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ツキノウサギ  作者: 惠 悠冬(めぐみ ゆうと)
1/3

01//虹を見る人

 出会いなんていつも突然で、どこからどうしてやってくるのか分からない。

 そしてそれがどんな未来をくれるかということも。


 そうだ――。


 現に、私たちの人生はあそこで変わってしまった。あの出会いがなかったら、きっと今の私たちはない。


 これまで、それぞれがずっと密かに抱えていた悲しい気持ち、辛い思い出、嫌な出来事――そんな私たちの胸に、深く突き刺さっていたとげみたいな何かを、あの人はいつの間にかそっくり取り除いてしまっていて、驚いたことに、それでも全然びくともしない。


 あんなに大人しそうなあの人の、あんなに細い体の一体どこにそんな力があったんだろう――。

飛馬あすまが倒れた!」


 五年前のあの日。

 家へ駆け込んでくるなり、お兄ちゃんはそう叫んだ。大晦日も間近の寒い日のことだった。


 息を整えもせず夢中でくし立てるばかりで、ところどころよく分からなかったけれど、心配して迎えにいったお兄ちゃんが西五条の水留つづみ大路で見つけた時にはもう、末っ子の飛馬は知らない男の人に抱えられていて、苦しそうにぐったりとしていたんだそうだ。

 夕食ゆうげの支度をしていたお母さんと私は、取るものも取りえず、とにかく飛馬の元へと急いだ。


 お兄ちゃんの案内で向かった先は、西五条の繁華街から小路を一本入ったところにある診療所。


 夕方の待合室に人影はなく、しんと静まり返った廊下で、お母さんは泣きながら何度も飛馬を呼んだ。


 すると奥の扉が独りでに開き――。


 招かれる前に飛び込んだ部屋には、ほっと顔をほころばせた飛馬がいた…。


 よかった…。辛そうだけれど、思ったよりは元気そうだ。

 思い思いに声を掛けながら、ひとまず私たちは胸を撫で下ろしていた。


 振り向くと、扉の脇に黒髪の男の人がたたずんでいた。服装や雰囲気から考えるに、どうもここのお医者様というわけではなさそうだ。目が合うと、その人は小さく会釈をして柔らかな微笑みを浮かべた。


「あ!おじ…お、お兄ちゃん!母さん、呼んできたよ!!」


 お兄ちゃんが声を上げると、黒髪の男は壁にもたれていた体を起こし、ゆっくりとこちらへ近付いてきた。


 間近でよく見れば、なんだか折れそうに細い人だ。はしばみ色の長着ながぎを品良く着付けているところは、ちょっと育ちが良さそうな感じ…。でも、襟元から覗く派手な柄物の襦袢じゅばんは遊び人のようにも見える。ふわふわと舞うように薄い肩でねている癖毛や、少し垂れた目尻も…全体的に見ればなんだか浮かれ者っぽい感じもする。


 一体、どういう人なんだろう――?


「おう。ご苦労だったな、高基たかき!よくやった、偉いぞ!!」

 黒髪の男は愛想よく笑って、お兄ちゃんの頭をごしごしと撫でた。


 そっか…。

 この人が、飛馬をここへ運んでくれたんだ。


 遊び人っぽさはちょっと好きになれないけど、この人は何だかとても優しそうな人だなと――何となくそう思った。


「あ…この子のご家族ですか?」

 奥の部屋からまた一人若い男の人が現れた。中肉中背のこちらは真っ白な白衣をまとっている。


「あの…先生、飛馬は…!」

 お母さんはすがるように、お医者様を見上げた。


「ええと…。ど…どうも…その、急性の虫垂炎――つまり盲腸炎の疑いがありますので、すぐにでも開腹手術をする必要がですね…」


「し…手術…!!」

 お母さんの顔は真っ青になった。


「ええ…。いや、そうは言ってもどうかご心配なく。ごく簡単な手術でして…その、特に命に関わるようなものにはなりませんから…。あの、それで…宜しいですかね?」

「は、はい!是非お願いします!!」


 あのちっちゃな飛馬が、手術をしなきゃならないような病気だなんて。今朝まであんなに元気だったのに。いつもと同じ飛馬だったのに――。


 お母さんとお兄ちゃんが深々と頭を下げている。私も少し遅れて頭を下げた。

 飛馬の命はこのお医者様が握ってる。このお医者様がきっと飛馬を助けてくれる。


 そっと手に触れたら、飛馬がまた笑った。


 その時。


「おやおや、今日は満員御礼だな。何事かな?」

 笑いながら入ってきたのは、少し太めのおじいちゃん先生だ。齢は…七十歳ぐらいだろうか?


