第22話 眷属②
「…これがノートさんのスキル……」
「こ、固有が三つもある」
──あぁ、マジで見えてるんだ…。
《マスター。それこそ神に連絡して聞けば、良いのではないですか?》
「あ! そうか。シス、チャンネル開いて」
《どの神に繋ぎますか?》
「え、選べるの?…じゃぁステータスの事が分かる神って誰?」
《スキルボード自体はイリス様の管轄ですが、ここは、人の神であるマリネラ様が適任と思います》
「そうなんだ、じゃあそれでお願い」
《はい、少々お待ちください。……繋がりました。音声チャットに切り替えます、…このままお話しください》
『え? これでもう繋がってるの? お~いノート君、聞こえてる~?』
「はい、よく聞こえてます」
『うはぁ。マジだ、スゲェ…それで、どうしたの?』
「はい、あのですね──」
俺は、諸々変わってしまったスキルボードの事を説明した。話している間もキャロ達はボードを眺め、セリスさんは面倒になったのか自分に関係ないと悟ると、ソファに寝っ転がっていた。
『なるほど~。キャロちゃんとシェリーちゃんが、眷属化しちゃったんだ~。やるなぁ、キャッキャウフフ出来たって事じゃん! このスケベ野郎!』
「え!? それってそうゆう事したら、なっちゃうって事ですか?」
『アハハハ! なら君は浮気するのが、難しくなっちゃうねぇ』
瞬間キャロとシェリーが、こちらに飛んできた。
「「なになになになになになんですか!?」」
『アハハハハハ! 愛されてるねぇ。浮気はダメだよノート君』
ギロリと音が聞こえるような感じで、四つの目がこちらを睨む。
「な、なんちゅう事を言うんですか! してませんし! しませんよ! だ、大体二人とも何時も一緒に居るじゃんか!」
『こらこら、怒っちゃダメだよん。キャロちゃんも、シェリーちゃんも本気でそんなこと考えてないから。そんな上辺だけなら、眷属化しないし』
「もう! じゃあ何なんですか、その眷属化ってのは」
『ンンッ。はい、ちゃんと説明するね。それは彼女達と君が心から結ばれている証なの。この間教会でのこと覚えてる? こっちに来て彼女たちに支えられた事』
「…あぁ、はい勿論覚えてます」
『あの時、二人は心からノート君を支える事を想い、君はそんな二人を受け入れた。だから、肉体と魂魄その全てで繋がったの。そうして君と彼女たちは共有事項が増えたって事なの。…つまり』
「つまり?」
『貴方の持つ能力や情報なんかを二人に貸したり、与えたりできるようになったの』
「ふぁ?」
『ただ、肉体やその魂魄、両方がノート君が上位だった為に眷属として
登録されたって事になるわ』
「え? じゃあ、俺のスキルが使えるって事ですか?」
『固有や、システム関連の勇者特有のモノ以外ならね』
「…そうなんだ。え、でも魔力が多く消費される術は?」
『それは大丈夫よ。君の魔力が供給出来るから』
「はぁ~~。そうなんだぁ」
『そうなんだよ~。納得できた~?』
「何となくですけどね~」
『アハハ。まぁいいよん。ただね、ノート君のスキルについては、特殊な物が多いから、通常のスキルやユニークについては、まだ更新されてないんだよ』
「え、どうゆう事ですか?」
『…君、地球の常識でポンポン超理論的なトンデモスキル、創造してるじゃない。エギルが検討してるけど現地人に再現できないモノは君の固有になっちゃうんだよ』
「…はぁ。」
『その摺合せ中だからまだまだそのボード、変わって行くから偶に確認してみてね』
「了解です…」
『うん、あ、セリスちゃん! 次元魔術はイリス様がダメだって。その代わりにエギルが加護を渡してあげるから、ノート君と一緒に、現地人として再現可能な魔術を開発して欲しいんだって。良かったね』
『姉様ぁぁああ!!』
『ありゃ、セレスちゃんに替わってるじゃん』
『私だって姉様とお話ししたいです!』
セレスがそう言ってマリネラ様と話をしている間に、俺は二人とボードを見直す。
「ふぅ、キャロや、シェリーのステータスは何か変わってる?」
俺がそう言うと、二人は自分のステータスを確認した。
キャロル シェリー
~~スキル~~ ~~スキル~~
ベーススキル ベーススキル
身体強化 魔力補正(特) 身体強化 魔力補正(特)
ユニークスキル ユニークスキル
獣術 神速 魔術適性(水、土(補正火、風、光))
固有スキル 固有スキル
獣王化 ノートの眷属 獣神化 ノートの眷属
~~加護~~ ~~加護~~
エリオス神 エギル神
マリネラ神 マリネラ神
二人のそれぞれのステータスボードが、俺の目の前で並んだ。
「「「ファ──?!」」」
「「加護が増えてる!!」」
「二人のスキルが見える!」
「「「…え?」」」
『アハハハハ! そりゃそうだよ。眷属だもん、ノート君のが二人に見える様に逆も当然だよ』
「い、いえ、私達はそうじゃなくて!」
「か、加護です! こんなの無かったのに」
『あぁ、そっち? それはノート君の大切な仲間だからね。キャロルちゃんは武の神エリオスが、シェリーちゃんは魔の神エギルがそれぞれ、能力補正の為に付いたんだよ。私は勿論愛の地母神だからね』
そんな話を聞いて、二人は恐縮しっぱなしだった。加護は余程神の寵愛を受けないと貰えない。貰っても普通は一つらしい。
そこでふと思いついた。セレス・フィリア様は精霊の王で、原種。神と同等の存在。なのに何でセリスに加護を?
「ねぇ、セレス・フィリア様。セリスに加護って必要なの?」
『ん? どうゆう意味なのだ?』
「いや、だってほらセレス・フィリア様は神様と同等の存在なんだから、
セリスは何でも出来るんじゃないの」
『いや、あくまでもこの娘は人間だ。エルダーエルフにとって年齢はあまり意味は無いが、それでも人の理は逸脱しない。肉体を失くし、魂魄になって初めて精霊化するのだ』
「へぇ…え!? 今、精霊化って言った?! じゃあ、今世界に居る精霊って、元はエルダーエルフなの?!」
『総てではないがな。それにエルダーエルフが精霊化する時は、全ての記憶が消去される。自然の力と一体化するからな』
「はぁ~~。そうだったんだぁ。なんか凄い事を聞いた気分だよ」
『…セレスちゃん!! それは言っちゃダメな奴!!』
『ふぇ? そうでしたっけ?』
『あぁ! もう! 世界の裏側ネタバレしてどうすんの! 三人とも! 他言無用厳守!』
「「「は~い」」」
「でも、今更感も半端ないよマリネラ様…」
《マリネラ様、今の事はアカシックに既に記載済み条項です》
『うひゃあ! シスちゃんまで!!』
そうして、皆で色々話をしながら夜は更けて行った。
「じゃあ、明日は俺シスのボディとか作るんで部屋に籠るよ」
「私は、魔導書を読んでいるわ」
「儂は、ノートの見学を──」
「セリスさんは私と、旅の用意で買い物です!」
「…メンドクサイのぉ」
明日の打合せをして、各自解散となった。
自分の部屋に入り、ベッドに腰掛ける。……あぁ、両隣から良いニホイ…。フニフニ、むにゅん。
「あ、あの、寝ないの?」
「「…嫌なの?」」
「嫌じゃないです! イヤッホイ!!」
──…そして、朝までコースに突入した。
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