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ダイアモンドクラス  作者: 優里
朔也のパートナー

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89/96

孤独な探し物





翌日、学園内の廊下で、宝来悠斗は優里とすれ違った。


優里は、悠斗を無視して通り過ぎようとしたが、

悠斗は優里の前に立ちはだかった。


「オマエ、プラチナの生徒と親密になっているという噂が流れているぞ」


悠斗は、優里に、美月が流した偽りの情報を告げた。

しかし、優里は、悠斗の言葉を冷ややかに受け止めた。


「私に、彼氏を作って遊んでいる暇があるとでも言いたいんですか?」


優里は、悠斗の言葉に、心底呆れていた。


宝来悠斗からのちょっかいなど

どうでもよくなるくらい、

優里は、遥香への想いを胸に、孤独な戦いを続けていた。


現在の優里にとって、悠斗の言葉は、

ただの悪意に満ちた、

つまらない嫌がらせでしかなかった。


悠斗は、優里の冷たい反応に一瞬、言葉を失った。


てっきり優里がこの噂に動揺し、

自分の立場を必死に否定するものだと思っていた。


しかし、優里の目には、恐れや焦りはなく、

ただ呆れと軽蔑が浮かんでいるだけ。


まるで、彼の言葉が、

優里にとって取るに足らない、

つまらない雑音であるかのように。


悠斗は、優里の変わった様子に気づいた。


以前の優里なら、この種の嫌がらせに深く傷つき、

心を閉ざしていたはず。


しかし、今の優里からは、

そんな脆さが感じられない。


(何があったんだ……?)


悠斗は、優里の背中を見つめながら、

内心で焦りを感じていた。


彼の計画は、優里の心を少しずつ蝕み、

彼女を孤立させるはずだった。


しかし、今の優里は、孤立しているのではなく、

自ら周りのすべてを拒絶しているように見えた。


優里が予想外に強くなったことに、悠斗は新たな危機感を覚えました。彼は、より巧妙で直接的な方法で優里を追い詰める必要があると判断しました。


優里の冷たい反応に、悠斗は、

今までの計画が通用しないことを悟った。


彼は、急いで美月の元へ向かい、

事態の再検討を促した。


「美月、これまでのやり方ではダメだ」


「…は?なんで?」


美月は、優里が自分の罠にはまり、

孤独と絶望に陥っていると信じていたため、

悠斗の言葉を最初は信じようとしなかった。


「悠斗、あの子はもう、完全に孤立しているわ。これ以上、何をすればいいの?」


美月は、いらだちを隠せない様子。


「優里の心を壊すことばかり考えていたのが、間違いだった」


「優里の心を折るのではなく、優里の居場所を、すべて奪うんだ」


悠斗は、美月に、

より直接的で、悪質な計画を提案した。


「まずは単なる書類の凍結ではなく、優里が過去に獲得したすべての実績や賞が、不正な手段で得られたものだという偽りの証拠を捏造する。これにより、優里のプラチナ昇格を完全に不可能に追い込み、彼女の評価を根底から失墜させる。」


「あと、問題は遥香だ。ダイアモンドのナンバーワンである遥香が優里のそばにいることは厄介だ。遥香に優里の「致命的な弱点」を吹き込み、遥香自身に優里を疑わせる。二人の間に確実な亀裂を生じさせる。」


美月は、悠斗の提案に、悪意に満ちた笑みを浮かべた。


「面白くなってきたわ、悠斗」


二人の新たな陰謀は、優里と遥香を、

さらなる困難へと導くことになる。


悠斗は、優里への精神攻撃が通用しないことを悟り、

より巧妙な罠を仕掛けることを決意した。


その矛先は、優里の唯一の心の支えである遥香に向けられた。


悠斗は、遥香と二人きりになる機会を見計らい、

優里の「致命的な弱点」に関する偽りの情報を吹き込んだ。


「遥香、優里がブロンズにいるのは、過去に誰かを陥れて、その立場を奪ったからだという噂がある」


悠斗は、直接的に優里を悪く言うのではなく、

あくまで「噂」として、遥香に告げた。


「優里は、ダイアモンドである君の優しさに甘えているだけだ。君が抱えている孤独や重圧を、理解しているふりをしているだけだ。優里は、自分の利益のためなら、誰かを犠牲にすることも厭わないような、影の部分を持っているのかもしれない」