琴陵ことおか先生!!」

 黒髪のあの人が、組んでいた腕を解いて、きちんとお辞儀をした。


「おや、なんだ…そこにいるのは昴琉すばるさんかい。この時間に珍しい――」


 おじいちゃん先生が、にこにこ笑っている。どうも二人は知り合いらしい。


 そこで私は、初めてあの人の名を知った。


(あの人、昴琉っていうんだ…)


 琴陵先生というおじいちゃんは、どうやら凄腕のお医者様らしかった。さっきの若先生も、おじいちゃん先生の前ではひどく緊張した面持ちでぺこぺこしながら言葉を交わしている。


 おじいちゃん先生は、若先生の言葉と飛馬の容態を見比べながら、ほんの一瞬険しい顔を見せたけれど、すぐにまたにっこりと笑ってこう言った。


「大丈夫――。もう安心ですよ、お母様。では、どうかみなさんは待ち合い室の方へ…」


 言われるまま、私たちは診察室を出、待合室の長椅子に並んで腰掛けた。昴琉さんも、少し離れたところに座った。


 あれからどのくらい経ったろう…。


 お母さんは、何度もまぶたを押さえながら、膝で握った自分の手をずっと睨んでいる。心配になって肩を寄せたら、お母さんはかすれた小さな声で大丈夫とだけ呟いた。隣では、お兄ちゃんも下を向いて唇をきつく一文字に結んでいた。


 やがて、お母さんは、思いつめたように立ち上がった。


「あの…」


 お母さんは、昴琉さんに向かって深々と頭を下げた。お兄ちゃんと私も慌てて立ち上がり、お辞儀をする。


「この度は、息子の危ないところを救っていただき、ありがとうございました」

「良かったですね。あの琴陵先生が大丈夫とおっしゃるなら間違いないですよ。ひと安心だ」


 昴琉さんの笑顔に、肩の力がすうっと抜けてゆくのを感じた。


「はい。本当に…なんとお礼を…」


 またお母さんが頭を下げると、昴琉さんは恥ずかしそうに笑った。


「いえ、一番のお手柄は彼ですよ。後で思いっきりめてあげてくださいね」

「え…」

「あの子ね、朝から腹痛を抱えていたんです」


「!!」

 はっとした。


(今朝もあの子、お腹イタイって言ってたんだっけ…?)


 たったそんなことも思い出せない。


 正直な話、寝相の悪い飛馬の「お腹イタイ」はもうずっと前から口癖みたいなもので、いつしか私たちも気に留めなくなっていた気がする。たった今朝のことですら思い出せないのがその証拠だ。

 もしかしたら今朝だって、飛馬はお腹イタイと訴えていたのかもしれない。なのに肝心の私たちが、またいつものことと、無意識に片付けてしまったからこんなことになってしまったの?


「うーん、どうしてかな…。ずっと痛いのを我慢していたみたいで…。俺が見つけたときには、もうまったく立てない状態で、口だって利けなかったんです。虫垂炎を、あんな状態まで放置したんですからね、あの子にしてみれば、気が遠くなるほどの痛みだったはずですよ。なのにあんなに気丈にね…。時々頑張れって励ましてやると、本当に嬉しそうに笑ってくれるんです。苦しそうに歯を食いしばってふうふう言いながら、それでも笑って見せるんですよね」


「……」

 お母さんも、きっと私と同じことを思ったのだろう。また泣き出しそうな顔になって俯いている。


 それなのに、昴琉さんの声はなぜか少しだけ嬉しそうに聞こえた。


「あの子、頑張りましたよ。とても強い子だ。あの健気けなげな姿には、俺もほだされてしまったな」


 昴琉さんは立ち上がり、ポンとお兄ちゃんの肩に手を置いた。


「高基もすごく頑張ったよなあ。あそこでおまえが走ってくれなけりゃ、母ちゃん、ここまで来れなかったもんな」

「べ、別に俺は…。そんなに大したことじゃないよ」


 口では平気なふりをしながら、お兄ちゃんは恥ずかしそうに頬を染めている。


「速かったぜ、おまえの足。てっきり俺は、あと二十分はかかると踏んでたのにさ。おまえが家族を呼んでくれると思えばこそ、あいつは頑張れた。おまえからあいつは勇気をもらったんだ。胸を張っていいぜ」


 お兄ちゃんの頭を撫でて、また昴琉さんは笑った。


 ――なぜだろう?


 ついさっき知り合ったばかりだというのに、お兄ちゃんと昴琉さんが、とても仲の良い兄弟か親子のように思えた。なんだか不思議な人だ。


(そう言えば私たち、今までにお母さん以外の人に褒められたことってあったかな…?)


