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魔王様へのお返し、難題すぎる

私は今、頭を抱えています。

なぜなら――


魔王様からオリハルコンの包丁を貰ってしまったから。


いや、これ、本当にどうしたらいいんですか!?


普通、そんなもの貰う機会あります!?

料理人として最高の包丁を手に入れたことは、素直に嬉しい。が、それとこれとは別問題なのであります。


だって相手、魔王様ですよ!?!?!?


絶対に何かお返しをしないといけない気がします。

でも、オリハルコンの包丁の価値に釣り合うものなんてあるのでしょうか。


いや、ない。

絶対にない!


あの包丁、普通に王宮の宝物庫に収められていてもおかしくないレベルの代物なのでは???

なんなら一国の王が「これがあれば戦に勝てる!!!」とか言い出しそうなレベルですよね!?!?


――それを、私は野菜やお肉を切るのに使っています。


いいのか。

本当にいいのか???


「……いや、良くない!絶対に何かお返ししないと……!」


とりあえず、お返し候補をいくつか考えてみましょう。考えるだけならタダですし。


【お返し候補その1 魔王様専用・特製箸】


「どうせ魔王様はこの店に来続けるのだから、専用の箸を用意すればいいのでは?」 という安易な発想。

とはいえ、普通の箸では芸がありません。


例えば――


「黒い漆塗り・バルゼオン様専用の高級箸」とか?

「魔王の威厳を示す、黒檀に金の龍が彫られた特注箸」とか???

「魔王専用、極上の食べやすさを追求したバランス設計の箸」とか?????


いや、ちょっと待ってください。

このまま行くと、「魔王箸セット」が商品化される流れでは???


これは却下。


【お返し候補その2 魔王様専用・特製湯飲み】


「魔王様、お食事の後にお茶を飲まれることが多いし、専用の湯飲みを用意すればいいのでは?」 という発想。

確かに、これはアリかもしれません。


例えば――


「悠久の万魔殿公式・魔王バルゼオン様湯飲み」とか?

「バルゼオン様愛用・万魔殿の黒陶で焼き上げた特製湯飲み」とか???

「これで飲むと茶が魔力を帯びる(という噂の)魔王様専用湯飲み」とか?????


うーん、ありかもしれない。

箸よりも湯飲みの方が、プレゼント感が出る気がします。

あとは、魔王様が湯飲みを気に入るかどうかですね……。


【お返し候補その3 魔王様専用・定食屋エプロン】


いや、これはどうでしょう…。


いっそ「定食屋メルヴィ特製・魔王様専用エプロン」を渡してしまうのは???

「お食事用。魔界の覇者も衣服は汚したくないはず!」 という謎の理屈で。


例えば――


「漆黒の生地に金の刺繍が施された、魔王の威厳を損なわないエプロン」とか?

「胸元に『悠久の万魔殿』の紋章入りの、魔王仕様のエプロン」とか???

「シンプルに『魔王専用』と書かれた、ストレートなエプロン」とか?????


いや、絶対に面白い。

面白いけど、魔王様が普通に着てしまった場合、定食屋のバイトと間違われる未来が見えます。


しかもグラフが見たら絶対にブチギレる。

「貴様ァァァァァァ!!!! バルゼオン様にそんなものを着せるとは!!!!」

とか言いながら、確実に店を破壊しにくる。


これは即却下。


【お返し候補その4 魔王様のための特注茶葉セット】


「魔王様、最近お茶を飲むことが増えてきたし、魔界では手に入らない茶葉をセットにして渡すのはどうかな?」という発想。

意外とこれが一番無難では???


例えば――


「高級な煎茶とほうじ茶の詰め合わせ」

「ラストダンジョンにはないフレーバーの紅茶ローズティーとか

「定食屋メルヴィオリジナルブレンド(深い意味はない)」


これは普通に良いかもしれない。

魔王様が飲むかどうかは別として。


【お返し候補その5 特製湯呑み & お茶セット】


もう、これでいいのでは???

湯飲み + お茶セットで、シンプルにまとめてみる。

魔王様は「食後のお茶は気に入っている」っぽいし、そこを突いていくスタイル。


問題は、魔王様がこういう細やかなお返しを受け取るのか??? ということですね。


最悪、「余計なことをせず、次も定食を用意しておけ」 みたいな反応をされる可能性があります。


いや、でも、何もお返ししないのは心苦しい。やっぱりこれが一番……いや、待って下さい……


魔王様へのお返し、難しすぎる……!


「…………」


私は、調理台の上に並べたメモを見ながらため息をつきました。

結局湯飲みとお茶セットが無難な気がします。


でも、魔王様がこれを受け取る姿が想像できません。

むしろ魔王様の手に、ちょこんとマイ湯飲みが握られている姿は可愛すぎるのでは???


(ダメだ、そんなこと考えたら負けだ!!!)


とにかく、次に魔王様が来たら、さりげなく渡してみましょう。

もし受け取らなかったら――その時はまた考えれば良いのです。


私は、大きく息を吐きながら、オリハルコンの包丁を握りしめました。


……これ、新しい勇者が取り戻しに来たりしないですよね???


その可能性に思い至り、私はさらに頭を抱えることになりました……。

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