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ナンパなんてしてないでクエスト行ってこい!  作者: 星願大聖
果ての荒野での異常現象
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〜女王蜘蛛討伐・全ては手のひらの上〜

〜女王蜘蛛討伐・全ては手のひらの上〜

 

 揺動隊が繭の内部へ向かい始めた頃、女王蜘蛛(レヌアレニエ)の間合いの外で何やら地面をつついている工作隊。

 

 「この辺が丁度いい(♩♩♩♩♩)、始めようぜ大掃除(♩♩♩♩♩)

 「どうやらあっちも繭の内部に入ったようだぞ?」

 「なら丁度いいタイミングですね!」

 

 くりんこんの言葉を聞き、小さく頷いたフェアエルデは地面に拳を突き立てる。 すると宙吊りになっていた繭の真下に煙突のような土塊が隆起する。

 煙突は、繭の下部に着くかつかないかと言うほどの長さで、遠くから見ると煙突の上に卵が乗っているような光景になった。 くりんこんはその煙突状の土塊を確認すると杖を構え、セメントを生成し始めた。

 

 「あっぽれ、早速始めよう」

 「任せて! 終焉への幻夢(ケイオスミラージュ)!」

 

 あっぽれが優雅な仕草でゴシックな飾りを装飾したジョウロを振り回す。 するとジョウロの先端から発生したミストが、フェアエルデの目の前にふわふわと移動した。

 フェアエルデはその様子を確認すると、ツンツンと土をつつく。 途端に人一人が入れそうな穴が開き、その穴の中にミストが吸い込まれるように入っていった。

 

 「なあ、今思ったんだが……あの繭の中でミストが充満しやすいように煙突の接着面を切った方が良くないか?」

 「安心しろ(♫♫♫♫♫♫)ラオホーク《♩♩♩♩》! これは俺が計算して作った滑走路っす(♩♩♩♩♩)。 理論的には審必勝(♫♫♫♫♫♫)

 「審必勝? 何だそれは」

 「多分先輩が韻を踏むために作った造語ですよ。 必勝の審判がおりました的な感じじゃないですか?」

 「オーイェア!」

 

 ほらね? とでも言いたそうな顔で肩をすくめるくりんこん。

 

 「皆様! それではあたしのゼンマイファミリーを発動して揺動隊の皆様に合図をお出ししますね!」

 

 見事工作を終えたであろう冒険者たちに視線を送るシャエムー・グードゥ。 全員がこくりとうなづくと、シャエムー・グードゥは膨大な魔力を放出する。

 

 「ゼンマイファミリー! お仕置きの時間です!」

 

 今頃ははるか前方にある繭の中で、凪燕に預けていたゼンマイたちが姿を変えて飛び出しているだろう。 が、

 

 「はわわ! 凪燕様ひどいです!」

 

 突然涙目で口元を押さえるシャエムー・グードゥ。 ラオホークは必死の形相でシャエムー・グードゥに駆け寄り、さりげなくよしよしと頭を撫で始めた。

 

 「どうしたシャエムー・グードゥ! 問題発生か?」

 「うう、凪燕様。 あたしのゼンマイファミリーを黒い炎で燃やしています」

 「何だと! あのいけ好かない男、シャエムー・グードゥを泣かせるとは許すまじ!」

 

 怒りに拳を震わせるラオホークだったが、ようやくセメントを作り出し、先ほどフェアエルデがクレーター中央に作り出した煙突にセメントを飛ばしたくりんこんは不思議そうに首を傾げた。

 

 「先ほど凪燕さんが言っていた、粘糸の対策なのでは?」

 

 一同が沈黙する中、くりんこんが放ったセメントは煙突に見事衝突し、その煙突を分厚いコンクリートで覆った。

 

 

 

 ☆

 「ほらほらみんな〜ゼンマイファミリー発動したから俺が作ったマスクつけてー!」

 