「そんな噂、信じるわけがない」


遥香は、悠斗をまっすぐに見つめ、

毅然とした態度で言い放つ。


「優里は、誰かを犠牲にするような人じゃない。自分の利益のためなら、誰かを犠牲にすることも厭わないのは……」


遥香は、そこまで言うと、悠斗から視線を外し、

鋭い言葉で続けた。


「優里のブロンズランクを維持させるために、優里の昇格審査を凍結させた、あなたたちのことでしょ?」


遥香の言葉に、悠斗は驚きを隠せなかった。


遥香が、自分たちの陰謀に気づいていたことに、

悠斗は、言葉を失った。


遥香は、悠斗の凍り付いた表情をまっすぐに見つめ、

優里の心の叫びを代弁するかのように、

力強く言い放った。


「優里は、あなたたちのせいで忙しいんだから、もう放っておいてあげて」


遥香の言葉は、悠斗の心の奥底に突き刺さった。


遥香が自分たちの陰謀をただ知っているだけでなく、

優里がそのせいでどれほど苦しんでいるかまで

理解していることに、驚きと焦りを感じていた。


「優里を守るつもりか? 君の力で、この学園のルールを変えられるとでも思っているのか?」


悠斗は、遥香の優しさに付け込むかのように、

冷酷な言葉を続けた。


「君が優里をかばえばかばうほど、優里は、君の影でしか生きられなくなる。それでもいいのか?」


「ブロンズをかばうと、ダイアモンドの権力にひびが入るぞ」


悠斗は、遥香の優しさを利用し、

遥香の行動が学園の秩序を乱すと警告した。


「特定の生徒だけを特別扱いしていると、他のランクから反感を買う。ダイアモンドの権力は、君が思っているほど盤石じゃない」


遥香は、優里を守るという強い決意を胸に、

悠斗の言葉に怯むことなく反論した。


「他のランクから反感を買うような状況にしているのは、あなたたちでしょ」


「ブロンズの生徒を不当に陥れ、優里の昇格を妨害しているのは誰? 私は、優里を特別扱いしているわけじゃない。ただ、優里が不当な扱いを受けているから、守ろうとしているだけ」


