表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイアモンドクラス  作者: 優里
シルバーへの昇格

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/96

新たな提案





宝来優里と日向朔也の

新たなパートナーシップが結ばれ、



優里の心には一抹の安堵が広がっていた。

しかし、彼女の心には、

篠原悠とのパートナーシップを解消したことで、

学園の他の生徒たちがどのように

認識するのかという不安が残っていた。


特に、デマを流された優里にとって、

その関係性の変化が

新たな憶測を呼ぶのではないかという

懸念が拭えなかった。


優里のそうした不安を察した朔也は、

彼女を安心させるように、ゆっくりと語りかけた。


「優里、心配しなくて大丈夫だよ」


朔也は優里の目を見て、穏やかに続けた。


「この学園のパートナー制度は、ダイアモンドラウンジへの入室権という、実質的な意味合いが強い。ダイアモンド以外の生徒は、誰が誰の正式なパートナーなのか、そこまで逐一把握しているわけじゃないんだ」


彼は、優里の不安を理解しつつ、

現実的な側面を説明した。


「そもそも、ダイアモンドメンバーと他の階級の生徒が、日常的に一緒にいることなんて稀だ。ラウンジの外で、僕たちが君と悠がパートナーだと積極的に公言しているわけでもない」


そして、核心を突く言葉を告げた。


「だから、君が悠とのパートナーを解消して、形式上、僕とパートナー関係を結んだとしても、ダイアモンド以外の人間は、そもそも誰が誰のパートナーなのか知ることはできない。彼らは、君が悠とパートナーを解消したなんて、微塵も思わないよ。大丈夫だ」


朔也の言葉は、優里の胸にすとんと落ちていきた。


確かに、ダイアモンドメンバーと

他の生徒たちとの間には、目に見えない壁がある。


彼らが、ダイアモンドメンバーの

私的な関係性まで深掘りして知ることはない。


それは、優里がこれまで

学園の底辺にいたからこそ、

深く理解している事実だった。


朔也は、優里が表面的な関係の変化によって、

再びデマや憶測の対象になることを

防ごうとしていた。


彼の言葉は、優里に、

表面上の形式が

必ずしも外界に伝わるわけではないという、

この学園特有の「盲点」を示し、

彼女の不安を和らげた。


優里は、朔也の配慮に感謝し、

改めて彼の優しさを感じていた。



日向朔也の言葉は、

宝来優里の胸に安堵をもたらすと同時に、

新たな申し訳なさを生み出した。



自分が遥香のそばにいるために、

そして安全な居場所を確保するために、

朔也にまで気を遣わせ、

偽りのパートナー関係を

結ばせてしまったという罪悪感だった。



優里は、朔也の優しい気遣いに感謝しながらも、

顔を伏せ、消え入りそうな声で告げた。


「朔也さん……私、自分のせいで、朔也さんまで巻き込んでしまって、本当に申し訳ありません」


彼女の瞳は潤み、その声は震えていた。


遥香の誤解、そして自分の身に降りかかった

災難のせいで、

ダイアモンドメンバーである

朔也にまで負担をかけてしまったという思いが、

優里の心を締め付けていた。


彼女は、常に自分の存在が

誰かの迷惑になっているのではないかと

考えてしまう、自己肯定感の低い状態にあった。




朔也は、優里のその反応に、

優しく微笑んだ。


彼は優里のそうした

自己犠牲的な性格を理解しており、

彼女が抱える罪悪感を和らげようとした。


彼は、優里がまた自分を責めていることを察し、

その誤解を解き、彼女を安心させようとした。


「優里、そんなこと言うな。謝る必要なんて、全くないんだ」


朔也は、優里の潤んだ瞳を真っ直ぐに見つめ、

優しく、きっぱりと言葉を続けた。


「僕が君のパートナーになったのは、君が『邪魔だ』とか『迷惑だ』とか、そんな理由からじゃない。むしろ、君が必要だと思ったからだ」


彼は、優里がダイアモンドラウンジにいること、

そして彼女の純粋な存在が、

自分たちにとっても大切であることを伝えようとした。


「君は、遥香にとっても、悠にとっても、そして僕たちダイアモンドメンバーにとっても、必要な存在なんだ。君がいてくれるからこそ、僕たちは君を守りたいと思うし、君を守ることで、僕たち自身の力も試される。だから、これは君を『巻き込んだ』んじゃない。僕たちが、君を守りたかったんだ」