 凪燕のかけ声を聞き、全員が所持していた半透明なマスクを装着する。 ガスマスクのような形状をしたマスクは鼻と口、目などをしっかりと覆い、毒ガスに対する万全な装備をしているような雰囲気を漂わせる。

 

 双子を担いだまま雨のように降り注ぐ光線から逃げ回る凪燕は、全員がマスクを装着したことを視認して満足げに頷いた。

 現在、光線が降り注ぐ雨の中を、全身真っ黒な炎で燃やした状態のゼンマイファミリーが駆け回り、黒炎を纏った刀で粘糸や鋼鉄兵器(アシルジュエ)を切り裂いて回っている。

 

 「にしてもえげつねえな」「アレって小さい宝石ランクが使ってた人形だろ?」

 「しょうがないじゃないか、あのまま放り出したら全員粘糸にくっついて役に立たなくなるだろ? 燃え尽きるまでに俺の計算だと十分はかかる。 それまで暴れてもらおうよ」

 「燃え尽きちゃったら」「怒られるんじゃないか?」

 「何言ってんのさ双子君、シャエムー・グードゥは設計図は頭に叩き込んでるって言ってただろ? どうせまた作れるよ、あの子のことだから」

 

 まるで反省した様子もなく駆け回る凪燕。 水圧ジェットで宙を移動する華嘉亜天火とおらんげが順調に鋼鉄兵器を溶かして回る中、繭中央に鎮座していた女王蜘蛛は真っ赤な瞳をギロリと王消寅(オウケストラ)に向けた。

 

 「なぜだろう 見られてるね 俺だけが」

 「多分現存の魔力量に関係してるんじゃないかい? 僕はさっき奥の手使っちゃったから今魔力が一番多いのが君なんだろう?」

 

 女王蜘蛛は予備動作なしに、下半身を形成していた蜘蛛の臀部から糸を発射する。 蜘蛛の巣状に張り巡らされた真っ白な糸が、王消寅を捉えようと襲い掛かる。

 

 「粘糸だね これ食らったら 終了だ」

 

 王消寅は何食わぬ顔で突風を巻き起こす。 迫っていた粘糸の大網は風圧に負けて繭の壁面に叩きつけられた。

 直後、王消寅は空中でアクロバットに飛び回る。

 

 「面倒だ 今度は鋼糸で 襲われた」

 「予備動作なしってのが面倒ね。 あたしは探知系は得意じゃないから気をつけてないとお陀仏だわ」

 「華嘉亜天火お姉ちゃん! おれんのお水で覆ってあげようか?」

 「あら、それは助かるわね」

 「ふふふ! いっくよー! 絶望の壁(アシッドウォール)

 

 甘橙色の液体がおらんげの傘から放出され、液体は膜を張るよう円形に二人を包み込んだ。 光線は防げないものの、王消寅がかわしている鋼糸が流れてきたとしても、この酸の膜がその鋼糸をとかしてくれるだろう。

 

 この中で唯一鋼糸も粘糸も防げるのはおらんげの酸と、双子が放つ炎だけ。 揺動隊は一定時間この中で鋼糸と粘糸の波状攻撃を耐え続けなければならない。

 その上数は大幅に減ったとはいえ、無数の鋼鉄兵器から乱射される光線もある。 こちらに関してはおらんげと極楽鳶は防ぐ手段がない。

 ゼンマイファミリーが一刻も早くこの鋼鉄兵器を切り捨てなければ動き辛くなるだろう。

 

 「もしかして兄!」「今この場において、俺が最強!」

 「僕に担がれてる状態で言っても説得力ないよ? まあだけど、あらゆる攻撃も魔力を帯びてるなら、理論上は君だけがすべての攻撃を防げるよね。 流石に繭の中にあんな大きな岩を持ってくることはできないでしょ」

 「だったら兄が」「この繭ごと燃やすってのは?」

 「それって僕たちも巻き添えになるよね? 却下で!」

 

