表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第3章 深謀短慮、豈図らんや。
92/266

第30話 絡まってこんがらがる



《マスター遺体を回収しましょう、人が来ると面倒です。彼女達にも通達しましたが、倉庫街は難しいみたいです》


「え? このぐちゃぐちゃを回収するの? 何かやだなぁ」

《人が来て説明できるなら構いませんが、面倒事が増えますよ》


 痛い所を突かれて、渋々異界庫へ回収した。飛び散った肉片や血は面倒になったので、クリーンアップで消し去った。


(皆の方はどう? 回収して撤収出来そう?)


 念話で同時に聞くと、キャロルは出来たと言って来たのだが、セリスと

シェリーが無理だと言って来た。何やら人が居たらしい。俺とキャロルは、倉庫街へと向かった。



◇  ◇  ◇



「うわ、目茶苦茶になってるじゃん。人も集まってるし…衛兵もいるな」


 普段は人気のない倉庫街が、篝火と人だかりでごった返していた。


 遠目からでも様子が分かったので、念話でキャロル達を探すことにした。


(キャロ! 今、倉庫街の入り口に来たけど、皆は何処?)

(私も着いたとこ…あ、見えました。そっちに行きます)


(ノートか、面倒くさい事になった、二番倉庫に来てくれ)

(え? 分かった、すぐ行くよ)


 キャロルと合流し、二人で二番と扉に掛かれた倉庫に向かうと、衛兵が多く集まっていた。


 シェリーとセリスはすぐに見つかったんだが、様子がおかしかったので、二人で直ぐに駆け寄って行く。


「お~い。どうしたの? なんだか物々しいけれど」


 俺が声を掛けながら傍に近づくと、兵の一人が誰何してくる。


「そこで止まれ! ここに何用か?!」

「は?! そこの二人と知り合いです。何かあったんですか?」

「知り合い? 暫しここで待て」


 そう言って彼女たちの傍にいる、少し偉そうな鎧のオッサンと二三言葉を交わすと、そのオッサンがこちらに近づいて来て聞いて来る。


「…ノート殿と、キャロル嬢で宜しいか?」


「「はい」」

「これは失礼をしました。どうぞこちらへ」


 彼の先導で二人の元へと辿り着く。


 セリスが倉庫に来てくれと言った後、シェリーから事の詳細を聴いた。


 彼女たちが行った戦闘は、この二番倉庫と隣の三番倉庫の間の路地だった。相手は爆発物を扱っていたらしく、土魔術で極力被害を抑えたが、色々な場所が損壊したらしい。何とか戦闘を終わらせ、周りの惨状にどうしようかと思っていたら、倉庫の中から呻き声が聞こえたそうだ。


 二人は考えた結果、倉庫を開けて中に入って見るとまるで誘拐された様に麻袋を頭から被せられて猿轡(さるぐつわ)まで嵌められ、手足を縛られた子爵の息子と、別の部屋に監禁された侍従を見つけた。


 そこで二人は、小芝居をすることに決めたそうだ。


「何が有ったの?」

 白々しく俺が聞く。

「うむ。偶々シェリーと二人でこの前を通ていた時にな、黒ずくめの男達を見掛けての。気になって声を掛けた所、襲われたんじゃ」


「え───!! ホントですかぁ~! コワイデスぅ」


(…あぁ、うん。……キャロ君、君はもう駄目だ。即退場レベルで駄目だ)


 シェリーがすかさずフォローに入る。


「ええ、ホントうに、コワカッタわ」


(お前らぁああ! ギルドの受付嬢だったんじゃねぇのか!? この程度の小芝居も駄目って…どういう事だ! …あれか? 台本が有るとダメなのか?! 見て! 鎧の人の顔! ポカンとしてるよ!)


 ひやひやしながらセリスを見ると、超目が笑ってる…ヤバイ! 耐えろ! セリス!


「で…イヒッ…そこでヘッ…ンンッ、戦闘になったんじゃが、終わって暫くしたら、そこの倉庫から物音がしたんじゃハハッ…といかん」


 惜しい!! 最後に一気に喋ったから、空気の抜けた拍子に堪えきれなかったのかぁ。……分かる。分かるがそこは踏ん張って欲しかった!!


