ダンゴムシ、爆裂
お久しぶりですみなさん、くろぱんです
4ヶ月ぶりの投稿です
帰れない。
いつも泊まっている宿に人が押し寄せて入れそうにない
どうやら僕ら以外の誰かがここに訪れたようだ
もしくは近所の人が日頃の恨みを晴らしに来たか
恐らく前者が正しいと思う
そんなことは今はどうでも良くて、
なんとかして宿に入らなくてはならない
「2人とも、この状況何とか出来る?」
「あそこにベンチあるよ」
エイリリアはいなくなるのを待つのが良いと思っているようだ
対してノアさんは…
「そr」
1発はたいて黙らせた
ノアさんになにか任せるとだいたい魔法が爆裂する、この人は頼りにしない方が良いかもしれない
仕方なく僕らはベンチに座った。
「待つか」
「そうだね(ですね)」
そして数時間待った
気付けばもう深夜だ
クレーマーが原因で僕もクレーマーになってしまいそうなくらいに退屈だった
長かったなぁ と思いながら宿の戸を開けると
「いらっしゃッ…いてぇなおい!」
「良くやった」
エイリリアが宿の店主に魔力を込めたチョップを食らわせたおかげで今回はクレーマーが来ないで済んだ。エイリリアはなんだか嬉しそうだ、暴力で喜ぶなんて…
そんなこんなで宿の部屋に戻れた。
骨騎士との戦闘より疲れた気がする
寝巻きに着替えて布団に入った途端に異常なくらいに強い眠気に襲われてふとしたときにはもう朝だった。よく寝れた、家を出て以来ここまでよく寝れたのは初めてだと思う
「エイダートさん!今後の目標を決めましょう!」
起き早々ノアさんがそんなことを言ってくる
「今後のことですか、確かに何も決まってないですね」
「魔王討伐とか?」
とエイリリアがとんでもないことを言う
「流石に厳しいんじゃないかな」
今のところ魔王にまともに勝てた試しがない、前の勝利もなんだかすごく手加減されてたような気がするし
「なら修行すれば良いんですよ!」
「修行か…それなら旅をしながらでもできるからありですね」
エイリリアが後ろで小さく頷く
「そういえばイノトさんは?」
あの変態が居ない、一人だけ部屋を分けたからまだ寝ているのだろう
「呼びに行k…」
「呼びましたか?」
どこからともなくかしこまった服装のイノトが出てくる、一体どこにいたんだ
「今から次どこに行こうか決めようとおもってたところ」
「なら丁度良いタイミングでしたね」
にしても彼はどこから来たんだ、ドアから一番離れたところから出てきた気がするんだが
あとで聞いてみよう、そう思いながらカバンから地図を出して机の上に広げた。
「それじゃあ次の目的地を決めようか」
街と村の位置だけが書かれた質素な地図をみんなでまじまじと見つめる
「どうしてこの地図は道が書かれてないんでしょうか、道が書かれていればもう少し行き先を決めやすくなるのに」
ノアさんがボソリと呟く、言われて見ればそうだ
「じゃあ私が道も書かれた地図探しに行ってくるよ」
エイリリアが立ち上がってそう提案する、エイリリアなら問題なさそうだがなぜだか嫌な予感がする
「僕も着いていくよ」
壁に立て掛けられたカバンを手にとってエイリリアと共に部屋を出る。
出るときに「あの二人ラブラブですね」と言うノアさんの声が聞こえたが気にしないでおこう
「エイダート、どこか地図がありそうなとこ知ってる?」
宿から出た瞬間に不安になるようなことを言われた
「本屋とかギルドとか?」
全力で頭を回転させてでた答えがこれだ、本屋にある訳ないだろバカか僕は
「とりあえずどんぐりの木の上のお店見に行こっか」
エイリリアが天使のような微笑みでそう言う
守りたいこの笑顔。
巨大などんぐりの木の下を無言で歩く、この場から逃げたくなるほどに気まずい
とはいえどんぐりの木の幹は目前、ここで逃げる訳にはいかないのだ
無言のまま木の幹に入る、入ってすぐ右側を見るとギルドの忙しそうな様子が見える、ヘイスターの本部はここじゃないからそこまでやることは多くないはずだが…
「なにかあったのかな」
「そうだろうね、とりあえず上の階に行こう、今は忙しそうだし」
そうして階段の方に視線をやる、階段にはロープが貼られて何か板が吊り下げられている
『立ち入り禁止』
「ダンジョンのほうは普通に入れるみたい」
エイリリアがそう言う、ダンジョンを立ち入り禁止にするのは分かるが何故普通に店だとかがある方を封鎖しているのだろうか
「ギルドの人に聞いてみよう」
忙しい中申し訳ないが今はこれしかない
エイリリアと共に1番暇そうなギルドの職員に聞きに行く、その人が言うには上の人階に大型のモンスターが現れどうすることも出来ないのでとりあえず封鎖している、との事だった
