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ナンパなんてしてないでクエスト行ってこい!  作者: 星願大聖
激闘! 滅階級モンスター討伐戦
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〜火山龍討伐戦第三陣・破壊の化身〜

〜火山龍討伐戦第三陣・破壊の化身〜

 

 第三陣の役割は目を潰すこと。

 メンバーは前衛中心に、とーてむすっぽーんさん、どるべるうぉんさん、どろぱっくさん、香芳美若こうほうびわかさん、ぺろぺろめろんさん、パイナポ、神怒狼夢シンドロームさんの八人

 

 怪我をする可能性が最も高い第三陣、神怒狼夢さんは後方からのサポートをお願いしている。

 本来ならブレスを吐かれる前に目を潰し、朧三日月さんの霧で平衡感覚を鈍らせた火山龍にブレスを空振りさせる算段だった。

 しかし紅焔さんとシュプリムさんが予想以上に火山龍をボコボコに痛めつけてしまった。

 

 左足は脇の下からキレイに切り落とされ、右足の紅焔さんに関しては、電磁砲ですら穴を開けるのが精一杯だった外皮をいとも簡単に切りつた。

 ぷぷるんさんいわく、その斬撃は骨までってしまったらしい。

 ここまで酷いダメージを受けてしまったなら先にブレスを撃たせた方が安全だと判断したため、目潰しの第三陣は後回しにしたのだ。

 しかしそのせいで、血の気の多い冒険者が集まる第三陣は現在、ものすごい形相で突撃している。

 

 「み! みなさん落ち着いて! もっとまとまって動いてください! あ! ほらぺろぺろめろんさん! 先行しすぎですってば!」

 

 キャリーム先輩の困った声が戦場に響く。

 

 「ヤッベェ! 全員ぺろりんから離れろぉ!」

 

 火山龍の目の前で、ぺろぺろめろんさんが氷の槌を振りかぶってくるくる回り出した。

 それを見たパイナポは急いで全員離れるように指示を出した。 それもそのはず、あの体制から出される技は一つしかない。

 

 「あれは! ぺろぺろめろんさんの『お煎餅ハリケーン』! あの技は鋼鉄兵器アシルジュエをペシャンコにするために生み出したと聞く! あの技を完成させるために普段使っている斧より一・五倍重いハンマーをドワーフの鍛治士に作らせたらしい! あの氷のハンマーは、その大きさと水の体積のせいで普段使っている斧よりおよそ三倍重い! つまりあのお煎餅ハリケーンは………とてつもない威力になる!」

 

 目をキラキラと輝かせながら、詳しく解説をしてくれているとーてむすっぽーんさん。 あの子は冒険者になったばかりの時からぺろぺろめろんさんに対して非常に憧れを持っている。

 いわゆるぺろぺろめろん信者だ、にしても詳しすぎて逆に引く。

 

 竜巻のような風圧を発生させながら徐々に近づいていくぺろぺろめろんさん。

 火山龍も慌てたのか、首を伸ばしてぺろぺろめろんさんに噛みつこうとしたが、そのタイミングでぺろぺろめろんさんが氷の槌を振り抜いた。

 

 とんでもなくえげつない音を立てながら、氷の槌は火山龍の頬を殴った。 殴られた火山龍の頭部は勢いよくぶっ飛ばされ、同時に何か白いものが宙を舞う。

 遠身の筒で拡大してみるとそれは………

 

 「うげっ! えげつないですね。 ぺろぺろめろんさんは、まるで破壊の化身だ………」

 「なんか、火山龍………かわいそうです」

 

 宙を舞っている物体を見た私は思わず青ざめる。

 ぷぷるんさんも、捨てられた子犬を眺めるような目で火山龍を哀れんでいる。

 

 「うぎゃあぁぁぁ! 火山龍の歯が粉々になってるぞぉ!」

 「あぁぁぁぁ! 私は悲しい! 火山龍が無様で悲しぃぃぃぃぃ!」

 

