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オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第1章 落っこちて異世界
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第24話 お人好し

 

 (タイラー)は、途端に叫ぶように大きな声で俺達に言ってくる。


「止めたんだ! アイツらはヤバイって! でも、ハックは聞かずに行っちまった……で、結局このざまだよ」


 それだけ言って幾分落ち着いたのか、ハックの傍に歩いていくタイラー。二人もそれに続くように付いて行く。



「俺達、()()()()()()ってのは最後もこんなもんさ。騙し騙され、奪って奪われて。()()()()()()()()()奴から消えて行く。俺達は()()で産まれた。だからこの()()()しか知らない。なぁ、ハック。少しだけ待ってろ。俺達もそんなに()()()()()()()()()()()。それまでに、()()()作って待っててくれな」


 ハックという少年の亡骸(なきがら)に、()()()()()の様なモノを呟いてから彼は俺の方に向いて話してくる。


「コイツを()()()()()くれないか。その後はアンタの好きにしてくれて良いからさ。……()()ならコイツの()()頼むよ」


「はぁ~~。いやいやあのね。そんな事するわけないじゃん。()()()()()()()から殺すってどんな鬼畜だよ! あ、勿論()()()()()()()()()よ。か・ら・だ・でね」


 (つと)めて明るく言ったはずだが、ものすっごく後退(あとずさ)る三人。


「──…お兄さんて、…()()()なんだ」


 ──…ん? そっち? は!


「バカぁ! ()()()()()()()()! と、とにかく、付いて来て!」



***************************



「女将さん! この通りです! お願いします!」


 宿の入り口で絶賛土下座中である…。


「ま、まぁとりあえず、顔を上げてくださいよ。話しも()()()()()から」


 あれから、彼を()()()、4人に清浄(クリーン)を掛けて古着屋へ向かった。小綺麗にして、適当に散髪をして彼らに話をつけた。


「これは()()()()。もちろん回収させてもらう。奴隷契約ではない。雇用契約! ここ間違わない! OK?」


「こよー? ってなに?」

「やっぱ、身体か?」

「ブルブル……」

「ふっ…死ぬより怖いってのはこの事だな」


 正直、疲れた。それでも、根気よくO()H()A()N()A()S()I()した結果。


「「はい! ()()()()()しました! ノート(あに)ぃ!」」


 なんかこんなんになってた。


《お前、途中から魅了(チャーム)威圧(いあつ)を交互に使っていたぞ…》


 ──へ? も、もういいや。


 そう。俺はコイツらを何とかしたかった。


 目の前で、こんなちびっ子たちが。あんなあんまりな現実…。正直俺は見たくも聞きたくもなかったのだ。せっかく来た異世界。楽しくお気楽ご機嫌に! ()()()()したいのだ。


 当然、誰でも彼でも皆って訳には行かないし、無理だ。そんなのは分かり切っている。でも手の届く範囲くらいは。せめて、最初の()()()()くらいはあげてもいいじゃん。


 スラム以外の生き方。


 働くって事や、自立の意味。それ位は教えてあげたいと考えた。


 ──だから。


「男の子たちは多少の力仕事や掃除なんかをさせます! ユマは()()()の娘だから、簡単な接客や計算も出来ます! 屋根裏の隅っこに()()()で良いです。給料は(まかな)いだけで良いんで! お願いします女将さん!」


 ──…超他力本願! である。


「おや? この娘は計算が出来るのかい?」

 女将さんが計算に引っ掛かり、ユマに尋ねる。


「はい! 小さなころから()()()()()で育ちましたから。接客も出来ます! よろしくお願いします!」

 元気に答えるユマに、焦りを感じた三人組は声を揃えてアピールする。


「「「お、俺達は! 体力には自信あります!」」」

 

「ふぅ、……分かったよ。男連中は部屋掃除と荷物運び。ユマちゃんはサラと一緒に先ずは食堂の給仕からかね」


「「「「ありがとうございます! 女将さん!」」」」


 そう言った後、女将さんはサラを呼び、寝床の指示や四人の仕事の()()()()をテキパキ進めるとこちらに寄ってくる。


「女将さんありが──」


「ノートさんもお人好しだねぇ、私も気にはなってたんですよ。…まさか()()()の子達をあそこまで()()()とさせてくるなんてねぇ。後はこっちでちゃんと自立させるから。…ありがとね」