 むすっと口を窄める閻魔鴉だったが、女王蜘蛛の集中砲火を受けている王消寅は額に汗を浮かべ始めた。

 

 「ねえみんな 何でもいいから 助けてよ 反撃できない 手数が多い」

 「おらんげちゃん、さっきの噴水を女王蜘蛛に打ってくれないかしら?」

 「いいの? 硬い糸がたくさん飛んでるから、もしかしたらお怪我しちゃうかも知れないよ?」

 「この膜はあたしが操るから操作権を放棄しても構わないわ。 鋼鉄兵器の対応はゼンマイファミリーに任せちゃって良さそうだし」

 「華嘉亜天火お姉ちゃんが言うなら間違いないね!」

 

 おらんげはにっこりと笑いながら傘を女王蜘蛛に向ける。 同時に華嘉亜天火が操作していた大量の酸は意志を失くしたように繭の下部に落ちていく。

 操作権を膜に移行させたため、攻撃のために操作していた酸は放棄されたのだ。

 女王蜘蛛は、傘を自分に向けているおらんげを横目に確認すると。すぐさま二人に標的を変更する。

 

 「もう遅いよー! 絶望の噴水(アシッドフォンテイン)

 

 迫り来る粘糸の大網も、飛び交う鋼糸もまるで無視して一直線に女王蜘蛛を狙う甘橙色の噴水。

 華嘉亜天火たちも現在は酸の膜で守られているため、鋼糸では膜を破れない。

 女王蜘蛛は初めてその場から飛び退き、噴水の攻撃を回避する。 すると背後に回り込んでいた凪燕たちがニッカリと歯を見せて笑う。

 

 「ほら双子君! 今がかっこつけるところだよ!」

 「「任せとけ!」」

 

 二人を放り投げた凪燕の掛け声に合わせ、双子は蒼炎と黒炎の斬撃をクロスに放った。 鋼糸を幾重にも重ねてガードしようとするが、二人の炎の斬撃は無慈悲に糸を焼き尽くす。

 美しい姿をした女王蜘蛛の上半身にクロス状の火傷痕が痛々しく刻まれ、衝撃で繭の壁へと叩きつけられる。

 

 「これは、このままゴリ押せば勝てそうじゃないかい?」

 「まあ確かに、このままいけば仕留められそうね」

 

 凪燕と華嘉亜天火が流暢に言葉をかわしていると、女王蜘蛛はまさかの行動に出た。

 叩きつけられた繭の壁面に背を向けたまま、自らを真っ白な糸で覆い隠す。 女王蜘蛛一体がぎりぎり隠れるほどの大きさで編まれた小さな繭を訝しげに見ながら、凪燕は首を傾げた。

 

 「え? 何あれ、何の意味があるのかさっぱりわからないんだけど?」

 「まさか、下の煙突からあっぽれちゃんのミストを流し込んでることに気づかれた?」

 「まっさかー? あのモンスターってそこまで感がいいの? でもさ、勘づいたとしたらこの場で繭に籠るのはおかしくないかい? だって繭はスカスカだからミストほど粒子が小さいものだったら通過するよ? 俺たちはマスクつけてるから影響ないけどさ……」

 

 そこまで呟いた瞬間意味深に口をつぐむ凪燕。 

 数舜の沈黙を挟み、凪燕や華嘉亜天火、王消寅はほぼ同時に目を見開いた。

 

 「「まさか!」」

 「まずいよね きっとあいつは 逃げ出した」

 

 

 

 ☆

 遥か彼方から遠見の水晶板を覗いて女王蜘蛛との戦闘を見守っている。 紅焔さんの方は、まあ放っておいても問題はないだろう。

 

 「あと千体を切った! まだまだ私は戦えるぞ! アッハハハハハハ! さあ、かかってこいモンスターども!」

 

 この通りものすごく元気そうだもの。

 