朔也の言葉は、

優里の自己犠牲的な考えを優しく否定し、

彼女が周囲にとって

「迷惑」などではないことを

伝えようとするものだった。


彼は、優里が自己肯定感を持ち、

自分自身の価値を認めることができるように、

温かい言葉を選んだ。


日向朔也の温かくも力強い言葉は、

宝来優里の心に深く染み渡たった。


「君が必要だと思ったからだ」

「君を守りたかったんだ」

という言葉は、

これまで常に自分を責めてきた優里にとって、

予想もしない、何よりも求めていた救いだった。



優里は、朔也の言葉が、

表面的な慰めではなく、

心からの本音であることを感じ取っていた。


「朔也さん……」


優里は、震える声で朔也の名を呼んだ。


彼女は、こんなにも真っ直ぐに、

自分を必要だと言ってくれる存在がいたことに、

深い感動を覚えていた。



朔也と鷹城玲司、

篠原悠、山下遥香、

田村真佑、向井渉。


彼らは、優里がこの学園に来てから

初めて得た、本当の「味方」だった。



彼らが自分を「巻き込んだ」のではなく、

「守ろうとしてくれた」という朔也の言葉は、

優里の自己肯定感を少しずつ、

確実に築き上げていった。



優里の心の中には、まだ恐怖の影が残されていたが、

それでも、彼女の瞳には、

以前のような絶望の色は消え、

代わりに、感謝と、

そして自分も彼らのために何かをしたいという、

新たな覚悟の光が灯り始めていた。



もう二度と「いつものことだから」と諦めたりしない。


この温かい居場所を守るために、

自分も強くなろうと、心に誓った。



宝来優里の回復と、

日向朔也との新たなパートナーシップは、

鳳凰学院、

特にダイアモンドクラスに、

確かな変化の波紋を広げていくことになる。



篠原悠は、

優里が朔也とのパートナーシップを受け入れ、

心の回復に向かうことで、

優里への後悔と彼女を守るという決意をさらに強める。


彼にとって優里はもはや「ゲームの駒」ではなく、

守るべき大切な存在であり、

彼の行動はより明確な目的意識を持つことになる。


悠と優里の関係は、形式上は朔也に譲られたが、

二人の間に生まれた特別な絆は変わらず、

悠の心の中で優里の存在は一層大きなものとなる。



遥香は、優里が朔也とパートナーになったことで、

自身の悠への恋心という誤解をさらに強める。


彼女は、優里が悠を気遣って身を引いたのだと解釈し、

優里の「犠牲」を無駄にしないためにも、

悠へのアプローチを強化しようとする。


遥香の心は、優里への愛情と、

悠への「恋心」という錯覚の間で、

より一層複雑な葛藤を抱えることになる。



朔也は、優里の公的なパートナーとして、

彼女の安全と精神的なケアに全力を注ぐ。


彼は悠から優里を引き継いだ身として、

優里のケアと

ダイアモンドメンバーのナンバー2として

活躍する一方で、

優里と遥香、悠の間の感情的な板挟みという、

非常にデリケートな役割を担うことになる。


彼の冷静さと優しさが、

この複雑な状況を乗り越える鍵となっていく。



鷹城玲司は、優里の真実の告白を受け、

優里が経験したような悪質なデマや

いじめが二度と起こらないよう、行動していく。



真佑は、変わらず優里に寄り添い、

彼女の心のケアに努める。


彼女の存在は、

ダイアモンドラウンジにおける感情的な緩衝材となり、

優里が安心して回復できる環境を提供し続ける。



ゴールドの生徒たちへの無期限停学処分、

そして向井渉への厳重な監視という処分は、

学園全体に大きな衝撃を与えていた。


これにより、

ダイアモンドクラスの権力と影響力への注目が、

かつてないほど高まっていく。


今回の事件とダイアモンドの介入は、

学園のヒエラルキーに潜在的な

余波を生み出していた。


ゴールドやプラチナといった

上位階級の生徒たちの間には、

動揺と警戒感が広がった。


生徒たちは、無責任な

情報拡散がもたらす深刻な結果を

目の当たりにし、

その利用方法を再考せざるを得なくなる。






ある日のダイアモンドラウンジに

衝撃が走った日のことだった。


優里が悠のパートナーから、

朔也のパートナーになることが、

ラウンジ内で発表された。


遥香は、その報せを耳にした瞬間、

手に持っていたティーカップを

危うく落としそうになった。


彼女の顔は、いつもの完璧な無表情を保っていたが、

その瞳の奥には、動揺と、

得体の知れない感情が渦巻いていた。



(朔也…? どうして…)


