表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第2章 王都への道は遠く
47/266

第3話 ガント

エブリスタ様版とは展開が異なっています

 


 そうしてブラブラ、見物しながら歩いていると、なにやら怒鳴り声が聞こえてきた。


「…るせい! んな事出来るかって、言ってんだよ!」

 

「…そんな事だから、テメェんとこは、客が来ねぇんだろうが!」

「なんだと!? 表ぇでろや!!」

「な、何だよ、ホントの…うわぁ! や、やめろ!」


 何やら血相を変えたオジサンが、慌てて店から飛び出してくる。


「何だ?」

「さぁ?」

「…ん? あそこは…」

「も、もう、アンタんとこにゃぁ頼まねぇよ!」


 いかにもな捨て台詞を吐きながら、()()()()()()で、逃げていくオジサン。


 そんな店からぬぅっと出てきたのは、大きなハンマーを、肩に乗せた、背の低いどっしり体型の()()()()()()


「ケッ…何が、頼まねぇだ! こっちが願い下げだ…って、オメェ…セリスか!?」

「…げ! ()()()()!」

「な、誰が、髭だるまだ! 何しに来やがった?! ここはもう、お前の()()じゃねぇぞ!」


 ん? おやおやぁ? 何やら怪しい、雲行きですぞ…。


「ち、違わい! 今日は、こいつ等と魔導車を見に来たんじゃ!」

「あぁ?! 魔導車を、見にだぁ?」


 そう言った、親父さんは、視線を俺達に向けると、一瞬固まる。


「…ほう、兄ちゃんが、見に来たのか?」

「え? は、はぁ。」

「ふぅん。既存車か? それとも、受注車か?」

「え? 出来るんですか? 受注車!」

「ったりめぇだ。俺んとこは、それが専門だ!」

「スタ───ップ!! おい! ノート! ここはダメじゃ! 他に行こう!」

「なんでよ?」

「何でもじゃ! ここはダメじゃ! 魔力効率()()()()の、()()()()の車しか作らん!」

「何だと! テメェ! 魔導車は走ってなんぼだろうが! 馬力の無い車なら、普通の馬車で良いじゃねえか!」


「…もしかして、お知り合いですか?」



 ──あぁ、こいつは俺の()()さんだ。



「ファ────!!」



「あぁ! こんなバカと…気の迷いだったんじゃァ!」



◇  ◇  ◇



 店の中は奇麗に片付き、ごみなど全く見当たらない。工具や道具は種類ごとに完璧な形で並び、使い込まれているにも(かかわ)らず、新品の様な輝きだった。


「この、工具や道具は、言わば()()()()の代わり。絶対に()()()()に扱っちゃいけねぇ」


「…ふん。道具は使ってなんぼ。ダメになったら、替えればいいんだよ」


「こ、この馬鹿エルフはぁ!!」

「何だい? 髭だるまのちんちくりん()()()()が!」


「「うがぁ!…ムキャー!」」


 …はぁ~。なんちゅう組み合わせだよ。よくこんなんで、子供出来たな。


「あれ? そう言えば、セーリスさんって()()()()でしたよね。お子さんは?」


 そう言った瞬間二人の会話も空気も止まる。


「…の、ノートさんそれは」

 …何か、地雷踏んだのか?


《…いや、唯哀しいだけだ》

 え? ナニソレ、ハカセ! 何よ?


「…あれはもう居ない。…()()()()だ」

「…優しかったのさ。()()()()()だけさ」

「…ごめんなさい、知らなかったので」


「いや、構わねぇよ。もう、()()()だしな」

「そうだね、()()()()()になるかね」


 しんみりさせちまった…どうしよう?


「あの()()()()め、エルフのくせに、ユーグドラシルに行くなどと!」

「あの子にとってはそれが一番だったんだよ」

「はぁ? ただの薬草だぞ? それで、向こうのエルダーの娘とくっつきやがって! 挙句、孫娘に、()()()()()()()()、こっちに寄こすなんて! なんちゅう親不孝者だ!!」


 ──…なんじゃそれ?…生きとるんかい! 死んだと思ったわ!! アホくさ! こいつ等もこいつ等でめんどくせーな! 見ろ!キャロなんて、泣くの我慢して肩震わせ…て?


「…ブフッ! いつ聞いても面白い!」


 …ワロテルで! こいつも知ってたんかい!


