旅とハーレム? の始まり
第2章の始まりです
辺境伯との話し合いから二日後、セリスさんの店にお邪魔していた。
「何じゃと!? もう、この街を出て行く?」
「えぇ、まぁ。色々とゴタゴタが有りまして…」
「…何時だ?」
「へ? なにが?」
「いつ出立するんじゃ?」
「あ、あぁ。いや、それがね、セーリスさんとも話したんですけど、今月一杯はダメだって、言われて。だから、来月? の頭くらいだと…」
「分かった! お前さんの宿はサラのとこだったな?!」
「はぁ。…何です一体?」
「こうしちゃおれん! 今日からちょっと店は閉める!」
「え? なんで!?」
「何でもじゃ! ほれ! 帰った帰った!」
何が何やら…意味も分からず追い出され、トボトボ宿へ歩いて行く。
《…セレス様! 不味いかもしれません!……ハイ、今セリス様──》
何やら、ハカセが言ってるが、気にせず行こう。
「ただいま~」
「お帰りなさいですぅ!」
「おう、サラちゃん! どうだった? セーリスさんとこ、今日からだろ?」
そう。俺が言った通りにセーリスは精霊使いとして彼女を精霊術師と正式に認めたのだ。
勿論、癒しではなく、セーリスと同じ精霊使いとして。
なので、本格的に修行をする名目で冒険者ギルドに所属することになった。そこで、早速今日からセーリスの所に行ったらしい。
「はいですぅ! 今日はたっくさんの精霊さん達とご挨拶しましたぁ!」
「そうなんだ。楽しそうで良かったよ」
「…しゅぎょう? の前に相性のいい精霊さんを選ぶって事だったんで、今日は一杯、楽しかったですぅ」
「あ、お帰りノート兄ぃとサラ!」
「はいですぅ! ユマちゃん!」
「おう、ただいま」
そんな感じで十日程、ゆったりスロー的なライフを満喫していた。
*******************************
「最近、キャロさん受付してないんですねぇ」
ギルドで、そんな事を何気なく言っていると、談話室のモノノフや、アマンダさん達が寄ってくる。
「おい…マジで言ってるのか?」
「え? 何の事です?」
「うわ、こいつマジだ。」
「おいシェリー! ノート、何も知らないのか?」
シェリーさんは、書類を整理しながら、こちらを見ずに話す。
「えぇ。彼女は今、引継ぎと再試験で忙しいから、終わってからじゃない?」
「は? 何の事です?」
聞こうとした所へ、マスターからの部屋呼び出し。
《おいノート。何か、中の様子が変だ》
…え? なにそれ? ドユ事?
《何故かは分らんが、結界が張ってある》
そんな事をいきなり言われたので、びびりながら、ドアをノックする。
”コンコンコン”
「ノートですぅ。お邪魔なら出直しますぅ。」
「入れ!」
おうふ。
「…失礼しまぁす」
部屋に入ってすぐに気づく。
セーリスさんが、執務机に座っている。…頭を抱えて。
来客のソファにはハンス代官。 何故か、汗を掻いて苦笑している。
対面のソファにはキャロル。 変な笑顔? で、もじもじしてる。…うん可愛い。
──…そして、執務机の真ん前の一人席にはセリス。満面の笑顔。
「なにこのメンバー? てか、セリスさんここで何してるんです?」
「何とはご挨拶じゃのぉ、せっかくのパーティメンバーに向かって」
「誰が? 何だ、パーティって?」
「ん? なんじゃ、聴いておらんのか? おま──」
「おばあ様! 少し待って! お願いしますから!!」
「むー」
◇ ◇ ◇
「はぃ? 俺がパーティを組むの?」
「…そうだ。キャロルが最初のメンバーだ」
俺はこの街を旅立つことになった。その事は問題ない。しかし、俺は【迷い人】で、クソチート持ち。この世界の常識は少し怪しい。そんな人間を独りでフラフラ出歩かせて良いのか? 良いわけがない。必ずどこかで問題を起こす。だから、道案内兼監視役を、付ける事にした。俺の内情を知り、腕もそこそこ立つ人間。
という事で、キャロルが立候補してくれた。そこまでは良かった。
キャロルに自身の受付業務の引継ぎや、ノートのギルドカードの更新などの作業中、それは起こった。先ずは錬金ギルドでノートの異動届を持っていった時だった。
「何故だ! 何故、彼を街から出すんだ! 引き止めろ!」