遥香の心は、激しく揺れ動いていた。


優里は、遥香が誰よりも大切にしている、

唯一の存在。


その優里が、遥香の知らないところで、

朔也とパートナーになった。


それは、遥香の心の奥底に眠っていた、

優里への独占欲を激しく揺さぶるものだった。




その日の午後、

ダイアモンドラウンジにいた優里をみつけ、

遥香は、平静を装いながら、

優里が座っているソファへと向かった。


「優里」


遥香の声は、いつもの冷たい響きだったが、

その言葉には、優里にしかわからない、

微かな震えが混じっていた。


優里は、遥香の視線から逃れるように、

顔を伏せたまま、震える声で答えた。


「…遥香様」


「何があったの? どうして、朔也のパートナーになったの?」


遥香の問いかけは、優里の心を深く抉った。


優里は、遥香に真実を話すことができなかった。


遥香の想いを邪魔したくないという気持ち、

遥香を巻き込みたくないという、

優里の強い思いが、優里の口を閉ざさせていた。


「…私のような者が、悠様のような方の隣にいるのは、分不相応でしたから…」


優里の言葉は、遥香の心をさらに冷たくさせた。


遥香は、優里が、

自分を卑下する言葉を口にするたびに、

胸が締め付けられるような痛みを感じていた。


「悠はダメで、朔也ならいいの?」


遥香は優里に疑問を投げかける。


それもそうだ。

朔也は遥香に次ぐ、

ダイアモンドのナンバー2の存在だ。


ふらふらして、

ミステリアスだった悠とは違い、

朔也はダイアモンドメンバーの

リーダー格的な存在。


朔也とのパートナー関係をやめて

悠とパートナーを結ぶというならまだしも、

今回のケースはその逆だ。


優里は遥香の盲点ともいえる疑問に

顔を伏せて答えられなかった。


「優里は…」


遥香は、優里の頬に、そっと手を添えた。


「…私の隣にいるべきだった」


遥香の言葉は、優里の心を温かく包み込んだ。


しかし、その言葉は、優里をさらに苦しめた。


優里は、遥香の優しさに触れ、

遥香への深い憧れと、

そして、遥香の恋心を

邪魔したくない想いへの、

深い罪悪感に苛まれていた。




遥香の悠への恋心という誤解は、

宝来優里と日向朔也の

新たなパートナーシップによって、

さらに強固なものとなった。


遥香は、優里が悠との関係を

「解消」し、

朔也とパートナーになったことを、

優里自身の自己犠牲だと解釈していた。


その健気さに心を打たれる一方で、

遥香は「優里の犠牲を無駄にしまい」

という使命感から、

悠へのアプローチをより積極的に行い始める。





ある日の午後、

悠が資料に目を通していると、

遥香がそっと紅茶を差し出した。


「悠、少し休んだらどう? そんなに集中してばかりだと、疲れてしまうよ」


その言葉は、まるで恋人が

パートナーを気遣うような親密さを含んでいた。



「女王様のほうが忙しいのに、急にどうしたんだい?」


悠は首を傾げた。


優里が朔也とパートナーになったことで、

遥香は優里への「嫉妬」から解放されたと信じていたが、

無意識のうちに優里をみていた。


「女王様は、僕よりも、ほかにお気に入りの”おもちゃ”が、いるんじゃないのかい?」


悠はニヤッと告げた。


悠の言葉に、遥香は困惑した表情を浮かべた。


朔也のパートナーとなった優里は、

離れた席からその様子を静かに見つめていた。




この異様な光景に、

ダイアモンドメンバーたちは戸惑いを隠せないでいた。


「おい、遥香様、どうしたんだ? 悠にアプローチしているように見えるが…」


朔也が、隣に座る朔に、小声で問いかけた。


「さあな。だが、遥香様は、優里のことが…」


朔は、朔也の言葉に、意味深な言葉を返した。


その時、遥香は、

悠に、さらに大胆な言葉を投げかけた。


「悠。優里のことが、好きでしょ? 優里のような、純粋な心を持った子は、きっとあなたの心を癒してくれるよ」