 パイナポや神怒狼夢さんの悲鳴が聞こえてくる。 そう、お煎餅ハリケーンが頬に直撃した火山龍の鋭い歯が、粉微塵になって宙を舞っていた。

 もはや火山龍に同情してしまう。 何せせっかく直った左足は再度切り落とされ、右前足は骨まで溶かされ両断された。

 

 その上後ろ足二本は大量の爆薬の餌食になり、背中の火口部分には電磁砲で穴を開けられた上に、溜めたマグマと接触して自爆、大きく抉れてしまっているのだ。 その上歯も粉微塵にされて、これから目も潰される。

 さらにこの後の第五陣が、今戦っている第三陣中心にこの場にいる全員と協力してとどめをさしにいくのだが、その手段はもっとえげつない。

 

 「さすが、オーバーキルのセリナさんでやんす」

 「鬼羅姫螺星きらきらぼしさん、いい子だからこっちにおいで?」

 

 耳ざとく鬼羅姫螺星さんの呟きを聞いた私は笑顔で手招きする。

 

 「い! 嫌でやんす! 怖いでやんす!」

 

 怯える鬼羅姫螺星さんを捕まえて説教しようとしてると、戦場の方からキャリーム先輩の声が聞こえてくる。

 

 「なっ! 何してるんですか香芳美若さん! 今そんなことしてる場合じゃないでしょ!」

 

 その一言で大体予想はついているが………

 逃げ回っていた鬼羅姫螺星さんを捕まえて、ヘッドロックしながらこめかみをぐりぐりしつつ、一応戦場を覗いてみた。

 

 「我が名は香芳美若! 王都で銅ランク冒険者をしている! 今回はセリナさんの計らいで特別にこの戦場に加えてもらった! 銅ランクだからと言って油断する事なかれ! 全力でかかってくるがいい! 火山龍よ!」

 

 ………毎度おなじみ、自己紹介の時間だったらしい。

 

 「モンスターに自己紹介なんかしてもわかるわけないじゃないですか! いいから早く突撃してください!」

 

 キャリーム先輩は律儀にツッコんでいるが、そのツッコミには禁止ワードが混ざっている。

 

 「と………突撃ですか! なんと甘美な響き! やはり突貫や正面突破、能力勝負よりも突撃というのはとてもいい響きだ………」

 「全部同じですよ! 感傷に浸ってないで早くパイナポさんたちの援護! ほら、早くしなさい!」

 

 キャリーム先輩は、とうとうブチギレてしまったようだ。 いつもの敬語を忘れて顔を真っ赤にしている。

 怒っているキャリーム先輩も可愛い。 と、今はそれどころではない。

 

 「香芳美若は、一応俺の後輩でやんす。 一個下なんでやすが、あの性格が災いしていまだに銅ランクなんでやんす。 一対一ならかなり強いんでやすが、いつも自己紹介してる間にモンスターに攻撃されて大怪我してるでやんす………」

 

 こめかみぐりぐり、通称どんぐりから逃れた鬼羅姫螺星さんは少し寂しそうにそんなことを言っていた。

 忘れているかもしれないが実はこの子、こんな見た目でも私より三歳年上なのです。

 

 小人族は童顔で、みんな少年少女の見た目をしているため、華嘉亜天火かかあてんかさんや鬼羅姫螺星さんのように、なめられないようジジくさい言葉遣いや高圧的な態度をする人が多いのだ。

 と、鬼羅姫螺星さんの解説をしている間にも戦場に動きがあった。

 

 火山龍の鼻先に氷の槌を振り下ろしたぺろぺろめろんさん、火山龍の頭は強制的に地面に叩きつけられる。 その瞬間にパイナポが火山龍の頭部に乗り上がってて走り出した。

 

 「ぺろぺろめろんさん! パイナポさん! ナイスです! そのまま左目を潰してください!」

 

 キャリーム先輩が嬉しそうに声を上げるが………

 

 「パイナポさん! すぐ降りて!」

 