 ふとそんなことを思った。


「さて…と。それじゃあ、俺は――」


 そう言って歩き出した昴琉さんの腕を、慌ててお母さんは捕まえた。


「あ、あの…っ。お名前を!それからお住まいの方もどうか…!!私、また日を改めてお礼に…」


 昴琉さんは困ったような顔をして言った。


「いや、結構。お礼なんて要りません」

「そんな!いけませんわ!!それでは私の気が…」


 と――。


 診察室の扉が静かに開いて、飛馬を乗せた寝台と二人のお医者様が出てきた。寝台を押す若先生が、廊下の更に奥へ向きを変える。


 私たちは駆け寄った。


「ああ、そうそう。昴琉さん、これは返しておくよ」

 おじいちゃん先生が、懐から黒くて四角いものを差し出した。どうやら男物の財布のようだ。


「すまなかったね、息子が妙なことを言ったみたいで…。全部聞いたよ」

「あ…。いえ…」


 昴琉さんは、なんだかばつが悪そうだったけれど、その時の私には、それがなぜなのかよく分からなかった。


きゅうの方はしっかり据えておいたから、どうか許してやっておくれ」


 続いて私たちの方へ向き直ったおじいちゃん先生は、こう言った。


「ああ、お母さん。今、麻酔をかけました。で、これから手術なんですがね、時間の方は半時(約一時間)もかかりませんから、どうかその間に気を落ち着けてください。そんな顔をしていちゃあ、飛馬くんの方が心配しますよ?」

「あ…。は、はい」


 おじいちゃん先生が合図を送ると、若先生はぐいっと力を入れて寝台を押し始めた。ゆっくりと奥へ連れて行かれる飛馬を、私たちは祈る思いで見送った。


「大丈夫。術後、だいたい一週間ぐらい入院してもらってそれでおしまいです。まったく心配は要りませんから」


「よろしくお願いします」

 お母さんは神妙に頭を下げた。私とお兄ちゃんも習う。


「お母さんを頼むよ、二人とも」

 おじいちゃん先生は、私たちの肩に手を置いて言った。とても大きくて温かな手。そして強くて優しい声だった。


 私たちの後ろでは、昴琉さんまできちんと頭を下げている。


 にっこりと笑って頷くと、おじいちゃん先生は奥の処置室へ入っていった。


 私は、思い切って声を掛けてみた。


「ね、お兄ちゃんの名前、昴琉って言うんだよね?」


「お?覚えてくれたのか、お嬢ちゃん」

 私の目線に合わせて、昴琉さんは身をかがめてくれた。最初は遊び人みたいだなんて思ったけれど、近くでよく見ればちょっとかっこいいかな…とも思う。


「うん。あのね、私は伊織いおりっていうの」

「伊織か…いい名だな。あ、そうだ!悪いが、伊織。俺の代わりに、おまえの口から偉かったなって、あいつに言ってやってくれよ」

「ん。いいよ」

「頼んだぞ」


 うなずく私の頭を撫で、昴琉さんはにっと歯を見せた。温かくてとっても優しい顔。うちのお父さんと違って、ほんとによく笑う人だ。


 釣られて私も笑った。


「じゃ、俺はこれで…。縁があればまた」

 そそくさと向き直り、ぺこりと会釈をした――かと思うと、昴琉さんはさっさと診療所を出て行ってしまった。


「あ!あの…っ」

 お母さんは慌ててもう一度袖を捕まえようとしたけれど、さすがに今度は間に合わない。そうして、パタンと扉の閉まる音が響くと、その後にはしんと静まり返った待合室と私たち親子が残った。


「……」

 お母さんが、手を伸ばした格好のまま固まっている。思わず私は吹き出しそうになった。


「行っちゃったね、昴琉さん」

 そっと手を握ると、肩を竦めたお母さんは困ったような顔で笑っていた。さっきまで泣いていたお母さんの瞼は、まだ涙で濡れている。


 でも――。


(お母さん、やっと笑ってくれた…)

 それが私には嬉しくて仕方がなかった。


「……」


 実を言えば、ここで呆然としていたのはお母さんだけではなかった。


「なんなの、お兄ちゃん?」


 意地悪くつっこんでも、お兄ちゃんの顔は、ぼーっと緩んだまま全然戻る素振りもない。やがてお兄ちゃんはうっとりとため息をついた。


「はあ…。いいなあ…」

「ええーっ!?」

「だって、すげえカッコ良かったじゃん…。さりげなく困ってる人を助けて、さっと消える。いいなあ…。俺もああいう人になりたいなあ」


 私は、わざと大袈裟にため息をついて言った。


「そんなの、お兄ちゃんになれるわけがないじゃない!ばっかじゃないの!?」

「う…。ほんッと、こいつ、いつもひと言多いんだから!むっかつく!!」


「……」

 そんな私たちを、笑っているのか泣いているのか分からない顔でお母さんが見ている。少しだけ俯いた横顔が、私にはなぜかひどく寂しそうに思えた。


「お母さん、大丈夫?」

「え…?ええ、でもほんと…」


 お母さんは恥ずかしそうに小さく笑った。


「ああいう人って都にもいるのね。お母さん、つい自分の名前を伝えそびれちゃったわ…」


 なんだかまた嬉しくなって、私とお兄ちゃんは顔を見合わせて笑った。

 

