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オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第2章 王都への道は遠く
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第17話 Z世代は必須です



 試走会からさらに数日。受付の引継ぎが終わったと二人から聞いた。


 辺境拍との約束の日時は、結局過ぎてしまったが、代官様から理由を伝えて貰っておいた。なので、今は移動準備中。


 エリクスの街までは、二カ所の中継都市を通る。カデクスとセデクス。カデクスまでは、約千キロ、ビックリの距離だ。なのでもちろん、次の街の周辺町に寄りながらの移動となる。全ての移動距離を計算した所、約三千キロだった。ほぼ、日本縦断の距離だ。日数は二十日ほどかかる。


「ふへぇ。改めて、()()()()()に吃驚させられるよなぁ。」

「そうなんですか?」

「あぁ。俺の居た世界は、この世界の十分の一程度だったから」

「ほう。じゃぁ、人も少なくて差別なんかも無かったろう?」

「ん? 人口は七十八億人くらい居たよ」

「はぁ!? そんなんじゃ、人まみれじゃろうが!」

「だったねぇ。住むところは、縦に伸びたもん。四十階とか普通だったし」

「はぁ~。想像もつかんわ。」

「ですよねぇ。人で酔いそうです」


 セリスとキャロルは、げんなりとした表情でそんな事を言う。そうだな、都市部では色んな人がいて、満員電車では実際酔ったな。そんな事を頭の隅で考えながら、準備を進めて行った。


「送別会? あぁ、それは構わんが、何故、俺が挨拶を?」


 衛兵詰所で、隊長を捕まえて、話をしていた。


「いや、初めは代官かなとか、セーリスさんにと思ったんだけどさ、この街で、()()()()()()()()のって、やっぱ隊長だし。」


「いやいやいや、そこはお前の()()の上司、セーリスだろう?」

「もちろんそっちも頼んでますけど、挨拶だけはお願いしたいなと」

「…なんだよ、挨拶って?」

「乾杯の音頭取り程度です」


 その後幾つか、やり取りをして了承を貰った。



「ノート兄ぃ…行っちゃうんだ…」

「…ノートしゃん…グス」

 宿のちびっ子達と、サラ達に囲まれる。


「ん、ん~。()()()行くわけじゃないよ…」

「…でも、遠いよ? 直ぐには戻れないじゃん」


 参ったなぁ…()()()っちゃ帰れるけれど…それはさすがに言えないしなぁ…


「皆さん、大丈夫です。ノートさんはとても強いお方ですから。また会えますよ」

「ノートよ、何かないのか? こういう時に使える魔道具とか。」

「魔道具! 魔道具…う~ん…あ!! 魔導通信!」

「お! 何か思いついたのか?」

「キャロ! ギルドに置いてあったよね、魔導通信機!」

「え? はぁ、でも()()()()()()機械ですよ」

「よし! 皆! ギルドへ行こう! ちびっ子達は待っててね」



「という事でやって来ました、冒険者ギルド・マスターのお部屋!」


「…誰に言ってるんだお前は?」

「アハハ! セーリスさんは今日も()()くて、可愛いです! イエア!」

「誤魔化すな! ってか、褒めてないだろ!」

「そんな事より、セーリスさん!」

「貴様ぁぁああ! そんな事だとぉぉぉお!」

「魔導通信機、見せてください!」

「ふん! イ・ヤ・だ!」

「は? なぜ?」

()()()()とか、()()()とか、お前は私を()()と思ってるんだ!?」


「そんな風に()ねるセーリスさんも、可愛いですよ」

「こ、コイツ…急にどうして、そんなに堂々と」

「ふふふ、(おとこ)になりましたから」


「どう言う意味だ?」


 俺の変貌ぶりを、キャロとシェリーが、セーリスに耳元で話す。


 すると真っ赤になって、”不潔! いや、結婚してるのか、ぁぁぁあああ!”


 と喚いて、結局”うわああああん!”と泣き出してしまった。


「うわ、どうしよう? ってか、何で泣くの?」

「仕方ないわよ。まだ、彼女は経験がないんだから」

「ファ?! まじで?」

「そうですよ。エルフとしては、ノートさんより()()なんですよ」

「え? そうなの? てか俺セーリスさんの年なんて、知らないし」

「確か今年で六十歳、じゃなかったかしら。エルフとしては、十八? 程度のはず」

「ファ───! マジかよ! 知らなかったよ! ごめんよセーリスぅ」

「うるしゃあい! うぁぁぁああ! バカぁ! ノートキライィ!!」

「セーリスや…お主…」

「ぁぁぁぁああん! おばあ様ぁぁァあ!」


 そう言って、二人はなぜか、抱きしめ合う。


「ぉぉぉぉおセーリスぅぅぅぅうう! 不憫じゃぁぁぁあああ!」

「おばあ様ぁぁぁぁああ! 始祖様のせいだぁぁぁぁぁあああ!」


『な、なんだとぉぉぉおおお!』


 あ、セーリスさん、本音言っちゃった。


 気付くと、二人は取っ組み合ってしっちゃかめっちゃかになっていた。


 ”わぁあ! この!! この! ムキャ──!”