 「セリナさん、凪燕さんたちは繭の中に侵入しましたよ?」

 「ほほう、私の計算通りですね!」

 「それにしてもあの煙突、なんでコンクリートで覆ったんですかね?」

 

 レミスさんが不思議そうな声で尋ねてくる。

 

 「十中八九、クレーター下部に残留してるおらんげさんの酸対策と、鋼糸で切り裂かれないように補強したんでしょう。 コンクリートの硬度なら、ある程度分厚くすれば女王蜘蛛の切れ味抜群な糸を防げるんじゃないですか?」

 「確か凪燕さんは、鋼糸って呼んでましたよね? ()()()て遠くから見てると、()()の恐ろしさが丸わかり! ……あの、その〜」

 「はいはいわかりましたからお黙りなさい」

 

 私はモジモジしていたレミスさんを黙らせる。 それにしても凪燕さん、何だかかっこいいネーミングセンスしてるよな。 

 なんて思っていると、私たちの後ろで不機嫌そうに腕を組んでいた羅虞那録(ラグナロク)さんが鼻息を荒げ始めた。

 

 「そんなことより性悪女(しょうわるおんな)! 何で(わたくし)はお留守番なのよ!」

 「性悪女とか言わないでくださいよ! 考えればわかるでしょ? 金ランクで頭のいい羅虞那録さんならね〜」

 

 ニヒルな笑みを浮かべながら羅虞那録さんの様子を横目に伺うと、顔を真っ赤にしてプルプルと震え出している様が目に入る。 はは〜ん、わかんないんだな?

 

 「わかったわ! 最強の盾であるこの私があなたの護衛を務めれば、人員を削減できるって腹づもりね!」

 「はい、二点。 およそ頭の悪い回答が返ってきました〜」

 

 羅虞那録さんは涙目で地団駄を踏み始めた。

 

 「今のは! 笑わせるために言ったジョークよ! そっちの黒髪よりも面白かったでしょ!」

 「え? 私のダジャレってそんなにつまらないですか?」

 「どっちもいい勝負ですよ? まあ、かわいそうな羅虞那録さんにヒントをあげましょう!」

 

 私の返事を聞いたレミスさんはかなりのショックを受けたような顔で跪いてしまっていたが、そんなことはさておき、

 

 「凪燕さんが命名した粘糸、鋼糸、操糸。 全て防げるのはこのメンバーの中で誰だと思います?」

 「は? あなたさっき言ってたじゃない。 おらんげと、あの格下の双子でしょ? あとは奥の手を使った凪燕も防げるけど、魔力が持たないとか言ってたわね!」

 「はい二十点! 私は討伐に向かったメンバーの中とは一言も言ってません! このメンバー、つまりあなたとレミスさん、ついでに紅焔さんと朧三日月さんも入れて考えてください?」

 

 ちなみに朧三日月さん、つい先ほど三百体の地堀虫(ティリュニーユ)を切り伏せ終わりました。 五体満足な上に余裕そうな顔で繭の方にダッシュしてます。 元気なじいちゃんだこと。

 羅虞那録さんはうんうんと唸りながらこめかみをこづき始めた。 すると先に回答したのはレミスさんだった。

 

 「はい! わかりましたセリナお姉ちゃん! 朧三日月さんと紅焔さんも防げます!」

 「惜しい! 惜しいよレミスさん! あと一人いるじゃないですか!」

 

 鋼糸は切れ味が鋭くて見えないだけ、防ごうと思えば誰でも防げるだろう。 まあ、かわすだけだと鋼糸が場に残り、トラップになってしまうのだが……今は面倒だからその辺は考えない。

 問題は粘糸だ。 あれは非常に粘着力が強く、半端な剣術で切ろうとしても剣に糸がくっついてしまう。

 焼き払うか、溶かすか、朧三日月さん並みの達人級技術を使いぶった斬るか。 あるいは……

 

 「もしかして、私?」

 

 などと妄言を吐いたのはレミスさんだった。

 