「帰ろう、絶対に巻き込まれたくない、今すぐ宿に戻ろう」
「…」
エイリリアがまじかこいつとでも言いたさげに僕を見つめる
「そんな目で見られたって僕じゃどうすることも…」
そう言った途端どんぐりの木全体が激しく揺れた
「な、なんだ!?」
ギルドの前に来ていた冒険者たちがどよめく
「上にいるバケモンが暴れてんだ!早く逃げろ!」
そう言いながら走り出す一人の冒険者、どんぐりの木の幹から出ていく、異常なまでに動きが遅く見える、逃げる彼が後ろを振り向く、その瞬間上から何かが落ちてくる
巨大な黒い玉だ、よく見ると節がある
どこかで見た気がする
「ダンゴムシ…?」
「みたいだね」
黒い玉が広がる、やっぱりダンゴムシだ
足とかも巨大になってるからものすごくきもい
でもあれもモンスターだから多分…
モサ、モサ、モサ、聞き馴染みのない変な音がなり始める、2本の足が何かを掴んで捕食している
「肉食の巨大ダンゴムシ、すごいきもいね」
「逃げていい?」
エイリリアが珍しく弱気なことを言った
「無理です⭐︎」
抜剣、どうやら今の言葉でやる気が出たらしい、変な子
「ひとまず弱点を探そう」
そう言いながらどんぐりの木から出る、改めて見てみると巨大ダンゴムシは本当に気持ち悪い
ダンゴムシが僕らに気づいたようだ
体を丸めてぽよんぽよん跳ね始めた、もっと小さければ蹴れたのに
そんなことを思っていられるのも束の間、黒い玉が砲弾のごとく飛んで来る
「イスコートドヴェント!」
咄嗟に風の盾で威力を相殺する、しかし圧倒的な重量と速度には敵わず幹に背中を打ち付けることになってしまった
不幸中の幸いというべきか、ダンゴムシがそのまま押し潰してくるということはなかった
でもめっちゃ痛い、全身がジリジリと痛んでなかなか立ち上がれない
「クラー」
エイリリアが僕に手を当ててそう唱える、
痛みが少し和らいだ
「どう?」
「これならなんとか動けそう。」
ゆっくりと立ち上がる、まだ体が痛い、でも可愛いエイリリアに回復してもらったんだ、動けないわけがない。
「かかってこい!!!」
剣の柄を握ろうとした、しかし手は空虚を掴んだ
「剣忘れちった」
剣がないなら作れば良い!
「燃え盛る業火より、大いなる力を引き出さん。焔の踊り手よ、我が呼び声に応えよ。鋼の炎より鍛えし剣を、熱き魂と結びつけん。熾烈な戦いに備え、敵を滅ぼさん。己が宿敵を命すら焼き尽くせ。炎剣 イスパーダドゥフォゴ!!!!」
今までで一番長い詠唱、ある程度は最適化したけど即興だから仕方ないよね
即興の詠唱でも魔法の語句を間違えなければある程度の効果は生まれるからなんとかなる
期待通りとまでは行かないが忘れてきた剣と同等くらいの切れ味はあるであろう炎の剣ができた、実体もないし熱いはずなのになんの問題もなく持てている
魔力が吸われている感覚がする、そこまで長持ちしないだろう、とっとと片付けて帰ろう
「私も手伝うよ」
魔力で長剣になっている剣を中段に構えて僕の隣に立つ
「左右から同時に叩こう、節を狙えばダメージを与えられるはずだ」
エイリリアが小さく頷いたのを確認して走り出す、エイリリアも少し遅れて走り出す、
ダンゴムシの触覚らしきものが伸びて鞭のように振るわれる、正面から迫り来る鞭の下に滑り込み攻撃を掻い潜る、ブォンという恐ろしい風切り音が聞こえて緊張感が増す
エイリリアのことが心配になるが今は攻撃を避けるのに集中しなくてはならない
再び鞭攻撃が襲いかかってくる、今度は2本、足と胴の辺りを狙っている
早速ピンチだ、風を使えればこれくらい難なく避けれるのだが 今はわずかな魔力も惜しい
一か八かだ
「セェイ!」
炎剣を縦に一閃、そして気合いで折り返して右にズレた位置に再び一閃、なんとか触覚は切れたが切った後に分かれた部位がそのままの勢いで僕に襲いかかる
想定外だった
炎剣の腹で触覚を止めようとするが実体のない炎剣を触覚は通り抜けて僕の足と胴に強く激突…することはなく僕の服が灰で汚れた
炎剣は僕が思ってる以上に高熱なようだ
だが今はそれがありがたい
このままあのダンゴムシも灰にしてやろう
そう意気込んだ瞬間、聞き馴染みのある声が聞こえた
「それっ!」
ダンゴムシがオレンジ色の球体に飲み込まれる、そして耳が痛くなるような轟音が街中に響いた
今日はわてくしの出番が無いじゃないのよぉん!!エイダートちゃんとエイリリアちゃんは活躍しまくってるし、最後の最後にノアちゃんも出てくるし…
まぁ良いわ、わてくしはここで大活躍してあ げ る ♡
ここまで読んでくれた皆様、皆大好きよ!!有難う♡