 とーてむすっぽーんさんが必死に叫ぶ。

 キャリーム先輩はなぜ? とでもいいたそうな表情だが、パイナポは一切の迷いなく火山龍の頭部から飛び降りた。

 飛び降りてきたパイナポを、地上側から走って追いかけていたとーてむすっぽーんさんがキャッチする。

 ………お姫様抱っこで。

 

 「絵面やばいですよ? とってぃさん」

 

 思わず近くにいたどるべるうぉんさんが呟いていた。 次の瞬間、火山龍の頭が勢いよく大岩に打ちつけられた。

 ものすごい衝撃音、そして青ざめているキャリーム先輩。

 

 なぜならあのままパイナポに深追いさせていたら、岩に叩きつけられてペシャンコになっていたからだ。

 お姫様抱っこしたパイナポを恥ずかしそうな顔で下ろしたとーてむすっぽーんさんに、キャリーム先輩は視線を送る。

 

 「とーてむすっぽーんさん! 私の指揮が至らなかったことをお詫びします! それと多大なる感謝を!」

 「あ、いえいえ! 首の筋肉に不自然な動きがあったので、咄嗟に叫んじゃっただけです!」

 

 さらっとものすごいことを言っているとーてむすっぽーんさんに、苦笑いするキャリームさん。 首の筋肉の動きで危険を察知した?

 

 ………つまりとーてむすっぽーんさんのあの異常に鋭い観察眼は、もはや人型モンスターだけでなくどんなモンスター相手でも動きを予測できるということなのだろうか?

 そんなの未来視に近いじゃないか。

 

 「ねぇとってぃ! あの目を潰すにはどうしても頭部に乗らないとダメだよね?」

 「それか武器が届く範囲に頭部を叩きつける必要があります。 頭に乗るのが危険な以上、必然的に大地にめり込ませないと届きませんね。 それに、飛び道具はダメでしたからね。 さっきどるべりんが片手剣を投げてましたが、瞬きで防がれてました。 厚さはなくても瞼もかなり硬いと思います!」

 「なるほどな、頭に乗ると皮膚の硬さを利用して自分の頭を岩に叩きつけてくるわけか。 ぺろりんなら地面にめり込ませることはできるだろうが、できても一回限りだろ。 それだと片目しか潰せねぇ」

 

 岩に頭を打ち付けた時の威力は凄まじいものだった、しかし火山龍の硬い皮膚がその衝撃から守るため、自分にダメージはないのだろう。

 とはいえ上に乗っている冒険者はおそらく即死するレベルの威力だ。

 ぺろぺろめろんさんとーてむすっぽーんさん、パイナポの三人が先ほどの攻撃を見た後、火山龍から距離をとって相談していた。 キャリーム先輩も攻めあぐねているらしい。

 

 「香芳美若さん! もう一度自己紹介できますか?」

 

 そんな中、突拍子もなくどるべるうぉんさんがそんなことを言う。

 

 「どるべるうぉんさん! こんな時に何言ってるんですか!」

 

 流石のキャリーム先輩もどるべるうぉんさんの発言に意を唱えた。 しかしニヤリと笑いながら動き出すぺろぺろめろんさんたち。

 

 「おいキャリーム嬢! お前自分の担当冒険者なのに一人存在忘れてねえか? 安心しろ、どるべるうぉんはふざけてるわけじゃねえ。 香芳美若! 韻星巫流インポッシブル並みの自己紹介………いや、囮を頼むぜ?」

 

 ぺろぺろめろんさんと同時に動き出したパイナポの発言でハッとするキャリーム先輩。

 

 「自己紹介はすでにしてしまいました! なのでこの私、自慢の槍で舞いたいと思います!」

 

 香芳美若さん唯一の強みは、モンスターの注意を誰よりも引きやすいこと。 おそらくなんらかの体質か、魔力が無意識に働いているのだろう。

 盾役として恐ろしいほどモンスターの視線や注意を集めるのだ。

 

 そのため間合いの外で踊り出した香芳美若さんに視線を釘付けにされている火山龍。

 少し離れたところでぺろぺろめろんさんが何かを投げようとしているのか、右腕を思い切り振りかぶっている。

 

 「てんてんの作戦を使っちゃうよ〜! その名も!『どろぴーミサイル』」

 

 ぺろぺろめろんさんが思い切り何かを投げたように見えたが、しかし何も飛んでいく様子はない。 どろぴーミサイルってなんだろう?