錬金ギルドのギルドマスターが騒ぎ出した。それを聞いた、薬師、魔技師の各支部長も、同じく引き止めろと騒ぎだす。不審に思って、理由を聞いた所、俺がこの三日で納品した、お使いクエの現物鑑定が全てSSランクだったから。
──当然である。自重なんて知らないんだもん。ブローチなんてコピー出来る様になってるし。
すったもんだは、起きたものの、結局は辺境伯の名が出て決着した。
そして、キャロルの再試験も無事終わり、カードの更新とパーティの話をしようと思った矢先、セリスが錬金ギルドへ異動届を出したことが発覚。
彼女を呼んで、問い詰めようとした所、逆にノートの事を詰められてしまい、俺の事が、露呈してしまった。その結果、彼女も一緒について行くと言い出した。
「いや、キャロさんは良いよ。でもセリスさん、アンタはダメでしょ」
「何故だ?!…乳か? お前はホントしょうがないのぉ。儂は年寄りだぞ? それでもええなら、まぁ」
「ちっがぁう! そこじゃなぁい!…あ! キャロさんはい──」
”バカン!”「みぎゃ!」
「話が進まん! あぁ! もう! 始祖様! お願いします!あなたの孫が駄々言ってごねてます!」
『…は~~~。我もこんなの嫌だぁ…』
結界内の精霊が増え、セレス様を労わる様に寄り添う。そしてなぜか、俺にもわちゃわちゃしだす。
「あ!? な、なんで、お、おりぇ…まちゃくひにぃ」
「の、ノートさん? ど、どうしたんです?」
…あ、キャロには見えてないんだ。
『…えぇ。ネェ様…はいぃ…え! そうなんですか?!』
…セレス様、誰と話してんだ? ん? メール!…
おひさぁ~。マリネラおねぇさんですよぅ。
いやぁ、修羅場ってるねぇ。
そして相変わらずの精霊ちゃん達からの愛されっぷり、ほっこりしちゃうよう。
話は今、セレスちゃんから聞いたよ。困ったちゃんだねぇ、セリスちゃんは。でも大丈夫! ノート君、彼女にネックレス作ってあげて。トップは魔石を使ってね、空間と次元を書き込んで。後はセレスちゃんがやるから。ハーレム街道進んじゃうのかなぁ? お姉さんはちょっと心配だぞ。
あ、皆は元気だから、ノート君も楽しんでね!
マリネラ
「ネックレス?」
『出来るか?…今』
「え…ちょっと待って…あ、これと、これ…うん、出来ます」
それから、執務机を借りてほんの数分でネックレスが出来上がる。
「こ奴…マジか…」
「…な、なんという早業」
「の、ノートさんパネェ」
『…はぁ~。もう突っ込むのやめる』
なにやら、外野が煩いが、此処から集中…。嵌めた魔石に空間固定…次元空間…固定…術式指定…よし。
「でけたぁ~~」
「「何じゃこれ~!!」」
完成したネックレスは仄かに光っていて、魔石は虹色とも、瑠璃色とも言う様な神秘的な色をしている。
「はいセレス様、最後の仕上げ、お願いします」
『…ま、マジでこれが、そうなのか?』
「え? はい。マリネラ様のリクエスト通りですよ」
「え? コイツ今誰って言った?」
「じ、地母神さま?」
「キュー」
周りで何か言ってるが、無視。
『…で、では****、***』
ネックレスを、手の中に包み込んだセレス様が、ワードを発動すると彼女ごと光が包む!
”ピカアッ”
「「「……。」」」
その光景に皆、沈黙して彼女を見る。
『…で、出来ちゃった。神器』
はい、大絶叫~~~。
そうして、皆が固まっている間に、セレス様はセリスに、そのネックレスを着ける。
「…ファ? なにを?」
『***、***』
”ピカッ”
『…おぉ。これは凄い、全く違和感も感じない』
突然、セリスからセレス様の声が聞こえ始める。
「…お、おばあ様?」
『ん? セーリス、今までお前にばかり負担を掛けたな。もう大丈夫だ。こ奴にいつでも入れるようになった』
──…あまりの出来事に、誰も言葉を発せず、静かになる。
人って、ビックリし過ぎると絶句になるんだ。
「おい! ノート! これは何じゃ!? 外せんぞ! ってかなんで儂にあのロリババァが!」
『何が! 誰が! ロリババァじゃ!』
…あれ?…なんか同時に喋っとる…
「何じゃ! 何で同時に話せる!?」
『おい! ノート、これではややこしい!』
「『おい! ノート!』」
「わぁ! もう! ハモって喋るなぁ! きもい!」
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