 

 

 

 

 * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

 あの頃――。


 一応うちには「お父さん」がいたけれど、私にとっては別にいてもいなくても同じだった。ううん、いないほうがいい。だって、お父さんがまともに私の名前を呼んでくれたことなんかないもの。


 ほとんど家に居つかないくせに、時々、酔っ払って帰ってきては、お母さんを悲しませるお父さん。

 突然、わけの分からない大声を出して、私やお兄ちゃんのこととうとするお父さん。

 お母さんが止めに入ると、代わりにお母さんを打って泣かせるお父さん。


 私の知っている「お父さん」という人は、そんな人。


 ある時、私やお兄ちゃんが、あんな奴、大嫌いだと言ったらお母さんはまた泣いた。


「昔はあんな人じゃなかったのよ。お父さんのこと、そんなふうに言わないで」


 これがお母さんの口癖だ。


 ずっと昔、如月きさらぎという北の山奥から出稼ぎにやってきていたお母さんと、毎日方々を遊び歩いていた呉服問屋・花菱はなびしのどら息子は、ここ黄蓮おうれんの都で出会い、結ばれた。結婚前はずっと隠していたみたいだけど、ほんとはお父さん、ずっと前に家から勘当されてたんだって。だから、大きな呉服屋の嫁だと言っても、お母さんには、なんにもいいことなんかなかった――。


 待合室で待つこと半時。


 処置室の扉が開いた。扉の奥には簡素な寝台がひとつ。そこには、もうすっかりいつもどおりの顔色をした飛馬がすやすやと眠っていた。


「処置の方は問題なく終わりました。後は少し入院していただいて、術後の経過を見ます。これからお部屋をご用意しますので、もう暫くここでお待ちください」


 ぺこりと頭を下げ、部屋を出て行く若先生とちょうど入れ違う形で、寝台の右側に吊られた引幕ひきまくから、あのおじいちゃん先生がひょっこりと顔を出した。にこにこと穏やかな先生の顔に、私たちの緊張も解ける。

 お母さんは何度も何度もお辞儀をした。


 ――あの琴陵先生が大丈夫と仰るなら間違いないですよ。もうひと安心だ。


 私は、ぼんやりと昴琉さんの言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

 あの時の昴琉さんの言葉は確かに本当で、飛馬はみるみるうちに回復した。お腹を切ったばかりだというのに、その翌日にはすっかりいつもどおりの飛馬が、いつものように元気に口を利き、いつもと同じ顔で笑っていたほどだ。


 飛馬が入院している間、私たちは交代でなるべく診療所にいるようにした。飛馬はまだ小さいから、きっと寂しがるだろう…と、三人で話し合ってそう決めたのだ。なぜ交代なのかと言えば、お母さんは近所の牛鍋屋で毎日働いているし、お兄ちゃんにしても、いつも午前中だけは刷り物屋の手伝いに行っているからだ。私の仕事は、家の掃除や洗濯だけだから、朝早くにそれを済ませさえすれば、後はずっと飛馬の傍にいてやれる。


 しかし、そんな私たちの思いとは裏腹に、飛馬はいつ顔を見に行っても元気そうにしていた。暗くなれば、一人で用足しに行くことさえ泣いて嫌がるほどの怖がりで、うちで一番寂しがり屋の飛馬が、一体どうして――?