遥香の反論に、悠斗は言葉を失ったが、

すぐに悪意に満ちた笑みを浮かべた。


遥香が自分たちの陰謀に気づいたことで、

もはや隠れて画策する必要はないと判断したのだ。


「面白い。君がそこまで言うのなら、受けて立とうじゃないか」


悠斗は、美月と共に新たな反撃の計画を練り直した。


彼らの次の標的は、優里ではなく、

優里を守ろうとする遥香そのものになった。


悠斗は、遥香が優里を特別扱いしているという事実を、

学園内で公に広めることを決めた。


彼は、学園の掲示板やSNSを使い、

巧妙な言葉で情報を拡散した。


「ダイアモンドの遥香は、ブロンズの優里を特別扱いしている。これは、学園のルールに違反するのではないか?」


悠斗は、遥香が優里をかばい、

ブロンズの生徒である優里を優遇している証拠として、

二人が一緒にいる写真や、

遥香が優里を助けている場面の目撃情報を、匿名で投稿した。


この情報は、学園内を瞬く間に駆け巡り、

生徒たちの間に大きな波紋を広げた。


多くの生徒は、

遥香が掲げてきた「公平性」という原則が

偽りだったのではないかと、疑いの目を向け始めた。


「遥香は、自分の個人的な感情で、学園の秩序を乱している」


「ダイアモンドの権力は、やはり自分たちの都合のいいように使われるのか」


生徒たちの間では、遥香に対する失望の声が上がり始めた。


遥香の信用は、失墜の危機に瀕していた。


遥香に対する信用失墜の噂は、

ダイアモンドメンバー内にも波及していた。


日向朔也は、遥香の元へと駆けつけ、不安げな表情で告げた。


「遥香……このままだと、ダイアモンドの権力が揺らいでしまう」


朔也は、遥香が優里をかばうことで、

学園全体の秩序が乱れることを恐れていた。


「違う。優里をこの泥沼に巻き込んでしまったのは、私たちでしょ」


遥香は、優里の心を動かすために、

ダイアモンドメンバーが優里に干渉したことが、

美月と悠斗の罠に繋がってしまったことを、痛感していた。


「私たちは、優里を守るべき存在なのに、優里を一番傷つけてしまった。だから、優里の孤独と絶望を、私たちが、この手で終わらせなければならない」


遥香は、優里を守るために、

ダイアモンドの権力を失うことも厭わないという、

強い覚悟を決めていた。


一方の優里は、遥香との屋上での時間によって、

心の傷が少し癒えていた。


しかし、遥香が自分のために、

宝来悠斗たちと対立していることなど、知る由もなかった。


優里は、遥香に救われたことへの感謝と、

自分のせいで

遥香に迷惑をかけているかもしれないという不安を抱えながら、

一人で学園内を歩いていた。


優里は、遥香に会って、

自分の気持ちを伝えたいと思っていた。


(遥香様は、今、どこにいるんだろう……)