 それをチラリと横目に見ていた火山龍だったが特に何も対処することなく、長い槍をバトンのように回しながら優雅に踊っている香芳美若さんに視線を戻した。

 しかし次の瞬間、火山龍の左眼球がなんの前触れもなく血を噴き出した。

 

 「なるほど、火山龍は見えてないんですね?」

 

 一人で納得してぼそりとつぶやくぷぷるんさん。

 私は首を傾げながらぷぷるんさんの顔を覗き込む。

 

 「火山龍は優れた聴覚も嗅覚も、ましてや蛇のような温度感知能力も備わってないんですよ。 ああいう相手に対してはあの冒険者は恐ろしいほどに力を発揮します」

 

 私はぷぷるんさんの解説を聞いて、一人の冒険者を思い浮かべた。

 どるべるうぉんさんは、動揺しながら首をブンブン振っている火山龍を睨みながらつぶやいた。

 

 「さすが我が友、どろぱっくさんだ」

 

 火山龍には透明化したどろぱっくさんが全く見えていない。

 ましてや、香芳美若さんに気を取られていたせいで注意も散漫になっていたのだ。

 どるべるうぉんさんが仕向けたトリックに気が付かず、どろぱっくさんの透明化に翻弄される火山龍。

 左目を潰された火山龍は首を激しく振っている。

 

 「左目は潰せたけど、これじゃあ近づけないわ!」

 

 キャリーム先輩が頭を抱えるが、ぺろぺろめろんさんはグッと親指を立ててきた。

 

 「もっかいあれかましてあげるから、あとはよろ!」

 

 それだけ言って天高く飛び上がるぺろぺろめろんさん。 それを見たキャリーム先輩も大急ぎで全員に指示を出す。

 

 「みなさん! 火山龍の頭が地面にめり込んでいるうちに右目も潰してください! 着地地点の予想は………とーてむすっぽーんさんならできますか?」

 「お安い御用でーす!」

 

 元気に返事をしながらキャリーム先輩の元に走るとーてむすっぽーんさん。

 パイナポやどるべるうぉんさん、香芳美若さんも一定の間隔で散らばった。

 天高く飛び上がったぺろぺろめろんさんは、氷の槌を頭の上から振り下ろし、その反動を利用してくるくると縦に回転する。

 空中で車輪のように高速で回転するぺろぺろめろんさんは、さらに回転を強めながら火山龍の頭に向けて落ちていく。

 それを注意してみていたとーてむすっぽーんさん、そしてすぐに火山龍の方に視点を切り替える。

 キャリーム先輩は意図がわかり、すぐに拡声器をさしだした。 とーてむすっぽーんさんは拡声器を受け取って口元に寄せる。

 

 「ぺろぺろめろんさん右に十度修正、五秒後にインパクトです! 落下地点は香芳美若さんの斜め右前方、役五メーター!」

 

 その号令を聞いた瞬間、誰一人疑うことなく、全員が香芳美若さんの元に集まる。

 隣で指示の細かさに絶句するキャリーム先輩。

 

 「いっくよ〜! ぺったんこスマッシュ!」

 

 ぺろぺろめろんさんの可愛いらしい声とは裏腹に、鈍くて強烈な殴打音が空から響く。

 するととーてむすっぽーんさんの宣言通り、香芳美若さんのすぐ近くに火山龍の頭が叩きつけられ、地面にめり込んだ。

 しかし右の眼球まで、大剣ではギリギリ届かない。 咄嗟にどるべるうぉんさんが片手剣を投げるが瞬きをされて防がれる。

 下唇を噛むどるべるうぉんさん、しかしパイナポだけは一才の躊躇なくひとっ飛びで閉じられた瞼に切り掛かった。

 