 その真相は、二日後の朝には早くも明らかになった。


「姉ちゃん、あのね、さっきすー兄ちゃんが来たよ」


 これが、朝っぱらからばたばたと家事を終えて足を運んだ私に、開口一番、飛馬が放ったひと言だ。


「え?誰…?すー兄ちゃん??」

「うん。俺をここへ運んでくれたお兄ちゃん」


 なるほど、それで――と納得もしたけど、それにしたって今日の飛馬は格別に嬉しそうだ。にこにこと言うよりも、むしろにやにやといった感じの笑みをずっと浮かべている。


「昴琉さんのこと…?」

「うん、そう。昴琉兄ちゃん」


 窓辺の花瓶では、昨日までは確かになかった石蕗つわぶきの黄色い花と、薄桃の山茶花さざんかが揺れている。その横に置かれた椅子に私は腰掛けた。


「すー兄ちゃんて?」

「だって昴琉兄ちゃんって言いにくいんだもん。友達はみんなすーちゃんって呼ぶんだって。だから俺もすー兄ちゃん。あ!それでね…」


 嬉しそうにそう言うと、飛馬は横の戸棚から紙の袋を取り出した。


「これくれた」


 差し出された袋を開けてみると、中には色んな形の揚げ菓子が入っていた。


「これ…唐菓子からがし…?」

「うん。昨日、仕事先でお客さんにもらったんだって。良かったらみんなでどうぞって」

「こ、こんなにいっぱい…?」


 家族みんなで食べてもずいぶん余りそうだ。しかも唐菓子なんて高級なお菓子、貴族の子でもなけりゃ、なかなか口に入るものじゃない。私だって、まだ飛馬よりも小さかった頃にたった一度、しかもたった一つ食べたことがあるだけだ。

 それがこんなにいっぱい…。


「俺ね、さっき内緒で一口食べちゃった」


 飛馬はほくほくと顔を頬をほころばせた。よほど嬉しかったに違いなかった。


「すごくおいしかったよ」

「何か…。いい人だね、昴琉さん」

「うん!」

「飛馬、昴琉さんが大好きなのね」

「うん!!」

「お兄ちゃんもかっこいいって言ってた。あんな人になりたいって」

「俺もっ」


 お兄ちゃんと同じく、飛馬もすっかり昴琉さん贔屓びいきだ。

 たまたま通りすがりに病気の飛馬を助けてくれた昴琉さんは、もうすっかり飛馬やお兄ちゃんの中では英雄で、二人の憧れの人物になってしまっていた。


「あのね、姉ちゃん。誰にも言っちゃだめだよ?」

「ん?」

「すー兄ちゃんと約束したんだ。誰にも言わないって」

「なあに?」


 本当のことを言えば、嬉しそうに、そしてなぜか自慢げに大好きな「すー兄ちゃん」を語る飛馬の姿に、その時の私はほんの少しだけ奇妙な感覚を覚えていた。


 長屋暮らしの私たちの周りには、大勢の人が住んでいる。隣に住む双子のおばあちゃんも、私たちにはとてもよくしてくれるし、向かいのおじいちゃんや、斜向かいの瓦屋のおじさんもその奥さんも――顔を見れば、いつも私たちに声を掛けてくれる。みんな、本当にいい人ばかりだ。


 だけど、こんな得意顔で、飛馬が誰かのことを話したことがあっただろうか?


「ほんと言うとさ、すー兄ちゃん、昨日も来てくれたんだ。それでね、薬草とか花の話とかいっぱいしてくれた。入院してる間は毎日来てくれるって。ここに薬を届けるついでだから、って言ってた」

「薬…?」

「すー兄ちゃん、薬屋なんだ。でね、いつも山で薬草を採ってきて、それを自分で薬にしてるんだって。ここの診療所の薬は、みんなすー兄ちゃんの薬草でできてるんだって!」


 初めて会ったときの印象を思えば、薬屋というのは正直意外だった。でも、そういうことならおじいちゃん先生と親しい理由はよく分かる。


 てっきり、もっとちゃらちゃらした人だと思っていた。お父さんみたいに、方々を遊び歩いている人だとばかり…。


(だけど、きっともてるんだろうなあ。優しいし、ちょっとかっこいいいもん…)


 そんなどうでもいいことが、つと私の頭の中をぎった。


「今朝はね、山で花も採って来てくれたんだよ。ほら、これもそう。元気になったらね、俺も一緒に連れてってくれるって!」

「そっか…。良かったね、飛馬。新しいお兄ちゃんができたね」

「うんっ!!それでね…」


 飛馬のすー兄ちゃん自慢は止まらない――。


 だけど、この時、私はまだ気付いてなかった。飛馬やお兄ちゃんだけでなく、この私自身も昴琉さんにかれているということを。

 楽しげな飛馬の姿に私がさっき感じた違和感は、多分、ほのかな妬みの感情だったのだ…。


 そして。


 実は飛馬はもう一つ、昴琉さんと秘密を共有していた。


「えええっ!?そんな!どうしましょう、お母さん、全然知らなかったわ」


 夕方近くになってようやくやってきたお母さんに、例によって「内緒だよ」と断りを入れつつ飛馬が打ち明けた秘密は、お母さんをひどく驚かせた。もちろんそれは、私もお兄ちゃんも今の今まで知らなかったことだ。


