41.再会
私は走ってエマの家へ向かった。
ちょうど彼女が家の門を出たところに、息を切らせながら追いついた。
「エマさん」
彼女はゆっくり振り返り、柔らかく微笑む。
「あら、お久しぶりね」
「ええ、お久しぶりです。お元気でしたか?」――なぜか、私はそう尋ねていた。
「少し風邪をひいていたの。今はもう大丈夫よ」
「それは良かった。あの、少しお時間いただけますか?お話ししたくて」
「何かしら?歩きながらでよければ」
そう言って、エマは道を下り始めた。
「どこかへお急ぎなんですか?」
「ええ、フェリーの時間があるの」
「どこ行きのフェリーですか?」
「違う街へ向かうのよ」
「そこで何をするんです?……犬の置物って、何なんですか?」
矢継ぎ早に問いかけると、エマは立ち止まり、振り返って私をじっと見た。
「犬の置物?何のことかしら?」
「荷物を犬の死体の置物に差し替える仕事をしてるって、前におっしゃいましたよね」
「そんなこと、言ったかしら?」
彼女はとぼけている様子もなく、本当に知らないように答えた。
二人はやがて、フェリーの泊まる船乗り場へ到着した。
緩やに登る傾斜の細長い廊下を、エマはためらいなく歩いていく。
ポケットのスマートフォンが震えていたが、それどころではなかった。私はエマを追い、問いかけ続ける。
「これまでのあなたのすべての行動は、恋人であるリチャード・モリス博士を助けるためにやっているんでしょう?」
「ええ。彼を助けられるのなら、私は何でもするわ。手段は選ばない」
エマは、まっすぐ前を見据えてそう言った。
「スマートウェアの生産の妨害のようなことをしているのはなぜ?今は、スマートウェアは完成して、第二世界から来た私たちがこちらの人と一緒にいても、健康被害は防げるようになっています!
……あなたが亡くなった後に、ようやく」
廊下の先、フェリーと連結する場所に差し掛かる。私は立ち止まり、エマを見つめた。
「乗らないの?」
エマはフェリーのデッキから、私にそう言った。




