プロローグ
唯一の相棒と小説家目指して書きました、
是非最後まで読んでいってください
-プロローグ-
9月2日、
今日はついに僕の誕生日だ、
そして今日、僕、エイダート・ウォータード・ラック が成人する日でもある
僕はウォータード・ラックという水属性で有名な一族に生まれた。
しかし不運なことに火属性に適性を持って生まれてしまった僕は今日という日までずっと軽蔑されていた。
でもこれからは違う、
僕は成人になって家を、この街を出て行くのだ
「エイダート、誕生日おめでとう!」
「おめでとう!!!」
母、ソフィアがそう言った後に少し遅れて父、オスカーが祝ってくる
僕がかつて、これ程まで嬉しいと思う様な事はあっただろうか、僕がそんなことを考えていると母が美味しそうな狐色のムリンの特産品、ムリンパンを差し出してくる。
「 あ、ありがとう… 」
こんなに優しかったかなと少し困惑しながらも
感謝の言葉を伝えて受け取る、
「エイダートも、色々な事があったが…
遂に成人か、我が子の成長ってのは早いな」
「成長の速度はみんな変わらないと思うけどね」
思い出に浸る父にそんなツッコミを入れて、貰ったムリンパンを袋の中に入れようとすると
母親が今すぐ食べろという脅しも混ざったような表情と声音で言ってくる、ちょっと怖い
「エイダート、私は頑張って作ったパンを目の前で食べてもらいたいな~って」
「 はぁ、分かったよ母さん、今食べれば良いんでしょ」
思わず顔をしかめてしまう、
それも当然だ、正直なところめんどくさいのだから
なんならこの家を出て旅の最中に食べたいと思ったが 母にここまで言われてしまえば仕方がない、そう思って早速ムリンパンを1口齧った
「お、美味しいよ 母さ…ん…?」
世界の重力が消え去り世界が暗転する、
どうやらあのムリンパンには毒でも入れられていた様だ。
*
あれからどれくらい経ったのだろうか
目が開かない、
ただずっと暗いだけだ
それでも意識を必死に保ち続けた
今まで僕が夢見た物を想像しながら
*
あれは僕がまだ幼い頃だった、
ムリンの街がゴブリンの群れに襲撃を受けた時
駆けつけた火属性魔法を巧みに操る竜騎士、
彼が操る魔法は火属性魔法だけだった
そして剣も抜かずに魔法だけでゴブリンの群れを撃退して見せた。
僕はずっとあんな風になりたいと、
あの時からずっと憧れていた
しかし、憧れの様に巧みに魔法を扱うどころか、適性がない人でも出来るような初期攻撃魔法すら僕には扱えなかった
僕が出来たのは無詠唱での着火魔法だけ、
もっと練習すれば出来るかもしれない。
そんな妄想をしながら日々鍛錬していた、
でもその努力ももう意味が無くなる。
それでもやっぱり、僕は諦めたくない
水の一族に生まれた小さな灯火を僕は消されたくない。
*
暗闇の中、遠くに小さな光が見えた
歩けば歩くほど遠く感じる、
もう諦めたいと思うような、
そんな遠い場所に灯った火を僕は手に入れたくて歩き続けた
そしてやっと、灯火を手にした時
灯火が激しく光った、
思わず目を閉じてしまいたくなるような
強い光で周りが覆われたと思った瞬間
僕は薄暗い、何かが腐ったような匂いの部屋で目覚めた。
起き上がって周りを見ると錆びて今にも崩れそうな鉄の格子とその奥に優しい色の光が見えるだけ、立ち上がって鉄の格子に近付こうとしたら紙を踏んだような音がした。
僕は足元の紙を拾い上げ、踏まれてグシャグシャになった紙を広げた
《愛するエイダートへ
突然こんな事になってすまない、これもお前の為であり、ソフィアの為であり、このウォータード・ラック家の為でもあるんだ。
くれぐれも、命だけは落とさない様に
by オスカー・ウォータード・ラックより》
何を言っているんだろう。
そう思いながら再び周りを見た、
部屋の端に僕が隠していた馬鹿みたいに重たい金庫とムリンの鍛冶屋の業物の剣が立て掛けてあった、僕はすぐに全てを理解した、
きっと両親は僕のことを早く家から追いやりたいんだ、それなら有難くこの家から出て行ってやる。
そう思って鉄格子の扉に手を掛けた瞬間、
錆びて脆くなっていた鉄の格子が大きな音を立てて崩れた、しかし僕はもう気にしない。
業物の剣と金庫の中に入った大きな財布を持って崩れた鉄格子を跨いで目前の階段を駆け上がった、そしてコケた。
その拍子に、僕が持っていた業物の剣と大きな財布から手を離してしまう。
背中から階段の1番下に着地し、その2つがお腹の上にズドンと落ちてきて…
*
色々あったけど僕はこの街から旅立った
皆さん初めまして
作者のくろぱん と れんも です。
1人で乱雑な小説を一応書いてた僕らですがそろそろどっかに投稿しね?ってなってここに投稿する事になりました、まだ面白みが無いかも知れませんが是非 「 炎が織り成す仕返しのダントファング 」 が終わるまで読んでいただけると幸いです。