「誰にも言っちゃだめだよ?内緒なんだよ、母ちゃん。ほんとに内緒なの。だって、すー兄ちゃんと約束したんだもん!」


 必死になって飛馬は言うが、多分昴琉さんは、お母さんにこそ内緒にして欲しかったのだろうと思う。


 その秘密の内容とはこうだ。


 飛馬が担ぎ込まれた時、この診療所にはたまたま若先生しかいなかったそうだ。初めに飛馬を診察をしてくれたのは、おじいちゃん先生ではなく若先生の方だと飛馬は言う。

 だけど、若先生は飛馬の容態よりも、粗末な服装の方を気にして、手術をするのを渋った。治療にかかる費用を負担できる家庭ではないとの判断だったらしい。

 実際、私たちは日々の生活だけで精一杯だったし、それは身なりを見れば一目瞭然。確かにそう言われても仕方がなかった…。


 ――金は後日必ず俺が用意する!これでこいつの腹を開け!今すぐにだ!!


 そう声を荒げたのは昴琉さんだったという。


 そして、見ず知らずの飛馬のために、なんと昴琉さんは自分の有り金を財布ごと差し出した。

 さすがの若先生も、これには目を剥いた。更に昴琉さんは、自分が治療の全額を負担してもいいとも言ったそうだ。


 もちろんそれは、飛馬の腹痛が一刻を争う病であったがゆえの、苦肉の言葉だったんだろうけど…。


 気まずそうなお母さんを見て慌てた飛馬は、昴琉さんを庇おうと必死の弁明を始めた。


「で、でも!でもね、すー兄ちゃんね、失礼な真似をして悪かったって言ってたよ」

「……」

「俺がね、病気に負けないように頑張ったから、ついすー兄ちゃんも頑張りたくなっちゃったんだ、って。お金なんか、頑張ったご褒美にしてもいいって、あの時はそう思ったって言ってた!」


 お金なんか――なんて、簡単に言ってしまえることなんだろうか。そのお金のせいで、私たちはこんなに苦労しているのに…。


かえって、あの人に余計な気を遣わせてしまっていたのね。困ったわ。やっぱりちゃんと会ってお礼を言わなきゃ…」


 結局翌日、仕事を休んだお母さんは、私と一緒に診療所へ行き、改めて昴琉さんにお礼を言った。逆に昴琉さんのほうが恐縮してしまって、妙にぺこぺこしていたのをよく覚えている。


 お金については、おじいちゃん先生がいつでもかまわないと言ってくれたらしい。しかし、それではあんまり申し訳ないので…と、退院間近のある日、お母さんは嫁入りのときに持ってきた大切な絹の着物を売ってしまった。それを、手術の費用にしたのだ。


 時々は取り出して見せてくれたあの薄桃色のきれいな着物。裾でいくつも咲いた大輪の牡丹がとても素敵だった。上品で優しくて、お母さんも私も大好きだったあの着物――。


 そう言えば、前にお母さんはこう言っていた。


「伊織がお嫁に行くときにと思って、大事にしまってあるのよ」


 だけど、それももう叶わなくなってしまった。お母さんは、いつまでも涙を拭う私の髪を撫でてこう言った。


「ごめんね、伊織。でも、伊織がお嫁に行くときは、お母さんがもっとずっといいのを買ってあげる。もっと伊織に良く似合う、ずっとずっと綺麗なのを買ってあげるからね」


 今の私たちの生活を思えば、まさかそんな期待などできない。私を気遣うお母さんの気持ちが切なくて悲しい――。


 そんな複雑な気持ちを抱えたまま病室へ行ったら、なぜかそこには、いつもならもういないはずの昴琉さんがいた。


「よお、伊織。元気…」

 病室へ入った途端、愛想のいい笑顔が向けられる。


 私だって、ちゃんと笑顔を返したつもりだったけれど――。


「…ないみたいだな。どした?」


 昴琉さんは立ち上がり、自分が今まで座っていた椅子に私を座らせた。沈む私の心は、あっという間に昴琉さん覗かれてしまったらしかった。


「姉ちゃん?」


 心配そうに私の顔を覗きながら、飛馬がおずおずと大きな蜜柑を差し出した。

 戸棚の上に何個も乗っていたそれは、きっとまた昴琉さんの仕業だ。昴琉さんは、毎日お見舞いにやってきては、いつも飛馬の枕元に色々なオミヤゲを置いてゆく。


「……」


 真ん前から、昴琉さんがじっと私の顔を見ている。何でもないとはぐらかしたかったのに、なぜか声が出なかった。


「そっか…。どうやらおまえも…色々と頑張ってるみたいだな」


 昴琉さんの声はとても優しかった。


(そうだ。私だって頑張ってる。お母さんやお兄ちゃんや飛馬に負けないぐらい頑張ってるよ!)


