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オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第1章 落っこちて異世界
22/266

第22話 zeroから始めるゲフンゲフン

 


「ぁは。あははははノートさん!」


 大声で泣くタイミングを失ったサラは笑いながら俺に手拭いを渡してきた。…ええ子やぁ。でもこれ、さっきテーブル拭いてた雑巾じゃん。


「こいつは。…放っておきましょう、始祖(しそ)様、彼女達を先に」


『ん? あ! あぁ。サラ、此方(こちら)へ……ウム。そこで、跪いて祈りを捧げるのだ』


 セレス様に呼ばれ、()()()()と歩み寄っていくサラ。言われた通りに目を閉じ、祈り始める。




 ──我セレス・フィリアの名の下にこの者に加護を──。




 直後、彼女(サラ)を優しく光が包み、風がその頬を撫でて行く。


『これで()()()()()った。』


「「おおを! 有難うございます! 娘をこれからよろしくお願いします」」

 彼女の両親はサラに駆け寄り、セレス様の方に向かって礼を言う。


『ウム。そなた等にも()()がある。ほれ、()()()()()()()


 言われて二人は見まわす。

「な! …こ、これは!!」

「光が!こんなに…」


『それが()()だ。姿、形までは()()であろうが、()()()()()できるであろう』


 そう。サラが正式にセレス・フィリアの()()を受けた為、同じ血を持つ彼らにも【恩恵】という形で精霊の存在が確認できるようになったのだ。


『他言は()()だ。()らぬ問題を()()()()()必要もあるまい』


 それを聞いた三人は頷き、周りをニコニコしながら話し合っていた。


『さて、()()()()であったな。()()()()。よくぞ、耐えて彼女を守ってくれて来た事、称賛しよう』


 シロとクロ。サラの契約精霊達。この場に最初からずっと二人は黙って何も言わずに居た。サラの(そば)にずっと。


「クロちゃんが? どうして?」

 その言葉に首を傾げながら、サラが聞く。


『ん? あぁ彼女は生命の精霊。お主と()()()()()()()()()()()お主から供給されるマナを調()()して、お主の()()()()()おったのじゃよ。だからクロ自身はずっとマナが足りず、よく()()()()()だろう?』


 それを聞いた途端、(こぼ)れんばかりに()()()()クロを見るサラと()()……って、シロ…。


『だがもう()()()だ。我の加護がある故、サラのマナ量は()()()。安心してよい』


《──…うん。ありがと、王様。これからクロはサラと一緒に頑張るの》


 おをっ!かわいらしい声だ。……眠そうだが。


《ぬをををを! そんな! しょんな! しょんにゃぁぁ……。我は今まで何も気づけずに…。ぐはっ》


 そう言いながら、大仰なリアクションで(くずお)れるシロ。


『………あぁ、なんだ。お主もようやっておったぞ、うん。』

《……王様ぁぁぁ…》


 うはぁ、セレス様メッチャメンド臭がってるぅ…。


『ンンッ! そしてノート。』

「うひぃっ!」


 急に振られてビックリした。


「な、なんでしょう?」

『この宿に()()が迫っておる。()()()()()な』

「ファ?」


 呆れ顔のセレス様。え? どゆ事?


『セーリス。我は疲れた。この()()()への説明は任せていいか?』


「──…はい」

《ノート、お前、もう忘れたのか》


 ──え? あ! そうだった! サラちゃん狙われてたんだった──。



***************************



「で? どうだったんだ?」

「あぁ。確認は取れた。だが」

「なんだ? 問題か?」

()()使()()が来やがった」


「冒険者ギルドのマスターか?」

「あぁ。それと()()()()居た」

「誰だ?」

「判らない。初めて見る(つら)だった」


 路地裏の更に奥、今にも潰れそうな廃屋の一軒屋、その地下室に集まった数人の()()()()の者達。小さな光源が一つ置かれたテーブルを囲み(ささや)き合うように話していた。


「しかしよ。本当にあの娘なのか?」

「どうゆうことだ?」

「いや、見てて()()()んだが、歩けばぶつかりコケる。()()()()()()()。流石に()()()()にゃあ見えなかったぜ」


 その言葉に皆が黙る。


「そこは、大丈夫だろう。何しろ、()()()が居るんだしな」


 そう言って振り返ると部屋の隅で、襤褸雑巾(ぼろぞうきん)の様になった(かたまり)()()()を上げた。


「それは?」


「こいつが()()()()()()なんだよ。最初は癒し(ヒール)だと思ったんだがな。話を聞いて確信した」


「なにを?」

「効果が()()()()。恐らくこいつは、()()()を知らねぇから気にならなかったんだろう。何しろ、癒しを受けて()()()()()らしい」


「は? 立った?」


「あぁ。そのガキはこいつらのグループで前日に痛めつけたそうだ。歩けなくなるほどにな。だから、変わらずそこで、ぶっ倒れてたんだが、それを受けて()()()()()()()ように元気になったらしい」


