佳樹は、晶から見てもはっきりと下衆だとわかった。自分より弱い者を虐げ、気に入らなければ暴力に訴え、人を人とも思わない。これが自分と同じ小学生かと思うと、それだけで吐き気が込み上げてきそうだった。


「てめえ、もう許さねえ! こんなもん、お前達が無理やりやらせただけじゃないか!!」


 そう言うが早いか、晶は黒板に貼ってあった写真を剥がし取り、それをびりびりに破いて棄てた。それを見た佳樹が慌てて止めようとしたが、もう遅い。晶は引き裂いた写真をその場に放り捨て、佳樹と組み合う形で教室の床に転がった。


「熊田! 今日という今日は、絶対にお前をぶっ飛ばす!!」


「ふざけんな、この変態が! 変態は変態らしく、女の尻でも追っかけてろ!!」


「うるせえ! お前が香帆にさせたこと、地獄で後悔させてやる!!」


 早朝の教室に、机と椅子のひっくり返るけたたましい音が響く。女子の悲鳴があちこちから聞こえ、朝の教室は一瞬にして晶と佳樹が殴り合う喧嘩の場所と化した。


 晶と比べ、佳樹は身体も大きく喧嘩も強い。普段であれば晶の方が一目散に逃げ出すのだろうが、今日に限っては晶も負ける気はなかった。


 互いにつかみあったまま、晶と佳樹は殴る蹴るの応酬を繰り返した。時に、晶の方が押されそうになるものの、それでも晶はめげなかった。顔を殴られ、腹を蹴られても、決して倒れることなく佳樹に向かっていった。


「こいつ……! いいかげん、しつっこいんだよ!!」


 佳樹の拳が、再び晶の顔面に炸裂する。避けようと思ったが、到底間に合うものではない。が、しかし、晶は殴られながらも腰に力を入れて踏ん張ると、お返しとばかりに佳樹の股間を力いっぱい蹴りあげた。


「ぎゃっ!!」


 急所を蹴られ、佳樹が思わず交代する。さすがの佳樹も股間を蹴られてはたまらない。たまらず晶から離れたところで、ようやく担任の教師が教室に現れた。


「まあ、これはいったい何の騒ぎ!?」


 滅茶苦茶になった教室を見て、担任が甲高い声を上げた。教師が来たことで周りの生徒も幾分か落ち着きを取り戻したのか、慌てて晶と佳樹を止めに入る。それぞれの腕を数人がかりで押さえつけることによって、なんとか二人の喧嘩を止めさせることには成功した。


「まったく……こんな朝から喧嘩なんて、いったい何があったって言うの!?」


 担任の冷ややかな目が、晶と佳樹に向けられる。いつも問題ばかり起こしている二人なだけに、教師の視線は最初から厳しかった。


 理由はなんであれ、喧嘩をして教室を滅茶苦茶にしてしまったのには違いない。これから担任に説教されることが晶には不満だったが、それはそれで仕方がない。少なくとも昨日とは違い、佳樹に一糸は報いることができた。そう、晶が思ったときだった。


「てめえ……ぶっ殺してやる!!」


 今まで大人しく押さえつけられていた佳樹が、突然元に戻って暴れ出した。不意を突かれ、佳樹を押さえていた生徒達も、彼の腕を離してしまう。そして、佳樹は自由になった手で教卓の上に置いてある鉛筆削りをつかむと、それを晶の頭目掛けて大きく振り下ろした。


 ガッ、という鈍い音と共に、教室に再び悲鳴が響き渡る。受け身も取れない状態で鉛筆削りによる重たい一撃を受け、晶が低くうめいて頭を押さえた。


「やめなさい、熊田君! もう、喧嘩は終わったはずでしょう!?」


 佳樹の凶行を目の当たりにし、担任が慌ててその手から鉛筆削りをひったくった。さすがに佳樹も担任には逆らわなかったが、それでも佳樹の一撃を受けた晶の方は床にうずくまり、その頭からは一滴の赤い血を流していた。

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