54.通信機材
少し、まどろんでいると、車が停車した。
ドアを開けながら、アイリスが言う。
「到着いたしました」
本社ビルに来るのはこれで二度目だが、夜のビルは昼間よりも不気味に見えた。
「倉庫は地下になります」
アイリスはエレベーターホールへ向かいながらそう告げた。
*
地下の倉庫に入ると、シルバーの髪と深いブルーの瞳が印象的なロボット・ヴィガが立っていた。
「フジワラさま、お待ちしておりました。当該のマシンはこちらになります。技師を別室に待たせておりますが、いかがいたしましょう?」
「ヴィガ、ありがとう。この穴の開いた紙の情報を解読したいのだけど」
私がそう言うと、アイリスがヴィガに紙を手渡した。
「承りました。応接室でお待ちください」
ヴィガは恭しく頭を下げた。
私はアイリスに案内され、応接室に入った。
大きなグレーのソファーがゆったりと配置され、木彫の家具が落ち着いた雰囲気を漂わせている。
腰を下ろすと、シャオに似た形のロボットが紅茶とサンドイッチを銀のトレイに載せて運んできた。
「え?」サンドイッチに驚いてアイリスを振り返る。
「前回の食事から七時間以上経過しておりますので」
「あぁ、そうなんだ。そう言えばお腹、空いてるかも」
思わず小さく笑ってしまい、サンドイッチを口に頬張った。
あっという間に平らげ、紅茶をすすっていると――
部屋のスピーカーからヴィガの声が響いた。
「フジワラさま、データの解析が終了しました。モニターをつけてもよろしいでしょうか」
「ええ、お願い」
壁が一面のモニターへと変化した。
そこに映し出されたのは、とうに定年を迎えたであろう老齢の技師の姿だった。
「フジワラさま、この度はカリーム博士からのデータ通信を解読する栄誉に預かり……この老体は感動で震えております」
目を潤ませながら、彼はそう言った。