 

 途端に涙がぶわっと湧き出した。なぜだかめちゃくちゃに声を上げたくて仕方がなかった。


 そして私は――自分がずっと泣きたいのを我慢していたのに気付いた…。


「ね、姉ちゃん、どうしたの?姉ちゃん…」

 今にも泣き出しそうな飛馬の声が聞こえる。


 目の前で困っているであろう昴琉さんにも構わず、私は声を上げてわんわん泣いた。涙でもう何も見えなかった。


 と、頬にふわりと温かいものが触れ――。


 それが人の手だと気付いた時には、私はもう昴琉さんの腕の中にいた。昴琉さんは、ほんの少しだけ煙草の匂いがした。


 そんなふうに優しくされたら、余計に涙が止まらない。私は昴琉さんの胸に額を押し付け、思う存分に嗚咽おえつを上げた。しゃくり上げる背中を優しく包んでくれる温もりに、ほろりと力が抜けてゆく。実のお父さんにだって、こんなことはしてもらったことがなかった。


 そうして、やがて私が少し落ち着きを取り戻し始めた頃、昴琉さんは抱いていた腕をふわりと緩めた。


 私は、時々肩をしゃくりながらも、ぽつぽつとお母さんの着物のことを二人に語った。あの着物がなくなってしまう悲しみと、一番辛いはずのお母さんに何もしてあげられない辛さ、私たちが困っていても、いつだって何にもしてくれないお父さんを、つい恨めしく思う気持ちとか…。


 胸の中の色んな想いがぐちゃぐちゃにもつれ、また涙になってあふれ出しては頬を伝い、落ちてゆく。上手く言えたかどうかは分からない。それでも胸の中の全部を吐き出すように、私は無我夢中で話し続けた。昴琉さんも飛馬も、じっと黙って聞いていてくれた。


 そうしてひとしきり泣いて、ひととおりを話し終えると、ようやく昴琉さんは静かに口を開いた。


「伊織…。おまえ、虹を見たことはあるか?」

「に…じ?空の…?」

「ああ」

「うん…。あるよ、一応…」


 袖で涙を押さえながら頷くと、昴琉さんは微笑んだ。


「飛馬は?」

「うん、あるよ。姉ちゃんと一緒だったよね?」

「ん」

 私と飛馬は、顔を見合わせ頷いた。


「じゃあさ、虹を初めて目にした時、おまえたちは何を感じた?」

「ええと…。綺麗だった、すごく。曇った空に七色の橋が架かったみたいで…。とにかくすごく素敵だった」

「俺はすっごく嬉しかったな」


 私も飛馬も、思いつく感想を精一杯言ってみた。だけど、言葉ではどうも上手く言えない。多分、そんなつまらない気持ちじゃなかった。


 だけど、そう――。


 飛馬が言うように、とにかく嬉しかったことは間違いない。綺麗だ、素敵だ…なんて思う前に、宝物を見られた喜びの気持ちが先にあふれたように思う。


「だよな――。でも、虹ってのは、俺たちの心の中をぱあっと明るくしたかと思うと、すぐに消えちまう」

 昴琉さんは、自分の持ってきた蜜柑を口の中に放り込んだ。


 いつしか私たちもせっせと蜜柑の皮を剥き始めていた。一心不乱にそうしながら話に耳を傾けていたら、なぜだか少しずつ胸の中が楽になっていった。


 甘酸っぱい蜜柑の香りが今、ふんわりと私たちを包んでいる…。


「虹が出る前は雨が降っていたはずだ。違うか?」

「ええと…うん、降ってた!通り雨がきて慌てて洗濯物入れたら、止んじゃったんだ。ね?姉ちゃん?」

「うん。その時に見たんだよね、飛馬も一緒に」


 昴琉さんは楽しそうに話を続けた。


「雨はさ、じめじめして嫌だという人も確かにあるが、それを心待ちにしている者だって大勢ある。農家の人間にしてみれば、作物を育てる恵みの雨だったかもしれないし、葉陰でずっと日差しをやり過ごしていた蛙たちにしてみれば、命の雫さ。そうだろう?」

「うん」

「おまえたちは虹を心待ちにしているが、それを目にするためには雨を我慢しなきゃならない。虹ってのはな、太陽の光と、雨上がりに僅かに残った雨粒のやらかす魔法さ。つまり、雨が止んで太陽が出なきゃ虹は見えないんだな」


 私たちは相槌を打つのも忘れ、熱心に昴琉さんの話に聞き入っていた。


「おまえたちと同じ頃に空を見上げていた連中の中には、ようやく待ち望んでいた雨がつかの間の通り雨だったと知って落胆した者もあったろう。ああ、これでまた張り物が干せる――とにっこり微笑んだ者だってあったろう。だがきっと、そのどちらもが、どんよりと曇った空に架かった美しい架け橋に一瞬は心を奪われたはずだ。みんな空を見上げて、ああ、美しい…と感動の声を漏らしたはずだよ」