「わあ! やめてやめてぇ!」

 なんとか、キャロとシェリーに止めて貰って収まったよ。


「もう、何やってんすか、大人げない…」

「だってだって! 始祖様がいつも…いつも、居たから…」

『何を言って居る! 大体、お前は乙女すぎる! 今どき、それでは─』

「いやぁぁぁあああ! もう言わないでぇぇええ!」


「…もう、あの二人はここに置いておこう」

「ですね。このままだと、聞きたくないことまで聞こえそうだし」

「ある意味、ちょっとかわいそうね。セーリス」



 ──そうっと扉を閉めて、通信機のある部屋に向かった。



「これが、魔導通信機です」


 キャロが連れて来てくれた部屋は、六畳間ほどの大きさだった。その部屋の、半分以上を占める巨大な機械。


「でっか! これがそうなの?」


「はい、ここが受話部で、声が聞こえます。こっちが、送話部でこのボタンを押している間、話せます。後は、あの部分が書類の転写機になってます」


「元々は約()()()()()の、()殿()()()からの発掘品なのよ。これはその模造品。だからここまで大きくなったの。本来はこの()()()()よ」


「いや、それでもでかいよ。はぁ…ここが、受信機部分かな? で、スピーカがこれか──」


 俺は、基礎になっている部分を確認しながら、構造を見て行く。なるほど、()()()()()()()()()の魔力版だな。電波を魔力波に変換か…。


 よし! 構造解析完了! これなら()()()()()()()を作っても大丈夫だな。……そこに、モニター付けて…出来る!


「二人共、ありがとう。これで新しい魔道具作れるよ」

「へ? 見ただけですよ? もう分ったんですか?」

「うん、使われてる技術は俺の世界にも有ったからね。今はもう廃れたけど」

「…これ、一応、最新なんだけど…」

「あはは。…だったね。でも俺が今から作るのは、これの発展形だから、ちゃんと流通させても良いのを作るよ」


 そう言って三人で宿に戻りながら、材料を集めて行った。部品は、商店通りの魔道具品店に有ったので、即購入した。宿に着いて、俺だけはキャロ達の倉庫部屋にこもる事にした。



「さてと、先ずは、こっちの世界で通用するトランシーバーからだな」


◇  ◇  ◇



 そうしてサラが食事の時間を伝えに来た頃。


「…出来たぁー!」


 ”わひゃぁぁあ” ”ドテン” 

「痛いですぅ!」


 サラに文句を言われながら、食堂に行くとセリスが、ぷくーとなっていた。


「ゴメンって。忘れてたわけじゃないから」

「い──や、絶対忘れてた! それか見捨てて行ったんじゃ! この薄情者!」

「セーリスさんをあのままには、出来なかったしセリスの孫じゃん」

「ふん! 確かにそうじゃが、様子くらい見に戻るのが普通じゃろ?!」

「…なんか、顔出しにくくて。でもおかげでほら、出来たよ」


 そう言って、手のひらに乗る程の黒い物体を見せる。


「…なんじゃこれ?」

「フフフ…これぞ、世界の革命…()()()()()()()()! テッテレ~!」


 猫型風に掲げて見せるが、反応がない。どうした? と思って見ると全員固まっている。


「「はぁぁぁぁああ!??」」


「え? 通信機? これが? この()()()のが?」

「なんじゃとぉぉぉお!?」

「ノート君…貴方ってホント…やりすぎ」


 ──い、いや、コレはまだ()()()の奴なんだが。


 皆で、ワイワイと説明を聞いた後、二台使ってやり取りの実践をする。


「ホントだ! 聞こえる!」

「もし! あ! 聞こえるよ!」

「凄い凄い!」


 う~ん。こっちの()()()()()()はどうしよう。メインはこっちなんだけど。


「ん? その()()()()()のはなんじゃ?」

「あ、セリス。いやねあれは、あくまでこっちの世界の発展形だから、公表して、皆に使ってもらいたいんだよ。で、本命はこっちなんだ。これは──」


「ん? えいぞう? って何じゃ?」


 ──そこからか…。


「じゃぁ、こっちを持って音が鳴ったら、この部分を触ってね」


 そう言って、俺は食堂を出て行く。倉庫部屋に着いた所で、タップ。


『…お? なんじゃ? 何か見え…る!…何じゃ!!』

「お~い! こっちも見えるよ。これは声と同時に映像も送れる装置なんだよ」


『な、な、何じゃこれぇぇぇぇぇぇええええええ!!!』



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