優里は、ダイアモンドラウンジへ向かった。


しかし、ラウンジのなかは、重く不穏な空気が漂っていた。


優里は、ラウンジの扉を開けることができなかった。




遥香に会いたい。


でも、自分のせいで、

遥香が苦しんでいるのではないか。


という不安が、優里の足を止めていた。


優里は、学園内をさまよい、遥香を探していた。






優里が一人、学園の廊下をさまよっていると、

遥香が優里を見つけ、そっと声をかけた。


遥香の表情は、先ほど朔也と対峙していたときの険しさとは違い、

優里を心配する優しいまなざしだった。


「優里、探したよ」


遥香は、優里の不安な気持ちを察し、

優里の頬を両手で包み込むと、優しく微笑んだ。


「大丈夫だよ。何も心配しないで。私は、いつも優里のそばにいるから」


遥香の温かい言葉と、穏やかな瞳に、

優里の心に安らぎを与えた。


優里は、遥香が自分のことで

辛い思いをしているのではないかという不安を、一旦忘れた。


遥香の無償の愛に触れ、優里は、

遥香が自分をただただ守ってくれているのだと、

改めて確信した。


そして、優里は、ある決意をした。


「これ以上、遥香様に迷惑をかけたくない」


優里は、もう一人で頑張るのではなく、

遥香の愛に応えるために、

遥香と共に困難に立ち向かうことを決意した。


優里は、遥香の優しさに甘えるのではなく、

遥香の隣にふさわしい、

強く、自立した自分になることを誓ったのだ。




一方の美月は、遥香が優里をかばうことで、

遥香自身が不利な立場に追い込まれるような罠を仕掛けた。


その罠は、遥香の最大の強みである

「公平性」を逆手に取った、悪質極まりないもの。


美月は、優里が遥香から不正な援助を受けていたという

偽の証拠を作り上げた。


具体的には、優里の成績が不自然に

上昇したかのように見せかける偽の成績表のデータや、

遥香が優里に高価な品物を贈ったかのような

偽の領収書を作成した。


さらに、二人の親密な会話を盗聴したかのような記録を捏造し、

それを匿名で生徒会とダイアモンドクラスの評議会に提出した。


この報告は、学園内に大きな波紋を広げた。


遥香は、優里を助けようとしたことで、

不正を働いたという疑いをかけられ、

ダイアモンドクラスのリーダーとしての立場が危うくなる。



その噂は瞬く間に学園内を駆け巡る。


優里は、自分のせいで遥香が窮地に立たされていることを知り、

深い絶望と罪悪感に苛まれた。


遥香に迷惑をかけたくないという優里の決意は、

再び揺らぎ始めていた。


遥香が美月と悠斗の罠にはまってしまったのは、

自分を守ろうとしてくれたからだと、優里は理解していた。


「遥香様……」


優里は、自分の決意が再び揺らいでいることを自覚しながらも、

いてもたってもいられず、ダイアモンドラウンジへと走った。


優里は、ダイアモンドメンバーたちに、

自分が何とかしなければならないと、

必死に訴えようとしていた。




ラウンジの扉を勢いよく開けると、

そこには、日向朔也たち、

ダイアモンドメンバーたちがいた。


「皆さん、遥香様は……?」


優里は、息を切らしながら、遥香の安否を尋ねた。


しかし、ダイアモンドメンバーたちの表情は、

優里が去った時の、不穏な空気のまま。


「遥香は……今、評議会に呼ばれている」


朔也は、重い口調で、優里に告げた。


遥香は、美月が捏造した不正の証拠について、

評議会で弁明を求められているのだ。


優里は、日向朔也の言葉に、愕然とした。


「評議会は厳戒態勢だ。優里が行っても、何もできない」


朔也は、優里の身を案じ、優里を止めようとした。


しかし、優里は、遥香が自分を守るために、

一人で戦っていることを知っていた。


「そんな……私が原因なのに、私が何もできないなんて……」


優里は、悔しさと無力感に苛まれていた。


「遥香様の隣にふさわしい、自立した自分になるって、決めたんです」


優里は、そう言って、朔也をまっすぐに見つめた。


優里の決意の言葉を聞いた日向朔也は、

優里の覚悟を認めながらも、厳しい現実を突きつけた。


「優里の覚悟は素晴らしいと思う」


朔也は、そう言って、優里のまっすぐな瞳を見つめた。


しかし、朔也の表情は、

優里を心配する、複雑な感情に満ちていた。


「だが、優里、誰が遥香をこんな目に合わせたんだ?」


朔也の言葉は、優里の胸に、深く突き刺さる。


優里は、遥香が窮地に立たされているのは、

自分のせいだということを、改めて突きつけられた。


優里は、何も言い返すことができなかった。


優里は、自分の決意が、

遥香を救うことには繋がらないかもしれないという、

深い絶望に打ちのめされていた。


「朔也、優里は悪くない」


悠は、そう言って、優里の身を案じた。


「すべては、私が始めたことだ。私が、いじめられていた優里に目をかけ、遊び半分でダイアモンドのパートナーにしたのが、すべての始まりだったんだ」



悠の言葉は、優里が、ダイアモンドメンバーたちにとって、

遊び半分の存在でしかなかったという残酷な事実を突きつけた。




「私が……私が、全部終わらせます」


優里は、そう言って、

日向朔也とのパートナーバッジを、静かに外した。


バッジを外した優里の表情は、

