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オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第1章 落っこちて異世界
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第2話 神の御座所



「ねぇねぇ。()()()さん」


 皆が俺の身体に集まっていく中、一人こちらへトコトコ歩いて来たのはちびっこさんだ。


「はい? 何かな?」

「遊ぼ!」


 うんうん、子供って純真で、空気なんて読まないよね。

「マリネラは子供じゃないよ。君より、ずっとず~っとお姉さんだよ」


 そうなんだぁ。お姉さんかぁ。


 でも()()()()だしなぁと思っていると、そのシルエットがにわかに蠢き出す。気付くとそこには、先程のイリスと呼ばれた女性より、超絶ナイスバディのシルエットが居た。


 

 ──これでどう?



 ス…スバラスィ! 思わずフラフラとそこに近づき、()()()()とした瞬間、電撃が俺を貫いた。


 ”バチィ!!”


「ミギャ!」

 痛ぁい! 静電気ぃ! って、俺手なんかなかったよ……。


「ありゃ、ん? ねぇ、イリス様ぁ。この子、()()()()()じゃない?」


 へ? な、なに、()()()て。


「おぉ! ()()()か! ほれ、此処。コヤツの身体の胸の此処、ほれ、ここに残滓(ざんし)がある」


 のっぽさんが、俺の肉体を()()()()ながら、話しだした。


「……特異点持ち、ならば()()()を……。皆、此処へ」


 皆がのっぽさんの話を聞きながら、俺の身体を弄くり、捏ねっている時。一人離れた所で、周りを傍観していたイリス様が、ブツブツとなにかを呟いて居たかと思うと、ふと顔を上げてシルエットたちを呼ぶ。その声に音もなく集まって行くシルエット。つられて俺も行こうとしたが、イリス様が此方に手を向けて、拒否してきた。


(なんだ? ヒソヒソ話し。あ、俺の肉体が……)


 のっぽさんの手から離れた俺の身体は、原型を留められなかったのか、またグズグズと崩れて肉塊へと戻りだした。ぼ~と見ていると、その崩れた塊はそのまま、床に染み込むように消えていった。


(さらばだ俺の肉体。50年もの間ありがとう……)


 万感の想いを込め、合わせることの出来ない手を合わせ、黙祷を捧げる。


「なに、黄昏(たそが)れてるの?」


 ちびっこに戻ったシルエットが、いつの間にか横に居たので、ビクッとなって周りを見ると、いつの間にやらまた囲まれていた。


「太田零士さん。どうやら、事情が少し変わりました。貴方を輪廻の輪には還せないようです」


 イリス様が改まって言ってきた。

「そ、それはさっきの特異点と関係が?」


「はい。原因や経緯は、これから調べないとなんとも言えませんが、このままでは、因果律に影響が出てしまい、最悪、輪廻そのものに影響が出てしまいます」


 え? そんなにやべぇの? 俺の今の状況。


「ええ。そしてその影響は勿論ここアストラルフィールドにも出てきます」


 ヤダ、なにそれ。怖いんですけど。


「なので、貴方には、特別に身体を創ります。但し、地球には送れません。そもそも、私達はそちらに干渉すること自体出来ませんから。ですので、此方の世界、()()()()()()()()()いただきます」


 キタ───! 異世界転生! モテモテウハウハハーレムサイコー!


「──? なんのことですか? うはうは?」


 ──あ! またやってしまった。



「それでは、此れより、貴方の身体を創造し、此方の世界で生活できるようにしていきます」


 イリス様はそう言うと俺の【目】をじっと見つめてきた。


 そうかぁ。これから、身体の()()をしてもらって…ん? 創造? て言ってたな。あ! そうか、俺の身体、()()()だった。一から創ってくれるのかぁ…あ! それなら…。


「あ、あのイリス様! お願いがあります!」


 ずっと見つめていた目を伏せ、彼女はどうぞと、促す。


「もし、宜しければなんですが。年齢的なことや、身体的特徴なんかって、要望出来ますでしょうか? (にか!)(どうだ、この営業スマイル!)」



「ある程度ならば聞きましょう。それに、年齢に関しては元々二十歳前後にする予定ですが」


 おをっ! 若すぎず、オッサンじゃない! リアル! 完璧!


「あ、ありがとうございます! 年齢はそれで構いません! あとは、容姿なんですが……」


 イリス様は本当にヤレヤレ感を全身で(かも)しながら、それでも聴いてやるよ。と此方に意識を向けてくれている。


 よし! ならば!


「ただし! 全ての願いがどうこうできる訳ではないですよ。あくまでも貴方の魂魄が()()()()()といけません。なので、肉体のDNAより、染色体の一部も使います。此れは、貴方の記憶や、魂魄と深く連携しているものなので、()()の期待はしないように」


 先手を取られた。あぁ、ウハウハハーレム、出来るかなぁ……。


 この時、俺は転生云々のことでいっぱいで忘れていた。全ての感情や、思っていることが皆に筒抜けだってことを。


 なら、せめて! せめて()()()()に!