遥香の言葉に、悠は驚き、固まった。


「頭でも打ったの?」


悠は、優里の方をちらりと見た。


優里は、遥香の言葉に、静かに微笑んだ。


その微笑みは、遥香の心をさらに苦しめた。


遥香は、悠斗へのアプローチを続けた。


しかし、それは、

遥香の感情の誤解だった。


その様子を見ていたダイアモンドメンバーたちは、

遥香の複雑な心境を理解していた。


朔也は、遥香の優しさと、

そして、優里への深い愛情に、

胸を締め付けられるような思いがしていた。







ある日も、

遥香は悠との関係を深めていた。


遥香は、自身の感情について、

誰かに相談することはこれまでなかった。


しかし、最近、真佑に対して、

遠回しな形で「恋愛感情」について

尋ねることが増えていた。



「ねぇ、真佑」


「なぁ~に?」


真佑は紅茶を飲みながら首を傾げる。


「もし、大切な人が、他の人に心を傾けていたら、どうするべきだと思う?」


遥香は珍しく、抽象的な質問を投げかけた。


「やだぁ~、いきなり恋愛相談?」


真佑は笑っていた。


「…真佑。私…どうしたらいいのか、わからないの」


遥香の声は、震えていた。


真佑は、遥香の言葉に、驚きを隠せないでいた。


幼稚園の頃から、ずっと一緒にいた。


そんな遥香が、恋愛のことで、自分に相談してくる。


それは、真佑にとって、初めてのことだった。


「…遥香が、そんな風になるなんて。一体、何があったの?」


真佑の声は、優しかった。



「…私、悠のことが、好きなんだと思う」


遥香は、そう言って、うつむいた。


優里が悠のパートナーだったとき、

優里と悠が楽しそうに話している姿を見て、

遥香は、嫉妬の感情を抱いた。


遥香は、その感情が、

悠への恋心だと、誤解をしていた。


「でも…優里が、悠のパートナーじゃなくなって、朔也とパートナーになってから、なんだか、心が…」


遥香の言葉は、そこで途切れた。


優里が、遥香のために、悠の元から離れた。


そのことを、遥香は知っていた。


しかし、遥香は、その優里の行動が、

さらに遥香を苦しめていた。


優里が、遥香の幸せを願って、

身を引いてくれた。


その事実に、遥香は、

さらに悠への恋心を、

深く信じ込んでしまった。


「…私、どうしたら、悠の心を掴めるのかな…」


遥香は、そう言って、真佑を見つめた。


真佑は、遥香の言葉に、困惑していた。


遥香が、悠を好きだという。


しかし、真佑は、遥香の言葉の裏に隠された、

本当の気持ちを、見抜いていた。


真佑は、遥香の心を、誰よりも理解していた。


真佑は、遥香の心が、

悠ではなく、

他の人を求めていることを知っていた。


遥香のこれらの行動は、

彼女が自身の感情を

「悠への恋心」だと強く信じ込んでいるがゆえに、

誤解を深めていく。


「遥香、本当に悠が好き?」


真佑の声は、優しくも鋭かった。


真佑は、遥香が自分の気持ちを

理解できていないことを知っていた。


「どういうこと? 私は…悠と優里が仲良くしているのを見て、胸が苦しかった。だから、私は…悠が好きなんだよ」


遥香は、自分の気持ちを肯定するように、言った。


しかし、真佑は、遥香の言葉を信じなかった。


「遥香が本当に苦しかったのは、悠が優里と一緒にいることなのかな…? 優里が悠斗と一緒にいること…ではなくて?。」


「どういうこと?」


遥香は首を傾げて混乱していた。


「遥香は、悠が好きだから悠の隣にいたいの? それとも、悠のそばにいる優里の隣にいたいんじゃない?。」


真佑の言葉は、遥香の心を深く揺さぶった。


「…そんなはず…ない」


遥香は、震える声で否定した。


真佑は、遥香の手を優しく握りしめた。


「遥香が本当に好きなのは、誰なの?」


真佑の言葉は、遥香の心を、

温かく、優しく包み込んだ。






一方、悠は、

遥香がこれまで以上に自分に話しかけたり、

個人的な気遣いを