「…ん? あぁ。キャロルは、セーリスと長いから知ってたんだね」

「はい、そのノリ突込みは鉄板で聞いてますから」


「どうだ? 兄ちゃん、面白かっただろ?」


「ムキャ──! 面白くないわ!」


「ガハハハ! しんみりさせて、堕とす! 定番だな!」

「年寄りの道楽ネタだよ。()()だしね」

「そう! 俺達ドワーフは、同じ精霊種なのに、ノード様に()()()()()もんで、セレス様に嫌われちまったからな」


「あぁ、そう言えばそんな事、ノード、言ってたな」

「…は?…言ってた? なんだ?」


 あ!…ま、セリスさんの旦那だし良いか。


「ほう! 迷い人か! 面白れぇ!」

「はぁ。おもしろいか?」

「がははは! 飽きねぇって事だよ。現にセリスが()()()()()()じゃねぇか。俺ぁ、ガントって名だ、よろしくな。」


「はぁ、ノートです」

「そうか、これでセレス様でも居りゃ、もっと面白れぇのに」

「ん、セレス様なら、セリスさんの()()()()()からね」

「は? なんだって!? どうゆうこった?」


「ぎゃあははは!! ヒーヒー!! とうとうお前さんも捕まっちまったって事か」


 経緯を聞いたガントは腹を抱えて大笑いする。


「うっさい! お前のせいで、さっきから始祖様、機嫌悪いんじゃ! もっと、しおらしくせい!」


「あ、あのう、そろそろ、()()()()()を」

「ん? おう! そうだったな。どんな仕様が良いんだ? 形は? 人数は?」

「ん~。まずは今の主流を見せてください。そこから、考えてみたいかな」

「お! いいねぇ。こっちだ。()()()な車両が有るぜ」


 そう言って彼は車庫へ案内してくれた。


「…これが、一般的」


 所謂、箱馬車の馬を繋ぐ場所がない感じの物…車じゃぁないな。そこから、貴族は個々に装飾だとかを付けるとか、乗り合いタイプは乗車部分を長くするなどの説明をしてくれる。どうやら、動力部は車体下部に有るようで、車体の背は高く、安定性が悪い。そのうえ、サスペンションは板バネのみで、タイヤは辛うじてゴムの様な物だが、魔獣の皮膚らしい。


「う~ん。()()()()()()感が、はんぱねぇ」

「ほう、聞かせて貰おうか」


 つい漏らした俺の言葉に、ガントの目の色が変わる。


「先ずは動力部を何故、車体の下に? これじゃ振動は()()だし、何より乗車部が高くなってしまう。これじゃぁ、()()()()()が損なわれる」


「……。」


「次にこのフレーム! 車軸に対して平行なのは解る。だけど、其処に動力部を載せる? ふざけてるのか? 人は荷物じゃないぞ。これじゃ、板バネで、サスペンションをしようにも()()()()()()()して、意味をなさない!」


「…スゲェ! 兄ちゃんすげえ! じゃぁ()()()()()()()?」


「フフフ…良いでしょう。()()()()からお教えしましょう──」


 この日から、俺は魔導車の概念を、根本からひっくり返す講義を、ガントにしていった。



*******************************



「ノートさんは今日も、()()()()()()()です」

「…で、なぜ()()へ」

「独りぼっちは()()()です」

「私は、サラの修行もせねばならんのだが?」

「マスターまで! 私を見捨てるんですか!」

「あ、あの! キャロおねーちゃん! わ、私は大丈夫ですぅ!」

「ちっがぁう! 何を言ってるんだサラ! キャロは遊びに来てるだけで!」

「セーリス師匠! 私には精霊ちゃんがいるですぅ! キャロおねーちゃんにはいないんですぅ! それはダメですぅ!」


「ぬぁぁぁあ! ノートのばかぁぁぁあ!」

「呼びました?」

「「ノート! しゃん! さん!」」

「あれ? セリスさんは? 一緒じゃないんですか?」

「キャロは一人で寂しかったです!」


 がばぁ! わっさわっさ!


「はぁ~、天国ぅ! じゃねぇ! はいはい、ゴメンねキャロさん、もう大丈夫!」

「ホントですか?!」

「うん。後は組み立てだから、そこは()()()()()()来たよ」

「良かったですねぇ、キャロお姉ちゃん!」

「はい! サラちゃんもありがとう」

「えへへぇですぅ!」

「…私じゃないの!?」

「…あ、()()()()()ですよ。」

()()()みたいに言うな! ほれ、お迎え来たんだから行った行った」

「そんな邪険にしなくても、あ! そうだった。キャロさん、これ」


 俺は懐から小さな箱を取り出して、彼女に手渡す。


「なんです?」

「開けてみて」


 中には小さな魔石の嵌まったイヤリングがあった。


「……綺麗」

「ほら、俺達のパーティってさ、念話が使えるじゃない。出来ないのはキャロさんだけだから、それ作ったんだ。付けてみて」

「……。どう、ですか?」


「うん! やっぱ可愛い! ()()()()()()にしてよかった! 似合ってるよ」


「はぇぇ~。キャロお姉ちゃん羨ましいですぅ。すっごく可愛いですぅ」

「それで、そのカフス部の魔石に()()()と…」


 …聞こえる? キャロ?


「──…! ノート…さん! 今私のこと…」


 …こらこら、キャロも念話!…

 …あ! こ、これでどうです?…

 …うん、OK!…

 …あぁ! ノートさんお姉ちゃんを呼びすてぇ…

 …なぁ、コイツはもう、旦那気取りか!…


「しまったぁ! ここ全員、()()使()()()やんけ! カッコつける意味()()()()()()()!」



最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、


ブックマークなどしていただければ喜びます!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!


ランキングタグを設定しています。

良かったらポチって下さい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 似たような名前ばかりで誰が誰なんだかわかんない 誰が喋ってるのかも判然としない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