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オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第1章 落っこちて異世界
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閑話 セリスと魔道具と時々おかん(精霊王)

章間の箸休め的な



 これはまだ、ノートがこの世界に来るずっとずっと昔の話し。 


 此処はユーグドラシルの森。


 その森は世界の始まりに創られ、世界の中心にと定められた樹があった。


 世界の理とされる、()()の産まれるその樹には、精霊の祖であり、王を名乗るセレス・フィリア様の御座所(おましどころ)がある。


「セリ~~~ス!! どこじゃぁ~!」

「「セリスさまぁ!!」」


 その樹の周りには幾つもの大きな木が有り、林立し森を形成していた。


 その森の木は高く、中心に(そび)える【世界樹】は雲を貫き樹上を(うかが)う事は出来ない。


 其処には、セレス・フィリアの直系の子供達、精霊種と呼ばれる一般のエルフとは異なる種()()()()()()()の集落があった。その中で最も若く、セレスの最後の直系、()()()は世界樹の枝の一か所にへばり付いていた。


「…グぬぬ…後すこ…し…で」


 枝の先、葉に隠れる様に小さく実った其れは【世界樹の実】


 数千年の時を掛け、世界樹が付けるたった一つの自身の次代。永い時を掛け、実るその実の種は世界樹の総ての力を内包すると言われる至宝。


「…クッ…あ!…ヨシッ! とれ──!」


 果たしてその実は見事セリスの手の中へ。同時にセリスは樹上から空の只中へと落ちていく。


「ふぎゃ~~~!!」


《か、風よ! 我を彼方の地へ!》

 ()くして彼女は世界樹の実を(たずさ)え、()()()()()()()()()へと旅立った。



「どうだ? 我が孫娘は見つかったか?」

《そ…それが。》

「なんじゃ?」

《見つけはしたのですが…》

「えぇい! はっきり言え!」

《ど、どうやら、ヒュームの街へと向かった様子でして…》

「…な、なんじゃと~~!」

《そ、それと…》

「まだあるのか?」

《ど、どうやら…をですね……》

「…なに?聞こえないぞ?」

《せ、世界樹の…実を…》

「……。」

《持ち去ったようです…》


 セレスはこの後1週間寝込んだ。



*******************************



「ぬフフフ! よしよし。このフードの認識阻害は素晴らしい! さすが私! あんな、材料の乏しい国で此処までの魔道具を作るとは。才能が怖い! 自身のあふれる才能が!」


 街道を独り独白しながらセリスは歩いていた。ヒュームの国に入ってから数週間。自身を()()()()()()、国境を越え、集落を渡り歩いてやっと目的の街まで近づいてきた。


《セリスちゃん、この先に盗賊が居るよ~》

 精霊が道々そんな事を教えてくれる。


「あ、そ。じゃあ、今夜はご馳走食べれるかな? へへへ」


 そう、彼女は()()()()()()()。魔法ならば、エルフは勿論ヒュームなど、足元にも及ばないのだ。彼女の通った街道の賊は漏れなく彼女の餌食(えじき)だった。


「ぐわっ!…なんなんだ? このエルフ! ばけも──」


 ”ぎゃー!” ”ぐぎゃ” “タスケげッ”


「ほいほいのほい!」


 ”ドカン!”と岩が落ち。


 ”ズバシャァ”と濁流で押し流し。


 ”ビシャァン!”と稲妻にその身を焦がされて。


 ──…気の毒な賊は全滅必死なのであった。


「ぬはははは! 今日の食料も大豊作じゃぁ! あひゃひゃひゃ!」





続くかどうかは…。

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