 昴琉さんは、私と飛馬の瞳を交互に覗きながら、一つ一つ、大切に言い聞かせるように話してくれた。なるべく私たちに分かりやすいように言葉を砕き、まだ幼かった私たちの反応を見ながらゆっくりと話をしてくれた。


「そんな人々のため息をよそに、虹はすうっと消えてゆく。虹はほんの一瞬の幻想だ。決して不変のものなんかじゃない」


「「……」」

 ぽかりと口を開けた私たちを見て、昴琉さんはくすりと笑った。


「同じだと思うんだよな、俺は。大切な何かを得るために、何か別なものを我慢しなきゃならない――そんなことはざらにある。それが仮に本当に貴重なもので、そして、それと引き換えに得られるものがほんの一瞬の喜びだったとしてもさ。ましてやおまえ、飛馬の命だぜ?母親にとって、他に大事なものなんかあると思うか?」


「……」


 私は考え込んでしまった。

 着物と飛馬――私だって、どちらも何にも替えがたいほど大切なものだ。でも、その二つを天秤にかけて、どちらが大事かと尋ねられればそれはもちろん飛馬だ。それはよく分かる。心からそう思う。


「おまえたちの母ちゃんは、きっと全部知っておいでなのさ。大事な着物なんか失くしたって構わない。お陰で世界でただ一つの大切な飛馬の命を失くさずにすんだ。ああ、この着物を今日まで手放さずに取っておいて良かった…ってな。むしろ今頃はそう感じておられるよ。後悔なんか、これっぽっちもしていないはずさ。確かにその着物を売った行為は、飛馬を救った代わりに伊織を傷つけ、がっかりさせた。それもよくご存知だろう。でも、俺はそんなことよりも、おまえたちの母ちゃんが、そうまでしておまえたちを愛してくれる気持ちにこそ感謝すべきだと思うし、こうして俺とおまえたちとが出会えたことや、あんなに苦しんだ飛馬が今元気に笑っていられることの方を素直に喜びたいね。それでいいじゃないか。着物なんか、これからいくらだって手に入るんだからさ」


 お母さんが大事にしてたあの着物。私のためにしまっておいてくれたあの着物…。それが、飛馬の命を救ってくれた。

 あの着物は、きっとお母さんの心そのものだったんだ。お母さんにとっては、私も飛馬も同じように大切な子どもなんだもの。


「雨が上がらなきゃ、そして、そこで太陽が覗かなきゃ虹なんて架からない。全部一緒に手に入れるなんてことはできないのさ。いつかきっと、おまえにだって母ちゃんが大切な着物を売った気持ちが理解できる。あの日の母ちゃんは正しかった――と、心から感謝できる日が必ず来る」


 温かい手が私の髪を撫でた。その途端、なんだか全部納得がいった気がして、私は急に嬉しくなった。そうして、じんわりと胸に温もりがかよい始めると、頬も自然と綻んでゆく。さっきあれほど泣いたのに、いつの間にか涙は乾いてしまっていた。


「ん」

 頷くと、昴琉さんもにっと笑った。飛馬も嬉しそうだった。


「ま、おまえが嫁に行くときにゃ、祝いに俺が買って持たせてやるさ。お姫様みたいなすげえやつをさ」


 昴琉さんはそう言って笑った。


 途端。


 なぜか私は、顔がぽおっと上気するのを感じた。また大声で何かを叫びたいような、今すぐ駆け出したいような――そんな熱い気持ちで胸がいっぱいになる。


「ほんと!?」

「ああ」

「約束ね、すー兄ちゃん!!」


 思わず抱きついたら、昴琉さんはまた私の体を抱き留めてくれた。


 ほんとに折れてしまいそうなほど細い体だ。なのにすごく力強い。すごく温かい。


 それで、すごく優しい。


「よし、約束だ。それまでにせいぜい気張って稼いでおくよ。ほら、顔洗って来い、伊織。母ちゃんに泣いたのがばれるぞ」

「うんっ!」


 差し出された手拭を持って、向かいの洗面所へ走った。あんまり嬉しくて足が弾んでいる。

 だけど、洗面所の鏡に映った私の顔といったらなかった。腫れた目の下に涙の跡がくっきりと残っているのに、妙に赤らんでてふにゃふにゃに緩んでいたんだもの。それがあんまりおかしくて、私は一人で声を上げて笑った。


 その日から、私も昴琉さんを「すー兄ちゃん」と呼ぶようになった。


 あの人は、私たち兄弟の憧れのすー兄ちゃんだ。世界で一番大好きなすー兄ちゃんだ。


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