見せたりすることに気づいていた。


しかし、彼の頭の中は、

優里を傷つけた者たちへの報復という

「ゲーム」のことで一杯だった。


優里が朔也のパートナーとなった以上、

自分は報復に専念することができる。


悠は遥香の気持ちに気づくはずもなく、

報復という「ゲーム」に夢中になっていた。



遥香の積極的な行動は、

遥香が優里の件で心を痛め、

ダイアモンドクラスのリーダーで

この学園の女王様として、

より積極的に事態の収拾と

再発防止に取り組んでいるのだと認識していた。


悠は、遥香が

学園の秩序を重んじる女王であるため、

今回の事件をきっかけに

自分との連携を

強化しようとしているのだと捉えていた。


それに、遥香が優里を

深く気にかけていることは

悠も理解していたため、

遥香が自分に接近するのは、

優里の回復や今後の学園生活について、

より密に連携を取ろうとしているのだと考えていた。


悠は遥香の行動を、

彼女自身の個人的な感情、

特に恋心として捉えることはなかった。


彼は、感情の機微に疎い部分があり、

特に恋愛感情については、

自身の「ゲーム」の範疇外として認識していなかった。


そのため、遥香の過剰な気遣いや

独占欲の表れにも、気づくことなく、

自身の計画を着々と進めていっていた。





一方、優里は遥香の行動の変化に、

痛いほど気づいていた。



優里は、遥香が悠に話しかける時の表情、

声のトーン、

そして遥香が他の生徒と

話す時に見せるわずかな表情の変化から、

遥香が悠に深く惹かれていることを確信してしまった。


遥香が悠に接近する姿を見るたびに、

優里の胸は締め付けられた。


遥香の幸せを願うあまり、

自分が悠の隣にいることが、

遥香の恋路の邪魔になっているのではないか

という思いを一層強くしていた

優里にとって、


朔也とのパートナーシップを結んだことで、

形式上は悠から離れたものの、

優里の心の中では、

遥香の幸せのために

自分はもっと身を引くべきだという

自己犠牲の感情が、芽生え始めていた。


優里は、遥香の恋心が表面化するほど、

優里の心は痛み、彼女の表情には、

時折、複雑な影が差すようになっていた。



優里が学園の女王様である遥香に

不用意に近づけるはずもなく、

遥香の一挙手一動を見つめることが日課だった。


むしろ、優里にできる

最大限の遥香に近づきたい心の表れだった。






ある日、遥香は悠はラウンジの窓際で

楽しそうに談笑していた。


その様子を、優里は静かに見つめていた。


遥香はいつも通りの気品ある微笑みを浮かべていたが、

その瞳の奥には、優里にしかわからない、

特別な光が宿っていた。



優里は、遥香が悠斗に好意を寄せていることを悟り、

心臓が締め付けられるような痛みを感じた。


優里は、その場で立ち尽くし、

遥香と悠斗の会話に耳を傾けていた。



遥香の声は、優里の心をさらに深く傷つけた。


優里は、遥香の幸せを願っていた。


しかし、遥香が悠に想いを寄せていることを知り、

優里は、自分の心が、

遥香の幸せを願うことさえできないほど、

苦しんでいることに気づいた。


その様子を、朔也は、静かに見つめていた。


朔也は、優里の苦悩を理解していた。


「優里。大丈夫か?」


朔也の声に、優里はハッとして、朔也の方を向いた。


「…大丈夫です。少し、ぼーっとしていただけです」


優里は、朔也に、嘘をついた。


「そうか。だが、無理はするなよ。俺は、優里の味方だからな」


朔也の言葉は、優里の心を、

温かく、優しく包み込んでくれた。


しかし、優里の心は、

遥香の幸せを願う気持ちの狭間で、激しく揺れ動いていた。


悠の鈍感さと、優里の敏感さが、

遥香の誤解をさらに複雑なものにし、

三人の関係性は、より一層、

予測不能な方向へと進んでいくことになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