「では! イリステリアの標準的な顔面(かお)をオネシャス!」


 それを聴いた瞬間、ちびっこは隣で大爆笑である。


「顔の美醜になにか()()()()でもあるのか?」

 のっぽさんは、心底わからないと言う感じ。


「はっ!」と、ずんぐりさんは吐き捨て。


 あんたらは良いよ! シルエットなんだから! 俺の人生、()()()()みたいなもんだったんだよ! あくせく、毎日働いて、家に帰って、飯食って寝るだけの人生。もう……もう嫌なんだよ。折角やり直せるチャンスが来たんなら、しかも若返って出来るなら! 俺だって、夢見たって良いでしょう!?


「フフフ。そうだよねぇ。()()()()()()()()もしたいよねぇ」


 ちびっこさんが頷きながら、半笑いで納得してた。


 ──へ? あれ? なんで? あ!!


「……理解(わか)りました。極力、なるべく、()()致しましょう」


 イリス様ぁ! マジ女神っ! はい入信いたしました。貴女の下僕となりましょう。


「だめだよ太田君。そんな事を思っちゃダメ」


 何故か、真面目なトーンでちびっこに(いさ)められた。


「良し、身体の方は此方で管理者とともに我がやっておく。そなたは、そちらで諸々、細々とした事を教えてもらうが良い。あぁ、()()()なども忘れぬようにな」


 何やら筋骨隆々そうな、でかい図体のシルエットがそう言うと、イリス様と一緒に俺達から、少し離れた場所へと移動していった。


 キタコレ! スキル! 魔術は? あ! 定番はやっぱ、鑑定とアイテムボックスですかねぇ。等と妄想が走り始める。


「フム…そうだな。スキルも良いが、()()()を知らねばな」


 のっぽさん。何よ大前提って。


「ホイホイ。お前さんは地球人じゃろ? この世界の(ことわり)を何も知らんじゃろ」

 なんだこの人? おじいさん? みたいな人なのか?


「はぁ~。おい、お前さんさっきから、色々()()()()なのを、我慢して聴いておったが、ボチボチ()()()おるじゃろ?」


 ちょっと小さい、ズングリしたシルエットが、苛ついたように詰め寄ってくる。



 ……うん。そうですね。判ってますよ。此処は所謂、神の御座所(おましどころ)



 ──あなた達は神様。



 でもね。それをね、理解できても納得できると思います? 死んだことすら認識していないのに、肉体も失って、()()()ですよこ~んな。


 ()()()()()()()()()()と漂う俺。


 そんな状態で、しかも異世界、頭なんてとっくに沸騰して乾きましたよ! 干からびてます! フヨフヨ~~!


「ぬぐっ。コヤツ、逆ギレしとる、エェイ! 鬱陶しいからそのフヨフヨはやめい!」


 そう言うと、フヨフヨしている俺を掴もうと手を伸ばしてきた。


 バチィ!!

「ぬがぁ!」


 痛い目にあったのは俺ではなかった。


「どうなっとるんだ? なぜ儂に痛みが……」

「もう、ノード。さっき、言ったじゃん。彼は()()()()()だって」


 マリネラが呆れたように言う。


「し、しかしさっきは、あ奴が」

「あれは彼が私に触れようとしたからよ。()()()()()()


 うげ!? そうだったのか。てかバレてたんだ。触ろうとしたの。


「お・み・と・お・し!」


 マリネラちゃん()()()っす。


「ホイホイ、もう良いかの。では改めて自己紹介から始めようかの」




 ──俺の前には四人の神様が並んでいる。


 姿は相変わらずシルエットだが…そして左のちびっこちゃんから話し始めた。


「ハァイ。じゃあ私からねぇ。私の名前は【()()()()】愛の地母神。主に人類種の命や、愛を司っています」


「儂は【()()()】主に大地の神だ。まぁ、見た目の感じでわかるじゃろうが、ドワーフ種の守護も兼ねておる」


「フム。私は【()()()】主に魔を司っている」


「で、あそこのデカイのが【()()()()】戦神じゃの。(いくさ)ではなく()の神じゃ。そして、あちらのお方が【()()()()()()()】。この世界イリステリアの全ての守護、管理をされておるお方じゃ。最後になるが儂は【()()()()】本来は、全ての生命の神じゃったが、色々あっての。今は主に農耕や自然を司っておる」


「あと一人、【()()()()()()()()】ちゃんて娘が居るよ。彼女は精霊の王であり、妖精種の源種。きれいなエルフっ娘だよ」


 七人…こんなにもたくさんの()()()()()している世界なんだ。


 あれ? 人がいて、エルフやドワーフがいるのに、()()は?





最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


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