断章 幕間
次章への幕間。
短いお話です。
――フムフム、やはり時は、そちらへ動き始めるか。
因果律とは厄介じゃのう。その結果は不幸じゃと、知れておると言うに、何故こうも同じ答えを導こうとするのやら……。
このままでは、折角の仕込みが不発に終わってしまうではないか、おいおい頼むぞノート君。
しかし……今回はまた、色々派手に動かしたものじゃなぁ。彼奴らが黙って見過ごすとも思えんのじゃが……。
フフフ、儂が言えた義理ではないか。
さぁ、このまま『帰結点』へと向かうのか。
――それとも……。
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「――そろそろ駒が揃いそうだな」
『……はい』
「何だ? あまり気乗りしていない様子だな」
『いえ、その様な事はありません』
「まぁ良い。……さて、あいつはいつ頃、此処に辿り着けるかね」
『それ以前に、彼は気づけるのでしょうか』
「ん? あぁ、ヒントは幾つか置いておいたよ。記憶の齟齬や、ミスリード。あるはずのない記憶と、起こっていない記憶。……まぁ、どちらも今更だがな」
『それは……果たして結果に結びつくのですか。悪戯に、混乱を招きかねないと愚考しますが』
「その為の君じゃないか。……本来の目的、忘れるなよ。ナビゲーター」
『……承知致しています』
「――うん、良い返事だ」
「……さてさて。次幕の仕込みに入ろうか」
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「なぁ、何時まで此処で待っていなきゃいけないんだ?」
「――ん? 何をじゃ?」
「……おい、またアンタ、前とおんなじボケ方するのか?」
「フハハハ! 何を抜かすか、儂はまだまだ現役じゃ!」
「よく言うぜ! 幾ら時が関係なくとも、時間は世界を進めるんだぜ」
「ほほう、一端の口を利くようになったもんじゃのう。……なぁに、そこまで焦れずとも良い、既に縁は埋まりつつある。待って居れば、向こうからやって来てくれるでな」
「はぁ~。まさか、こんなに暇だとは思っていなかったぜ。俺ぁ、もっと刺激的な期待をしていたんだがな」
「そう逸らんでも良い。……時はもう、そこまで来て居るでの」
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Pi……Pi……Pi……Pi
【事象観測……異常検知ナシ。変動値……誤差範囲内】
Pi……Pi……Pi……。
7章につきましては今暫くお待ち下さい。
現在進行中ですが、ある程度書き貯めた後、定期的に公開する予定です。