 「レミスさん、冒険者育成学校で勉強し直しましょうか?」

 「ひどい! 今日のセリナさんは辛口すぎます!」

 

 私とレミスさんの口論を聞き、羅虞那録さんはハッとした顔で私に視線を送った。

 

 「え? もしかして私の障壁魔法であの粘糸を切るってこと?」

 「さすが羅虞那録さん! やっぱり金ランク冒険者は頭がいいですねぇ! 散々ヒントあげたけど〜」

 

 私の小言など気にもせず、嬉しそうに腕を組みながらドヤ顔を作る羅虞那録さんだった。

 羅虞那録さんの障壁魔法の硬度は冒険者の中でもトップオブトップ。 故にその障壁魔法で形成した剣は、触れただけで大地を切り裂くほどに鋭い切れ味を誇っている。

 それは先ほどの地獄狼(ルルアンフェール)討伐で直接みていた。 あの切れ味なら達人でなくても粘糸を切り裂ける。

 

 「ふんっ! 当・然・じゃない! オーホッホッホッホッホッホ!」

 「だからあなたに残ってもらった理由、わかりますよね?」

 

 途端、羅虞那録さんは硬直しながら汗をかき始めた。 どうやらここまでお膳立てしてもわからないらしい。

 

 「羅虞那録さん、念のため聞いておきますが、あなたの障壁魔法はどの程度まで自由に形成できますか?」

 

 ちょっと嫌な予感がしてきた。 この回答次第では私の必勝法がパーになる気がする。

 

 「は? 相当複雑な形状じゃなければ変形できるわよ? あなた、この私を舐めているの?」

 

 ホッと胸を撫で下ろしながら宙吊りになっていた繭を再度遠見の水晶板で覗いた。 私の心配は杞憂だったようだ。

 

 「一応共有しておきますね、レミスさんの得意分野は遠距離狙撃。 その最大距離は三千メーター。 そしてここから繭までの距離は約千五百メーター。 けど今は繭の中に皆さんがいるため、よく視認できません。 まあ、視力がとんでもないレミスさんは繭の隙間を縫ってうっすらと視認できるみたいですが、狙撃するなら確実に視認したいですよね?」

 

 真剣な表情で話を聞いている羅虞那録さんを横目に伺いながら、私は言葉を続ける。

 

 「おそらく前線で戦ってる皆さんの策はこうです。 あっぽれさんのミストをあの繭の中に充満させ、幻影で上の空になってる女王蜘蛛の頭を潰す算段。 虫系モンスターは頭を潰さないと討伐できませんからね。 けど考えてみてください。 もし、あの女王蜘蛛がかなり臆病で、勝てそうにないと思った瞬間に逃げ出すようなモンスターだったら? もし、凪燕さんたちはあの場で仕留める気満々で、相手が逃げることなんてつゆほども考えてなかったら?」

 

 レミスさんはハッとした顔で繭を凝視し始めた。 同時に羅虞那録さんも目を見開いて手のひらを広げる。

 

 「地下に潜んで大量のモンスターを操っているモンスターなら」

 「臆病に決まっていますわ!」

 「「つまり、危険を感じたら迷わず逃走を図る!」」

 

 レミスさんと羅虞那録さんは交互に言葉を繋げていった。 どっかの誰かさんたちみたいだなと思いつつも、私はニヤリと笑う。

 

 「どうやら凪燕さんたち、私の思い通りに動いてくれているみたいですね」

 「あんた、相変わらず性悪よね。 あの宝石ランクや金ランクの化け物級冒険者たちを、手のひらの上で転がすだなんて」

 

 羅虞那録さんが呆れたようにそう呟き、私の隣に歩み寄った。

 

 「あんたが私を残した理由、これでしょう?」

 

 羅虞那録さんは手のひらの上に半透明な障壁魔法を浮かせている。

 その形状は、一本の弓矢のような形状をしていた。

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