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ホワイトな異世界  作者: tomsugar


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40/77

40.核心

「現在の経営陣が許可してくれるのであれば、ぜひAIの解析をさせてもらいたい」

そう告げるカリーム博士に、ケンは「一度持ち帰って、経営者会議で承認を問います」と答え、通信は一旦終了した。


「……ボルゾイ」

私は呟いた。情報の処理が追いつかず、しばらく呆然と立ち尽くす。


ケンが口を開く。

「“犬の置物”とは、初期のスマートウェアを指している可能性が出てきたね」

「偽物のスマートウェアと差し替えて、データを盗んでいる……?」

「その可能性を考えてもいいかもしれない」


ユスフ・カリーム博士との対話は、会社の公式記録をいくらにらんでいても見えてこなかった答えを、一瞬で照らし出した。

もし博士が工場に来て、直接調べてくれることがあれば――。


期待と不安、その両方が心をかき乱した。


早く、エマを探し出さないといけない。


私は、焦燥感に駆られていた。カリーム博士が来る前に。なぜか、そう感じていた。


終業後、休日、時間の許す限り私は街に出てエマを探し続けた。


エマはこの街にもう居ないのかもしれない。そんな感覚に囚われ始めた頃、ケンの言葉を思い出した。


ー強くイメージすれば、その場所に辿り着けるー

ケンはそう言っていた。あのエマが幸せそうに微笑んでいた庭先をイメージして、私はバスに乗った。


以前エマが降りたバス停が現れた。

バスを降りると同時に、ポケットのスマホが震えた。


《エマ・ヘミングウェイが家に現れました》

アイリスからの通知だった。

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