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オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第2章 王都への道は遠く
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第12話 思い、想われ。



「──は、話を進めても宜しいかな?」


 代官やカークマンたちが、セレス様と俺を窺うように聞いて来た。


「あ、すいません。セーリスさんも戻った事ですし、お願いします」

『はぁ。ふぅ。うん、悪かった、進めてくれ』

「‥では。えぇ、どこまで話しましたっけ?」


 カークマンが、いきなり(つまず)いたが、コンクランが補足する。


「隊長、その()()()()()です」

「あ! そ、そうでした。このタリスマンの件と、瘴気石の両件については、辺境伯様の預かりとなりました。()()()()として、動き始めます。そして彼らについても、なるべく早く、エリクスに来て欲しいとの事です。どうやら()()()()()()も、既に国王の耳に入っているそうです」


「…やはり、そうなりますか。いやはや、ノート君。建国史上初の、()()()()()()()()()誕生ですね。」


「え? それはちょっと…何と言いますか、固辞したいです」


 ──…冗談じゃない。面倒事は御免だぞ。


『面倒では有るが、後々楽になるとも言える。いざとなれば、()()()()

「…()()()()まで、聞かないで! 俺の()()()()()()は、どこ行った!?」


「「「ぷらいば・・・ってなに?」」」

「おうふ」


「とにかく、報告は以上となります。次いで、代官様には連絡事項が──。」


 そこからは、街の状況整理や、事務方レベルの連絡事項が続いた。


「はい。了承しました。書類関係は、どのように?」


「は! それにつきましては、冒険者ギルドの物は一旦こちらで預かり、摺合(すりあわ)せの後、纏めてお持ち致します。」


「結構。では私達は戻ります。後はお願いしますね」


 なんとなく、連れ立って出て行く二人を見送っていると、不意に左右から圧がかかる。


「むふふ、ドラゴンスレイヤー様。ムフー!」わっさわっさ!

「…宜しくね、ご主人様」スルスルっと巻き付く尻尾。


 やべぇ! 何がって言えないくらい、やべえ! 理性くん! 居るか!? どこだ!?


「ンンッ!! あ・と・に・しろ!」


「…で、ギルドの件だが。セーリス、どうするんだ? シェリー嬢まで抜けるとなると、受付の方は、どうするんだ?」


「…はぁ~。この()()()()は知っていたからな。手は()()()()()。だが、ホントに婚儀までするとは、思わなかった」


『仕方あるまいて。ビーシアンは、()()()()()()に意味は無いからな』


「はぁ。そんな物なんですか。じゃあ、式とかは?」

『ある訳ないだろう、後は()()()だけだ』


「「「は!?」」」


 カークマンやセーリスに混じって、俺も同時に叫ぶ。


『ん? 当然だろう。この娘達の目的は、()()()()()()なんだから』

「いやいやいや! え? ちょいちょい待って! 少しは()()()()()()が欲しいです!」


「「ずっと、()()()()しますよ」」


「ぁぁぁぁあ!…はい、ありがとです!」


『まぁ、それもこれも後にしろ。先に話しておくべき事が有る。()()の事だ』


 そう言うと、セレス様は、幾つかの魔石を出してきた。


 ──…それは、スタンピードで、出たモンスターたちの魔石だった。


『これは、()()()()()()()()()()。でこっちが、ギルドに在った、同じ()()()()だ』


「…大きさが、全然違う」


『そうだ。大物もこいつらが狩ったので、何とも言えないが、恐らく通常よりかなり()()()()と思う。あの瘴気石、一つでは、()()が有るやもな』


「あぁ。そう言えば、そんな事言ってましたよ、()()がどうのこうのって」


「なに? じゃあ、あの石は魔素や瘴気を、追加できるって事か?」


 カークマンが、吃驚して聞いて来る。


『…やはりか。……ノート。()()()()した?』

「あぁ。えぇっと、六個ですね」

「お、おい、お~い。俺は、初耳なんだが? ねぇ? ドユ事かな?」


 こめかみを、ビックビックさせながら、笑顔で迫る隊長。


「あ、あはは、でしたっけ? ま、まぁこれは、()()()()()()という事で」

「ぬぐぐッ…お前…ずっこいぞ!」


『まぁまぁ、カークマン。…確かに我が頼んだのだ。それを確保してくれとな』

「…クッ、ですがセレス様。国家案件になったんですよ、思いっきり、()()()()じゃないですか。上にどう説明すればいいんですか」


『お前はせんでいい。()()は直接、我が話すのでな』

「…え?! ホントですか! じゃあいいです」


 はや! 切り替えはっや!