どこか諦めにも似た、虚ろなものになっていた。


そして、優里は、一枚の紙を取り出し、そこにサインをした。


それは、退学届。


優里は、この学園から、そして、遥香から、

すべてを断ち切り、去っていくことを決意した。


しかし、真佑と悠が、必死に優里を止めようとした。


「優里、行かないで!」「優里、やめてくれ!」


二人の悲痛な叫び声が、ダイヤモンドラウンジに響き渡った。


しかし、優里は、真佑と悠の言葉に耳を傾けることなく、

静かに、そして、悲しい表情で告げた。


「私のせいで……皆を巻き込んでしまった。その責任は、私にあります」


。優里は、自分の存在が、

遥香やダイアモンドメンバーたちを

苦しめているのだと、思い込んでいた。







優里が退学届にサインをしてから数時間後、

遥香が評議会から戻ってきた。


真佑は、遥香の無事を心配し、

急いで遥香の元へと駆け寄った。


「遥香!大丈夫だった?評議会で何かあったの?」


真佑の問いかけに、遥香は、

どこか疲れたような表情で答えた。


「心配ないよ。ただの事情聴取だった。私が不正を働いたと疑われているわけじゃない」


遥香の言葉は、

ダイアモンドメンバーたちの心を、安堵させた。


しかし、遥香の心は、決して穏やかではなかった。


遥香は、評議会での事情聴取を通して、

美月と悠斗の悪意が、

自分たちを追い詰めるために仕組まれた、

巧妙な罠であったことを、改めて痛感していた。


遥香は、優里の身を案じ、優里を探した。


しかし、優里の姿は、もうすでにどこにもなかった。


どれだけさがしてもみつからないその姿。


遥香は、ダイアモンドラウンジに

優里の姿がないことに気づき、胸騒ぎを覚えた。


遥香は、真佑に優里の行方を尋ねた。


「優里は……どこに行ったの?」


真佑は、言葉に詰まった。


「…ででったぞ」


日向朔也が、重い口調で、

優里がこの数時間の間に、退学届にサインをしたこと、

そして、朔也とのパートナーバッジを

外して去っていったことを、遥香に告げた。


「優里は、自分たちのせいで皆を巻き込んでしまったと……その責任は自分にあると言って、ここを出ていったんだ」


遥香は、朔也の言葉に、信じられないという表情を浮かべた。


遥香は、自分が評議会で戦っている間に、

優里が一人で、深い絶望と孤独に

打ちのめされていたことを知った。


「優里……!」


遥香は、優里の身を案じ、

優里を探すために、ラウンジを飛び出した。


遥香は、優里がどこへ行ったのか、

そして、優里の心を、どうすれば救い出せるのか、

必死に考えていた。



遥香は、校内を走り回りながら

どんなに探してもみつからない

その姿を思い浮かべながら

優里がどこへ向かったのか、必死に考えた。



一か八か…。

優里が最も安らぎを感じた場所、

二人の思い出が詰まった屋上へと向かった。


屋上には、一人でフェンスにもたれかかり、

空を見つめる優里の姿があった。


優里の頬には、涙の跡が残っていた。




(やっと、みつけた…!)


遥香は、優里にそっと近づき、

優しく声をかけた。


「優里……お願いだから、行かないで」


優里は、遥香の声に振り返ると、

悲しげに首を横に振った。



いつものように喜ぶこともない。


自分をみても、飛びついてくることもない。


「遥香様……私のことは、もう放っておいてください。私のせいで、遥香様が苦しむのは、もう嫌なんです」


優里は、遥香の優しさに甘えることが、

遥香を傷つけることになると信じ込んでいた。



遥香は、優里の言葉を否定するように、

優里の体を両手で包み込むように抱きしめた。


「違う。優里が私から離れていくことが、一番私を傷つけるんだよ」


「優里がブロンズだろうと、ダイアモンドだろうと、そんなことは関係ない。お父さんの言葉も、すべて忘れて。私にとって、優里という存在が、この世界にいるだけで、私は幸せなんだよ」


遥香は、優里への無償の愛を、

優里の心に届けるように、力強く語りかけた。


遥香の愛に触れ、優里は、自分が独りではないこと、

そして、自分の存在が誰かを幸せにしていることを知った。



遥香の温かい言葉に、

心が満たされていくのを感じていた優里だが、

優里の心は、再び揺らぎ始めていた。



ダイアモンドでもない

自分の存在が遥香を危険に晒すわけにはいかないと、

強く感じていたからだ。


優里は、遥香の温かい抱擁から身を離すと、

涙を流しながらも、まっすぐな瞳で遥香を見つめ、

悲痛な言葉を告げた。


「遥香様……私、遥香様とは、一緒にいられません」


遥香は、優里の突然の言葉に、

信じられないという表情を浮かべた。


「どうして……?」


「遥香様の隣にいる限り、遥香様は、美月さんと悠斗から、ずっと狙われ続ける。遥香様が私から離れてくれれば、もう誰も、遥香様を傷つけることはできない」


優里は、遥香を守るために、

自分一人で、この困難を背負うことを決意した。


優里は、遥香の手を静かに離すと、

遥香に背を向け、学園から去っていった。


その背中は、遥香を守るという、悲しい決意に満ちていた。



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