「そうなんだ。それで中に入って調べた訳なんだね?」

「ハイ!」

「で、監禁されていた人を見つけたと」

「デス!」

「そっかぁ、要するに巻き込まれただけだね」


「「「ハイ! ソウデス!」」」


 超強引に話を引き取り、一気にまくし立てる様に話して隊長を見る。


「──…え? …あ、あぁそうでしたか。それは災難でしたな。唯…少し事情がややこしくてですな、出来れば詰所の方でもう少し詳しいお話をお聞きしたいのです」


「ややこしいとは、どうゆう事なんでしょう?」


 俺がそう聞くと隊長はこちらに近寄り、小声で話し始める。


「…実は、その監禁されていた人物の一人が、貴方方の名を話しているのです。名はハンクと言うのですが、お心当たりは?」


 皆と顔を見合わせるが、首を傾げるだけだ。


「その人が、俺達のなにを言ってるんですか?」

「申し訳ないがそこから先はここではちょっと…」


 結局、その足で衛兵の詰所へ向かう事になった。



「フム…あれらが()()()()()()であったか…」



 野次馬が集まった倉庫街の入り口に居た大きな影が、詰所に向かう俺達を見て小さく呟いていた。




********************************



 ──…と言う事で詰所に来たわけだが。うん、違和感は感じていたんだよね。詰所に入るのに、一人ずつにされたりとか、出入り口がなぜか裏口で沢山の衛兵に囲まれたりしたり。気づくと地下に居たりとかさ。つまり、何が言いたいかと言うと。


「牢屋じゃねぇか! 何で逮捕なんだよ! おい! 責任者出てこいや!」


 何故か牢屋に連れていかれて放り込まれた。意味が分からず騒いでいると。


「うるさい! つべこべ言わずに待ってろ! 順に調べてやる! この犯罪者が!」


 牢の鉄格子を蹴り、牢番が暴言を吐いて来る。…キレていいのかな、良いよね。


《マスター、先ずは落ち着きましょう。現状把握のために念話で連絡をしてみては?》

(あ! そうだった。ナイスシス! お~い皆、聴こえてる~?)

(ハイ! 聞こえますよ)

(こちらも聞こえてるわ)

(暴れても良いかのぉ)


 どうやら魔術阻害などの魔道具は使われていないらしく、直ぐに返事が返って来た。


(良かった。…ってか暴れるのはまだ駄目だよ。理由が分からないし、目的も判明していないからさ。まぁ理不尽な事や危害を加えてきたら構わないけど。それで、シェリー達は助けた人に心当たりは無いの?)



 そこから少し念話で話をしていると、妙な事がポロポロ出て来た。



 先ずは倉庫で拘束されていた人を救助して外へ連れ出した時には、既に衛兵が集まって来ていた事。救助した人物の一人を麻袋を外す前に強引に離れさせられた事。



 一番妙だったのは、倉庫街の惨状を見ても何も言わずにその救助者の事ばかりを執拗に聞いて来たことだった。倉庫の周りは爆発や土魔術などで、地面のあちこちが焦げたり(めく)れたり、壁もそこら中に穴が開いて損壊していたのに。


(…それじゃぁまるで、最初からそこで戦闘が起こる事を知ってたみたいじゃん、そこで戦闘が有ったからこそ誘拐に気付いたわけだし…)


(儂らは何かの策に嵌められたのかもしれんのぉ…さっき隊長が聞いて来たハンクとやらは、子爵の従者らしいぞ)


(え?! 何でわかるの?)


(あぁ、戦闘の後直ぐに倉庫に入ったのでな、ゴーレムを警戒用に出しっぱだったんじゃ。すぐに兵たちが来たのでその後も仕舞えずでな。今も外に居る。詰所には子爵の連中が来て、それらと話をしている様じゃぞ)


(はぁ?! 子爵って、メスタ子爵の事か?)



◇  ◇  ◇



「一体どうゆう事でしょう? 何故、当家の侍従とデルネス様がこんな酷い事に…」


 家令のアレフは動揺していた。明日はセリス様とそのお仲間への謝罪の為に子爵家では賓客対応用の準備の只中であったのだ。事を起こした張本人は部屋での謹慎を言い渡され、ドアには見張りも付けていたのに。


 そんなドタバタしている時に、衛兵詰所からの急な呼び出しに応じて来てみれば、詰所の救護室にぼろぼろになった二人が寝かされ、治癒師の施術を受けていた。


 説明を聞くとどうやら娼館に居た所を襲われ、誘拐されていたらしい。


 そしてハンクの証言で、犯人は既に()()()()との事。一体ソイツは誰だと聞くと。


「冒険者パーティの()()()()()()です。ハンク殿が証言しました」




 ──頭の中が真っ白になって行く………は? アンタ何言ってんだ?!












最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、


ブックマークなどしていただければ喜びます!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!


ランキングタグを設定しています。

良かったらポチって下さい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