 「どんなに硬くても、他の部分より皮膚が薄いんなら! 俺様でもきれねえことはねえはずだぁ!」

 

 渾身の一撃を振り抜くパイナポ。 すると火山龍の瞼に亀裂が入る。

 そしてその瞬間を見逃さなかった香芳美若さんが全身のバネを使い、渾身の一突きをその亀裂に向けて放った。

 すると、放たれた槍は見事に亀裂の中に食い込み、真っ赤な血が右目から噴き出した。

 

 

 

 視力を失った火山龍は現在、唯一動く首を無差別にブンブン振って地面を叩きつけている。

 首の動きはかなり早い、要塞内も首を叩きつけられる振動で地震のように揺れ続けている。

 

 「最後の足掻きでやんすね」

 

 要塞の壁に手をつき、揺れに耐えながら鬼羅姫螺星さんがつぶやく。

 

 「ぷぷるんさん、魔力が頭部や噴火口に集中したりする前触れはないですか?」

 

 私も揺れに耐えながらぷぷるんさんに問いかける。

 

 「ええ、火山龍の残存魔力はかなり少ないです。 凪燕さんが完封してますが、終始火炎操作をしようとしているようで、かなり魔力の無駄遣いをしています! このまま魔力が切れてくれるのが望ましいですが………今のペースだと魔力切れの予想時間は八時間後。 底が見えるようになっただけありがたいですが、この地震が続いてしまえば要塞も崩れるかもしれないです………」

 

 不安そうな表情のぷぷるんさん。

 

 「ブレスも噴火も来ないのなら問題ありません。 それに首を叩きつけるのも、あのスピードなら対処できます! とどめを差しに行きますよ! クルルちゃん! お願いしまーす!」

 

 拡声器でクルルちゃんに呼びかける。

 すると揺れる大地で腕を組み、仁王立ちして火山龍を睨みつけるクルルちゃんが私に振り向く。

 

 「汚名返上の機会をくれてありがとうセリナ! さあ第五陣の皆さん! もがき苦しむ火山龍を楽にさせましょう!」

 

 第五陣がこれからすることを考えると、楽に死なせるのは無理だと思うが………

 そうそうたる面々がクルルちゃんの背後に集まっている。

 中心メンバーとなるくりんこんさん、フェアエルデさん、ラオホークさん、銀河さん、ぷらんくるとんさん、ぬらぬらさん、龍雅さん。

 

 そしてそれをサポートするのは先ほど活躍した第三陣と、虞離瀬凛さん筆頭にした力自慢の皆さん。 他にも全冒険者と土木のお兄さん方、受付嬢までもが集まっている。

 私も第五陣の突撃を見送ったらすぐに下に降りなければならない。

 

 ぷぷるんさん鬼羅姫螺星さんは後方から魔力の流れや火山龍の動きを注視してもらうことになるが、余裕があったら手伝ってもらうことになる。

 クルルちゃんは拡声器を口元から離し、冒険者たちの方へ振り向くと、いつも頭頂部で括っていた団子を解いて、その長い髪を風になびかせた。

 

 「よっしゃぁ! 第五陣、無様に足掻いている火山龍を絞め殺してやんぞ! 血祭りだオラァァぁぁぁ!」

 親指を逆さまにし、首を掻き切る仕草をするクルルちゃん。 その仕草と歪に湾曲した口角がかなり怖い。

 心なしか言葉遣いも荒くなっているような?

 

 要塞の上から見ていたにもかかわらず、背筋がゾワッとする。

 しかし第五陣の中心メンバーたちは、かなり高い士気を保って駆け出していた。

 全員が目を輝かせ、自分こそが火山龍を討ち取るぞという気概が溢れている。

 

 こうして最後の戦いが、今始まるのだ。

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