其処(そこ)までなのか。()()()()()ってのは…」

「だから、聖教会でも()()()()()しか見られない」

()()()()()()使()()()()()御業(みわざ)


「あぁ、だからこそ。」

「何としても手に入れる」


 誰かがそう言うと、皆が各々頷く。


「さて、それでは計画の練り直しを──」



***************************



「そ、そうだった。……どうしよう」


「ハカセ、その者たちの居場所は?」

《路地裏の廃墟周辺までは追えた。しかしその後、気配を絶たれた》

「ふむ。」


 セーリスさんとハカセで何やら話が進んでいく。

「あの、どうしてそんな事解るんです?」


『はぁ~…、ノートよ。こいつらは()()()()()()()()()だぞ。精霊は()()()()()()()が、誰にでもは()()()だろう? そしてハカセは()()()に位のある精霊。そしてセーリスは我の()()()。この街の精霊ならほぼ()()と話が出来る』


「あ! そっか。精霊に聞けばわかるんだ」


『基本的にはだがな』

「え? 基本的?」


 そこで何故か渋面を作った、セーリスが割って入ってくる。


()()()、もしくは()()()()()をする」


 そう言うと、苦々しい顔で三人は(うつむ)く。


「闇せい…れい?」


『そうだ。そやつらも元はただの()()、だが、()()に触れ自我を魔獣と同じ様に()()()()しまった。』


()()()とは魔道具による()()()()()()。主に()()()()がな。闇ギルドや裏の稼業のマジック・キャスターなどに()()()()する」


《幸い、今回の件に闇精霊は関わっていなさそうだが》

「そんな事、分かるの?」


《俺は同じ、()()だからな》


「恐らくだが、魔道具で存在を()()()した後、()()()()を使ったのであろう。面通しや、情報収集、それに魔道具まで使っているなら、間違いなく組織的なものが動いている」


「だから──。」


 サラ達家族を傍に置き、話は()()まで続いた。彼女本人に力を使ったかと聞くと、彼女が()()を行使したのはこの間のユマが初めてだと分かった。


 ──…つまり、この()()()()()()()()()だった。


「何で、そんな短期間でこんな事に」

《さあな。だが事はもう動いている。》

「そりゃそうだけど」


◇  ◇  ◇


 翌日、俺はハカセと連れ立って、街をぶらぶらしながら、彼女(ユマ)を探していた。……俺は初め、()()()()()()


 でもそれは周りの精霊に()()()された。


 ”違うよ” ”あのいじめっ子たちだよ” ”そう! あの中の一人だ!”


 ”あいつが、あのへんな連中に”


 ”そうだ” ”あいつだ”


 口々に精霊たちが()()


「どう思う? ハカセ」

《フム。こいつらの言う事に偽りはないが、ちと()()()だな》


 だよなぁ。虐めっ子って誰だ? それに変な連中って。()()でいろんな話を聞きながら、ミニマップでユマの()()()を追っていた。



***************************



「タイラー、ハックの奴()()()こないよ」


 スラムの子供たちのリーダー格、タイラーは苛ついていた。


 クソが! ユマの様子を見に行かせただけなのに。戻るなり、金になるかもって言って飛び出していきやがって。…大体、あの連中はマズイ。あれは多分裏稼業の連中だ。関わるなって言ったのに。なのに、その話を聞いてわざわざ行くなんて!


 ──なぁ、()()()()()。ハックってのは()()()()か?



 何時から其処に居たのか。フードを目深(まぶか)に被り、()()()()()()()()()()()り、其処に居た。


「な!? 誰だ!」


 その男は誰何(すいか)()()して、答えの代わりにその()()をこちらに投げる。


 ”ドサッ” ”グムッゥ”

「なにしやが──? ハック? ハックか?」


「女のガキはいない…か。おい! ユマって女のガキは何処だ?」


 ──低い声でその男は聞いてきた。



***************************



 エクスの街の中心部には豪華な邸宅が建ち並ぶ一角が存在する。所謂、貴族街だ。ここには()()()()()居留(きょりゅう)したり、また()()()()()等、()()()()()()()者や、所謂(いわゆる)召抱(めしかか)えになった()()の家族などが暮らしている。


 当然、この街区は壁で()()()()、入り口には衛兵も立つ。


 そんな街の一角にその屋敷は有った。大きさとしては中程度の屋敷。


 ──フィル・セスタ子爵邸。


 その執務室に男たちは居た。


「フム。()()()。…どこまで()()()()()のだ?」


 大きな執務机の向こうにある、革張りの豪奢な椅子に、その肥え太った大きな体をねじ込むように座る男。フィル・セスタ子爵は聞く。


 その机の対面に立つ服装は()()ではないが、高価な魔道具と魔紋の()()()()()()服を着込んだ()()()()()()()()()が答える。


「は。私めの()()()()()が確認した模様。十中八九()()()()()と思います」


()()()()()を使える平民の娘か。…ふふ面白い」











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