閑話 神様たちの憂鬱
短いお話です
「うぅむ…このスキルにも次元が使われておるな…」
「お~~いエギっちゃぁ~ん!」
「お! コレは…うむむ、上位魔術の重ね掛け…かぁ」
「え~ぎ~る~~~!」
「コレは闇魔術か…お、コレはだいじょうぶそう──」
「エギル! おい!!」
「うわぁぁあ!? な、なんだ?! マリネラ、急に耳元で騒ぐな」
「…何言ってんのよ。こっちはずぅぅっと呼んでたんだっちゅうの」
マリネラはそう言ってぷんすかとほっぺを膨らませる。
「そ、そうだったのか。すまんな、ノートのスキル編纂がチョッとな」
「あぁ確かに彼のスキル、ヤバいの多いよねぇ。あれでよく、悪用を思いつかないなぁ。お人好しなのかマヌケなのか、分かんない子だ」
コイツはヤバい事を言うんじゃねぇ! と思いながら、あえて指摘はしない。
同じことを自分自身も思っていたからだ。特にステルスはヤバイ、何しろ我ら神すら存在が見つけられなくなるのだから。
「それで、我に何用だ?」
「へ? あ、そうそう、イリス様が呼んでるよ。何か相談事があるみたい」
管理者がわざわざ相談? 一体何事だ? そう思ってすぐ向かうと伝える。
「はぁい。お願いねぇ」
軽い返事でマリネラは別の所へ消えて行く。
「ふぅ。これでは全く進まんな。あ奴も普通の魔術は作れんのか」
溜息一つ零してから、イリス様の元へとエギルは向かう。
◇ ◇ ◇
「おい! エリオス! テメエまた俺んとこの御神酒飲んだだろ!」
「ガハハハハ! あの酒は美味かったぞ! またもらったら教えてくれ!」
「バカか! 何でテメエに飲ませなきゃいけねえんだよ! 二度とやるか! この筋肉だるまが!」
「何をぬかすかこの酒樽親父が! もう少しお前は体型を考えろ!」
「何をぉ!」
「何じゃぁ?!」
”ドカン” ”ボカン” ”バキィ” ”このっ!” ”なんとぉ!”
「あ~あぁ、あ奴らまたぼかすかやりおってからに…」
「グッちゃん、今日は何でどつき合ってるの」
「んあ? あぁ、何やらお供えの御神酒を飲んだとか飲まれたで始まった」
「あはははは! 相変わらずの脳筋バカコンビだねぇ」
「ふぅ。結局後で、回復させられる儂の身にもなってほしいもんじゃ」
「甘やかしちゃだめだよ。放っておけばいいんだよ」
「ううむ。しかしのう…それはそれで可哀想じゃろう」
「…もう、そんなだからあのバカコンビは、止めないんだよ。いいから今回は回復は無し。ね。それにイリス様が呼んでるから行こ!」
「え?! あ、おい、ちょ、ちょっと引き摺らないでくれんかのぉぉぉお!」
◇ ◇ ◇
「管理者イリスよ、相談事とは何事だ?」
「イリス様ぁ! グスノフ爺も連れて来たヨ!」
「…大丈夫ですかグスノフ。引き摺られているようですが」
「はぁはぁ…ヒィヒィ…待ってと言ったんですが聞き入れて貰えず…はぁふぅ」
「ありゃ、ゴメンね!!」
「残りの二人は?」
「ああ、あれはダメでした。ぼかすかやってたので、捨て置きました」
「…仕方のない二柱ですね。…まぁ良いでしょう。実は相談が有って集まって──」
ある日ある時ある場面での神達のひと時…永遠に続く彼らの悩みは何時までも…その失われない寿命と共に……。
──…輪廻の理の外側で、茶番と言う名の喜劇は続く。
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