 その後、冒険者ギルドと衛兵隊としての、立場同士の連絡や、書類の打合せ後、俺達も解散となり、詰所を後にする。


 詰所を出たところで、セーリスさんが引継ぎの事で、キャロルとシェリーを連れて、三人でギルドへ向かうと言ったので、俺とセリスはそこで別れた。


「はぁ。これで、この街とも()()()だなぁ、短期間だったのに、すっごく長い事居た気がするよ」


「まぁ、あれだけ、色んな事が一度に起これば、そうかもしれんな。じゃが逆に、儂はここに来て、長い時間を過ごしたが、今でも当初の事は昨日の事の様に、思い出せるぞ」


「あぁ~、()()()()()()()なぁ。要するに愛着? が湧いたって事なんだろうね」


「…お前、見た目に反して、年寄り臭いのぉ」

「あんたには、絶対言われたくないセリフだな。ってか、俺の精神は五十歳だよ?」


「何じゃと?! ()()()()じゃないか!」

「あれ? 言って無かったっけ? ()()五十歳で、()()は二十歳! いいでしょ」


「フ、フン! 何を言う! 我等は八十を過ぎてやっと成人じゃ! 儂なんか、ピッチピッチじゃ!」


「えぇ~、二百歳過ぎたピッチピッチって、なんか突っ張って、引き延ばしたみたい」


「な、何をを!! ええ歳こいた、とっちゃん坊やが!」


「なにが!」 

「何じゃ!」

「「ムキャー!」」


《はぁ~。どっちもどっちですよ》

「「なに!」」


《はいはい。さっさと、宿に戻りましょう》


 その後も、二人でぎゃあぎゃあ騒ぎながら、夜の街を、宿まで歩いた。



*******************************




「やはり、あれは()()でしょうか」

「…でしょうね。綻びに、記憶が引っ掛かった様に見えます。」

「管理者イリスよ、あの封印は解けぬのか?」


 マリネラの質問に答えたイリスに、エギルがやや不満げに尋ねる。


「今はまだ特異点の方が大き過ぎます。もし現状で封印が解ければ、彼の()()()()()()()でしょう」


「儂が、儂がもっと出来ておれば……」


「グスノフ…貴方は大変良くやりました。気負う必要は有りません」


「ですが。結局、全てを背負わせてしもうた……その上この様な事に、また巻き込んで…儂らは、神です。()()()()()()のが、責務のはず! なのに、それを彼一人だけに……」


「…()()()は私が受ける事です。貴方が負う事ではありません」


「いや、イリス様…儂はその様なつもりは…」


「いいのです。()()()()()()()()は、私。そもそもの間違いは、あのような()()()()()()()に端を発するのです。」


「はぁ、皮肉な物ですな。我ら神であろうとも【時】は、不可逆とは」


「そうですね。ただ()()()()()()だけですからね。【時間操作】は」


「大神は何故、【世界】を()()()のでしょうな」


「さあ? 我らにそれを考える事は()()()()()から。」


「…それが()()()()、我等も人の子らに、()()()()()()を伝える事が出来たでしょう」


 マリネラがそう言って締めくくると、神たちは各々黙考に入っていく。それを、二柱の男神は離れた所から見ていた。


「…なぁ、エリオス。あの坊主の()()は聴いておるし、今の内容も()()()。だが、本当に()()()()か? イリス様は何かもっと、大きな──」


「ノードよ。それは我らが話す事ではないのだ。先の()()()の暴走を止められなかった。そして、人の子に頼った。押し付けてしまったのだ、我らの仕事を。結果、()()には()()()()()を強いてしまった。管理者イリスは、悔いているのだ。我等もそこは同じだ、故に語る事ではない」


 そう言われて、二の句が出ないノード。


(分からんでもないが。……イリス様は何か、別の事も危惧(きぐ)して居るような)


 その言葉は声にせず、ただ飲み込むのだった。


(ノート…いえ、()()()…ごめんなさい。いつかその時が来たら沢山、沢山話をしようね。そうして、私を…)






 

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