 ──あはは。流石は女将さん…バレテラ。



***************************



 翌日、俺は早速冒険者ギルドに向かい、ギルドマスターの執務室で男の話をする。


「中心街か」


「ええ、恐らくその辺りの宿かと。ただ、もうその男の反応は無いですが。」

「ふんっ。もうソイツは()()()()()()()って事か。()()()()()な」


 そう、マーカーは中心街で一度動きを止めた後、()()()にぷっつり消えたのだ。


「それにしても()()()()?とやらは、すごいな。魔道具も関係無しとはな。」


「固有ですからね」


 俺が()()()()()()ならば、人でもモノでも()()()()出来る、ミニマップとの併用で何時でも何処でも時間、距離関係なく所在の確認が出来るのだ。


「中心街に泊まれる闇奴隷商人か…ならば、貴族関係の伝手(つて)持ちが濃厚になって来るな」


 うはぁ。やっぱ絡むか貴族、メンドクセェ……。


「分かった。こちらもそこを考慮して()()()()をしておこう。ところで、話は変わるがお前。スラムの子供達の()()を見たそうじゃないか」


 ──ハカセぇ。


《別に言ってはならんことではないだろう》

「はぁ…まぁ、ああいうのって()()()()()ですからね」

「ふんっ、そう言う事はなかなか出来るものでは無い。普通は()()()()振りをするモノだ」

「そんなもんすか」

()()()()()だ」


 ()()()()しながらこちらを見るセーリスさん。むぅ、なんかこっぱずかしい。


「なんすか? ()()()ご褒美でもくれるんですか?」

「はぁ~。それが無ければ、イイ男だと()()()やったのに」


「別にいらないっす。ギルドマスターは()()()けど身持ち堅いし、()()()()()()()()()()で、何しろセレス・フィリア様って()()()()──」

 ”バカン!”

「んぎゃっ!」


 いきなり立ち上がり、俺の頭を思い切り叩くと彼女は激高する。


「そ、それを言うなあああああ!」


 次いでこれまた突然に泣き叫ぶ。し、しまったぁ!


《うわぁ、どうするんだ? やばいぞ! やばい!》

「お、落ち着いて! ここ部屋ですって! セーリスさ──」


「****!」

 ”ゴウ!”

 風が渦巻き、俺に向かって()()()が殺到する!

「うっひゃあぁ!」


◇  ◇  ◇


「ふぅ。マジやばかった」


 流石は精霊使い、部屋に傷一つなく()()()を的確に殺傷しようとする()()()()()。何度、応戦しかけたか。


《そんな事してみろ、死ぬ気で掛かって来られるぞ》


 だよねぇ。まぁ、言い過ぎたのは俺だし、最後のマジ泣きは勘弁だったよ。


 そんなこんなで早々に部屋を追い出された俺は、受付に戻って来たんだが。当然受付で捕まる訳で。


「な、何があったんです?! あんなにすごい音! なのに全く何ともない部屋。すっっごく気になるんですけど!」


「い、いや。あ、あのですね。…ち、近いですキャロルさん!」


 思わず()()()()()()しそうになったじゃん。


「そんなことはどうでもいいです! さぁ! なにがどうしてどうなっ──」

 ”ベシン!”

「ふぎゃぁ!」


 あ、お尻良い音!

「キャロ、貴女の方が今(うるさ)い」

 ナイスです! シェリーさん!


「ノートさんも、マスターを()()()()()()にお願いします」

「はぁい」


 ナイスツンです! シェリーさん! …はぁ。バカ言ってないで行こう。


《とりあえず、なにをするんだ?》


 ん~、思いつく皆にはマーカー付けたしなぁ、マスターに()()()()は任せて大丈夫だろ?


《あぁ。連絡は俺に来るからな》


 なら、常時依頼の残りでも(こな)そうかな。そう、まずは()()()()()に行かないと。俺は、足を街の外へ向けて歩き始めた。



***************************



「隊長。今日の()()()交代してきました」

「おう、ご苦労さん」

「こちらが、午前の出入街報告です」

「そこへ置いておいてくれ」


 詰所に交代の連絡に来た部下を見送り、机の上の書類と睨めっこを再開する。


「くそっ。何で、()()()()が街に入ってんだ?」


 この国エルデン・フリージアの奴隷制度は基本的に()()()()()()()()しか存在しない。これは二代前の国王がお決めになられた事だ。一般奴隷は基本的に金銭などの借金が返せなくなった者が金銭の代わりに自身を労働力として差し出す()()()()。働く対価を債務者に渡すだけなので身体の拘束などは無い。


 犯罪奴隷は国が一括管理し、主に重労働や、労務兵として使われる。

 

 国王が広めた()()()()。これのおかげで、()()()()や、()()()等と言う()()はほぼ無くなった。()()だ。総てでは無い。


 重税(じゅうぜい)(あえ)ぐ、寒村や()()に居る村民などにその恩恵はなかった。皆、生きるために必死なのだ。だから需要があって供給が有れば、それは成り立ってしまう。


 ──()()()()()()()()

 

 こいつらは何時しか()()()()()、貴族の()()()を持ってしまった。


 ──()()()()()

 国が認めないのに貴族が欲しがるなんて、()()()()()()。歪な世界だ。そんな、()()()()がこの街にも居るなんて思うと、反吐が出る思いだ。


「──…いちょ……た…ちょ…隊長!」

「は! なんだ?! どうした?」

「いえ、かなり、深く深刻なお顔でしたので」

「あ、あぁすまん、ちょっとな。」


 副隊長のコンクランが傍に来るまで気づかないなんて、考え込みすぎたな。

「で? 何用だ?」

「は! これを──」








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